リリカルでメカニカル   作:VISP

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第八話 死闘

 

 新暦65年 11月○日

 

 やべぇヴォルケンズぱねぇ(小並感。

 あれだ、アニメで小学生に蹴散らされてたりしたもんだから、てっきりそこまで強いとは思ってなかったんだわ。

 海の武装隊にしても、高ランクは一人もいなかったし、尺の都合か直ぐ退場がデフォだからさ。

 だっつーのにあの練度、マジやばでした(白目

 魔力資質だけなら本局でも探せばいる。

 だが、あいつらに勝る経験値を持った人間は存在しない。

 いたら、そりゃ記憶受け継いでる連中とかだけで、決して個人ではない。

 特にザッフィー、影が薄いとか言ってごめんよ、だからその拳で室内戦とか止めて。

 オレ、狭いフィールド不得意なの。加速=壁ドン(セルフ)だから。

 

 今回出張先で襲われたのはかなり驚いたけど、まぁ原作始まってるし、こんな事もあらぁな。

 でも、闇の書のデータとか古代ベルカのデバイスのデータは正直欲しかったりする。

 

 それは兎も角、一度本格的な整備を行うためにクラナガンに戻るとレジアス中将にお呼ばれされる。

 はて、最近は問題起こしてないんだが?と思いつつ行ってみると、何と海から援護要請が来てるのだとか。

 何でも主要な魔導士は他に出張り済みで、管理外世界を根城にあーだこーだしてる闇の書にこれ以上戦力割きたくないからお前らも人出して☆(要約)とか言われたらしい。

 うわぁ父子二人がガチ切れしてるなりぃ、とか思いつつ、命じられれば行きますよ、と適当に答えておく。

 すると中将が顔を苦虫に換算すれば20匹分位顰めて、書類を渡してきた。

 次元航空艦アースラへ、陸からの対闇の書部隊への派遣の命令書だった。

 拒否権はあるぞ、との事だが、ちょっとボコしてデバイス頂いてから帰ってきますと言ったら二人に呆れられた。

 オーリスから無事に帰ってくるように、と言われた。

 うん、頑張ってくるよ。

 

 

 

 

 新暦65年 12月3日

 

 アースラに派遣されて早10日、漸く補足した!と思ったらなの覇さんに被害が!?

 いやまぁ強化フラグなんでしょうけど、子供相手に必殺リンカーコア握りは惨い。

 勿論無防備な所を横殴りさせて頂きましたけどね☆

 え、原作キャラへの愛着?そこはほれ、転生者だけどオレそこまでファンタジーの人じゃないし、リリカルもネタの宝庫として見てただけだし、生粋のロボオタでガチガチの軍属にそんな事言われても、その、なんだ、困る。

 それにテロリストなんて須らく死ぬべきでしょ?

 結局撤退を許したが、支援役のシャルル?(うろ覚え)には手傷を与えたからよしとしておこう。

 

 

 

 

 

 彼らが結界の展開を察知して出撃した時、既に一人の犠牲者が出ていた。

 高町なのは。

 何れ未来において魔王と称される、AAAランクのミッド式空戦砲撃魔導士だ。

 そんな彼女が経験差と相性故に遅れを取り、増援として現れたフェイトとシグナムがそれぞれ戦闘を開始し、その隙になのはがそのリンカーコアを蒐集されるという瞬間…

 

 『そこまでだ。』

 

 旅の扉から伸ばされた手によるリンカーコアの直接蒐集。

 白魚の様な綺麗な手は、しかし、手首から先を赤化した刃に切断された。

 

 「え?」

 『ぎッ!?』

 

 それにより蒐集されようとしていたリンカーコアは体内に戻り、轟音と共に落下してきた全身を機械に包んだ人物の登場もあって、なのはは無理に行使しようとしていた砲撃魔法を停止していた。

 

