桐生「偶然、遭遇した穂乃果達からアプリを薦められた。思ったより、面白そうだし、早速やってみるか」
今回は桐生さん 宝(アイドル画像)を求めて街をぶらつく話。
それではどうぞ
真夏の真っ只中 この時期は遥を含めたアサガオの子供達は夏休みに突入している。遊びを満喫する中で子供達も遥の仕事を手伝っているだろう。
そんな事情も重なり、今の所は養護施設の仕事は無い。暇でやる事が無い桐生は当てもなく、神室町をぶらついていた。しかし、容赦なく陽射しが降り注く外は予想以上に暑く。10分も歩かない内に桐生の顔に大量の汗が浮んでいた。
「はぁ。凄まじい暑さだな。これじゃあ、倒れそうだ。何処か涼める所に入らねえと体が参ってしまうな」
最強と呼ばれた男も夏の暑さに勝てず、何処かに涼める店は無いかと見回していると奇妙な集団を見つける。その集団は携帯を見ていたと思いきや、顔を上げて周りをキョロキョロと見回し始める。暫くの間、集団は周りを見回した後、また携帯に視線を落とすとそのまま何処かへと去っていった。
(一体、あいつらは何をしてるんだ?何にしろ、下手に関わらねえ方が良さそうだ。暑くなると変な奴も出てくるのはいつの時代でも変わらねえな。そんな事より、早く涼める場所を探すとするか)
触らぬ神に祟りなし。桐生はそう結論を出すと、いつも利用している喫茶アルプスへ向かう事にした。
茹だる暑さの中、喫茶アルプスがある中道通りに辿り付くと桐生は目の前の光景に唖然とした。そう 中道通りの到る所に先程、目撃した奇妙な集団によって埋め尽くされていた。
笑顔でガッツポーズをする者がいれば、落胆の表情で項垂れたる者もいたりと反応は様々である。普段から色んな出来事が起きる神室町だが、今回の様な事は初めてだ。気味の悪い集団を前に桐生は戸惑うばかりであった。
「何てこった。まさか、あの集団を此処でも見るとはな。この暑さに加えて、この人の数では何処の店も満席だろうな」
涼を取る為に来たが、不気味な集団がいるのではそれも叶わない。一刻も早くこの場を去ろう。桐生がホテルに戻ろうと踵を返した時だった。「あれ?もしかして桐生さん?」と背後から自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ん?お前は…穂乃果じゃないか。それに海未とことりも。三人揃って、此処で何をしてるんだ?」
名前を呼ばれ、桐生が振り向くと声を掛けて来た相手は高坂穂乃果だった。
すぐ傍には海未とことりの姿もあり、いつもの三人組が揃っていた。桐生はそんな三人へ歩み寄り話しかけた。
「うん。実は今日は買い物の為に来たの。そのついでに流行りの遊びをしようと思ってね」
「流行りの遊び?それは周りで一喜一憂してる奴らと関係があるのか?」
「うーん まあ、関係すると言ったらするけど…私達はそこまで躍起になってないよ」
「ええ あくまで私達はのんびりと楽しむ派ですからね」
「そうか。ところでそれはどんな遊びなんだ?」
穂乃果達の会話に出てきたある遊び。何気なしに話を聞いている内に気になり、桐生は穂乃果へ尋ねた。
「フッフッフッ よくぞ聞いてくれました。今、流行ってるこの遊び。それは「アイドルへGOですよ」って、海未ちゃん!! 何で先に言っちゃうの~」
「穂乃果が無駄に伸ばすからです。人が聞いてるのに勿体ぶる必要は無いでしょう」
「そ、それはそうだけどさ。こういうのは雰囲気も大事でしょ。全く、海未ちゃんは空気が読めないんだから」
「な、それは穂乃果だって同じでしょう! それに今日だって、いきなり家にやって来て、碌に説明もせずに神室町まで引っ張って来たのは貴女じゃないですか」
「うっ それは私も悪かったと思ってるよ。だから後で説明したじゃん」
「道中の電車の中でしたけどね。そういう説明は行く前にするものでしょう。大体、穂乃果は昔から」
「おいおい こんな所で喧嘩をするな。周りに迷惑だろう」
「そうだよ。二人共。折角、遊びに来たんだから仲良くしようよ」
「「うっ ご、ごめんなさい」」
桐生とことりに注意されると二人は素直に喧嘩を止めて謝った。
