般若と龍と女神のドタバタ騒動記   作:アリアンキング

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サブストーリー013 仲良き事は素晴らしい 開始

桐生「穂むらを探して住宅街に来たが、迷ってしまった。誰かいれば道を聞けるんだがな」

今回は桐生さんのドタバタ劇です。


サブストーリー013 仲良き事は素晴らしい

その日 桐生は秋葉原の住宅街を歩いていた。目的の場所である穂むらを目指しているが、変わらぬ風景と道で自分がいる場所が解らず迷っていた。

 

(何処を見ても似たような家しかないな。本当にこんな場所に和菓子屋なんてあるのか?この前に会った穂乃果という子から地図を書いてもらったが、ちっとも役に立たないしなぁ。それに自分が何処にいるのかすら解らないからな。誰か人がいれば、道を聞けるんだがな)

 

そんな愚痴を内心でぼやいていると目の前から一人の少女が歩いて来るのが目に映った。渡りに船だと桐生はその少女に声をかけた。

 

 

「すまない。少しいいだろうか?ちょっとばかり、迷ってしまってな。道を教えて欲しいんだ」

「え?道ですか?それは構いませんが、何処へ行くんですか?」

「ああ 和菓子屋の穂むらという所に向かっているんだが、一向に辿り着けなくてな。この辺にあるのは確かなんだ。あんたは知ってるか?」

「ええ 知ってますよ。だったら、私が案内しましょうか?丁度、私も穂むらに行く予定でしたから」

「そうだったのか。此処で会ったのも何かの縁だ。それじゃあ、道案内をお願いするぜ」

「いえ、お気になさらず。それでは行きましょう」

 

 

桐生から穂むらの名前を聞くと少女は自ら道案内を買って出た。どうやら少女も同じ場所に行く予定だったらしい。目的が同じ場所ならと桐生は少女と一緒に穂むらへ向かう事にした。

 

 

「あ、私は園田海未と言います。貴方のお名前は何て言うんですか?」

「そういえば、まだ名前を名乗っていなかったな。俺は桐生一馬という。よろしく頼む」

「桐生さんですね。はい よろしくお願いします」

「ああ。所で園田は穂むらという店にはよく行くのか?」

 

お互いの自己紹介を済ませると桐生は海未に尋ねた。その質問に答えるべく、海未は微笑んで口を開く。

 

「ええ よく足を運んでますよ。私とことりは穂乃果と友達であり幼馴染ですからね。そういう縁もありまして」

「成程。小さい頃からの付き合いなのか。それと園田が言っていたことりという子はどういう子なんだ?」

「ことりですか?一言で言うならほんわかとした雰囲気の子でしょうか。だけど、芯の強くて皆から便りにされています。そうそう 私の事は海未でいいですよ。周りからも名前で呼ばれているので苗字に慣れてないですから」

「解った。それじゃあ、海未と名前で呼ばせてもらうぜ」

 

 

桐生の言葉に海未は優しく笑って首を縦に振る。そして海未はある事が気になり、その事を桐生に尋ねる。

 

「気になったのですが、桐生さんは穂むらの事を何処で聞いたんです?」

「ああ 実は先日、神室町で高坂姉妹と絢瀬姉妹に会ってな。その4人と別れる時に穂乃果から是非来てくれと穂むらの地図を渡されたんだ」

「そんな事があったんですか。さり気なく、自分の店を宣伝するのも穂乃果らしいですね。でも、地図を貰ったのなら迷う事は無いと思うのですが・・・」

「それが普通の地図ならな」

 

そう言って、桐生は海未に地図を手渡した。怪訝な表情で渡された地図を海未が見ると、一転して呆れた表情へと変わった。

 

その地図には家と思しき四角の図形が上下に10個並んでおり、その中の一つに矢印と一緒に”穂むらは此処”と書かれていた。最早、それは地図ではなく子供の落書きと呼ぶべきだろう。確かにこれでは目的地に辿り着くのは不可能だと思って海未は溜息を吐く。

 

 

「成程。これでは道に迷うのは仕方ないですね。穂乃果は肝心な所でいい加減なんですから。穂乃果には私から後で言っておきます」

「いや、別にいいさ。こうして道を知ってる人と会えたわけだしな。それにあの子の事だ 店に来て和菓子を食べて欲しいという気持ちに嘘は無いだろうからな」

「…そうですね。確かに穂乃果は嘘が吐ける様な人じゃないですから」

「そうだな。素直という言葉があれ程、似合う子もいないからな」

「ええ 穂乃果とことりは私の自慢の友達です。勿論、μ’sの皆もそうです」

 

