遊戯絶唱シンフォギアG~歌の苦手な決闘者系オリ主黙示録~   作:特撮仮面

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彼女たちは新天地に集う

「で、あたしはどう動けばいいんだ?」

「…私達が警戒すべきは二課の装者。恐らくは真正面から乗り込んでくるはずですからね。あなたには切歌と共に風鳴翼への対応をお願いします」

 

 

 唐突な修羅場から数分ほど。フロンティアと呼ばれる大地に降り立ったフィーネメンバーたち。

 

 フロンティア、それは巨大な古代遺跡とその周辺の大地のことを言い、現存する聖遺物の中で最大の聖遺物のことだ。発見させてから今まで強力な封印によって触れることすら許されなかった禁断の大地。

 

 近くの小さな島国にはこのフロンティアと思われる大地に関する伝承が残っており、曰く、この世とは思えない緑に溢れた肥沃な大地があり、神殿から天に伸びる光はあらゆる災厄からこの地を守る、と。

 

 だが、長い年月の封印のせいか現在のフロンティアは岩盤がむき出しになった荒廃した土地であった。

 

 

「ウェル博士、メサイアとネフィリムの同調は?」

「ああ、うまくいっているよ。むしろ順調すぎてね」

「ナスターシャ教授、メサイアの調整は?」

 

 

 博士二人の言葉にうなずく。

 

 救世主と名付けられた存在。今回の作戦はフロンティア、そしてネフィリムのシステムの一部にメサイアを同調させることでそのシステムを制御することが前提となる。

 

 本当のところはメサイア無しでも十分に稼働させることができるのだが、二人はそのことに気付いていない――否、気付いているとしてもメサイアを活用した方が制御が容易となるのだからそれを使わない手はない。特に一人はメサイアの絶対的な力に気づいているのだから。

 

 さて、と彼は最後尾で考える。

 

 現在フィーネのメンバーが居るのは巨大な洞窟。元は通路か何かであったであろう場所だ。この先へいけばフロンティアの心臓部へと到達する。

 

 このまま順当にいけば、自分の作戦は成功すると見て間違いないだろう。それは直感であったが確かな確信。

 

 彼の思惑に気づいている者は此処には居ない。知っている面子は、弦十郎、奏、そしてレックスの三人だが、前者は敵、後者は米国と交渉、そして蘇生作業で此処には居ない。

 

 ちらりと背後を確認する。

 

 そこにあるのは、自走式滑車に搭載された真っ黒の筒と、それに取り付けられたおびただしい数のコードと箱の数々。メサイアの制御装置であり、同時に彼にとっての切り札兼鋼鉄の棺桶。冷たく光るその円筒形の装置は、洞窟の暗さとあいまって不気味に見える。

 

 あとは適当に。クリスがソロモンの杖を確保し、調と切歌が戦闘を始めれば良い。

 

 そうすればタイミングを見計らってさっさとあの映像を流すことが出来るし、自分は装置を使えばいいのだから。

 

 とは言え、果たして本当に成功するのだろうか? 情報化はそれだけでリスクが大きいし、情報量を減らすだけでも文字通りの命懸け。一度のミスも許されない。

 

 それに、ウェルにもナスターシャにも、ましてマリアにバレてはいけないし、あの映像も果たしてどれほどの効果があるか。更に言うなら、仮に成功したとして本当にその後が上手くいくのか。逆に更なる負担になることを考えると、今からでも止めたくなってくる。

 

 

――気弱になるな。やるといったらやり抜け!

 

 

 そうは思うが、でも少しだけ悔いがあるのも事実。なまじ考える余裕があるせいで頭のなかで葛藤する遊吾に、マリアから声がかかる。

 

 

「…ユーゴ?」

「どうしました? マリア。ちなみに、今の私はユーゴではなくユーです。お忘れなく」

「ごめんなさい。…やっぱり良いわ」

 

 

 そういって前を向くマリア。

 

 なんだったんだ? 首をかしげる遊吾であったが、彼は気付いていない。黒ずくめ、顔を隠した姿でありながらも、表情、そして瞳の光が苦しそうに揺れていたことに。

 

