桐生「今回はμ'sの皆と花見をする日だ。花見なんて久しぶりだから楽しみだな」
今回は若干、遅いですが花見の回となっております。
それではどうぞ!
肌寒い冬が過ぎて、暖かい春が訪れた頃。桐生は秋葉原の住宅街を歩いていた。普段と違うのは両手には酒瓶やビール、それにチーかまやスルメイカ等が入った袋を抱えていた。
何故、その様な物を持っているのか?その答えは単純明快である。そう、今日は神社で花見を穂乃果達と楽しむ為だ。
そして桐生が花見に参加する事になった経緯。それは一週間前まで遡る。
1週間前...
その日 久しぶりに穂むらの和菓子が食べたくなった桐生は穂むらを目指して住宅街を歩いていた。
幸い、天気も雲一つない快晴でそれ故か、道中で散歩する老人や遊びに行く子供達とすれ違う。そんな日常の中、暖かい陽射しを見上げる。この時、桐生は珍しく気分が高揚していくのを感じていた。
「いい天気だな。最近、暖かくなってきたし、こんな日にする花見は最高だろうな」
桐生は暖かい陽射しに包まれ、満開の桜を見て花見をする自分を想像して笑みを浮かべた。そういえば、沖縄や福岡にいた頃は仕事が忙しく心に余裕が無かった。それ故、桐生は花見に参加をしても心の底から楽しいと感じた事が無かった。その時、風に吹かれてバタバタと揺らめく神社の旗が目に入る。
(あの時と違って、心に余裕がある今なら花見を楽しいと思えるかもな。そういや、この神社には桜の木があったな。来週には桜の花が咲くとテレビでも言っていたし、のんびりと花見と洒落込むか)
桐生が密かに花見をする事を決めた時、後ろから声をかける者がいた。
「こんにちは 桐生さん」
「ん?ああ 穂乃果じゃないか。久しぶりだな」
桐生が声がした方を振り向くと、声をかけたのは穂乃果であった。
「此処で会うなんて奇遇だね。今日はお参りにでも来たの?」
そして穂乃果は桐生に駆け寄ると何をしてるのかと尋ねてくる。
「いや 今日は穂むらへ行こうと思っていたんだ。お前の方は何をしていたんだ?かなりの荷物を持ってる様だが...」
穂乃果に訳を説明した後、今度は桐生が穂乃果に尋ねる。すると穂乃果は神社に視線をやり、訳を話し始めた。
「うん 実は今度ね。μ'sの皆で花見をするんだ。それで皆と話し合って決めた結果、それぞれが弁当やお菓子等を各自用意する事になったの。今回はその買い出しの帰りだよ。そうだ 桐生さんは穂むらへ行くんでしょ?悪いとは思うけど、荷物を運ぶの手伝ってくれないかな~。少し買い過ぎちゃって...」
「ああ いいぜ。ほら、こっちに渡してくれ」
穂乃果はばつの悪そうな顔で手を合わせ、荷物運びをお願いをした。桐生自身も特に断る理由も無く、快く引き受けると穂乃果が持っている荷物を手に取った。
「わぁ あんな重い荷物を軽く持つなんて、凄いよ」
「おいおい これくらいで何を言ってるんだ。馬鹿な事を言ってないで早く行くぞ」
「あ~ もしかして…桐生さんってば、照れてるの?可愛いな~」
「からかうな。いいから行くぞ」
「はーい」
自分が苦労して運んでいた荷物を軽々と持ち上げる桐生を見て、穂乃果は手を叩いて無邪気に褒め称える。
そこまで褒められると思っておらず、些か照れた様子で誤魔化した桐生をからかう穂乃果だったが、桐生に諌められ素直に従う。
「それにしても...最近は高校生も花見をするんだな。あまり、そういう物に興味があると思っていなかったからな」
「そんな事ないよ。確かに花見と言うとおじさんやおばさん達が騒いでるイメージがあるけどさ。花見は皆の物だよ。それに綺麗な桜を見るのは楽しいもん。特に大切な友達と一緒ならね」
「...そうだな。確かに桜を見るのに若者や年寄りもねえな」
穂乃果の話を聞いて、自分の考えが狭かったと桐生は思い知る。花見といえば、大人が集まり桜を見て、酒を飲む。それ故、花見は大人がするものという勝手なイメージを抱いていた。
だけど、花見をするのに年齢は関係ない。そして桐生はある事が気になった。それは女子高生がやる花見についてだった。