同じタイミングで同じ行動をする二人は似た者同士だと、仲裁に入ったことりと桐生は同じ事を考えていた。
「それでアイドルへGOというのは何だ?」
「言葉通り、アイドルを探してアイドルへ向かうスマホアプリだよ」
「そうか。だが、どうして神室町で探してるんだ?今日はアイドルの催しがあるとは聞いてないぜ」
穂乃果の話を聞き、桐生の中に更なる疑問が浮んだ。神室町は広い街だが、何かのイベントがある時はポスター等で大々的に宣伝される。しかし、自分はそれらの広告を一度も目にしていない。
「いえ、アイドルを探すと言いましたが、探すのは実際のアイドルではありませんよ。」
「うん 私達が探してるはスマートフォンの画面に表示された手掛かりを元にして、アイドルの画像を手に入れるのが目的なんだ」
そんな桐生の疑問は海未とことりの言葉で解消された。探しているのがアイドルでも空想のアイドルでは、宣伝がされてないのも理解出来る。
「ほう。そういう事だったのか。つまりは一種の宝探しみたいなもんか」
「ちょっと違うけど、まあ似たようなものかな。そうだ! 折角だから桐生さんもやってみない?街に詳しい人がいれば、私達も有利にゲームを進める事が出来るもん」
「確かにそうですけど…無理を言っては駄目ですよ。穂乃果。桐生さんにも用事があるでしょうからね」
「いや、俺は別に構わない。だが、俺はスマートホーンやスマボも持ってないぞ」
「そうだったんだ。だけど大丈夫。このアプリはね。何とガラケーでも遊ぶ事が出来るからね。それとスマートホーンじゃなくてスマートフォンだよ」
「ええ 一人でも多くの人に遊んでほしい。その思いから制作者は二つの機器に対応したバージョンを配信してますからね。あとスマボではなく、スマホです」
「ほう。これを作った制作者は立派だな。大抵の運営はそこまで考える事はしないからな」
所々入るツッコミは無視して桐生は二人の話を聞き、人の事を考えてアプリを作った制作者を感心していた。
「うん 本当に良い人だよね。真島さんは」
しかし、ことりの言葉でその想いはすぐに遠く彼方へ吹き飛ぶ事になる。ことりの一言はそれ程、衝撃的だった。
「すまん。もう一度聞くが、これは真島の兄さんが作ったのか?」
「そうだよ。この前、真島さんからのメールが送られて来て、新しいゲームを作ったから是非、遊んでくれって」
「本人曰く、同時期に配信されたアプリに対抗しての事らしいですよ」
「確か、ドラゴンDEゴーというタイトルだったかな。現実とリンクした斬新なシステムが売りのゲームだよ」
「色んな場所にいるドラゴンを捕まえて、他のユーザーと競う事も出来るようで人気があるとも聞いてます」
穂乃果と海未の説明で経緯を知り、桐生は思わず溜息を吐く。相変わらず、あの人は読めないと心の中で呆れていた。
「つまり…真島の兄さんはそれに対抗した訳か。聞く限りは名前以外、システムもそのゲームとそっくりだが、その事で揉めたりしなかったのか?」
「ん~ 私も最初はそう思ってたんだけど、特にそういう事は無かったみたい。それに相手が相手だからね」
「言われて見れば、確かにそうですね。普段は優しいから忘れがちですが、真島さんはその筋の人ですから」
「……。とりあえず、そのアイドルへGOをやってみるとしよう。すまないが遊ぶ方法を教えてくれないか?」
四人の間に妙な空気が漂い、それを変える為に桐生が別の話題を振るとことりが渡りに船だと食い付いた。
「いいよ。じゃあ、アプリを落としてあげるよ。桐生さんの携帯をちょっと貸して」
「ああ」
ことりは桐生から携帯を受け取ると、手慣れた手付きで操作していく。桐生の携帯はことり達が使ってるものより、幾分古い型で扱いもスマホとは異なる。
だが、それでも問題なく使いこなす姿に桐生は世代の差をひしひしと感じていた。
桐生がしんみりと耽っている間に準備が終わったのか、準備を終えたことりが笑顔で話しかけてくる。
「桐生さん アプリのダウンロードが終わったよ。今からやり方を説明するね」
「ああ よろしく頼む」
