遊戯絶唱シンフォギアG~歌の苦手な決闘者系オリ主黙示録~ 作:特撮仮面
それは初めての出来事だった。
空を飛ぶのは鳥か、紙で作った鳥しか居ない。そうだと思っていた。だけど、それは違った。
「う、ぉぉぉおお……」
空から、真っ赤な鉄と共に男の人が降ってきたのだから。
「…誰?」
「ぉ、ぉぉぉ……え?」
それが、彼との出会い。
「君は…」
「えっと…俺は遊吾・アトラスって言います。…ここ、何処ですか?」
ヘンテコな服を着た男、遊吾・アトラス。彼は今から遥か未来の異世界からやってきたと言う。最初は何を言っているのか分からなかった。だけど、彼が使うとある物がそれを証明してくれた。
「シンクロ召喚ッ! 現れろ、琰魔竜レッド・デーモン!!」
「す、すごい…」
「ぁ……」
絶対王者たる炎の竜。私はそれに魅せられた。力強く、雄々しいその背中に、その姿に。そして何よりも、黒、赤、白、錬金術において最も重要な意味を持つ色を放つことのできるその竜に、私たちは魅せられた。
それから、彼と私たちの生活が始まった。服と鋼鉄の馬――Dホイールを倉庫に隠して彼は生活を始めたのだ。
「いや、本当にすいませんイザークさん」
「ははっ、良いんだよ。子供がもう一人出来たみたいで嬉しいからね」
父は、男の子も欲しかったと言っていたし、私も近所に住む兄弟の居る家庭を見てうらやましく思っていたから、彼がこの家に住んでくれて凄く嬉しかった。
「すっげぇ! どうやったんだこれ!?」
「錬金術だよ、知らないかい?」
「錬金術? 知識じゃ知ってますけど。……あ! そうだ。実は俺も錬金術出来るんだよ!」
「うっそだー」
「へっ、そう言ってられるのも今のうちだぞ、キャロリン!!」
「こらこら、何をするにしてもまずは片付けなさい」
『はーい』
彼が見せた錬金術――それは、融合。
「俺は、ミラクル・シンクロ・フュージョンを発動!! レッド・デーモンとガイアナイトを融合!! 現れろ、波動竜騎士ドラゴエクィテス!!」
融合。特定条件を満たしたモンスターを合成することにより、それらの要素を併せ持つ新たな存在を生み出す召喚法。だが、それを行うには、種族、属性、あらゆる要素を知識として取り入れ、活用しなければならなかった。
そして、融合は一つではない。様々な状況によって数多くの手段が存在し、また、融合解除と言う物を使用することで、融合した物体を分解するということすらも可能であった。
融合の理論は、錬金術に通じていた。
錬金術の基礎となる行程、大雑把に分ければ、それは万物の分解、性質の取り出し、そして結合。これを融合に当てはめるのであれば、融合モンスターの選択、素材となるモンスターの選択、そして融合召喚。ここに、融合解除なども含まれることで、更なる飛躍が可能となる。
エクシーズ、というものは理解できないが、彼の魂というドラゴンを召喚した、シンクロ召喚という技術も、根底は錬金術に似ている。
彼曰く、自分は融合は得意ではないとのことであったが、父からすれば、錬金術を様々な用途で活用しているだけでも十分だったのだろう。その日から遊吾は父の弟子となった。
「アムナエル、ここでこの材料をだね――」
「…何か凄い煙でてんですけど――ぁ」
「お兄ちゃん、お父さん、大丈夫!?」
「はっはっはっ、また失敗だ」
「笑い事かッ!! てか、どうやったら野菜を煮込むだけで爆発させれんだよ!!」
やっぱあんた発破師になったほうがいいんじゃねえの? ほら、火薬要らずだし。…最近、僕もそう思うことがあるんだ。などというやりとりはもはや挨拶のようなもの。だからこそ、私は笑顔で怒る。
「工房掃除するの誰だと思ってるのッ!!」
『まことに申し訳ありませんでした!!』
楽しかった。
「お兄ちゃん、名前、良かったの?」
「ん? ああ、いいに決まってる。ただでさえ変な奴なのに、住まわせてもらえるんだから多少の偽名くらい。それに、俺のことを知ってくれる人がここにはいるからな」