 だが、幸いなことにこの事に気付いたのはふとした拍子に振り返ったマリアしか知らない。いや逆にこの中で彼ともっとも関わりの深いマリアだからこそ気付いたのかもしれない。なぜなら今の彼はユー・トイルイ・テッシに完全になりきっているのだから。

 

 マリアは考える。何故彼がそんな表情をしているのか。だが、心が読めるわけではないマリアに遊吾の考えなどわかるはずもなく。漠然とした不安を抱きながら彼らは最新部に向けて歩くのであった。

 

 

 

※※※※※※※※※※※

 

 

 

「――と、いうのが私と遊吾たちのこれまで」

「なるほど…」

 

 

 フィーネ所属の装者、月読調。シンフォギア・シュルシャガナを操る、心優しき少女。

 

 今彼女は、二課本部の一室に居る。本来ならば拘束し牢屋に入れておくのだが、彼女は境遇が境遇であるしシンフォギアを二課が預かっている以上彼女に二課内部でどうこうするといった力は無い。

 

 フロンティア浮上の際、翼のプロデューサーである緒川によって救助された調はこうして自分の知りうる限りの情報を話していた。

 

 とは言え、彼女が知っている情報は少ない。

 

 レックスの方針でフィーネの装者が知り得る情報は制限されており、知っているのは精々、フロンティアが月の落下を止めるのに必要であること、ネフィリムの危険性、メサイアという聖遺物を使用することでそれらの制御を行うということだけ。

 

 具体的にどのようにして策を為すのか、メサイアの詳細情報、遊吾・アトラスの暗躍など、特に重要な情報は全く説明されていない。

 

 これは、より利用されている状態をアピールする為の策であるがそれを知る人は此処には居ない。

 

 

「遊吾君はとても楽しんでいたんですね」

「…はい。遊吾は、私――ううん、私たちに楽しさを思い出させてくれたから」

 

 

 彼を初めて見た時、月読調が感じたのは限りない不信感だ。

 

 当然だろう。誰だって大切な人の家の前で左腕を胸の前で横にして、人差し指と中指をくっつけた紙を摘まむような格好の右手をそっと左手の手首に添え、ドローッ! という雄叫びと共に勢い良く右に振り抜く。そして時々、脇が甘い、腰が入ってないなどとブツブツ自己分析しながらフォームを調整する、そんな奇行を行っている人物を見たら全力で通報する。

 

 だが、彼の姿を知っている彼女の言葉で不審者ではないと何とか押さえ込みつつ彼と会話をすれば、不思議と不審者ではないことがわかった。それどころか、奇行こそ見られるが、誰かのためにと全力で行動する姿はとても好ましく思えた。

 

 F.I.Sに彼が来てからはより強く思うようになっていた。

 

 レセプターチルドレン。フィーネの因子を持つ子供たち。

 

 親に捨てられた子供、戦争に巻き込まれて親を失った子供、境遇こそ様々であるがどの子供にも共通していることがあった。

 

 笑顔、である。彼ら、彼女らの笑顔はどれだけ笑っていても、どこか諦めたような、疲れたような陰を落とす。

 

 そんな子供たちを管理するF.I.Sの長、研究所の所長であるレックス・ゴルドウィンは真っ当な大人であった。

 

 無論、世間一般の真っ当な大人と比べればやはり研究者気質ゆえに情けも容赦もないような部分がいくらか見られたが、噂に聞く他の研究施設での扱いを考えると、研究所内だけだとしても多少なりと自由が保証され、衣食住、数は少ないが娯楽まで用意されている自分達はどれだけ恵まれていることだろう。

 

 だが、それはあくまでも研究所として見た場合の話。やはり親が居ない、愛情が無いということはそれだけでも大変な負荷となり、日々研究が繰り返される子供たちの精神に影響を及ぼす。

 

 その点、シンフォギアを身に纏うことができるマリア、調、切歌は特別であった。特にマリアは妹セレナの事故のこともあって、外に出ることのできる唯一の存在。

 

 切歌や調もマリアほどではないとはいえ、装者のメンタルケアなどの名目で外に出ることが許されていた。

 