桐生の言葉に海未はそう返した。とても優しいその表情を見る限り彼女達の絆は相当強いのだろう。そんな事を思いながら、桐生はある事をぽつりと呟く。

 

「μ’sか。そういや、以前にもμ’sのメンバーに会った事があるな」

「え?桐生さんは他の子と会った事があるんですね。一体、誰と会ったんです?」

「確か、会った事があるのは花陽と真姫と凛と希と絵里とにこの6人だな」

「殆どのメンバーと会っていたとは驚きです。それじゃあ、私とことりを入れたら全員と会った事になりますね。それと桐生さんはμ’sの事を誰から聞いたんですか?こう言っては失礼ですが、桐生さんはアイドルとかに興味を抱くような感じではないですからね」

「μ’sの事を初めて知ったのは花陽と会った時だ。それとは別にμ’sの事を教えてくれたのは・・・そう、南という女性からだ。聞いた話では音ノ木坂とかいう学校の理事長をしてると言ってたな」

「ええ!? 桐生さんは理事長ともお会いした事もあるんですか。それが一番の驚きですよ。世間って、狭いものなんですね」

 

さり気なく言った桐生の言葉に海未は驚きを隠せずにいた。μ’sのメンバーと会っていただけでなく、自分が通う学校の理事長とも会っていたとは予想もしていなかったからだ。

 

「そうだな。だが、人の縁ってのそんなものなんだろう。人と人の巡り合わせというのはな」

「意外とそうなのかもしれませんね。私も真島さんに会って、特訓を付けてもらったりとかしましたから」

「そういや、以前に真島の兄さんは会った事があると言っていたな。しかし、真島の兄さんと特訓とはな・・・ 一体、どんな特訓をしたんだ?」

 

海未の口から特訓という言葉を聞いた桐生は見た目とは裏腹に武闘派なのか?と思い、海未にそう尋ねた。

 

「真島さんとやったのはババ抜きの特訓です。まあ、特訓の内容はババ抜きと関係ないものでしたけどね」

「そうか。まあ、何にしても真島の兄さんは慕われているようだな」

「ええ。見た目は怖いですけど、人の事を考えてくれる人ですからね。そういう意味では桐生さんも何処となく、真島さんと雰囲気がそっくりです」

「フッ そうか。真島の兄さんはああ見えて、面倒見がいいからなぁ。厳しくとも組や周りの連中からも好かれてるのはそれも理由なのかもな」

「そうですね。私もそう思います。あっ、穂むらが見えましたよ」

 

海未が声を出して正面の方を指差した。桐生が指差した方を見ると、そこに穂むらの暖簾を掲げている一軒家が目に映る。

 

「あれが穂むらか。見た目は普通の家なんだなぁ」

「はい それ故、初めて来る人は暖簾に気付かずに通り過ぎてしまう事が多いそうですよ。それに似たような家がありますからね」

「成程な。所謂、隠れ店って奴か。此処まで案内してくれてありがとうな」

「いいえ、お気になさらず。困った人を放っておけませんからね」

「そうか。それじゃあ、中に入るとするか」

 

そう言って、桐生は穂むらの戸を開けると店の中へ入っていく。海未も桐生に続いて中へ入ると店番をしていた穂乃果の母親が笑顔で声をかけてきた。

 

「あら、海未ちゃんじゃない。穂乃果なら上にいるわよ」

「こんにちは おば様。ええ それでは上に上がらせてもらいますね。それと今日は初めてのお客さんも来てますよ」

 

海未はそう言って、奥の階段を登っていった。そして海未の言葉で桐生の存在に気付き、穂乃果の母は慌てた様子で頭を下げて謝罪する。

 

「ああ ごめんなさい。お客様の事に気付かずに失礼しました」

「いや、別にいいんだ。俺は気にしてないから頭を上げてくれ」

「ありがとうございます。それとお客様はどの和菓子をお求めでしょうか?」

「うーん この店に来るのは初めてだからな。何を選ぶか迷うな」

「お母さーん 三人で何か撮みたいから、和菓子を持っていっていいかな?」

 

桐生が陳列してる和菓子を見て悩んでいると、そう叫びながら穂乃果が2階から降りてくる。そして桐生の姿に気付くと満面の笑顔を浮かべて話しかけてきた。

 

