遊戯絶唱シンフォギアG~歌の苦手な決闘者系オリ主黙示録~   作:特撮仮面

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彼と奏でる翼と不穏な気配

 歌。雑音混じりの歌。

 

 本部移転作業はまだ続いており、ルナアタックの関係者への謹慎も解けてはいない。まあ、遊吾・アトラスは何かとこっそり外出しているせいで毎度毎度大目玉を食らっているわけだが。

 

 さて、そんな特異災害対策機動部二課の仮設本部のレクリエーションルームで、一人の女性が歌を歌っていた。赤い髪に、ハツラツとした雰囲気。弾ける姉御のような雰囲気を持つ、天羽奏。日本トップクラスのアーティストコンビであった、ツヴァイウィングの元片翼。

 

 コンサート事件の混乱により行方不明者とされていたが、つい最近生存が発表された人物。しかし、喉の怪我によって二度と歌が歌えなくなってしまった。それが世間の彼女であるが、事実は違う。

 

 シンフォギア装者であったが正規の適合者ではなく、リンカーと呼ばれる特殊な薬剤を投与することで適合率をあげた、俗に時限式装者と呼ばれる存在であった彼女は、二年前のコンサート事件の日、ノイズの襲撃を受けた際に人々を守るために絶唱――つまり、シンフォギア装者への負荷を無視した最大出力の歌により、彼女はノイズもろとも自身の命を散らせるはず――だったのだが、遊吾・アトラスの捨て身の治療により何とか回復、現在も元気に暮らしている。

 

 だが、彼女の生存は喜ぶべき場所だけではなかった。それが特に顕著なのが喉。絶唱の負荷、そして彼の無理矢理の蘇生術のせいなのか声帯が変化し、普通の声を声として発することができなくなってしまったのである。

 

 歌が歌えなければ、アーティストとしても、また装者としても活動ができない。それは、歌うことに人生の全てを賭けていた奏からすれば、自ら命を絶っても何ら不思議のない程の絶望だった。絶望、だったのだが、彼女は見てしまったのだ。過去を。

 

 遊吾・アトラスは、文字通り自分の全てを投げ捨てることで彼女を救った。その際に、彼の魂の一部が彼女に融合したために彼の過去、そして関わってきた伝説に触れた。

 

 そして、それから彼女は決意した。生きる、と。生きることを諦めない、と。それから暫く、意識が戻ったり、目の前が真っ暗になったりとした生活を繰り返したある日、彼女は出会った。

 

 

 

 

「よっ! 何だ不満足してんなぁ」

 

 

 彼の第一声はよく覚えている。

 

 あの破壊されたコンサート会場のステージに立っていた奏にカラカラと笑いながら声をかけてきた男。

 

 なぜ自分はここに立っている? お前は誰だ? 尽きぬ疑問。彼に詰め寄るようにして問う奏に、彼はドードーとまるで暴れ馬を落ち着かせるように彼女を諌めた。

 

 

「恐らく、ここは心の中ってやつなのかもな」

「心の、中?」

 

 

 辺りを見回す。この、壊れたステージがアタシの心だって言うのか? そんな馬鹿なことがあるか!?

 

 

「知らん。そんな事は俺の管轄外だ。…でも、あんたはあの日から目覚めてない。ならあんたの時間が止まっていても仕方ないだろ?」

「…そうか」

 

 

 アタシの時間はここで停まってんのか…。と、そこで彼女は気付いた。

 

 ここが自分の心の中だと言うのならば、目の前にいる男は何なのか? 自分はヘンテコなコートを着たこんな男とは関わったことがない。そんな奴が何でこんなところに…。

 

 と、そこで彼女は気付いた。彼のコート、右腕のシルバーの鎖に妙に見覚えがあることに。

 

 

「あ! あんた、ライブ会場にいた変人!」

「そうそう、へんじ――っておい!?」

 

 

 どうしてそうなった!? 驚く彼に彼女が笑いながら言った。

 

 

「いや、だってさぁ。あんな小さい子と一緒にコート姿で居たら目立つよ?しかも四列目の辺りだったからアタシからよく見えたし」

「お前、どんな視力してんだよ…」

 

 

 まるで訳がわからんぞ、と額に手をあてる彼にクツクツと彼女が笑いながら言う。

 

 