「…そっか」
「おおお!! すっげぇえ!! 山デケェ!!」
「もう、はしゃぎすぎだよ」
「キャロルも初めてきたときはああだったじゃないか?」
「お父さん!」
「はっはっはっ」
楽しかった。アムナエルと共に暮らす生活が。私よりも年上なのに子供っぽい彼と一緒に居るのが、凄く楽しくて。
「あー! また負けた!!」
「伊達や酔狂でプロやってんじゃねえってな?」
「もう一回!!」
「はいはい、もう夜遅いからまた明日な?」
「えー! もう一回!!」
「それに俺、師匠の手伝いしなきゃいけねえし」
「むー…明日、絶対だよ?」
「ああ、絶対だ」
「約束破ったら鍋一杯の水銀飲ませるから!!」
「おい馬鹿止めろ。聞いてます? おい、キャロリンッ!? キャロリィイイイン!!」
父も彼と共に居ることをとても楽しんでいたと思う。
彼の使う召喚法は融合に似ている。そして、彼の住んでいた世界では、そうした召喚法を用いて人々に笑顔を届けていたという。
錬金術を誰かを助ける為に使っている父にとって、それとよく似たものを誰かを笑顔にするために使っているというのはとても嬉しいことだったのだろう。遊吾――アムナエル自身も、錬金術を悪いことに使用するのではなく、誰かのためになるようにと学ぼうとしていたのだから。
父にとって息子のような弟子。私にとって兄のような大好きな人。
「あら、アムナエル」
「ああ、シオニーか」
「この間は鍋、ありがとう。凄い助かったわ」
「キチンと使えたか?」
「ええ。今までの鍋が何だったのかってくらい使いやすいわ。この調子ならイザークさんを越える日も近いかもしれないわね?」
「師匠を? 無理無理。俺はまだまだだよ」
「そう謙遜しない。…ところで、これからどうかしら?」
「わりぃ、俺まだやらなきゃいけないこと多いんだよ」
最初は不審がられていたが、イザーク・マールス・ディーンハイムの愛弟子であるアムナエルとして活動していく内に、街の人とも打ち解けていった。今ではイザークと並ぶ街の人気者だ。
兵士のお姉さんとか、近所のお姉さんとか、近所の小さい女の子に結構人気なのは結構複雑だけれど。
「………」
「…oh」
「どうだい? 二人とも…」
「…まるで歯の強度限界に挑むかのような歯ごたえ。鼻腔を貫く芳醇な焦げた匂いと、舌を貫くガチ苦く、エグイ、炭の味ッ!! これはッ、そうッッ!!」
『不味い』
「やっぱり…」
いつもの食事風景。ただ、一つだけ違うのは、今日料理を作ったのはアムナエルや私ではなく、父が作ったということ。
「これでもレシピ通りに作っているんだけどねぇ…」
「あれですね。適量とか少々とか分かんないやつですね分かります」
「そうそう、焦げ目がついたら――とか、それこそその人のさじ加減じゃないか」
「お父さん、それ料理ができない人特有のやつだよ」
「ぐはっ!?」
師匠!? アムナエル――いや、遊吾くん…。あとは、まか、せ…。ししょぉおおおおおおおおおお!! などとふざけている男二人を放置して、私は立ち上がりスプーンを翳して言う。
「やっぱり、料理は私がやらなきゃね!」
「俺も居るぞ!!」
「アムナエルはヘンテコな料理作ることがあるから駄目ッ!」
「はーい」
父がよっこらしょと起き上がり、椅子に座り直しながら言った。
「でも、キャロルは本当に料理が上手いよ。お母さん譲りなのかな?」
「ふふん、私にはどんな料理もおいしくできる魔法の調味料があるから」
「ええ!? お父さんそんなの知らないよ!」
「錬金術師なんだから、しっかり考えてね? ヒントは、お父さんだって知ってるモノ、だよ?」
困惑する父。先に答えに行きついたらしく、微笑ましそうに笑みを浮かべるアムナエルを見て、シーッと口元にスプーンを持っていくことで黙っているように伝える。苦笑したのは、了解と言う意味だろう。ええ? 塩? うーん、と頭を悩ませている父を見兼ねて、アムナエルは席を立ちあがると奥の部屋に歩いていき、その手に箱を抱えて戻ってきた。
