真島「穂乃果ちゃんからいきなり電話が来た。聞く話では問題が発生した様やな… 一体、何やろか?」
今回は希に起きたドタバタ劇です。
ある日の夕方 希は一人、境内の掃き掃除をしていた。烏の鳴き声以外の音はせず、夕日に照らされて延びる自分の影が何とも不気味だと希は思う。このバイト自体、大好きで長くやっているのに未だに夕方の掃除だけが希は苦手だった。
「ふぅ~ この時間にやる掃除は未だに慣れへんなぁ。早い所、終わらせて帰ろう。ん?」
一言呟いた後、希は掃除に集中した時だった。何処からともなく、何かの音が境内の方に聞こえてきた。その音は一定のリズムで鳴っており、まるで何かを叩いているかの様だと希は感じた。
どうやら、音は社の後ろにある森からしているようだ。希は不思議そうに森を見つめていた。
「一体、何やろう?最近、物騒やしなぁ。もしかしたら不審者かもしれんな。よし、確かめに行こう」
音の正体を確かめるべく、希は恐る恐る森の方へ近づいていく。もし、音を出している者の正体が不審者だったら警察へ連絡をすればいい。その考えが希の中にある恐怖心を薄れさせていた。
希が音の鳴る方へ近づくと、その音が明確に聞こえてくる。その音はコーン、コーンと何かを叩く音である事が解ると希は瞬間的に顔を青くして震え出す。
そう、神社で叩く音。それが意味するのは有名な呪いの儀式 丑の刻参りしかない。
この儀式は希も話で聞いた事があるので知っていた。だが、自分がその現場に居合わせる事になるとは思ってもいなかった。
「嘘やろ… まさか、丑の刻参りを本当にやってる人がおったなんて。確か、やってる所を見た人も呪われると聞いたな。よし、一旦離れよう。まだ、バレとらへんしな」
触らぬ神に祟り無し。そう結論を出した希はこの場から立ち去る事にする。極力、足音を立てない様。ゆっくりと境内へ向かって行く。しかし、離れる事に集中していた希は気付いていない。去りゆく彼女を森から見つめる者がいた事に…
その翌日
昨日、神社で起きた事を穂乃果達に相談する為、希は一人で穗むらへ訪れていた。希が中に入ると店番をしている穂乃果が元気な声で挨拶をしてきた。
「いらっしゃいませ! あれ?希ちゃん。今日はどうしたの?」
「久しぶりやね。実はちょっと、相談したい事があるんだけど…ええかな?」
「相談?うん、分かった。それじゃあ、先に私の部屋へ行っててよ。私もすぐに行くから」
最初、穂乃果は和菓子を買いに来たと思っていた。しかし、希の要件を聞いた穂乃果は真剣な表情を浮かべると先に部屋へ行くよう伝える。
「ありがとう。それじゃあ、お邪魔するね」
「あっ、私の部屋の場所は分かる?」
「うん 知っとるよ。階段を登って一番奥の部屋でしょ?」
「そうそう。それじゃあ、部屋で待っててね」
「ほな、先に行っとるよ」
穂乃果にそう返して、希は階段を登って行く。
そして廊下を進み、奥にある部屋の戸を開けて中に入った。穂乃果の部屋にはピンクのクッションやほの字がプリントされたTシャツがあった。部屋の中を見渡しながら、希は懐かしい日々を振り返る。その為か、希は自分の気持ちを吐露していた。
「この部屋…前に来た時と変わってへんなぁ。以前、来た時と全く同じや」
「そうかなぁ。時々、模様替えとかをしてるんだけどね。」
その呟きを聞いていた穂乃果が後ろから声をかけてきた。いきなり声をかけられて驚いたが、希はその事を隠して穂乃果に返事を返す。
「あ、穂乃果ちゃん。もう来たんやね。店番は終わったん?」
「ああ それなら雪穂に変わって貰ったんだ。最初は嫌な顔してたけど、事情を話したら快く引き受けてくれたよ」
「そうなんや。どうやら、雪穂ちゃんにも迷惑を掛けたみたいやね。あとでうちもお礼を言っとかんとあかんね」
「ううん 雪穂も事情は知ってるから気にしないでよ。それと立ち話も何だから座ろう。希ちゃんも遠慮なく寛いでよ」
穂乃果は部屋にあるクッションに腰を下ろすと希に座る様に促す。その言葉を聞き、希も適当な場所に腰を下ろすと穂乃果は本題を切り出した。