「ま、良いじゃないか。えっと、遊吾・アトラスだよね」

「あ? ああ、そうだけど。お前に名前教えたっけ?」

「え? あ、そんな顔してたからさ」

「そんな顔って……こんな顔か?」

「ッブフ!? はひっ、くっ、あははははは!? な、なにその、ぐふっ、ふふふふ」

 

 

 顎をしゃくる、いや、尖らせて妙なキメ顔――決闘者の間では、AGOなどと呼ばれ、これができるのは歴戦の決闘者のみとされる凄まじく腹筋に来る顔のことである。代表例は、伝説の決闘者の一人、城之内のAGOである――が見事にツボに入ったらしく、腹を抱えて地面を転がる彼女。

 

 そして、それから二人は話し合った。自分のこと、どこで生まれた、何をしていた、家族は? 友人は? そんな他愛もない話を延々としていたように思う。そして、彼が持ち出してきたのは二つの紙束。

 

 デッキ、彼の世界のデュエルモンスターズというものを遊ぶために必要なものだ。

 

 なぜ二つ? 聞いた彼女に彼が言った。

 

 二つないとできないだろ、と、あまりにも当然のように…。

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

「う、ん、ん?」

 

 

 ふと目が覚める。ずいぶんと懐かしい――懐かしいといっても本当に二年と少し前の話だ――夢を見たものだ。

 

 彼女、天羽奏はンーっと身体を伸ばしながらふと目の前で死んだように机に伏せているウニを見た。

 

 ウニの周りに散らばっているのは、沢山のカード。そうだ。昨日、レクリエーションルームで歌を歌っていたところを、突然「決闘しようぜ!」とか言って乗り込んできた彼と一緒に、部屋に戻って一日中決闘をしていたのだ。

 

 

「あー、そっか…寝落ちしちまったのか…」

 

 

 ポリポリと頭をかきながらどうしてこうなったかを思い出した奏は、どうしたものかねーと考える――と、そこに見計らったように扉を叩く音。ゆっくりと扉を開けて入ってくるのは、現在日本で最高峰、トップレベルのアーティストであり、元奏の相棒、そして、シンフォギア天羽々斬の装者、名を風鳴翼。

 

 普段の響やクリスを前にした大人の雰囲気は何処へやら。普段のSAKIMORI 節に隠れている、どちらかと言えば内気で静かな女の子の雰囲気。

 

 

「かなでー、起きて――」

「静かにッ!」

「ひゃ!?」

 

 

 奏の針のように鋭く静かな叱責に、驚きながらも口元を抑え、そして眠る背中を見つけた。

 

 それが一瞬誰かわからなかったようだが、散乱するカードとウニを見て誰かわかったらしい。ゆっくりと扉を閉める。

 

 

「アトラス?」

「うん。こいつと寝落ちしちゃってね」

 

 

 微笑ましいものでもみるような目で遊吾を見る奏。ふーん、と翼も遊吾を見る。

 

 何時もの大胆不敵で無茶苦茶している男の姿は何処へやら。コートではなく、よくあるTシャツを着て机に伏せた彼は、いつもと違い年相応の表情を見せる。いや、普段のことを思えばどちらかと言うと幼く見えるかもしれない。

 

 

「ん、ふふ。涎が垂れているぞアトラス?」

 

 

 口を開けて小さな寝息をたてる遊吾。口を開けていれば当然唾液は外に出るわけであり、翼はそれを見てまるで手のかかる弟を見るように優しく微笑みながら、ティッシュでそっと口元を拭ってやる。

 

 

「へぇ?」

「な、なに? 奏」

「いやぁ? 珍しいものもあるんだなぁって」

 

 

 あの、風鳴翼がねぇ…と意味深に呟く奏に、翼が慌てながら言う。

 

 

「ち、違う! その、これは、あれだ、そう! 弟を見るような気持ちでだな!?」

「別にアタシはなにも言ってないんだけどねー」

「奏!!」

 

 

 やっぱりからかってて楽しいなぁ、奏が笑う。と、そんな二人のやり取りが聞こえてきたのだろう。彼が唸りながら目を覚ました。

 

 

「あ、アトラス――」

「っせえなぁ、親父。アレか? 俺がピリ辛レッドデーモンズヌードル食ったのまだ怒って――あ?」

「よ、お早うアトラス」

 