(花見は皆の物か。そんな簡単な事に言われるまで気付かねえとは、俺もまだまだガキだな。そういや、女子高生がする花見というのはどういう物なんだろうな?大抵は酒を飲むのが主流だが、未成年が酒を飲む訳ねえし...ちょっと気になるな。かと言って、友達同士でやる花見に俺も参加させてくれとは言い辛い。うーむ どうしたものか)
「・・さん。桐生さん!!」
「ん?ああ どうした?」
「もう~ どうしたじゃないよ。さっきから話しかけていたのに聞いてなかったの?」
考えに夢中になっていた桐生は穂乃果の自分を呼ぶ声で我に返る。どうやら先程から話しかけていたが、反応が無い事に穂乃果は頬を膨らませていた。
「すまない。それで何の話をしていたんだ?」
話を聞いていなかった事を謝りながら、桐生は穂乃果に再度尋ねた。拗ねていた穂乃果も謝る桐生を見て、一つ溜息を吐くと改めて話を切り出した。
「うん 話というのはね。今度の花見に桐生さんも参加しようよ。人が多い程、花見は楽しいもん」
「誘ってくれるのは嬉しいが、俺が行ってもいいのか?女子だけの中に男の俺が混ざったら、他の皆も気を遣わせるだけじゃないのか?」
誘いの言葉をかける穂乃果に桐生はそう言葉を返す。確かに特定のグループに混ざる事は場合によって、楽しい空気を壊しかねない。桐生はそれを危惧していた。
「うーん 桐生さんの事は時折、グループチャットで話してるから別に問題は無いよ。だから遠慮しないで一緒に花見をしよう」
「フッ 分かった。それなら俺も参加させてもらうぜ」
「やったー あっ 一応、言っておくけど...飲み物と食べ物は各自持参だからね」
「ああ それはこちらで用意しておくぜ」
こうして桐生もμ's主催の花見に参加する事が決まった。
そして1週間後
桐生は約束の場所である神社の前にやってきた。だが、目の前に映る境内への階段を眺めて、思わず桐生は溜息を吐く。そう 久しぶりの花見という事もあり、桐生は持参した飲食物を少しばかり買い過ぎてしまった。
「参ったな。神社へ行くにはこの階段を登る必要があるのか。だが、この荷物を持って登るのは少し辛いな。ん?」
桐生が階段の前で頭を捻っていると正面から3人の少女が下りてきた。向こうも桐生に気付いて、歩みを止めてこちらを見ていた。
恐らく影になっていて、自分の姿が確認出来なかったのだろう。最初は何処か警戒していた三人組だが、相手が桐生と分かると駆け足で階段を駆け下りて声をかけてきた。
「こんにちは 桐生さん」
「お久しぶりです。今日は私達と一緒に花見をするんでしたよね」
「ああ 久しぶりだな。今日は宜しく頼むぜ」
「少し遅いから様子を見に来たんだよ。凛達はもう準備が出来てるにゃ」
到着が遅い桐生を心配したのか。凛、海未、花陽の三人が様子を見に来たらしい。話を聞くと既に全員が揃い、花見の準備を初めているようだ。
「すまない。俺も久しぶりに花見で浮かれていてな。ついつい多く買い過ぎてしまったんだ。悪いが荷物を運ぶのを手伝ってくれないか」
そんな三人に桐生は申し訳なさそうな表情を浮かべて、荷物運びをお願いをする。三人もそのつもりだったらしく、快く荷物を持つと下りてきた階段を登り始めた。
「大人だから当然ですが、飲み物はお酒ばかりですね。しかも日本酒に限っては一升瓶ですし…」
「食べ物もスルメとか、チーかまとかだよ。凛、チーかま大好きなんだ。あとで貰ってもいいかにゃ」
「ほら、二人共…勝手に中を覗いたら駄目だよ」
「すみません。少し不躾でした」
「凛もごめんにゃ」
中身を見て、燥ぐ海未と凛に花陽が注意をする。それでハッとした二人は桐生に謝った。無論、それくらいで桐生が怒る筈もなく、優しく笑って謝る二人に言葉を返す。
「フッ 別に気にしてない。俺としても皆に分けるつもりだったからな。まあ、酒は無理だが」
「凛は少し飲んでみたいにゃ~」
「いけません。貴女は未成年でしょう。それに節度を守って楽しくやるのが花見です」
「む~ 海未ちゃんは少し頭が固すぎるよ。一口くらいなら大丈夫だって・・・「凛」はい ごめんなさい」
「海未。そう ムキなるな。だが、海未の言ってる事も尤もだぜ。それに大人になれば嫌でも飲む日が来るんだ。それまで我慢するんだな」