「それで希ちゃんの相談って、何かな?」
「実はね。昨日、神社付近の森で不審な物音を聞いたんだ」
「不審な物音?もしかして、希ちゃんが相談したい事って…」
「うん その事なんだ。普通なら警察とかに言うべきなんやろうけど、うちが聞いた音の事を言っても信じてくれないと思ったんや」
自分が支離滅裂な事を言っているのは解っている。その為、話の途中で希は俯いてしまった。
やっぱり、こんな相談をするべきでは無かった。今更ながら希はくだらない事で穂乃果達に迷惑を掛けてしまったと後悔していた。
もう帰ろう。希がそう思って立ち上がろうとした時、穂乃果は静かに言葉を発した。
「信じるよ。希ちゃんが嘘を吐いた事は一度も無いもん。それでさ、希ちゃんが聞いた音って、どんな感じだったの?」
「え?あ、ああ うちが聞いた音は…コーンコーンと物を叩く音やったよ。多分、あれは丑の刻参りを誰かがやっていたんだと思うんや」
「そ、それは怖いね。確かにその事を警察に言っても相手にしてもらえないだろうなぁ。だけど、安心してよ。私達には頼りになる人がいるから」
「穂乃果ちゃん… うん ありがとう。それと穂乃果ちゃんが言う頼りになる人は誰なん?」
穂乃果の言葉で希は心が軽くなっていくのを感じていた。この少女は人が欲しいと思う言葉をくれる。だからこそ、皆も彼女に惹かれて集まったのだと希は改めて思った。
そして穂乃果の話に出てきた頼りになる人。それが気になった希は穂乃果に尋ねた。
「え?その人なら希ちゃんも会った事があるよ。ほら、前に海未ちゃんに特訓を付けた真島さんという人」
「ああ あの面白い人やね。せやけど、穂乃果ちゃんは真島さんの連絡先を知っとるん?」
「うん 時々、メールや電話をしてるんだ。早速、連絡してみるよ」
そう言うや否や、穂乃果は携帯を取り出して電話を掛け始める。希はその様子を静かに見つめていた。
その頃、真島は組の事務所でぐったりとしていた。先程、溜まっていた書類仕事から解放された所である。昨日の夜から一睡もせず、書類と格闘していた真島は精も根も尽きていた。
「あ~ 漸く、終わったわぁ。全く、ずーっと座りぱなっしだから疲れたわ」
ソファーに凭れかかり真島は誰もいない部屋で一人呟やいていると、真島の携帯が音を立てて震え出す。空気を読まず、電話をしてくる相手に苛立ちを覚えながら携帯を取り出した。
「あ~? こないな時に電話を掛けてくるのは何処のアホや」
だが、液晶に表示された名前は知り合いである高坂穂乃果であった。その事に真島は目を丸くする。普段、メールを送って来る事はあるが、電話をしてくる事が無いからである。
「ん?何や、相手は穂乃果ちゃんか。一体、何の用やろ?」
先程の苛立ちを忘れて真島は通話ボタンを押した。電話が繋がると同時に穂乃果が話しかけて来た。
『あっ 真島さん。少し相談したい事があるんですけど、今、大丈夫ですか?』
「おう 大丈夫やで。それで相談事とは何や?遠慮せんと言うてみい」
『ありがとう。それで相談というのはね。私の友達が働いてる神社で不審な音を聞いたみたいなの。それで真島さんに音を出す人の正体を暴いて欲しいんだ』
「ほう。せやけど、それならワシ何かよりも警察に行った方がええんとちゃうか?」
穂乃果の相談内容を聞いた真島はそう言い返した。頼りにするのはいいが、自分にも出来る事は限られている。突き放すような言い方をしたのは、そう思っての事からだった。
『うん それは解ってる。私も最初はそう言ったんだ。だけど、友達が聞いた音は警察に言っても信じてもらえるとは思えない。だって、その音は物を叩く音でね。友達は丑の刻参りじゃないかって‥‥』
「…何やと?そうか。そら、警察に言っても無駄やろうな。よし、分かった。ワシが力になったる。明日、穂乃果ちゃんの家に行くわ」
「本当?ありがとう。真島さん」
「ふっ 別に礼はいらへん。その友達に伝えておきや。ワシが何とかしたる。だから、安心せいとな」
「うん しっかりと伝えておくよ。それじゃあ、明日待ってるね」