 「あ、ありがとうございます?」

 『要救助者確保。高町なのは、君は一度アースラに後退しろ。』

 「え、あ、えと」

 『無理せず下がり、手当を受けなさい。』

 「は、はい!」

 

 それが未来の魔王と鋼鉄の孤狼の、初めての邂逅だった。

 

 

 

 

 Side なのは

 

 その人達を初めて見たのは、私がヴィータちゃんに初めて会った時の事でした。

 私が蒐集を受けて動けなくなった時、フェイトちゃんが駆け付けてくれると同時に、あの人達が来てくれました。

 今まで見たどの魔法使いの人とも違う恰好で、まるでゲームに出てくるロボットみたいでした。

 その人達が来てからは本当にあっという間に助けられました。

 どうやらヴォルケンリッターの人達とは顔見知りらしく、向こうが退いていったそうです。

 お礼は後で言えたけど…実は今でも会って聞きたい事があるんです。

 

 あのメカメカしいBJってどうやって作るんですかって。

 

 

 

 

 新暦65年 12月4日

 

 なの覇さんが退院したが、最低でも数日は魔法禁止との事。

 しょんぼりするなの覇さんに一応先輩として魔法を使わないトレーニング方法を教える。

 それは周囲に存在する魔力、その流れを感じ取る事。

 近接得意な連中は経験則なんかでこれをしてるのだが、知っておいて損は無い。

 これを用いる事で、魔力を通して大気の流動や魔力の流れを把握し、感知範囲内の索敵向上に繋がる上に、極めれば近接距離なら限定的な未来予知染みた感覚を得る事が出来る。

 まぁ大抵は殺気を読んだりして不意打ちに気付きやすくなる程度のものだが、暇潰しにはなるだろう。

 なお、ADのセンサー系は通常のデバイスよりも高性能なので、ある程度感知出来ます。

 

 追記 何やらフェイトそんも同じベンチで並んで訓練してた。天才なのに向上心が良すぎる子供達に感心する。

 

 追記の追記 アースラクルーに子供に何を教えたんですかと結構厳しく詰問された。一体オレが何をした。

 

 

 

 

 

 新暦65年 12月7日

 

 今日、ユーノきゅんが遂にあの悪名高き無限書庫へと旅立つ事を決意したそうな。

 彼の未来に幸多からん事を願う…。

 分類後の資料は通常の図書管理システムに則って検索できる様に支援しとくか、うん。

 

 ここ暫くはアースラで訓練かヴォルケンズの戦闘データとか記録を漁って対策考案中。

 あの連中、全員が専門分野違う上に一番弱いと思われるシャマルですらAAAランク相当とか強いってもんじゃねーぞ!

 こっちは装備充実させて得意分野に特化させて戦術練って隙突いてどうにかこうにかだっつーのに、これだからmade inベルカは!しかも大概故障するし!

 

 追記 途中でアースラの執務官(背が気になるお年頃)が参加してきたが、普通のミッド式らしく弾速が遅い、誘導弾に頼り過ぎ、BJが脆いの三拍子で即効で畳み掛けられてた。南無。

質量兵器染みた武器なんて…とか言うが、非殺傷設定可能で魔力で動いてるんだからセーフセーフ合法合法。

 

 追記の追記 後日この時のデータを見たなの覇さんが目を輝かせていたそうな。…流石にゼオライマーとかは作れんよ?いや、チャージ等させるものかはロマンだけどさ、MAD動画的に考えて。

 

 

 

 

 新暦65年 12月8日

 

 いやはや、今日も大変だった。

 丁度結界展開時に間に合った我らベーオウルブズ。

 その後、アースラの嘱託組がそれぞれの相手をし始めて戦闘が膠着し始めるまで待つ。

 特に未来の痴女と魔王様はデバイスを新調してハッスルしておられるが、コアに直接魔力を足す通常のカートリッジ式は負担がでかいというのに若い頃から常用してちゃ後で困るぞー。…まさか注意書きとか見てない処か渡してないのか?(汗

 そんな我らは光学迷彩&ステルスしながら支援役の湖の騎士を発見、アースラの武装隊と共に包囲殲滅を図るも返り討ちに会いました。やべーやべー。

まぁ支援役なんて開戦と同時に潰される訳だし、そりゃ自衛位出来ても不思議ではないよね!

