冥界の王   作:赤嶺

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第1話

冥界の王

第1話

 

「リアス、明日の若手悪魔のしきたり行事だが、気を付けなさい」

 

それはリアス・グレモリーが高校が夏休みになったため眷属を連れて、里帰りをした日の晩餐後の事だった。

 

リアスは他の若手悪魔とは違い日本の駒王町に拠点を置き、その町の駒王学園へ通っている今年三年生になる上級悪魔の美女だ。

 

連れだった眷属は『女王(クイーン)』姫島朱乃、『戦車(ルーク)』塔城小猫、『騎士(ナイト)』木場祐斗、同じく『騎士(ナイト)』ゼノヴィア、『僧侶(ビショップ)』ギャスパー・ヴラディ、同じく『僧侶(ビショップ)』アーシア・アルジェント、最後に『兵士(ポーン)』兵藤一誠。

 

以上七名がリアスの眷属である。

 

元は皆、悪魔ではなく人間や半人堕天使、半人吸血鬼であったがいまの魔王のうちの一人によって発明された『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を使い悪魔へと転生させた者たちである。

 

無論、ほとんどの者が眷属になるのを承諾してから駒を使ったため、リアスと眷属たちの仲は良好。

 

先月は堕天使の組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部コカビエルと、その前はリアスの婚約者である悪魔、ライザー・フェニックスと戦い絆を深めていっていた。

 

今回の帰省も若手上級悪魔であるリアスと他数人の紹介も兼ねた行事のために帰ってきたのだ。

 

リアスの実家に帰ってからすぐ開かれた晩餐会ではリアスの父から「お義父さんと呼んでくれてもかまわない」と言われ兵藤一誠ことイッセーはドギマギしたり、リアスとリアスの母と言い争いに眷属たちがビクビクしたりと忙しい夕食であった。

 

そんな忙しい食事が終わり、一旦部屋に戻ろうとするリアスを呼び止めたのは父であるグレモリー卿である。

 

リアスと同じく紅色の髪を持つ卿は先の内乱の新魔王派の当主の一人であり、永い時を生きた悪魔でもある。

 

家族の前では陽気なおじさまである父が、普段とは違った声音での呼び止めにリアスは足を止め振り返った。

 

「どういうことですか?」

 

父の顔は声音と同じくいつになく真剣でリアスはそんな父に怪訝そうな顔をした。

 

「なんの気まぐれか()が行事に顔を出すらしいのだ」

 

「?…………ッ⁉︎彼ってまさか⁉︎」

 

父の言う彼が思い当たったリアスは思わず大きな声を上げた。

 

しかしそれも無理はない。

 

もしリアスが想像した通りの人物が来るならばそれは一行事では終わらない。

 

新魔王派に政権が移って早千年。

 

その間一度も公の場に姿を現さなかった悪魔がリアスたち若手悪魔の行事に現れるというのだ。

 

すべての悪魔にとって憧れと畏怖を抱かせる悪魔。

 

リアスはもちろんここ千年の間に生まれた悪魔の大半は言い伝えを聞いたことはあっても姿を見たことはない。

 

グレモリー卿はリアスの言葉に頷くと話を続けた。

 

「彼も不用意に事を起こす事はしないだろうが、公の場に出るのは千年ぶりだ。何があるかわからないからな、警戒だけはしておくのだぞ」

 

「……わかりましたわお父様」

 

話を終えると早足で部屋に戻った。

 

扉を閉めるとその扉に背を預け、胸を抑える。

 

リアスは悪魔に憧れを抱いていた。

 

幼い頃から魔王である兄から悪魔の話を聞いて胸を高鳴らせて、いつか自分もあって話がしたいと思っていた。

 

そこに恋愛感情はない。

 

昔はどうだったかわからないが、いまはイッセーという可愛い眷属がいる。

 

しかしずっと憧れ続けた存在が自分に会いに来ると思うと興奮が抑えられなかった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

(オレ)が寝ている間に随分と変わったものだ」

 

旧魔王領の中のベルゼビュート領からおよそ千年ぶりに外の世界、新魔王派によって新たに創られた冥界に出たヴォルレインはその変わりように感嘆を漏らす。

 

「それに随分と悪魔が増えたな」

 

ヴォルレインがいるのは魔王領の都市ルシファード。

 

旧魔王ルシファーが治めていた都市でヴォルレインも幼き頃はよく遊びに来ていた。

 