「まあ、さっきも言った様にやり方は簡単だよ。携帯の画面に表示される手掛かりに従ってアイドルがいる場所へ向かうの。」
「確かに簡単だな。だけどその分、飽きるのも早そうな気がするけどな」
「やる事は単純だからね。そう思うだろうけど、実はそうでもないよ。実装されてるアイドルはプロのアイドルだけでなく、スクールアイドルといったアマチュアアイドルも実装されてるんだ。恥ずかしいけど、中に私達のユニットもあるよ」
「そうなのか。だが、それが本当なら三人は此処にいて平気なのか?」
元とはいえ、1年前までμ'sもスクールアイドルとして活動していた。そのメンバーである三人がいると周りに知られたら、騒ぎになると桐生は心配していた。
神室町は賑やかな街だが、物騒な街でもある。騒ぎに乗じて良からぬ事を企む輩が現れるかもしれない。そう思っての言葉だった。
「ああ。それなら心配ないよ。解散直後は私達を見て、騒ぎになったけど。今はそういう事も無くなったから」
「テレビに出た事もありますが、蓋を開けばただの高校生ですからね」
「うん。だから今は周りを気にする必要なく、街を歩けるんだよ」
「そうか。ん?それと画面に何か反応が出ているぞ」
穂乃果達の言葉を聞く限り、自分の心配は杞憂だった様だ。そして携帯に目をやると画面のレーダーが何かに反応している。それに気付いて、桐生は三人へ話しかけた。
「ええ!?もう反応が出たの。レーダーの反応を見る限り、アイドルの場所は近くだね」
「しかも、いきなりレアの様ですね。これは凄いですよ」
「そうか。だが、どうして二人はそれが解るんだ?」
「それはね。レーダーに表示される点の位置と右上の♪の数で把握してるんだ。今は♪が三つあるでしょ?これがレアの証なの」
「ふむ。つまりはそれを目安にしてやる訳か。レーダーの位置を見ると、場所はピンク通り付近みたいだな。ちょっと行ってみるとするか」
「いってらっしゃい。レア画像を手に入れたら後で見せてね」
「ああ いいぜ。それと三人はどうするんだ?」
レーダーの表示から目的の場所がピンク通りにある事が判明した。その場所へ向かう前に桐生は三人にこの後の予定を聞く。
「私達は神室町の散策を兼ねて、別の場所を回るつもりです」
「うん。ミレニアムタワーや神室町ヒルズとか行きたいし」
「私は可愛い服がある店に行きたいかな。この前、花陽ちゃんから良い店があると教えてもらったから」
「わかった。それなら此処で解散だな。神室町を楽しむのはいいが、物騒だから気を付けろよ。それと夜になる前には帰るようにな」
「「「はい」」」
桐生の忠告に三人は首を縦に振った。神室町に詳しい人ならではの説得力がその言葉にあったからだ。
穂乃果達と別れた後、桐生はアイドルを見つける為に行動を開始した。
「ふむ。レーダーを見ると場所は此処の様だな。あとは画像を手に入れるだけだが、どうしたら入手出来るんだ」
レーダーの反応を手掛かりにピンク通りへやってきた桐生。そこで目的の場所を見つける事に成功したが、肝心の画像を手に入れる方法を聞いて無かったと途方に暮れる。
本来ならヘルプを見れば解決する事だが、それを見る術も桐生は解らなかった。
そんな彼が数年前、人気のあるブロガーだと言っても誰も信じないだろう。
その後、あれこれと桐生は試行錯誤を繰り返してみるが物事は好転せず、仕方無く諦めて立ち去ろうとした時。「もし、そこのお方。ちょっといいかな?」とまたもや自分に声をかける者がいた。
今度は誰だ? 聞き覚えない声の主に振り向いた先にいたのは栗色の髪と広いおでこが特徴の少女であった。
「いきなり声をかけて悪いわね。何か困ってるようだったけど、よかったら話してくれないかな?」
「その前に言うべき事があるんじゃないか?確かに困っているが、名前も言わない礼儀知らずの手は借りたいとは思わねえな」
唐突に現れ上から物を言う少女の態度に些か腹を立て、厳しい言葉をぶつける。相手の少女もその言葉で自分が失礼な態度を取っていた事に気付く。