「あっ、桐生さん。うちの店に来てくれたんだね」

「ああ。以前、会った時に来てくれと地図まで貰ったからな。だが、あの地図で此処まで来るのは大変だったぞ。幸い、海未という子に会って道案内してもらったから何とかなったが・・」

「あははは その事でさっき、海未ちゃんに叱られたよ。ごめんね 桐生さん」

「会話に水差すようで悪いけど、二人は顔見知りなの?いまいち話が見えないのだけれど」

 

穂乃果と桐生の話を聞いていた穂乃果の母は不思議そうに尋ねてきた。確かに事情を知らない穂乃果の母からしたら、気になる所である。前回の様に勘違いから変な行動を起こす訳にいかない。その様な考えもあり、穂乃果の母は思い切って聞いたのだった。

 

「ああ 実は以前に神室町で会ってな。その時、逸れた連れを探す事に協力したんだ。まあ逸れた連れは何とか見つかってな。その後、別れる時に穂むらの地図を貰ったんだ」

「そんな事があったのね。どうやら、娘が面倒をかけたようですね」

「いいや どっちかといえば、俺が勝手に首を突っ込んだだけだ。気にしないでくれ」

「あの時は本当に助かったよ。初めて行く街であんな事が起きるんだもん。それに桐生さんが真島さんと知り合いだったのも驚いたよ」

「それは俺も同じだ。所でおすすめの和菓子があったら、教えてくれないか。どれにしようか迷っていてな、決められそうにないんだ」

「それでしたら、穂むら饅頭なんていかがでしょう?うちの名物ですし、それ目当てに来る客も多いんですよ」

「ほう それじゃあ、穗むら饅頭を10個もらおう」

「穂むら饅頭10個ですね。お買い上げありがとうございます。10個で1000円です」

「ああ じゃあ、丁度で頼む」

 

桐生の言葉に穂乃果の母は自信満々に名物の穂むら饅頭を薦めた。その様子を見て、桐生は迷わずに穗むら饅頭を注文するとホクホク顔で穂乃果の母は饅頭を袋に詰めていく。和気藹々とした空気が漂う中、穂乃果は桐生をじっと見つめていた。

 

そして桐生が会計を済ませるのを見計らって、穂乃果はある誘いを持ちかける。

 

「そうだ。真島さんで思い出したけど、今はことりちゃんと海未ちゃんと私の三人で真島さんが持って来たゲームで遊んでるんだ。良かったら、桐生さんも一緒にやらない?」

「真島の兄さんが持って来たゲームか。それは一体、どんなものなんだ?」

「それなら私の部屋に来てよ。説明するより早いから」

「確かに興味はあるが、男の俺が女の子の部屋に入る訳にいかないだろ」

 

部屋に誘う穂乃果に桐生はやんわりと断る。いくら顔見知りでも少女の部屋へ入る事に抵抗を感じていた。無論、傍で話を聞いている穂乃果の母親も自分が穂乃果の部屋に入る事をよしとしないだろう。桐生自身はそう思っていた。

 

しかし、穂乃果の母から返ってきた言葉は意外なものであった。

 

「あら 別に構わないわよ。真島さんは何回も穂乃果の部屋に行ってるもの」

「うん。この前もゲームを持って来た時も部屋に来たもん」

「…そうなのか。なら、お邪魔させてもらうよ」

「じゃあ、部屋に案内するね。こっちだよ」

 

本人だけでなく、母親まで立ち入る事を許してるなら問題ないのだろう。桐生は首を縦に振ると穂乃果の部屋へ向かう事にした。何だかんだ言って、桐生も真島が持って来たゲームに興味がある事も事実である。

 

 

そして穂乃果の後を付いて階段を上り、廊下を少しばかり歩くと穂乃果が足を止めて桐生に振り返る。

 

「此処が私の部屋だよ。中に私の友達が来てるけど、遠慮しないでね」

「ああ。来てる友達は一人か?」

「ううん。二人だよ。海未ちゃんとことりちゃんと言ってね。小さい頃からの友達なんだ」

 

そう言って穂乃果は部屋へ入って行く。続いて入ってきた桐生を見て、中にいたことりが穂乃果に話しかける。

 

「ねえ 穂乃果ちゃん。その人は誰なの?初めて見る人だけど…」

「この人は真島さんの知り合いの桐生さんと言ってね。今日、家に和菓子を買いに来てくれたんだ」

「あ、私は南ことりと言います。よろしくお願いします」

「ああ よろしくな。俺は桐生一馬と言うものだ。まあ穂乃果と海未は知ってるだろうがな」

「えっ 穂乃果ちゃんと海未ちゃんは桐生さんと会った事があるの?」

 