内乱が終わり千年とルシファーの息子である幼馴染みと遊ばなくなって数百年。

 

ヴォルレインは以前訪れたルシファードと比べ街の活気が良くなったなと思う。

 

空を見上げれば何やら電車らしきものが走っている。

 

昔はそんなものはなく、自力で空を飛ぶか走るしか移動手段はなかった。

 

他にも建物に設置されたスクリーンや自動販売機、電車以外の移動手段である車、バイクなどなど初めて見るものばかりで年甲斐もなく、ヴォルレインははしゃいでいた。

 

「です。なんでもヴォルレインさまに代わってベルゼブブの名前を継いだアジュカ・ベルゼブブが『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』なるものを創り、多種族を悪魔に転生させる物まであるそうです」

 

「ほう。それはすごいな。ではこの中にもその悪魔の駒(イーヴィル・ピース)とやらを使って悪魔になった者がいるというわけか」

 

従者ミリーナ・フルーレティはそのあとも様々なことをヴォルレインに教えていった。

 

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』はチェスを模して作られていることとそれに伴って眷属の人数は最大で十五人だということ。

 

それぞれに特性があり、『戦車(ルーク)』は攻撃・防御力の上昇、『騎士(ナイト)』は速度の上昇、『僧侶(ビショップ)』は魔力の底上げ、『女王(クイーン)』はそのすべての特性を、『兵士(ポーン)』は王が敵地と認めた場所へ行くときに『王』以外のすべての駒に昇格できる『プロモーション』という特性を持っていること。

 

その眷属たちによってレーティング・ゲームと呼ばれる実戦型のゲームが行われていること。

 

そのゲームの結果次第では爵位や地位にまで影響を与えること。

 

現魔王四人の人柄。

 

現冥界の風潮。

 

そして最後にミリーナと同じくヴォルレインの配下であるグレイフィア・ルキフグスのことを。

 

ヴォルレインは悪魔の駒とレーティング・ゲームに強い興味を示した。

 

血統を重んじる悪魔がゲームで爵位や地位を築いたり、その血に転生したとはいえ多種族の血を混ぜることなど昔では考えられないことだったからだ。

 

ヴォルレインは面白いと思う。

 

旧魔王派であればこれほど面白いことは起きなかっただろう。

 

ヴォルレイン自身も思考は旧魔王派寄りではあるが、自分が面白いと感じることはなんだって受け入れる。

 

今日知ったゲームや悪魔の駒についてもやってみたいし、欲しいと思う。

 

「これはますます楽しみだな。戦争を知らぬ世代がどのようにして成長し、どんな欲を持っているのか。お前も気にならんか、フルーレティ?」

 

「です。私はサーゼクスが話すリーアたんなる悪魔が気になります」

 

「あぁ、サーゼクスの娘か。確かにあやつの娘ならば、(オレ)も興味がある」

 

「ヴォルレインさま、娘ではなく妹です」

 

「なに?妹だと?……まぁ会うてみればその才覚はわかるか。サーゼクスほどであれば酒を酌み交わしても良いのだが」

 

そう言って歩みを進めた。

 

その日の夜、ヴォルレインはルシファードのとあるホテルの一室でシスコン魔王と己が欲望を語り合った。

 




とあるホテルでの冥王とシスコンの会話

「ときにサーゼクスよ。貴様、何が好みだ?」

「私の好みかい?そうだなぁやっぱりおっきなおっぱいはいいよ。妻も大きいしね」

「ほう、乳か。(オレ)は手におさまるほどでよいのだがな」

「そういえばリーアたんの眷属には赤龍帝がいてね。この前泊まらせてもらったときにおっぱいについて話したことがあったんだけど」

「何、赤龍帝だと。懐かしい名だ」

「あなたも赤龍帝の能力は知っているだろうが自身の力を十秒ごとに倍加していくというものの他に譲渡という能力がある。それをリーアたんのおっぱいに使ってみては提案してみたんだ」

「……乳に譲渡だと?……素晴らしいな!!貴様は天才か⁉︎」

「だろう!倍加の力をおっぱいに譲渡すればどうなるんだろうと思ってね。彼も私と同じくおっきなおっぱい好きだったから、興味津々だったよ。おそらくいつか試してくれるだろう」

「……結果がわかったら教えるが良い」



前書き、後書きのみのヴォルレインです。本編のヴォルレインではありません。
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