 レセプターチルドレンは粒揃い。最年少はそれこそ修学前の子供から、最年長はマリアだが、マリアを除けば切歌や調と同じような十四、五歳ほどの子供まで。

 

 自由に動ける自分達は、そんな年齢も性別もバラバラな子供たちの為に色々考えたりしたものだ。食事も時々自分達で作ったりして、少しでも心が満たされるように。

 

 だが、どれだけ頑張っても子供たちの顔に本当の笑顔が生まれることはなかった。マリアも調も切歌も、その原因はわかっていた。

 

 だが、ある日からマリアに変化があった。今まであまり乗り気でなく、どこか否定的であったシミュレーターの訓練や、歌姫マリアとしての活動に精力的に参加するようになったのだ。

 

 それだけではなく、仕事が終われば、そこからが本番だと言わんばかりに気合い十分に物凄い早さで支度を済ませて家へと帰る。そんな彼女の姿に、警備員や一部研究員から、マリアに男ができた等といった噂が流れ始め、その頃になると調や切歌もマリアの変化が気になり始める。

 

 そんな折に身辺調査の話が持ち上がり――彼と出会ったのだ。

 

 彼が研究所に通い始めてからの変化は凄まじいものがあった。

 

 常に全力投球の彼に比較的ノリの良い子供たちは直ぐになついた。寡黙な子や警戒心の強い子は最初こそ警戒していたが、その殻は彼の拳、彼の持ち込んだ決闘という娯楽を行う彼の姿によって取り払われた。

 

 手のかかる子供であり、また後輩を導く年長者である彼の登場に、気づけば調たちも気負うことなく子供たちと共に暮らすようになっていた。

 

 食生活も変化した。

 

 馴染みの無い日本式の食事が多くなったこともあるが、まるで栄養素をそのまま食べているような、そんなお手本のような味気の無い食事から、温かな食事に変化した。何度か、この野菜入れるだの、値段上がってるから別で代用するかだの、一部の研究員と白熱した議論を交わしていたのを覚えている。…そのあともう一度覗いてみたら、脚が良いだろ馬鹿野郎うなじに決まってんだろふっ巨乳なんて所詮は偶像よ…ほざけ柔らかくもなんともないただの胸筋風情が、というどこぞの政治もびっくりな取っ組み合いの大論争に変わっていたが。

 

 良くも悪くも賑やかになった。隙あらばばか騒ぎをして怒られる。そんなごく当たり前の日常が皆にとって新鮮で楽しかった。今まで寒い冬のような陰鬱な雰囲気が漂い続けて澱んでいた研究所は、彼と言う外界からの嵐によって掻き乱され、暖かな春へと変化したのだ。

 

 だからこそ、そんな彼があんなことを言うなんて信じられなかったし、今でも信じられない。

 

 

「ウェル博士に賛同する…支配から脱するためには力が無ければならない。他者を圧倒する絶対的な力。力無き者に明日はない」

「…そう言ったんですか?」

「それに、弱者は支配がどうとかって」

「おかしいですね…」

 

 

 本当にそれは遊吾・アトラスなのか。緒川は思わず首をかしげる。

 

 緒川真次。飛騨、風鳴の一族に古来から仕える忍の一族の嫡男であり、風鳴翼のマネージャーを勤める実力者である。

 

 そんな彼から見て、遊吾・アトラスという少年が、そういう考えを口にすることは無いと考えられた。

 

 サテライト。飲み食いすらも難しいそんな場所で生まれ育った遊吾の根底には、弱肉強食などの考えがあるのは事実。

 

 だが彼はそれを表に出してどうこうすることは少ない。何故なら彼自身が世の中は弱肉強食だけではないということを知っているからだ。サテライトという環境を生き抜いたからこそ、彼は平和な世界を尊ぶし、一決闘者として誰かを笑顔にと考える。そんなロマンチストだ。

 

 身内に甘く、何だかんだ理想を語る彼が、身内である調にそのような事を言うなんて信じられない。むしろ二課に居た頃ならばウェル博士を殴り飛ばしているだろう。

 

 これは少し探りを入れてみる必要がありますね…。

 

 

「分かりました。では司令に報告をしてきます。申し訳ありませんが暫くこの部屋で待っていてください」

「はい…」

 

 

 緒川が部屋を出ていく。

 

 あとに残った調は表情を曇らせるとベッドに身を投げ出すのであった。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 それからどれだけ時間が経過しただろうか。気づけば微睡みそうになっていた調はふと目を醒ますとベッドから起き上がった。

 

 沈黙。外で何が起こっているかは分からないが、それにしても静かだ。今も誰かが、遊吾たちは戦っているのだろうか?