「そうなんだ。桐生さんがそう言うならその日まで我慢するにゃ」
「む 私の言う事は聞かないのに桐生さんの言う事は聞くんですね」
「まぁまぁ 海未ちゃん。そんなに目くじらを立てないで、今日は花見を楽しもうよ」
「それもそうですね。今日だけは見逃してあげます」
花陽の言葉にそれもそうだと海未は大人しく引き下がった。
桐生達が階段を登り切り、境内に足を踏み入れるとそこでは満開の花を咲かせた桜の木が訪れる者を優しく出迎える。
桐生は力強くも優雅に咲き乱れるその光景に目を奪われる。それは木の下で花見の準備をする彼女達の存在も理由の一つであろう。
すると桐生の視線を感じたのか、準備をしていた穂乃果が桐生の方へ顔を向けた。そして桐生の姿を目にすると笑顔でこちらに手を振り、大声で桐生達を呼んだ。
「桐生さん いらっしゃ~い。やっと来たんだね」
「ほんまや。皆、桐生さんを待っとんたんよ。可愛い女の子を待たせたら駄目やん」
「フッ それは悪かったな。だが、その分 摘まめる物を沢山買って来たぞ」
「へー 気が聞くじゃない。あっ これチーかまじゃない。にこ、これ大好きなのよね」
「やめなさいよ にこちゃん。少しはしたないわよ」
「にこちゃん。結構、ちゃっかりしてるよね」
桐生はそう言って食べ物が入った袋をシートに置く。見ると花見の準備は既に終わっていて、どうやら自分が来るのを待っていたようだ。
そんな中、桐生が持参したおつまみの袋から抜け目なく、チーかまを確保しているにこを真姫が注意をする。
「ほらほら 皆そこまでにしておきなさい」
それを静観していた絵里だったが、収拾が付かなくなる前に手を叩いて場を諌めた。
「さて、これで全員揃った訳だし、花見を始めましょう。だけど、その前に桐生さんから一言、どうぞ」
皆の視線が集まった所で絵里が口を開くと花見の開始を宣言した。それだけでなく、桐生の方を向いて挨拶を求めた。唐突に振られた事に桐生は戸惑うが花見の開始を待つ皆を見て、これ以上待たせる訳に行かない。
「...何?いきなり挨拶と言われてもなぁ。まあ言うとしたら...皆、今日は無礼講だ。花見を思う存分に楽しむぞ。それでは乾杯!」
「「「「「「「「「かんぱーい」」」」」」」」」
桐生は一呼吸おいて、花見の開始を宣言した。その言葉に反応して皆も声高々に乾杯の声を上げる。
「ねえねえ。前から気になっていたけど、桐生さんはμ'sの皆といつの間に知り合ったの?」
「ん?何でそんな事を聞いてくるんだ?」
「何でって、この前に桐生さんも花見に参加してもいい?と聞いたらさ。皆、口を揃えてあの人なら良いよと返事を返して来たんだ。絵里ちゃんや海未ちゃん達は知ってるだろうけど、他の人とはいつ会ったのか気になってるんだ」
花見が始まって暫くした頃。各自がそれぞれ好きな物を摘まんで飲み食いしてる中、隣に座っていた穂乃果がメンバーと知り合ったのかを聞いてきた。
それは他のメンバーも気になるのだろう、飲み食いしながらも聞き耳を立てている。
些か穂乃果の話に引っ掛かりを感じたが、特に気に留めずに桐生はその時の事を思い出しながら話し始める。
「皆と出会った時か。そうだなぁ... 俺が最初に出会ったのは花陽だな。確か、あれは俺が神室町に着いた日だったか。慣れない街で迷っているのを見てな。放って置けずに声をかけたのが切欠だ」
「へぇ~ 花陽ちゃんとは神室町で会ったんだね」
「うん あの時は道案内だけじゃなく、悩みを聞いてもらったりとお世話になりました」
「悩み?それは知りませんでしたね。一体、どんな悩みだったんです?」
「ああ それは私が今、真姫ちゃんと凛ちゃんでやってるユニットの事だよ。その時はμ'sを意識していて、結成する事に消極的だったの。でも、桐生さんの後押しで私は新しいユニットを作る事に決めたんだ」
「そうでしたか。思えば、桐生さんの言葉は不思議と心に沁み込んで来ますからね」
「言われてみれば、確かにそうかもね」
海未の言葉に真姫も賛同する。彼女も桐生の言葉に背中を押された事があるからだ。