 最後にはページ消費からの範囲攻撃で足止めされた上に変なマスク付けたミッド式の魔導士の攻撃を受けて取り逃がした。

 邪魔してくれたマスク野郎は取り逃がしてしまった…でも猫姉妹、実はアホなのか?

 少なくともミッド式である事、魔力の波長(色とか)、獣臭さとか全然消せてないんだが。

 取り敢えず、後方(本局と地上本部)に取得したデータを投げておこう。

 …決して幼女を孤独死させようとした畜生を失脚させようとか思ってはいませんよ?

 ただ局員としての義務を果たしているだけで。

 

 追記 本局に送ったデータは一部巧妙に改竄されたとか。おーおー厄い厄い。後はこういうのにがっつり噛み付く我らが頼りになる上司に任せるとしよう。

 

 

 

 

 

 第97管理外世界において、現在現地の人々の与り知らぬ所で、激戦が繰り広げられていた。

 未来の魔王ことなの覇さんはハンマー幼女ことヴィータと。

 未来の痴女執務官ことフェイトは劣化の将ことシグナム

 痴女の使い魔兼未来ニート幼女のアルフとペット枠兼肉盾のザフィーラ号。

 未来のオールスターが互いに色取り取りの魔力光を放つ魔法の応酬しながら、海鳴の町を照らしていた。

 同時刻、光学迷彩を展開しながら、身体強化魔法すら使わずに自力でビルの階段を駆け上がる者達がいた。

 

 『各員、予定ポイントに到着次第、一斉に仕掛ける。』

 

 クロノ・ハラオウン執務官率いるアースラ所属の武装隊の予備隊、そしてテロリスト絶対殺すマンことキョウスケ率いるベーオウルブズだ。

 

 『にしても、意外だな。君達がこちらの指揮下に入ってくれるなんて。』

 『指揮系統の一本化。その点に異論は無いし、そちらの方が階級は上だ。』

 

 魔法ではなく、通常の無線を用いながら話す二人に隔意は見られない。

 陸と海、地上本部と次元航空艦隊。

 陸の予算と人員を乾いた雑巾から絞るが如く搾取する海のやり方から、地上本部では蛇蝎の如く嫌われている。

 近年になり、新型のAD配備に当たり、犯罪者検挙率の向上に伴い、治安の改善と経済の活発化により、予算に関しては改善されたものの、高ランク魔導士の資質を持った人材に関しては未だに海の方に優先的に配備されているため、未だ両者の隔意は根強い。

 だが、そんなものは関係ないとばかりに地上の治安改善の立役者たるベーオウルフは振る舞っている。

 これに関してはマスコミからの取材の際、本人から「我々が憎むべくは犯罪者であり、同じ局員ではない」とコメントされている。

 

 『間もなくポイントに到達する。各員、敵は支援担当とは言え、歴戦の高ランク魔導士だ。油断するな!』

 『こちらは予定ポイントに到達した。緊急時には支援を行う。』

 

 今回、武装隊とベーオウルブズはそれぞれ別の役割が振られていた。

 敵の主力は3人、しかしそれを支え、撤退や奇襲時の転移、結界の構築や索敵を行うのは常に一人、湖の騎士ことシャマルだ。

 それを潰せば、連中の作戦能力はかなり限定される。

 後は同じような状況を何回か用意すれば、その度に物量で押し切れる。

 こちらに騎士達を単独で抑えられる戦力が複数あるが故の戦術だった。

 実に「支援役は真っ先に潰す」、「囲んで棒に叩け」に忠実な戦術である。

 勿論、基本だからこそ、敵からも警戒されるのだが。

 