「頭を使うのは糖分を一杯使うから、甘いものでも食いながらゆっくり考えれば良いと思うんで――」
彼が箱から出したのは、甘酸っぱいリンゴの香り溢れる大きなパンのようなもの。
「それは?」
「アップルパイってやつです。この間一杯貰ったリンゴを砂糖漬けにしてたんで。パイ生地に突っ込んで錬金しました」
「…料理じゃないの?」
「錬金術は全てに通ずるって言ったのはどこの誰だっけ? キャロル先生?」
「あうっ」
「まあまあ…。さ、折角だからいただくとしよう」
切り分けられたそれ――アップルパイというらしい。確かに、生地の中には黄金に輝くリンゴの砂糖漬け。香りからして美味しいということは分かり切っている。だからこそ思いっきり齧り付いた。
砂糖の甘みにリンゴの酸味が混じり合い、より深い甘みを引き出す。単体では主張の強すぎるそれを、パイ生地のほんのりとした甘みが中和することで後味をさっぱりとさせる。
「これが――錬金術」
「何を悟ったのキャロル!?」
「そう、それがフィールだ!!」
「アムナエルも何を言ってるのかな!?」
夢中になって食べ進める私。
彼の料理は少々金がかかってしまうらしく、何かと父と話し合っていたのは聞いていたが、これはお金をかけただけの価値がある。これならいくらでも食べれるかもしれない。
少々行儀が悪いけれど、バクバクとアップルパイを食べていた私に唐突にかかる声。どうしたのだろうと顔を上げると顔に手が迫り、口元を拭われる。
「ったく、弁当ついてるぞ?」
そう言いながら私の口元についていたらしいアップルパイの欠片をそのまま口に放り込むアムナエル。
サッと頬が熱くなるのが分かる。子供っぽいところを見られてしまったという羞恥。それに――
「アムナエル――いや、遊吾くん。娘が欲しければ、僕を越えてからにしてくれないか」
「え?! 何でマジトーンで言ってんすか!? ちょっ、師匠!?」
恥ずかしくて、でも嬉しくて。こんな顔を見られたくないから伏せた顔。多分、ゆるゆるだ。
頭上で何やら、ならば手動で――デュエルッ!! などという声が聞こえてくる。一体父とアムナエルは何をしているのか…。
こんな日常がずっと続けばいい。私はそう思っていた。
「お父さんッ!! お父さんッッ!!」
人混みをかき分けて何とか父の見える場所に行きつく。
黒い布に包まれ、はりつけにされた父。柱に括りつけられ、その柱の下には――大量の薪。
魔女狩り。錬金術師である父は、流行り病を治すための研究をしていたのだが、そんなある日に彼らはやってきた。
教会の審問官を名乗る者たちに連れていかれた父。アムナエルは父の言いつけで遠くの街に材料の調達に出たばかりで、私だけしかいなかったからどうしようも出来なかった。
そして今、父は火炙りの刑に処されようとしている。
父が何をしたというのだ。私たちはただ幸せに、平穏に暮らしていただけなのに。何故それをどことも知れぬ者が荒らすのだ。ふざけるな。何故父が、あの優しい父が魔女として処罰されなければならないのだ。
どれだけ叫んでも誰も聞いてくれない。いや、この街に住む人は理解しているのだ。だが、どうしようもなかった。父を助けるということは即ち、国に、教会に、たてつくということ。彼らにも生活がある。守るべき家族がいる。だからこそ、護りたくても、助けたくても助けることが出来ない。それをすれば処罰されるのは自分たちだから。
だが、そんなものは関係ない。何故誰も助けてくれない。私では届かない。誰か、だれか――
「――おとう、さ」
「キャロル……せかいを――」
「世辞の句言おうとしてんじゃねえぞォオオオオオ!! 俺のッ、タァアアアアアアアアンッ!!」
俺は、レベル8の琰魔竜レッド・デーモンに、レベル1のチェーン・リゾネーターとレベル3のダーク・リゾネーターをダブルチューニングッ!!