「ああ ほな、明日な」
そう言って、真島は電話を切った。そして再び、ソファーに凭れかかるとニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「何や、面白い事になって来たのう。この現代に丑の刻参りか… 一体、どんな奴やろうか?ま、人気の無い所で呪いをかけようとする奴やし、陰気な奴に決まっとるな」
一言呟いた後、真島は立ち上がって部屋を出ていった。
数分後、ビルの隅っこで西田が一人泣いていた。そんな西田を大勢の組員が見て同情するのはまた別の話である。
次の日
真島は穂乃果から相談された厄介事を解決する為、穂むらへ向かっていた。
昨夜、穂乃果との会話の中に出てきた”丑の刻参り”
この言葉に興味を抱き、真島は二つ返事で協力を買って出たのだ。
(丑の刻参りか。昨日、電話で引き受けたけど… 一体、どうしたらええんやろう?流石のわしも呪いをかける奴の相手するのは初めてやし、さっぱり解らへん。確か、この儀式をするのは大概が女性の筈やったなぁ。うーん 不審者が女やったら、殴る訳にいかへん。ま、それは後で考えればええか)
そんな事を考えながら、道を歩いていると角から髪を二本に結んだ少女が姿を見せる。その少女は真島に気付くとニコリと微笑み会釈をした後、おっとりとした声で話しかけてきた。
「こんにちは。確か、真島さんでしたよね。今日は穂むらへ行く途中ですか?」
「ん?ああ そうやけど… 自分、ワシの事を知っとるんか?」
「ええ 知ってますよ。以前、神社で海未ちゃんに特訓を付けていたじゃないですか。あの時、会った巫女がウチや」
「おお そうやったんか。確か、希ちゃんと言うてたな。あの時と髪型が違うから気付かへんかったわ。うん?ちょい待ちや、ほんなら丑の刻参りらしき音を聞いたっちゅんは…」
「うん ウチや。そっか 穂乃果ちゃんが言ってた頼りになる人は真島さんだったんだね。幸いな事に昨日は聞こえへんかったけど、また聞こえるかもしれない。そう思うと怖くて堪らないんよ」
希の話から相談事に出てきた友達が希である事を真島は知る。そして希も真島が穂乃果の言う頼りになる人だと気付いた。
真島と会った事で緊張が解れたのか、希は不安気な表情で自分の気持ちを吐き出した。自分の身近で呪いの儀式が行われている。この事実が希の心に影を差し、もしかしたら自分も呪われるかもしれないと希はそう感じていたからだ。
そんな話をしていると二人の間には暗い雰囲気が漂い、この空気を変えようと真島は明るい様子で希に優しく言葉をかける。
「…そら、怖かったのう。せやけど、ワシが何とかしたる。だから、そないな顔をするのはやめや」
「はい 解りました」
「そや、希ちゃんは笑ってる方がええ。ほな、穂むらまで一緒に行くとするか」
「はい」
話が纏った所で真島は希にそう言った。また希自身も断る理由は無く、真島と穂むらへ行く事にした。
歩いて数分経った頃、二人は穂むらに到着すると店の前で待っていた穂乃果の姿が目に映る。
そして穂乃果も二人に気付いたのか、いつもの様に満面の笑顔でこちらへ駆け寄って来た。
「いらっしゃい 二人共。別々に来ると思ってたけど、一緒に来るとは思って無かったよ。それに仲も良さそうだし、何かあったの?」
真島と希が以前に会った事があるのは知っていたが、いつの間にか仲良くなっている二人が気になったのか、穂乃果はそう尋ねた。
「ああ さっき、そこでばったりと会うての。話をしていただけやで」
「うん それで穂乃果ちゃんが言ってた人が真島さんと分かったんよ」
「あ、そうだったんね。二人に事情を話そうと待ってたけど、手間が省けて良かったよ」
「何や、それで待っとったんか。ご苦労な事やの」
「あはは…実は二人に会うのもそうだけど、丑の刻参りを見るのも楽しみだったからね」
「もう~ 穂乃果ちゃんってば、ウチは本当に怖い思いをしたんよ。酷いやん」
「ご、ごめんね。希ちゃん 謝るから許して~」
「ふふ ええよ。その代わり、あとでほむまんを奢ってね」