桐生の言葉にことりは驚きの表情を見せ、二人に事情を聞く。穂乃果と海未の二人は訳も解らずに困惑してることりに事情を説明する為に口を開いた。

 

「そっか。二人には言ってなかったけど、桐生さんとはこの前に行った神室町で会ったんだ」

「そうでしたか。私は穂乃果の家に行く途中で会ったんです。それが穂乃果の知り合いと知りませんでしたが」

「へ~ そういう事があったんだね。でも、それはそうとどうして穂乃果ちゃんの部屋に来たの?」

 

二人から話を聞いて事情を理解したことりだったが、ふと浮かんだもう一つの疑問を口にする。和菓子を買いに来た人が穂乃果の部屋にどうして来たのか。それはことりでなくとも気になるのは無理もない。

 

 

「ああ 実はね。桐生さんは真島さんの知り合いなんだ。それで真島さんがこの前に置いて行ったゲームを一緒にやろうと誘ったの」

「ええっ!? 桐生さんって、真島さんと知り合いだったの?今日は驚きの連続だよ~」

「うん。私も知った時は驚いたよ。でも、海未ちゃんは驚いてないね。もしかして知っていたの?」

 

桐生と真島の関係を知って驚くことりを楽しげに穂乃果は見ていたが、一人だけ反応の薄い海未を不思議に思ったのだろう。穂乃果は海未に尋ねた。

 

「ええ 実は桐生さんを穂むらへ案内する途中で知りました。確か、その時に理事長とも会った事があると言っていましたね」

「え、それは本当なの?海未ちゃん」

「はわ~ 真島さんと知り合いだった事も驚いたけど、お母さんと会った事もあるんだね」

「ああ 俺の方も正直驚いてるよ。まさか、こんな形で会うと思っていなかったからな。所で真島の兄さんが持って来たゲームとは何なんだ?俺を部屋に呼んだのはそれが理由だろう」

「あ、そうだった。今、用意するね」

 

若干、話がずれていると感じた桐生が穂乃果に本題を切り出す。どうやら、ことりと海未の話でその事を忘れていたのだろう。穂乃果は机から取り出したゲームをテーブルに置く。

 

「これはね。昔、流行ったゲームを捩って真島さんが考えた物なんだって。その名は極道伝説 ヤクザエンペラーっていうカードゲームだよ」

「極道伝説 ヤクザエンペラー・・・ ん?これは、ブフッ」

 

穂乃果の説明を聞き、桐生がテーブルに散らばるカードには覚えのある人物のイラストが描かれていた。その内の数枚を手に取って名前を見た途端、桐生は思わず吹き出してしまう。

 

『剛腕猿王 シーマノ・コング』 

桐生が見たカードの名前欄にはこう記されていた。知る人が見れば、カードのキャラは真島の親分である嶋野組長である事は一目瞭然である。

 

「あっ、このカードを選ぶとは桐生さんの目は高いね。このキャラは面白い名前の割に強いんだよ」

「キャラカードには組長クラス、若衆クラス、堅気クラスの三種類あってね。桐生さんが持ってるのは組長クラスのカードだよ。他には技カードというのもあるんだ」

「このゲームはキャラカードと技カードの二つを使って遊ぶんです。技カードにはグー、チョキ、パーで別れていて要するにルールはじゃんけんと同じです」

 

隣から覗いた穂乃果が桐生に教えた。それに続くようにことりと海未も桐生にゲームの説明をする。三人の説明を聞いていた桐生は過去に遊んだあるゲームを思い出した。10年前の話だが、穂乃果達も知ってるかもしれないと桐生は穂乃果達に尋ねてみた。

 

「成程 じゃんけんと同じルールか・・・ それと昔に流行ったゲームだが、もしかしてメスキングという名前じゃないのか?」

「メスキングですか。私は聞いた事がありませんね。穂乃果とことりは知っていますか?」

「私も知らないかな。昔も今もゲームとかやらない方だから」

「う~ん 何処かで聞いた覚えはあるんだよね。ああ 思い出した。メスキングって、虫のお姉ちゃんが戦うゲームだったよね。小学生の頃にゲームセンターで遊んだ事があったよ」

 

海未とことりは知らないと答えるが、穂乃果は覚えがあるのか思い出そうと必死になっていた。暫くの間、考えているとハッとした表情を穂乃果が浮かべた。当時の事を思い出しながら、穂乃果は懐かしそうにメスキングの事を話す。