「ごめんなさい。私は綺羅ツバサと言います。偶然、此処を通ったら貴方が難しい顔をして携帯を睨んでいたから…もしかして、道に迷っているかもと思って声をかけたの」
「そうだったのか。俺は桐生だ。こっちこそ、きつい言い方をして悪かった」
非礼を詫び、声を掛けた理由を説明するツバサに桐生も怒りを収めて謝った。言い方や態度はともあれ、ツバサが困っている自分に手を貸そうという気持ちに嘘偽りは無かったから。
「桐生さんね。こちらこそよろしく。それで話を戻すけど、一体どうしたの?」
「ああ 実は知り合いから薦められたアプリゲームをやっていてな。それで手掛かりを元に此処へ来たはいいが、その…宝である画像の入手の仕方が解らないんだ」
「そう。桐生さんが良ければだけど、ちょっと携帯を見せてもらっていい?」
「ああ…いいぜ」
普通なら知らない人間に携帯を見せる事はしない。しかし、このツバサという少女は何故か信用出来る。桐生はそれを直感で感じていた。
「それでは失礼して。ああ~ これかぁ。これは左上にある宝箱をクリックするんだよ」
「成程。見つけた画像はそうやって入手するのか。意外と簡単だったんだな」
「そうなのよ。複雑に見えるけど、実はシンプルだから。それにしてもどんな画像が出るのかしら。気になるし、私にも見せてよ」
画像の取り方を説明をした後、ツバサが興味津々の様子で聞いて来た。無論、断る理由も無く桐生は首を縦に振る。
「そうだな。よし、早速見てみるとしよう」
「ありがとう。それと私はツバサでいいよ。さて、何が出るのかな~」
ゲームの宝箱をクリックする。それだけの事だが、妙な緊張感に包まれて二人は固唾を飲む。そして意を決して桐生は決定ボタンを押すと、開いた宝箱から出てきたのは何とツバサの画像だった。
「……。これはツバサだよな。一体、どういう事なんだ?」
「あ、あははは。まさか、これを引くとはね。運がいいのか、悪いのか。ま、ばれたのは仕方ないか。実は…」
「成程。ツバサは穂乃果達と同じスクールアイドルだったのか。だから、画像が出てきたんだな」
「そういう事。それと桐生さんは、穂乃果さん達と知り合いなの?しれっと名前で呼んでるけど…」
何故、宝箱からツバサの画像が出てきたのか。本人の説明でその訳を知った桐生はツバサがスクールアイドルだった事に驚いていた。そして桐生の口から何気なく、出てきた名前に今度はツバサが驚き、桐生へ勢いよく詰め寄るとその事を尋ねる。
「お、おい。話すから落ち着け」
「あっ、ごめんなさい」
「まあいいさ。それで知り合った経緯だが、穂乃果とはこの神室町で会ったんだ。その時、連れと逸れて困ってる所を手を貸したのが切欠となってな。それ以降、一緒に花見をしたりと交流する機会が増えたという訳だ。それとさっきのアプリゲームも穂乃果から薦められたものだ」
「へー 今やってるゲームも穂乃果さんからねぇ~ この街は不思議な縁があるのね。私もある人に会って、悩みが解決したからね」
「それは良かったな。この神室町は人との縁を齎す不思議な力がある。ツバサがその人と会えたのはそれが働いたのかもしれんな」
「不思議な力ね。何となくだけど、分かる気がする。もしかしたら桐生さんと会えたのもその力のおかげかも」
「フッ 案外そうかもしれないぜ」
すっかり意気投合した二人が楽しく会話を続けていると、ツバサがハッと何かに気付いた途端、ダラダラと冷や汗を掻いて焦り始めた。いきなり顔色が変わったツバサに「おい、顔色が悪いぞ。大丈夫なのか?」と心配して言葉をかけるが、当の本人は冷や汗を流して黙るだけである。
ツバサに声をかけても反応は無く、桐生の後ろを見つめている。後ろに何かあるのか?釣られる様に後ろを見て、桐生もツバサと同じく固まった。
そこには二人の少女が立っていた。二人共、笑顔でも目が笑っていないのを見ると怒っているのは明白である。その雰囲気に桐生も思わず唾を飲んだ。そして二人の少女は桐生達に歩み寄ると口を開いた。
「ねぇツバサ。貴女、今何時だと思う?」
「うっ、今は14時30分です」
「それにツバサは今日、何処で待ち合わせと言ったかな?」
「え、ええと…中道通りのドン・キホーテ前です」