白銀の光が世界を包み込み、そして――
※※※※※※※※
目が覚める。そこは暖かい笑顔の溢れる場所ではなく、無機質な城の中。
「……アムナエル」
その名を口にするだけで胸に温もりが生まれる。大切な兄であり、大好きな人である彼。私は彼と出逢うためにここまで来た。ようやくだ。ようやく彼と会える。
思いだすのは、世界中に放送されていた、一人の男の決闘。その男の背中を忘れることは無い。
少女は――キャロル・マールス・ディーンハイムは立ち上がり、そして言った。
「そうだ。日本に行こう」
そして始まる新たな戦い。装者、そして決闘者を巻き込んだ大騒動の幕開けだ。
「ところで主ィ? そのアムナエル――遊吾という男を捕らえてこいとの命令でしたけど」
「どうしたガリィ?」
「別に、思い出を奪ってしまっても構いませんよねぇ?」
「構わん。奪えるなら、だが」
ライヴを起点に現れる刺客。
「大丈夫かマリア――」
「なっ、分身…だと…」
「燃え尽きなさい、忍法超変化ッ!!」
「なに!? くっ――え?」
「くらえぇええええええええッ!!」
「何あの馬鹿でかい刃――」
轟音、爆発。巨大化したアームドギアを縮小しつつ、翼がマリアの隣に降り立つ。
「無事か、マリア」
「…やりすぎじゃないの?」
「奴は人間ではない」
「あんたたちの方が人間じゃないわよッ!!」
「人間じゃない? 何を言う。その程度ではアクセルシンクロの境地にたどり着けないぞ!!」
「なんなの!? 事前情報と違いすぎよッ!!」
「で、あんたどこ中なのよ?」
「この女性たち怖いッ!?」
緑の女性、レイアが叫ぶ。
そして同時刻――
「へっ、アタシのイチイバルと削り合うなんてな…」
「派手なのは嫌いじゃない…。でも、この場は勝たせてもらう」
コインと弾丸。雨あられのような撃ち合いは襲撃者の勝利の終わる。だが――
「なに?」
「この距離なら弾幕は張れないなッ!!」
「ぐああああああ!?」
そして海上にて
「いくよ、切ちゃんッ!! イガリマをパワーにッ!!」
「いいデスともッ!!」
二つのシンフォギアが合体し、一つの巨大な人型となる。
「炎となった私たちは――」
「無敵デースッ!!」
『アアアアアアアッ!!』
巨大ロボット同士の熱いぶつかり合い。また日本某所では――
「ふんっ、どうだ参ったか」
「くっ…」
キャロルと響。二人の一騎打ちが勃発していた。
「これで懲りたら大人しく遊吾を私に――」
「ふふふ、ふふふふふ、あはははは!!」
「気が触れたか…」
「ふふふ……ああ、ゴメン。おかしくってはらいたくてさぁ。高々その程度でそんなこと抜かすんだ?」
「なに?」
「悪いけど、私は遊吾のぶっといのをぶち込まれたし、壊れるくらいの衝撃で私に刻み付けたし。もちろん、責任はしっかりとるって言われてるんだよね。高々数ヶ月程度の絆がなんだと?」
「貴様ァッッ!!」
「ふふふ、悔しいでしょうねぇ?」
キャロルと響。並々ならぬ因縁が生まれた瞬間である。その頃、遊吾はというと――
「へぇ? キャロルの妹か…。可愛い奴めッ!!」
「わわわ!? 髪が乱れちゃいますよぉ」
「はははは!! 愛しい奴め、ほれほれぇ?」
「…はぁ、やっぱ風呂は良いわ」
「あ、あの、その…えと…」
「ああ、来たかエルフない……ん…」
「あ、あの…そ、そんなに見ないでください…」
「ああああああああああ!!」
「ええ!? 何で頭打ち付けて!? 落ち着いてくださいッ!?」
「ちらりとみえぇええええええあああああ!?」
「…ひどい目にあった……」
「あ、あの…これ、サイズがあってないんですけど……」
エルフナインin裸ワイシャツ+上目遣い+頬染め
「ふっ…」
「え? え? 遊吾さん!? 遊吾さぁあああああああああああん!?」
そして戦闘は激化する。
「ふん、子供に何ができる?」
「ほう? ならば――」
ダウルダブラの力により大人となるキャロル。キャロルは胸を一揉みしていった。
「ふむ…この程度なら構わんだろう?」
「何のつもりのあてこすりぃいいいいいいいい!!」
「落ち着け翼ッ!! 惑わされるなッ!! それはキャロリンの罠だッ!!」
「くっ、分かった…」
「ところでアムナエル…。この姿、どうだ?」
ポーズをとりながら彼に問いかける。
大人らしく強調された豊満な胸。キュッとくびれた腰に、安産型の桃尻。スラリと伸びる四肢。刃のように鋭い目つき、だが目元にある黒子と合わさり、それは蠱惑的な雰囲気を醸し出していた。
そんな彼女をじっくり数秒見つめる。そして遊吾は言った。
「とても、いいと思いますッ!!」
「お前が惑わされてんじゃねえかッ!?」
「はっ!? しまったぁ!?」
そして続く日、彼の者は現れる――
「僕だッ!!」
「あ、貴方はッ!? 師匠!?」
「違うッ! 僕の名前は――イザーク・マールス・ディーンハイム!!」
遊戯絶唱しないフォギアGX 20XX年放映開始ッ!!
君は、男の涙を見る…。
結論。
Gで響たちを強化しすぎたんで、ギャグに走るしかない。
今後の予定など、活動報告に書いてます。