 

 片手をヒラヒラと動かして挨拶をする奏と、起こしたのではと少し申し訳なさそうな二人を寝ぼけ眼でじっと見ていたが、何を思ったのかそのまま再度机に伏せて寝ようとした。

 

 

「おおい、美女二人を前にその反応は無いんじゃない?」

 

 

 奏がおいおいと彼を止めるが、彼は眠そうな間延びした声で言った。

 

 

「あー? いや、この世界に来て初めてファンになったツヴァイウィングの二人がおれの部屋にいるってのはなぁ」

「へえ? どんなところに惹かれたんだい?」

 

 

 ちょっと奏!? 慌てる翼。いくらなんでもこんな寝ぼけた相手にそんなことを聞くのは卑怯ではないだろうか? だが、彼女はニヤニヤ笑ってそのまま聞く。彼は暫く悩んでいたが、うー、と唸り声をあげながら言った。

 

 

「あー、路上ライブの日にな……凄い格好よくて、綺麗で、可愛くてなー。なんだろう、ある意味一目惚れみたいな感じかなぁ…」

 

 

 彼の言葉に、へぇ、と笑みを深める奏。と、翼もどうやら興味が湧いてきたらしく心なしか前傾姿勢だ。

 

 

「じゃあ、ツヴァイウィングのどっちが好みなんだい?」

「奏!?」

 

 

 これまた突っ込んだ質問をするものだ。どうやら彼が今一意識をはっきりさせていないここで根掘り葉掘り聞こうと言う算段なのだろう。

 

 

「あー、うー。そう、だなぁ……。強いて言えば――翼?」

「へぇ? その心は?」

「なんと言うか、ほっておけないというか、年上なのに可愛いと言うか、可愛がりたい? あと、面白い」

「なるほどねえ?」

 

 

 チラチラと翼の方に視線を向ける奏に、顔を赤くしながら伏く翼。いくらなんでも真正面から印象を言われると恥ずかしいらしい。

 

 

「でも、奏も捨てがたい。というか選びきれないよなぁ…」

「ん、そう? アタシとしては翼の方が可愛いしありだと思うけど?」

 

 

 彼女の言葉にうーん、と唸る。

 

 

「そりゃあ、翼の方が可愛いけど…。何か、何かなぁ。結局二人とも甘えるの下手というか、奏は自爆するタイプだな。でも奏も十分以上に可愛いぞ? なんと言うか、お姉さんをやってるせいで逆に甘えられないみたいな。だから甘えたらいいのにというか。それに、俺と決闘を――あ!!」

 

 

 決闘、その単語が彼の意識を覚醒させる。シャキンと立つウニ頭。これはまさか…、彼の脳裏に寝ぼけていた時の言葉がいくつか思い出される。

 

 まさか、彼が二人の方を見る。顔を赤くした翼、そして笑う奏――しかし、その手元は忙しなくカードをパチパチと動かし、頬も朱に染まっていた。

 

 

「……………うそ?」

「ほんと」

「………………………Oh」

 

 

 彼が頭から崩れ落ち、ごつんと言うとても痛い音が響いた。

 

 

 

 

「で、翼は何でアタシの部屋に来たんだ?」

 

 

 その後、彼が自身の黒歴史を消し去るためにマインドクラッシュしようとするのを二人がかりで止めたり、その際に彼が翼の太股を鷲掴みにしたり奏の胸にダイブしたりで流れるような空中三回転捻り土下座を極めたりしていたのだが、ようやく彼が冷静になったことで奏が話を進めることに。

 

 

「え? あ、うん。ちょっぴり暇してたから」

「暇って、珍しい」

 

 

 風鳴翼という少女は、幼少期より血の滲むような厳しい鍛練に常に身を晒してきた人物。己もその生き方をよしとしているところもあるため、休みの日と言えど鍛練を休むことなどあり得ないのだが…。表情に出ていたのだろう。翼はクスリと笑うと壁へ向かって決闘を繰り返す彼を見た。

 

 

「何処かの誰かが、休むときに休まないとか満足できねえな、だの、お前を休ませるために決闘だ! とか言ってくるから、ね」

「ああ、なるほど」

 

 

 この少女は何かと一人で解決したがる、と言うよりは解決しなければと考えている節がある。立花響やクリスと出会い、彼女たちが後輩になってからは少しはなりを潜めていたがやはり根本的には直らないらしい。