 

 

 

 「あら?」

 

 ビルの屋上から戦場を俯瞰していたシャマルが不意に気づいた。

 

 「何方かしら?」

 

 彼女が振り返ると同時、光学迷彩を解いて武装隊員達とクロノが彼女を包囲していた。

 

 「クロノ・ハラオウン執務官だ。投降すれば、悪い用にはしない。」

 

 前回の闇の書事件において、父親を亡くした身であっても、クロノは己の役割を見失っていなかった。

 また、今回は幸いにもまだ一人も人死にが出ていない。

 実際、投降さえすれば、扱いは以前の事件に比べれば、まだ軽い方だろう。

 

 「ごめんなさい。」

 

 だが、ぺこりと礼儀正しく頭を下げる彼女からは、不退転の意思があった。

 

 「各自、戦闘開始。」

 

 それを見取った隊員達は即座に標準の杖型デバイスを構える。

 幾ら彼女が古代ベルカ式の使い手であっても、この人数からの集中砲火を貰えば、一溜まりもないだろう。

 

 「撃てぇ!」

 

 だが、それは…

 

 「はい、残念♪」

 

 命中すれば、の話だ。

 武装隊が放った魔法は空中に浮かんだ幾つものワームホールに飲み込まれた。

 更に、余りの光景に硬直した武装隊の真上に再度開かれたワームホールから、彼ら自身が放った魔法が降り注いできた。

 

 「クッ!?」

 

 辛うじて一歩下がった位置にいたクロノは回避するが、武装隊の面々は一部が防御魔法を展開したものの、殆ど直撃していた。

 だが、シャマルとて無傷では済んでいなかった。

 二度目のワームホールが開いた直後、四方の別のビルから一斉に高速徹甲弾が飛来、シャマルのBJを貫通し、その身体を貫通した。

 

 「ッ!」

 『ウルフ5、オレと前に出る。他は突撃を支援しろ。』

 『『『『『了解。』』』』』

 

 ゴッ!と大気を引き裂く轟音と共に、今まで魔力すら控えてほぼフルステルス状態だったベーオウルブズが動き出す。

 同時に、クロノもまたS2Uを構えて走り出す。

 

 「はい残念。」

 『「ッ!?」』

 

 避けられない速度とタイミングだった。

 だからこそ、それを捌かれた時の動揺は大きかった。

 空中に設置された幾つもの小型のシールド魔法、一枚一枚はそれなり程度の防御力しか持たないそれらはベーオウルフとウルフ5の突撃に対して斜めに、傾斜する形で展開されていた。

 二人の放ったリボルビングブレイカーとジェットマグナムはシールド魔法を砕きながらも、傾斜により厚みを増された故に貫通し切れず、斜め後方に反らされてしまう。

 これが単に強力な障壁や結界だったら確実とは言えないが破壊できた。

 しかし、敵の攻撃力を予想し、敢えて捌く事を選択した辺り、彼女もまた歴戦の猛者たるヴォルケンリッターという事だろう。

 そして同時、クロノはその全身をバインドに絡め捕られ、捕獲されていた。

 

 (バインド!?それもステルス式か!)

 

 通常、魔法と言うのはどうしても発動中は魔導士固有の魔力光を放つ。

 これは戦闘中とは言えかなり目立つため、古代ベルカ式では遠距離は質量兵器、近接は魔導士という住み分けがされる程には戦闘に邪魔だった。

 なので、一部の魔法ではこれを無くし、被発見性を低くする研究も為されている。

 とは言え、余り高出力の魔法ではどうしても隠蔽し切れず、専らバインドや防御、索敵等の支援系魔法に限定されている。

 また、完全に隠蔽し切れるものではなく、激化した戦闘中での罠か戦闘終了後に拘束具として用いるのが一般的だ。

 

 (ここまでの精度のステルスを維持した上で、空間跳躍系と盾魔法の並列展開だと!?)