 

 

『戦ってるでしょうね。あの子たちは私が見てきた中で一番子供だから』

「…大人だよ、皆」

 

 

 きっと不可能を可能にするために頑張っているはずだ。調が彼女を通して見た二課は、夢物語のような出来事を何度も現実に変えてきた。

 

 夢を見る子供と夢を叶える大人。この組み合わせは恐らくこの世で一番強い。

 

 彼女たちならフィーネの陰謀を阻止することができるだろう。

 

 自分だってその戦いに参加したい。マリアを、切歌を止め、遊吾に真意を問いたださなければならない。

 

 だが今の自分は囚われの身。シンフォギアは二課に提出してしまったため、今の自分に力はない。

 

 このままこの部屋で大人しく、時が過ぎるのを待たなければならないのだろうか。私にできることは本当に無いのだろうか。

 

 

「し、らっべちゃーん! あっそびっましょー!」

「…はっ?」

 

 

 うーん、と頭を悩ませる調の心境などなんのその。この部屋の扉は自動ドアの筈なのに、手で無理矢理勢い良く抉じ開けた少女――響が頭の悪そうなことを言いながら部屋に入ってきた。

 

 真剣に考えていたところに放たれた今時の小学生もしないような誘い文句に、思わず表情を固まらせる調。

 

 そんな調を知ってか知らずか。腕組みして妙に芝居がかった仕草で、いやー、やっぱり遊ぶんなら外が良いよねー外が。子供は風の子、外で遊んでなんぼだよねー。いやー、フロンティアって知らない土地とかワクワクするよねー、今日は天気も良いしビバッピクニック日和だしねー、などと言い放つ。

 

 一瞬こいつは馬鹿なのか? と彼女の頭を疑ってしまった調だが、彼女の意図に気づくと尚更信じられなくて、

 

 

「…貴方、馬鹿?」

「何が? 私は調ちゃんと仲良くするためにちょーっと遠出しようとしてるだけだよ?」

 

 

 ニヤリと何処か得意気な響。

 

 その表情に面影を見て、調は思わず顔を綻ばせた。

 

 

「…まったく、相変わらず無茶苦茶なんだから」

「ふぇ? 調ちゃん?」

「ううん。でも遠出するのに足がないけど?」

 

 

 そうだ。いくら小島とはいえど、フロンティアの広さは下手な島国と同じくらいの広大な大地。その中心部たる遺跡郡に近付くには人間の足では遅すぎる。

 

 だが、その言葉を待っていたと言わんばかりに響はドヤァとその手の中にある赤いペンダントを彼女に差し出した。

 

 それはシンフォギアの待機形態。二課が保有するシンフォギアではなく、それは調が身に纏うシュルシャガナ。

 

 確かそれは緒川真次に提出したはずだ。どうしてそれを、と調が彼女の顔を見上げれば、得意満面彼女は言った。

 

 

「いやー、棚の上に落ちてたから。落し物は持ち主の元へと返さないとね」

「そう…」

 

 

 さ、行こう。笑いながら右手を差し伸べる響。そんな彼女に少しだけ手を出すのを躊躇してしまう。

 

 何故なら、調は一度彼女のことを真っ向から否定してしまったから。彼女の想いを偽善と切り捨ててしまった。

 

 あのとき思ったことは本当だった。傷付いたこともなく、紛争の話題を見て、テレビの前でかわいそうだねー、ですませるような、そんな生温い存在であると思った。

 

 だが、それは間違いだった。

 

 遊吾と戦う彼女の表情、そしてマリアとの一騎討ち、未来との戦いを見ればわかる。彼女はそんな存在ではないと。

 