 

 何か気になることがあったら遠慮なくぶっ込んでいく彼のことだ、簡単に予想できる。それに、意外と強気に出られると弱い翼のことだから、押しきられたに違いない。

 

 

「それで、決闘というものを教えてもらおうと思って…」

「なるほどね」

 

 

 しかし、決闘なら何故その道の男である遊吾でなく自分を選んだのか。首をかしげる奏に、翼が言いにくそうに苦笑する。

 

 

「ちょっと、ね?」

「ははーん。分かったよ。じゃあ教えてあげる」

 

 

 なるほど、自分が決闘をできるようになって彼を驚かせたいわけか。相変わらず見栄っ張りというかなんと言うか。

 

 やはり、年上ということが原因なのだろう。こう言うところで固くなってしまう相棒に、相変わらずだなぁとため息を吐きながらも、彼女は笑う。

 

 

「分かったよ。じゃあ教えてあげる――」

「奏! ありがと――」

「なぁんて、言うと思ったぁ? 鈍いなぁ翼は。こんな単純なようで複雑だけど難しいルールアタシ説明しきれないんだよねぇ!」

「へ?」

「遊吾! 翼が決闘を教えてほしいってさ!」

「奏!?」

 

 

 まさかの裏切りである。舌の根の乾かない内に、全く、欠片も、微塵の迷いもなく彼に伝えた彼女に翼が目をむく。

 

 

「あはは! 御免ね翼。アタシは頭の体操としてループコンボを覚えただけで、決闘とそのルールはからっきしだから!」

「奏、この裏切り者ぉぉおおお!?」

「おい、決闘しろよ」

「貴様は本当にブレないなアトラス!?」

 

 

 意地悪が多くなったとはいえ、相変わらずな相棒と決闘者にツッコミを入れつつ微笑む翼なのであった。

 

 

 

「エクシーズモンスターはランクのため、レベルを持たない」

「なに!? レベルがないとはレベル0という意味ではないのか!?」

 

「時できるはタイミング逃すんだよ。そこで効果が使えるのは、場合できるって書いてある効果か、~するって強制効果だけなんだ」

「ふむふむ。で、その、ちぇーんと言うのは?」

「ああ、さっきもやったようにこれは123って組んでいってだなぁ」

 

「さあ翼、満足させてくれよ?」

「奏、もうやめるんだ!」

「あ、ああ…」

「ワンターンスリートリシューラァ」

「こんなの決闘じゃない! 俺の信じる決闘は、皆を幸せに――」

 

 

 時々あーだこーだと騒ぎながらも、少しずつルールを覚えていった翼。そして、経つこと数時間。

 

 

「切り込み隊長でダイレクトアタック!」

「だあー! 負けた負けた!!」

 

 

 切り込み隊長。遊戯王の中でも古いカードでありながら、未だに根強い人気を誇る、戦士族の代表的なカードの一つ。

 

 結果的に翼が落ち着いたのは、古き良き伝統である切り込みロックを主体とした戦士族ビートデッキ。

 

 ちなみに、切り込みロックとは、切り込み隊長の効果である、相手はこのモンスター以外を攻撃対象にできない、という効果を利用して、二人の切り込み隊長を場に召喚することでどちらにも攻撃できない=バトルを行えないという状態を作ることであり、過去の、モンスター効果などで中々除去できなかった時代で猛威を振るっていたりする。

 

 とはいえ、それは過去の話。いくら切り込みロックと言っても彼のデッキや彼自身のポテンシャルを考えれば勝ちをもぎ取るのは容易い、のだが。

 

 簡単な話だ。どれだけ強くても負ける日はある。

 

 

「決闘とは即ち人生なり、ってか?」

「ん? それはどういう意味だ?」

 

 

 しかし、それを差し引いても翼は強かった。彼の予想を超えるタクティクスを発揮する部分もあった。純粋に完敗だ。楽しげな彼に問う。

 

 

「人生は一度きり、勝つ日もあれば負ける日もある。勝っておごらず、負けてくさらず、レッツエンジョイ! ってな?」

「…中々良い言葉だ」

 

 

 勝ちも、負けすらも楽しむその言葉は、翼の胸に深く刻まれるのであった。

 