穂乃果の言葉に頬を膨らませる希に両手を合わせて、穂乃果は必死に謝っていた。希は猫の様な笑みを浮かべ、ちゃっかりとほむまんを要求していたのは流石と言うべきだろう。
そんな二人のやり取りを傍観していた真島だったが、静かな口調で穂乃果と希に話しかける。
「ちょっと、ええか?二人に聞きたい事があるんや」
「え?聞きたい事?」
「一体、何だろう…」
二人も会話を止めて、真島に向き直った所で彼は本題を切り出した。
「聞きたいのは神社で希ちゃんが音を聞いたのは何時や?昨日の電話では聞いておらんかったしの」
「ウチが音を聞いた時間ですか?確か…夕方の16時半頃やったなぁ。境内の掃除をしていたら、その音が聞こえてきたんよ」
「そういえば、私も言い忘れてたね。でも、どうしてこんな事を聞くの?」
真島がした質問の意図が解らないのか、穂乃果は首を傾げて尋ねた。それは希も同じ様で静かに真島の返答を待っていた。
「そら、待ち伏せする為に決まっとるやろ。相手は誰にも見られてはいけない事をしとるんやし、いつ来るのか解らへんからなぁ。だから、音を聞いた時間になるまでその付近に隠れておくんや」
「成程。思えば、昨日は来なかったなぁ。それ以前にいつ来たのかも解らなかったし」
「おお~ 隠れて待つなんて、何だか刑事みたいだね。私も行ってもいいかな?」
「ちょっと穂乃果ちゃん。相手は人を呪うような危険人物なんだよ。止めておいた方が「構わへんで」え?」
穂乃果を止めようとする希を遮って、言葉を発した真島に希は目を丸くする。そんな希を見ながら真島は言葉を続けた。
「確かに希ちゃんが言う様に相手は人を呪おうとする奴や。せやけど、それをやるには呪う人間の名前と髪等が必要なんや。当然、相手はそれを持っとらん。だからこそ、付いて来る事を許したんや」
「あっ そういや、その二つが揃ってへんと出来へんね。すっかり忘れてた」
真島の説明を聞き、希はハッとして様子で呟いた。二人の話が終わった頃、穂乃果が口を開くと楽しげな様子で言葉を吐く。
「へー 丑の刻参りって、そんな決まりがあるんだね。ところでそろそろ神社に行こうよ。その人が来る前に隠れる場所を見つけないといけないし」
「そうやな。ほな、行くとするか」
「「はい」」
穂乃果の提案に真島も賛同して神社へ向かって歩き出すと、二人も返事をして真島の後を付いて行った。
10分後 三人は目的の神社へ続く階段の前にいた。最初こそ、楽しそうにしていた穂乃果も場の雰囲気に気圧されて表情を引き攣らせていた。それはこの場で恐怖の体験をした希も同じで表情を硬くしている。
「安心せい。ワシが必ず何とかしたる。ほら 行くで」
真島が二人にそう言葉をかける。その言葉で不安と恐怖が薄れたのだろう。若干、二人の表情を柔らかくして一息吐いた後、三人は階段を登り始めた。
長い階段を登り切り、三人が境内に足を踏み入れると神社には誰もいなかった。これは調べるには持ってこいの状況だと真島は思い、希にある事を聞く。
「希ちゃんが音を聞いたんは境内やったな。その音は何処から聞こえてきたんや?」
「音が聞こえてきた方向は後ろにある森からです。何の音か解った時、怖くなって引き返したから詳しい場所まで知らへんけど…」
「さよか。ワシはちょっくら、見てくるわ。何か、証拠になる物が見つかるかもしれんしの。二人は此処で待っとってや」
「えっ、一人で大丈夫なの?皆で行った方がいいんじゃない?」
一人で様子を見に行こうとする真島を穂乃果は心配そうに言葉を洩らす。こんな自分を心配する穂乃果に優しく微笑むと真島はこう言った。
「ありがとさん。せやけど、ここはワシ一人で平気や。それに怖い思いをした希ちゃんを連れてく訳にいかんやろ。だから、穂乃果ちゃんは希ちゃんの傍にいてやりや」
「そっか。解った。じゃあ、私と希ちゃんは此処で待ってるよ」
「ウチが変な事に巻き込んだから… ごめんなさい。わっ!?」
「そないな事を言わんでええ。それに巻き込まれたんじゃなく、ワシが首を突っ込んだだけや。気にする必要はあらへん」