 

 なんて奴だ!というクロノの感想は至極真っ当だった。

 そして、バインドブレイクを行おうとするが、その前に敵の攻撃の方が早かった。

 

 「貴方達のリンカーコア、貰いますね。」

 「ぐ、ああああぁぁぁぁぁッ!!」

 

 クロノの胸に旅の扉を通して現れたシャマルの手が突き刺さり、リンカーコアが取り出されると同時、闇の書から伸びた触手に胸を貫かれ、武装隊のリンカーコアも蒐集されてしまった。

 

 『ベーオウルブズ、カバーに入れ。』

 

 キョウスケの命令と同時、高速徹甲弾が四方からシャマル目掛けて殺到する。

 

 「そう何度も食らいませんよ!」

 

 だが、先程と同じ様に多数のシールド魔法が展開、高速で飛来する特殊な徹甲弾は先ほどよりも厚みを増したそれらを半ばまでしか貫通できない。

 

 『どうやらあの空間跳躍はそう簡単には連続使用できないらしいですね。』

 『とは言え脅威には変わらん。再使用までに蹴りを付けるぞ。』

 

 そして、ベーオウルブズ全員がステルスを解除、各々の得物を構え、一斉に射撃を開始する。

 バルカン砲が、チェインガンが、アサルトライフルが、ツインカノンが火力演習も斯くやと言わんばかりに一斉に火を噴き始める。

 これは流石に辛かったのか、シャマルも急ぎ結界を展開する事で耐えるが、見る見る内に結界に罅が入り始める。

 それはそうだろう、彼女の役目は支援一般。

 単純な防御力では他の3人には大きく劣る上に、支援魔法を攻撃に生かそうにも強力なもの程インターバルは長いし、手軽に使用できない。

 そして動きが止まった現在、仕留めるには絶好の機会だ。

 先程捌かれたアルトアイゼン・ナハトが再度加速する。

 ウルフ5のゲシュペンストmk-Ⅲの支援の下、狙うのは右腕のリボルビングバンカーによる一撃だ。

 盾の守護獣すら完全に防ぎ切るのは難しいそれを、今の彼女では防ぐ事は適わない。

 受ければ、この戦闘において彼女は間違いなく敗北し、状況的に捕虜となる事も確実だろう。

 だからこそ、それを望まない者には介入の機会となる。

 

 「シィッ!」

 『…。』

 

 突撃するベーオウルフの左側から、光学迷彩の解除と共に仮面の男が跳び蹴りを放ってきた。

 その速度と感知された魔力出力から推測される身体強化の具合から算出すると、その一撃は確実にナハトの装甲をしてもダメージは免れないだろう。

 ならば、まともに受けなければ良い。

 

 『クレイモア。』

 「ッ!?」

 

 左腕のシールドの表面装甲が展開、露出した発射口から散弾魔法が発射される。

 無数の散弾は今まさに蹴りを当てようとする不審者に、至近距離から情熱的に抱擁した。

 

 「ぎ、がぁ!」

 『む。』

 

 だが敵もさる者、魔力ダメージによる脱力と苦痛を無視して、その蹴りをシールド越しとは言え、確かにナハトに命中させた。

 結果、進行方向を反らされ、必殺の一撃は不発に終わってしまった。

 

 「闇の書のページを使え、急ぐんだ!」

 「礼は言っておきますね!」

 

 シャマルの手にしていた闇の書のページが呪文と共に捲られていく。

 そこに記されている多種多様な魔法から、この状況を打破するための魔法を蒐集したページを消費する事で行使する。

 例え本来の主以外の人間でも、闇の書の蒐集に協力するなら、限定的とは言え、その機能を用いる事が出来るのだ。

 …そんな裏機能ばっかり付けるから故障するのだと思うが、それはさて置き。

 

 『阻止しろ!』

 「させん!」

 