 ちなみに、この時彼が翼に決闘を教えたことが、後の世に伝わる伝説の決闘者、エンジョイ防人、その人の誕生の瞬間だったりするのだが、それはまた別の話。

 

 

「しかし、本当に強いな翼。こりゃうかうかしてらんねぇな」

「直ぐに追い抜かしてやるから、覚悟しておくことだなアトラス?」

「はっ、いつでも相手してやるよ素人?」

 

 

 軽口を叩き会う二人を見て、何だかんだで翼も同類だなぁと遠い目をする奏。と、奏の通信端末が震える。彼女たち、ツヴァイウィングの曲が流れはじめ、誰だと画面を確認すると、奏がニヤリと笑う。

 

 

「ああ、おっさん? ……うん、うん、分かったよ直ぐ行く」

 

 

 おっさん、どうやら風鳴司令からの通信らしい。話を終えた彼女はカードをケースに片付け始めた。

 

 

「呼び出し?」

「うん。皆呼び出し。内容は――」

 

 

 翼の問いかけにデーモンの如くニヤリと笑うと、彼女は声をあげた。

 

 

「Dホイールの決闘盤の解析が進んだから、映像データが出てきたんだって。それも沢山」

 

 

 その言葉を聞いた彼の動きは早かった。目にも止まらぬ速さでカードを片付けると流れる川のごとく待避しようとして――

 

 

「させん!」

 

 

 翼に抱き付かれた。防人特有の流れるような動き。蛇のように彼の身体を拘束した。

 

 痛みすら感じさせない見事な拘束、それ故に彼は気付いてしまった。

 

 背中に感じる柔らかさ、つまり防人の胸部装甲に。ちなみに、何かと貧乳だのなんだのとネタにされる翼であるが、胸の大きさだけなら他の装者と何ら変わりないほどの大きさである。

 

 しかし、胸の大きさは別にそれだけで決まるわけではない。例えば、胸の大きさ、トップとアンダーの差がカップ数を作り出す。そしてもう一つ、それが胸の形状だ。胸が離れているか、離れていないかなど。つまり、様々な要因が重なりあい産み出されるのがバスト、胸の大きさなのである。

 

 つまり、風鳴翼の胸は小さいわけではなく、視覚的にそう感じられているだけなのだ。

 

 さらに言えば、実は今の彼女は奏しかいないと思っていたせいで上半身はTシャツ一枚。ラフすぎることと、彼女が実は着痩せするタイプと言う事実が彼に襲い掛かる。

 

 

――そうか、お前が……ドミナント……。

 

 

「おーい、遊吾? だらしない顔晒してるとワンターンスリートリシューラァするよ?」

「いや、だらしない顔してねえよ!?」

「どうだかねぇ…」

 

 

 少し表情を尖らせた奏が言う。そして彼女は立ち上がると彼に向かって死刑宣告を言い渡した。

 

 

「満足同盟時代、教えてもらうからね?」

「やめろぉおおお!?」

「さ、行こう翼?」

「うん!」

「待って!? は な せ!!」

 

 

 こうして彼は、初めてファンになった少女たちに連行されるのであった。

 

 

 

 

 

「あ、翼」

「どうしたんだ? アトラス」

「この間、お前のバイクに音声スターターとオートパイロットモード搭載しといたぞ?」

「なん…だと…」

「ちなみに、起動させる音声は砂浜着地と同時に海から出てくる『来い、マシンサキモリー!!』だ。別バージョンとして『マシンサキモリー、ライジン!!』や腕の蜘蛛のマークのはいったマイクに向かって叫ぶ『サキモリー!』もあるぞ」

「……カムヒア! サキモリー! は無いのか?」

「……ぬかった!?」

「そこはぬかっても良いと思う。というか翼、それはスーパーロボットだからね?」

「と、言うことは――はっ、防人だって日本を守れるんだ! を忘れてた!?」

「守護の刃よ今ここにッ! とか、武神歌姫サキモリー第三十六話とかでも――」

「いっそのことマシンゴー! サキモリーオン! でもいい気が…」

「友情……サキモリークロス!!」

「それだ!!」

「…ダメだこいつら」




キャラ崩壊などお手の物だ。

その変わりに、オデノカラダハボドボドダ。ちょっとヴェルズコッペリアルに癒されてくる。
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