「わ、分かりました。だから、頭を撫でるのは止めて。何か、恥ずかしいやん」
真島は希の頭をガシガシと撫でながら、言葉を紡ぐ。希も頭を撫でられる事に慣れていないのか、顔を赤くして真島に言葉を返す。
「フッ 人は素直な方がええ。ほな 行ってくるわ」
「いってらっしゃい」
「真島さん、どうか気を付けてな」
そして真島は真剣な表情で一言呟いた後、森の方へ歩いていった。二人は真島の後ろ姿に声を掛けると真島は後ろ手を上げて答えた。
真島が森の中へ姿を消した後、二人の後ろにある者が境内に姿を見せる。その者は二人に気付くと笑みを浮かべて二人へ歩み寄っていった。
一方、真島は音が聞こえたという森を調べていた。しかし、丑の刻参りをやっていた痕跡はいくら探しても見つからない。その事に若干、真島は苛立ちを覚え始めていた。
「何やねん。探しても一向に痕跡が見当たらへん。もしかしたら、見られた事を知って痕跡を消したんも知れへんな。ん?これは…」
諦めて穂乃果達の元へ戻ろうとした時、地面に残されている足跡に気付く。その足跡は小さく、明らかに女性の物である事が解った。そして…傍に何か落ちているのを見つける。それは定期入れの様で拾って中を確認した真島は驚愕した。
「こ、これは… そうか。今回の騒動はあの子の仕業やったんやな。ほな、穂乃果ちゃん達の元に戻るとするかの」
今回の丑の刻参り騒動を起こした犯人。それが解った真島は穂乃果達に説明する為、森を後にした。
真島が境内に戻ると、そこでは穂乃果と希がある少女と談笑していた。その少女は以前、神室町であった絢瀬亜里沙だった。すると真島に気付いた亜里沙が満面の笑顔を浮かべて、声をかけてきた。
「真島さん お久しぶりです。あの時はお世話になりました。でも、どうして此処に?」
「おう 久しぶりやな。まあ、今回はある騒動が起こっての。それで穂乃果ちゃん達に協力しとったんや」
「そうそう。それと何か解ったの?何処か自信ありそうだけど…」
「ああ そうやった。さっき、森でこれを拾ったんや。亜里沙ちゃんの学生証をな」
そう言うと真島はポケットから学生証を取り出した。真島のその発言に穂乃果と希は今日一番の衝撃を受けていた。それも無理もない まさか、件の犯人が身近にいる少女とは誰も予想などしていなかったからだ。
「さて、亜里沙ちゃん。今回、丑の刻参りをした訳を話してくれへんか?何か事情があるんやろうが、あないな事をしたらあかんで」
真島は諭すように亜里沙に言葉をかけるが、当の亜里沙は首を傾げて言葉を返す。
「丑の刻参り?それに騒動の犯人と言われても私も訳が解りませんよ」
「それなら、森に落ちてた亜里沙ちゃんの学生証はどういう事や?」
「森?あ、もしかして…」
真島の話で何かを思い出した亜里沙は、その事を皆に説明した。
「何や、亜里沙ちゃんがやっていたのは鳩の小屋作りやったんか」
「ウチが聞いたあの音は小屋を組み立てる音やったんやね」
「ご、ごめんなさい。まさか、知らない所でそんな騒動になってるなんて」
「ええんよ。元はと言えば、ウチが早とちりしたんが悪いんやからね」
平謝りをする亜里沙に希は優しく声をかける。今回の騒動が丑の刻参りでは無かった。その事に希はホッとしていたのだ。
「そうだ。皆で家に来ない?問題も解決した事だし、ほむまんをご馳走するよ」
「おっ ええな。ワシも腹減ったし、たらふく食わせてもらうでぇ~」
そうして4人は和気藹々と話しながら神社を後にする。だが、4人は気付いていない。森の中から頭に蝋燭を差し、白装束を着た女が険しい顔で見ていた事に…
世の中には呪いの儀式を行う者がいる。それは知らなくていい事なのかもしれない。
サブストーリー014 薄暗い森の中から 完
真島「今回の騒動は亜里沙ちゃんの仕業やったとはなぁ。ま、呪いの儀式じゃなくて良かったわ。希ちゃんも安心した様だし、一件落着やな」
今回の話はどうだったでしょうか?この話、ある番組を見ていた時に思い付きました。
宜しかったら、ご感想下さい。