 

穂乃果と桐生の話を聞いていた海未は何か引っかかるものを感じて、ある質問を海未は桐生にぶつける事にした。

 

 

「ちょっと待ってください。そのメスキングというゲームは大人が遊ぶ奴じゃないんですか?」

「いや、そんな事はないぜ。最初は俺も大人向けのゲームだと思っていた。だが、意外な事にそのゲームで遊ぶのは子供が多かったぞ」

「悪いですが、信じられませんね。だって、水着の女性が出るゲームなんてどう見ても成人向けじゃないですか。どう考えても、桐生さんがその子達を悪い道へ誘っていたとしか思えません」

 

海未の言葉に桐生は思わず黙ってしまう。確かに水着の女性が出るゲームを子供が遊んでいたといわれても信じる人間なんて普通はいない。話を聞けば、桐生が子供を悪い方へ誘っていると捉えるのも無理はないだろう。

 

その何とも言えない雰囲気が漂う中、ことりは困った顔でおろおろとしていた。しかし、穂乃果が発した一言がそんな雰囲気を跡形なく吹き飛ばしてしまう。

 

 

「桐生さんが言ってるのは本当だよ。私がそうだったし、ゲームセンターではメスキング博士と呼ばれる子もいたからね」

「そうだったんですか。それにしても、メスキング博士とは嫌な名前ですね」

「まあ、名前だけを聞くとな。だが、本人はそのゲームを純粋に楽しんでいた。それ故、周りの子も博士を慕う子も沢山いたぞ。穂乃果もその一人だと思うぜ」

「そうだね。メスキングを始めた頃、私にルールや強いカードを貰ったもん」

「ああ あいつは皆と仲良く、そして楽しくメスキングを遊ぶ事に力を入れていたからな」

「その博士という人は名前とは関係なく、優しい人だったんですね。それと桐生さん 先程は失礼な事を言ってごめんなさい」

 

二人の話から海未は自分がメスキングというゲームを誤解していた事を知った。どんな物であれ、当時の子供達は純粋に遊んでいたのだろう。そう考えると偏見の目で見ていた自分が恥ずかしいと海未は感じていた。

 

「いや、謝る必要はないぜ。大人である俺も遊んでいたと聞けばそう思うのは仕方ない。それじゃあ、気を取り直して真島の兄さんが持って来たゲームで遊ぶとするか。勿論 皆仲良くな」

「そうですね。私もこのゲームを楽しみにしていたんですよ」

「私もだよ。ルールも簡単だし、ゲームが苦手な私でも楽しめそう」

「よーし 今日は思う存分、ヤクザエンペラーを楽しもう。ゲームスタートォォォ」

「「「おおー」」」

 

穂乃果の号令に三人もノリノリでガッツポーズをしながら大声を上げる。

 

そして4人は日が暮れるまでゲームに興じていた。

結果、桐生は連敗した。だが、勝ち負け等は関係なく皆と一緒に遊ぶ事は桐生には何よりも楽しい時間であったのは確かである。

 

「それじゃあ、今日はお暇するぜ。三人と一緒にやったゲームはとても楽しかったよ」

「ううん。私も楽しかったよ。また家に来ることがあったら、ヤクザエンペラーを一緒にやろうね」

「ああ そうだな。今度は負けないぜ」

「望む所です。また返り討ちにしてあげますよ」

「あはは~ 海未ちゃんが一番張り切っていたもんね」

「こ、ことり からかうのはやめてください」

「フッ 三人は相当仲がいいんだな。その友情を大事にしろよ。じゃあな」

 

そう呟くと桐生は背を向けて去って行く。

 

「桐生さーん また遊ぼうね~ 約束だよぉぉぉぉ」

 

遠ざかる桐生の背中に叫ぶように穂乃果は声をかけた。その声が聞こえた桐生は振り向き、手を振ると穂乃果達も手を振り返す。そうして三人は桐生が見えなくなるまで手を振っていた。

 

何気ない一日はこうして終わりを迎えたのである。

 

 




サブストーリー013 仲良き事は素晴らしい 完

桐生「穂乃果からゲームのお誘いを受けて遊ぶ事になった。懐かしい名前も聞けて楽しかったぜ。フッ 偶にはこういうのも悪くねえな」

今回の話では龍が如く 極のネタを出してみました。
あのミニゲームに嵌まって5時間くらいやってました(笑)

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