「それはそうとさ。他にはどんな風に出会ったの?早く、続きを聞かせてよ」
話を聞いていた穂乃果は続きが気になり、続きを急かす。
「そう急かすな。俺が次に会ったのは希だな。俺が街を歩いていたら、希が声をかけて来てな。街を案内して欲しいと頼まれたんだ。まあ、それは俺と花陽が一緒にいる所を見て、俺が花陽の弱みを握っているんじゃないかと心配していたらしい」
「結局、それはウチの勘違いやったけどな。あの時は迷惑をお掛けしました」
「いや、別にいいんだ。それだけ希が花陽を心配していたからこそだろうしな」
「そうね。希は後輩思いで音ノ木坂にいた頃も後輩から人気があったのよ。まあ、おっちょこちょいな所もあるけどね」
「ム、それを言うならエリチだってそうやん」
「おいおい 二人共、そこまでにしておけ。折角の花見に喧嘩は無粋だぜ」
「桐生さんの言う通りね」
「花見に喧嘩したらあかんな」
言い争いになる前に桐生が二人へ釘を刺した。二人もハッとして、素直に引き下がる。場が収まった所で凜が興味津々で桐生に尋ねた。
「それで次に会ったのは誰なの?凛も続きが気になるにゃ」
「希の次に会った人はにこだ。あの時、街で一人立っている虎太郎を見つけてな。その時は子供を狙う事件もあったし、放って置けずに虎太郎を交番に連れて行こうとしたんだ。その途中でにこが追いかけて来たんだ。どうやら、にこは俺が件の誘拐犯だと思っていたようだったよ」
「それは悪かったわよ~ でも、事情を知らないとそう思うのも無理無いでしょ」
「まあ、そうだよな。だが、虎太郎が迷子になった時やにこがチンピラに向かって行った時は驚いたぞ」
「え?にこちゃん チンピラに向かって行ったの?何でそんな事をしたのよ」
「そうだよ。最近は怒りっぽい人が多いと聞くよ」
桐生の言葉を聞いて、真姫が心配そうな様子でにこへそう言った。凛も真姫に便乗してにこへ言葉をかけた。心配する二人に向かってにこは優しく微笑むと、穏やかな口調で言葉を返す。
「うん 普通なら避けて通るわよ。その時は迷子になった虎太郎が絡まれていたのよ。姉が弟を助けるのは当然じゃない。ま、結果として桐生さんに助けてもらったけどね。あの時はありがとう」
「気にするな。あいつらのやった事が俺も許せなかったからな」
「そう 桐生さんがにこちゃんを助けてくれたのね。良かった」
「フフ 真姫ちゃんはにこっちの事になると、必死やなぁ」
「もう、からかわないで~」
ホッと安堵の息を吐く真姫を希はニヤニヤと笑ってからかい始める。そんな二人を桐生は温かい目で見つめていた。そんな中、にこが口を開いて真姫と凛へ話しかける。
「それはそうと真姫ちゃんと凛は桐生さんといつ会ったのよ?私はそれが気になるのだけれど...」
「私?私が桐生さんに会ったのは…凛と花陽と一緒にレストランへ行った時だったわね。それで桐生さんと相席する事になったのよ」
「ああ。そういや、そうだったなぁ。確か、そのレストランはトマト料理専門店だったな」
「トマト料理専門店...」
「相変わらず、トマトが好きなんですね」
桐生の話に出てきたトマト料理。この言葉に海未とことりは渋い顔でポツリと呟く。それを聞いた真姫が「別にいいでしょ。好きなんだから」と拗ねた様にぼやいた。
「でも、あの時の真姫ちゃん。珍しく積極的だったにゃ」
「うん、私も驚いたな。ある意味では真姫ちゃんらしかったけど」
「一体、何をしたのよ。面白そうだし、早く教えなさい」
「教えてやるから少し落ち着け。二人共、怖がってるぞ」
「うっ わ、悪かったわよ。それで何があったの?」
凛と花陽の話が気になったにこが食い付いてきた。息を荒くして迫るにこの迫力に気圧されて、何も言えずにいる二人を見た桐生がにこを諌める。桐生に言われて、にこも二人に怯える二人に気付き、素直に謝った後で改めてその出来事について尋ねた。
「ああ 俺が相席した真姫達と食事をしていて、暫くした頃だったか。呼び込みをしていたスタッフが倒れたという話が聞こえてきたんだ。それを聞いて、真姫が変わりに自分達が呼び込みをしようと言い出して、俺達が店の呼び込みをする事になったんだよ」