 だが、そうは問屋が卸さんとばかりにベーオウルブズから射撃が再開される。

 しかし、結界の構築にも長けているのか、仮面の男が咄嗟に展開した結界はそれなりの強度を持っており、ミッド式とは言え、10秒は持ち堪える事だろう。

 

 「闇の書よ、守護者シャマルが命じます。眼下の敵を打ち砕く力を今ここに。撃って、破壊の雷!」

 『全機、防御専念。』

 

 だが、詠唱が完了するには10秒で十分だった。

 上空に発生した黒雲から、雷鳴と共に巨大な雷が町の一角を包み込んだ巨大な結界を直撃、破砕する。

 その余波はまだ完全に砕かれ切っていない結界内を無数に駆け巡り、嵐の様に吹き荒れた。

 

 後に残ったのは呻き声を上げるクロノ執務官と武装隊、装甲表面が融解したベーオウルブズだけだった。

 

 

 

 

 

 新暦65年 12月10日

 

 午前は部下達と共に機体装甲の全面交換と整備点検で潰れた。

 午後は休暇休暇!ヒャッハーとばかりに遊びにいく部下達を放って町の書店で軍事・科学・SF・ロボ系ゲームを買い漁る。

 ゲームやPCはミッドじゃ電源的に無理だ?馬鹿言え、変換器位自作できるわ!

 偶然会ったなの覇さんがまたも目を輝かせていたが、あの、何か御用でしょうか?(震え声

 まだあてくしあなた様に頭冷やされる覚えは無いのですが…?

 

 

 

 

 新暦65年 12月15日

 

 あれから事態は一時沈静化。なので一旦地上本部に戻って装備を強化しようか(マジ基地スマイル

 先日の戦闘から高速徹甲弾が有効なのは証明されたが、それだと今後の闇の書暴走体をぶっ潰すには純然たる火力が足りない。

 なーのーで、こちらにゲシュⅢの重装追加パーツを人数分と以前に一度だけ使った自作の追加兵装の一部をリニューアルしたいと思いまーす。

 なんで今まで使わなかったって?全機重装備だと汎用性と即応性が落ちるんだもん。

 ナハトの兵装も使ったのがあの41管理世界の害基地の巣にカチコミかました時だけだから、あんまり表に出すのも忍ばれたんだよねぇ。いやーあの時は若かったね!

 とりま、直ぐに換装できる様にアースラに持っていくとしよう。

 本局への情報流出?少なくとも犯罪者に流出しない程度はあの三脳も頑張ってくれるっしょ(楽観)

 

 追記(最近多いな) なの覇さんがうちらのデバイスをうっとりとした顔で見ておられた…(戦慄) 献上用にレイジングハート組み込んだ追加兵装でもプランニングしとこう。

 

 

 

 

 新暦65年 12月17日

 

 未来の痴女死神の感知能力が凄まじいレベルで上昇しているナウ。

 や、魔力の流れの把握は教えたけどさ、ここまで化けるとか思わんわ普通。

 訓練中のシューターの十字処か6方向砲火すら掠りもしないってどういう事?

 …そう言えば原作ブーストがかかってるよね君達そうだったねうん。

 取り敢えず、この子敵にしたくない。敵に回すと最も厄介なタイプだわな。

 

 だがまぁ、幸いと言うべきか、実働戦力は実質ネームドとうちの部隊のみ。

 んで、うちの部隊は高ランクは一人だけで旨味は少ないのにピリリと辛いし、度重なる襲撃で大体居場所は特定済みときている。

 人海戦術こそ取れないが、賭け時は近いと経験的に解った。

 

 

 

 

 

 




闇の書もとい夜天の書は何でもかんでもMOD突っ込むんじゃなく、いっそ機能ごとに別デバイス化すれば暴走なんてしなかったのにねぇ…。

取り敢えず、明日は総力戦執筆するためにAS見直すか。

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