「ツバサが決めた時間。確か13時半に集合だよね」
「おまけにいたのは、中道通りじゃなくてピンク通りだからな」
「も、申し訳ありませんでした~」
外堀を埋める様に責める二人にツバサも観念して謝った。その言葉を聞いて、二人は漸く怒りを収める。
そして、今まで傍観していた桐生の方へ向くと二人は自己紹介を始めた。
「初めまして!私、優木あんじゅと言います。挨拶が遅れて申し訳ありません」
「私は統堂英玲奈。ツバサが迷惑かけた様ですね」
「俺は桐生一馬という。いや、寧ろ迷惑を掛けたのは俺の方だ。だからツバサを責めないでやってくれ」
「そうなの?でも、貴方に失礼な事をしたんじゃないかしら?」
「多分、そうだろうな。ツバサは初対面の相手でも物怖じせずに接する奴だから」
「もう~ 二人して酷いじゃない。そりゃ~ 最初は不躾な態度を注意されたけどさ」
「フッ 三人共、とても仲がいいな。そういえば、ツバサはスクールアイドルをやってると言ってたが、英玲奈とあんじゅもそうなのか?」
「え、ええ。そうよ。私とツバサと英玲奈の三人でユニットを組んでるの」
「あ、ああ。A-RISEを結成してから付き合いは長いからな」
いきなり名前で呼ぶ桐生に英玲奈とあんじゅは思わず、頬を染める。ライブで大勢の視線に慣れていても大人の男から名前を呼ばれる経験は無い。
二人が照れたのはそんな理由があった。無論、そういう事に疎い桐生には、二人が何で照れているのか解らずにいた。それはツバサも同じらしく、首を傾げて二人を見つめている。
「二人共、ツバサと同じユニットだったんだな。そういえば、二人も穂乃果達がやってたμ'sを知ってるのか?」
「勿論、知ってるわよ。何せ、一年前はラブライブ出場を廻って、戦った事があるもの」
「うむ、残念な事に負けてしまったけどな。だが、あの時は今まで最高のライブだった。それは胸を張って言えるな」
「そうだね。でも、大会で戦う事は無くとも…私達は近い内にμ'sと勝負を挑もうと思ってる」
「ライバル同士の対決か。その勝負、俺も見てみたいものだな」
μ'sとA-RISEの対決。桐生自身はスクールアイドル同士の勝負を見た事が無い。大会で争うくらいだから、きっと激しい戦いになるだろうと予想していた。
そう この時までは…数日後、桐生の予想が外れるのはまた別の話。
「勿論よ。その前に桐生さんのメアド教えてよ」
「ああ、いいぜ」
確かに連絡手段が無いと、それを伝える事は出来ない。ツバサの言葉も尤もであり、桐生は携帯を取り出すとお互いの連絡先を交換しあう。当然、その中にはあんじゅや英玲奈も含まれていた。
熱狂的なファンでも入手不可能と言われるアイドルの連絡先。それを桐生はあっさりと手に入れた。もしこの光景をファンが見たら間違いなく、血が流れる騒動に発展するのは確実であろう。
「これでよしっと。詳しい日程が決まったら、メールするね」
「それじゃあ、私達はこれで失礼しますね」
「機会があれば、また会える事を願っている」
「ああ。俺もお前たちとまた会う日を楽しみにしてるぜ」
「私達もね。勝負の日は絶対来てよ。約束だからね」
「フッ 分かった。その日はどんな用事があっても見に行くぜ」
約束の言葉を交わして、ツバサ達と別れると桐生は来たるべき勝負の日に心を躍らせながら街の中へ消えていった。
「んふふ。ウチは見たで。 まさか桐生さんがツバサちゃん達となぁ~ これは面白い事になりそうやな」
陰から一部始終を見ていた者は一人呟いて、その場をあとにした。これが後に一騒動を巻き起こす事になるとは知らずに…
サブストーリー 019 宝探せばアイドルに当たる 完
桐生「アプリを辿ってみれば、思わぬ人と遭遇した。それにしてもA-RISEが穂乃果達のライバルとはな。フッ アプリはいい宝物をくれたようだ」
今回のお話 いかがだったでしょうか?
読んだ人は解ると思いますが、作中に登場するアプリゲーム。一時期、話題になったあのアプリを元にしています。
宜しければ、一言でもいいので感想を下さい。是非ともお待ちしています。