「成程ね。真姫ちゃんがそう言い出した理由は予想がつくわ。どうせ、美味しいトマト料理を出す店が潰れたらどうするのよ!とか言ってたんでしょ?」
「…良く解ったな。確かにその通りだ」
「にこちゃんは真姫ちゃんの事をよく知ってるにゃ」
「うん。まるで見てたかの様に的確なのもすごいね」
「もう私の事はいいでしょ。それよりも…絵里や穂乃果達はいつ会ったのよ?」
これ以上は聞くに耐えなかったのだろう。真姫は話題を変えるべく、穂乃果と絵里達に話を振った。
「私と穂乃果は神室町で会ったわ。その日は街で開催される催しを見に行ったのだけど、街は凄い人ごみでね。その所為で亜里沙と逸れちゃったのよ。そんな時、声をかけてきたのが桐生さんだったの」
「そして桐生さんが協力してくれる事になったんだよね」
「ええ。それにしても亜里沙が桐生さんの知り合いと行動してたのにも驚いたわね」
「真島の兄さんか。偶然ってのはあるもんだな」
偶然の一致が重なった出来事を思い返しながら、三人は楽しそうにその時の事を口にする。
「そうだよね。亜里沙ちゃんと逸れた時はどうなるかと思ったけど、何とか見つかったからね。それと海未ちゃんとことりちゃんが桐生さんと会ったのは私の家だよ」
「いえ、私が桐生さんと会ったのは穂乃果の家へ向かう途中ですよ」
絵里との出会った経緯を話した後、続けて穂乃果がことりと海未が桐生と出会った時の事を説明した。しかし、その説明を聞いていた海未が口を開いて訂正した。
「ああ 確か、穂乃果から貰った地図を頼りに穂むらへ向かっていたんだが、道に迷ってしまってな。その時、運よく海未と会って道案内をしてもらったんだ」
「地図があるのに迷うって、桐生さんは方向音痴なの?少し意外だにゃ」
「違いますよ。道に迷ったのは穂乃果の地図が原因です。地図に書いていたのは線で描いた家と道だけですからね。あれで辿り付くのは無理ですよ」
「んも~ 結局、目的の場所に着いたんだからいいじゃん」
「あれは私が案内したからでしょう!! 第一、人に渡す地図はしっかり書いてください」
「ふ、二人共。喧嘩したら駄目だよ」
「ことりの言う通りだ。そこまでにしておけ」
「「はい ごめんなさい」」
「ふぅ~ 喧嘩が止まって良かったよ」
熱くなり、周りを気にせず言い争う二人をことりと桐生が止める。それで熱が覚めた二人は喧嘩を止めて素直に謝った。そんな三人を見ていた桐生は穏やかに微笑むと静かに言葉を発した。
「フッ 相変わらず、お前達三人は仲がいいなぁ。まあ、それは皆も同じ何だろうがな」
「そうね。何だかんだ言っても皆と会ったり、花陽や凛と過ごすのは楽しいもの」
「うん 私も同じだよ。μ'sが解散しても皆と会いたい。これは皆が卒業して、社会人になっても…それを変わらず続けていきたい。私はそう思ってるんだ」
「そうか。普通なら難しい事だが、お前達ならそれが出来そうだな」
「勿論。私達、μ'sの絆は絶対だもん」
桐生の言葉に穂乃果は自信満々にそう言葉を返す。そんな穂乃果の言葉には、何処か説得力がある。不可能に近い廃校阻止の背景にも彼女の言葉があったのだろう。だからこそ、廃校阻止を実現することが出来たのだと桐生は感じていた。
「ああ そうだな。俺もそう思うぜ。それと今更かもしれないが、改めて言わせてくれ。今日は皆との出会いを祝して、乾杯だ~」
「「「「「「「「「かんぱーい」」」」」」」」」
今日は絶好の花見日和。楽しい花見はまだまだ続く。この日 陽が沈むまで神社から楽しそうな笑い声が途切れることは無かった。
サブストーリー015 今日は花見だ! 完
桐生「今回の花見では皆と会った時の事を話した。彼女達の絆の強さが改めて、解った日でもあったな。フッ 来年もまた皆で花見がしたいぜ」
今回の話はどうだったでしょうか?春と言えば、桜。桜と言えば花見です。
思えば、龍が如くでは花見の描写がほとんど少ないので龍が如くが好きな人も楽しめると思います。
皆さんは今年の花見に行きましたか?
ちなみに自分は行っていません(泣)
宜しければ、感想を送って下さい。首を長くしてお待ちしています。