 知ってしまってから後悔した。彼女は決して偽善で済むような人間ではなかった。だからこそ、こうして笑顔で手を差し伸べられると果たしてその手を掴んで良いものかと腰が引けてしまう。

 

 そんな彼女の表情を見て、フッと笑みを優しいものへと変化させた響は調の手をグッと握り締めて力強く引っ張り上げた。

 

「わっ!?」

「おっと…。さ、行こう?」

 

 

 予想以上に強い力に身体を引っ張られた調はそのまま響の胸の中に。むにゅっとした柔らかい感触と暖かな体温、少しだけ香る消毒液独特のアルコールの匂い。抱きしめられていることに気づいて顔を赤くしつつ響の顔を見上げれば、彼女はニコリと微笑んで再度問いかける。

 

 

「うん。皆を止める、だから手伝って」

「もちろん!」

 

 

 手を繋ぎ少女たちが走りだす。

 

 目指すは敵本陣、フロンティア遺跡群その中枢部にある制御室。人間の足では間に合わないかもしれないが、調のもつシンフォギア、シュルシャガナは武器である鋸を自分の周囲に展開することで車輪として利用することが出来る。そこまで派手な加速は出来ないが、二課本部から中枢まではそう時間はかからないだろう。

 

 外へ飛び出した調がシンフォギアを纏い刃を展開。そこに響が飛び乗る――のだが、

 

 

「痛い痛い!? 肩が外れるッ!? 何でそんな体勢!?」

「え!? いやだって師匠の戦術マニュアルだと、車とかヘリとかの横に飛び乗ったらこうして片手に銃持って――」

「それ映画の話!! 私の後ろに乗ってッ!! じゃないとガイガンみたいにするからッ!!」

「それは勘弁!?」

 

 

 秘密の出撃だというのにわいわいぎゃーぎゃーと言い合いながら飛び出す二人を司令部から確認した弦十郎たちは、お前ら何やっているんだと額に手を当ててしまうのであった。

 

 

 

「わりぃけど、あたしは自分より胸の小さい奴に負けたことねえから」

「ふっ、安心しろ。私も自分より胸の大きな奴に負けたことは無いッ」

「…あたし自分よりも大きい身長の奴に負けたことないし」

「私は自分より小さい者に負けたことはないのでな」

「……」

「……」

「雪音ぇええええええ!!」

「この野郎ぉおおおおおお!!」

 

 

「調…」

「切ちゃん…」

「……デュエルかい――」

『そこ、ふざけない!!』

「はい…」

 

 

 フロンティア各所で、己の全てを賭けた最終決戦が今、始まった。

 

 そして――

 

 

「クリスは上手くやっているようだな…。切歌と調は戦闘開始。ナスターシャの離脱――は今か。なら次はマリアだな。…ピースは全て揃った。さあ、最後の仕掛けといこうじゃないか」

 

 

 俺のために精々頑張ってくれよぉ? マリア…。

 

 闇の中で漆黒が一人笑う。




新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

そんなこんなで最終局面に差し掛かったこの作品。完走目指して頑張っていきます!これからも遊吾たちをよろしくお願いします!!(お年玉として感想を投げ込んでもええのよ?)


小話~響と調が出ていくまで~

「…で、どうやって二課から出るの?」
「ふっふーん、これを使うんだよ!!」
「…愛媛みかん?」
「うん。おっきいでしょ」

 響が取りだしたのは、大人が二人は入れるような超巨大ダンボール。一体どこから取り出したのか、などと突っ込みたいことは山々であったが、とりあえず調はそれをどうやって使うのか尋ねる。

「もちろん、これを二人で被ってね――」
「いや、無理だから」
「え? 大丈夫だよ。ゲームでも出来たし」
「ゲームと現実は違う!!」
「いいからいいからぁ」
「ちょっ、何でダンボールを広げながらこっちに来る!? 来るな、来るなぁああ!?」

『うわぁ、調ちゃん肌ぷにぷにしてる』
『何処触って――んぁ!?』

――見なかったことにしよう…。

ほれほれ~、という親父臭い声と共に悩ましい声を出しながらごそごそと動き回るダンボールを見て、二課の職員たちは思わず目を逸らしてしまったという。
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