紅魔館での受難な日々   作:Parfait

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不機嫌な大図書館

今、僕は大図書館の扉の前に立っている。レミリアに言われたとおりに歩いてきたから多分そうだろう。ただ、とても嫌な予感しかしない。何というか、今まで培ってきた常識が全て覆されるような。

 

「失礼します。」

 

意を決して扉を開ける。

そこには、ファンタジーな光景が広がっていた。

 

「これは……。」

 

端から端までが見えないほど広い部屋の中に、本棚たちが浮かんでいる。というか左右の壁どころか天井までも見えない。この部屋、どうやって掃除すればいいの?

 

「あのー、すいませーん。誰か居ませんかー?」

 

大きな声で聞いてみるも、返答は無い。しょうがない、進んでみるか。

 

「誰か居ませんかー?」

 

「あんた誰?」

 

ある程度歩いていると、やっと返事が返って来た。めちゃくちゃ不機嫌そうな声で。

 

「今日からこの館の執事となりました、瀬名風吹です。」

 

「は?どういうこと?」

 

声は聞こえてくるが周りに姿は見えない。これは上にいるな。もうこの程度予想出来ない僕ではない。

 

「すみません。降りて来て貰っても良いですか?」

 

「しょうがないわね。」

 

よしっ、当たった。

「で、どういうことなの?」

 

そういいながら降りてきた彼女は、とても神秘的な姿だった。

小柄な背丈に、自らの身長よりも長い薄紫色の髪が垂れる。ゆったりとした薄いピンクの服は、浮いているせいかふわふわと揺れている。しかし一番印象深いのは、可愛らしい顔を非常に不機嫌そうに歪めていることだ。あれ?僕なんかしたっけ?

 

「いや、実は倒れていたところを咲夜さんに拾って貰っちゃって。なし崩してきに執事になりました。」

 

「咲夜が?あの子も面倒臭いことするわね。」

 

「ところで、僕も名乗ったので名前を教えて頂けると有難いんですけど。」

 

「…パチュリー・ノーレッジよ……。」

 

ダメだ、一向に不機嫌さが治らない。

「貴方どこに倒れてたの?」

 

「聞いたところによると、紅魔館の庭だそうです。」

 

「敷地内?じゃあ美鈴が入れたってことか。本当、あの門番は役に立たないわね。」

 

ああ、さらに不機嫌さが高まっていく……。

 

「ところで、聞いたところによるとってどういうことなの?」

 

「いや、僕としてはこんなよく分からないところに倒れていたつもりは無かったので。」

 

「じゃあ外界から呼ばれたの?貴方は妖怪?」

 

「人間ですけどね。」

 

「そんなの聞いたことないわ。」

 

お、だんだん不機嫌さが薄れてきた。代わりに猜疑感が出てきたけど……。

「やっぱり分からないですか……。」

 

「まあ調べといてあげるわ。で、貴方ここに何をしに来たの?」

 

掃除ですね、やり方分からないけど。

「ここって、掃除必要ですか?」

 

「別に、そんなに汚れてないし。」

 

あ、そうですか……。何で僕ここに来たんだろう。

「じゃあ、またお食事のときにお呼びしますね。」

 

「わたしご飯食べないわよ。」

 

「え?」

 

「だって魔法使いだもの。ご飯を食べてる暇があったら本を読んでるわよ。」

 

魔法使いってご飯食べないんだ……。

本当に僕、ここに何しにきたんだ?

ここに来てから何回めか分からないため息をひっそりとついた。

 

 

寒い。とても寒い。いや、別に屋外に出たというわけではない。大図書館から自分の部屋に帰っている途中、だんだんと気温が下がってきて、今では体感温度的に一桁ぐらいに感じる。

 

「これ位じゃ驚かない。これ位じゃ驚かない」

 

自分に言い聞かせるように歩いていく。と、目の前にレミリアよりも小さめな少女がいた。蒼いセミショートぐらいの髪型で、髪と同じ色のリボンを載せている。背中に生えている氷らしきもので出来ている6枚の羽のようなものと、全体的に蒼い服装を見る限りこいつが犯人で間違いないな。ただ、一つ気になることは、こちらを効果音が聞こえてくるかのようなドヤ顔で見ていることだ。

 

「あんた誰?」

 

厚顔不遜に聞いてくる。お前こそ誰だよ。

 

「今日からこの館の執事になった、瀬名風吹だよ。」

 

「そうなんだ。あたいはチルノだよ!」

 

俺の勘が告げている、多分こいつはバカだ。

 

「こんなとこで何をしているんだ。」

 

「わかんない!」

 

屈託のない笑顔で言ってくる。まあここに来てから会った人?達は皆見た目の割りに大人びていたからな、なんか新鮮に感じる。

 

「ここに住んでるの?」

 

「あたいは湖に住んでるの!」

 

湖か。じゃあ何故ここにいる。

 

「そっか、じゃあ気を付けてね。」

 

「うん!」

 

元気な声で返事をすると何処かへ行ってしまった。良かった、ただでさえ今日は疲れているのにこれ以上は疲れたくない。

 

「これは……。」

 

ただ、あの少女が所々に残した氷の塊は僕が片付けないといけないんだろうな……。

 

 

 

 

「今日はどうでしたか?」

 

あの後、掃除が終わって帰っている途中で会った咲夜さんが聞いてくる。

 

「そうですね……。疲れました。」

 

「まあ皆さん個性的な方が多いですからね。」

 

本当に。これは愚痴ってもいいのだろうか。

 

「まあ、今日はお疲れ様です。お部屋で待機して頂ければお食事お持ちしますよ。」

 

「すいません、ありがとうございます。」

 

食事のことを意識すると、お腹が空いて来た。やはり思ったよりも疲れているらしい。

 

「あの、咲夜さん。」

 

 

「何ですか?」

 

 

「明日はこの屋敷の中を見て回っても良いですか?まだこの屋敷のことあまり知らないので。」

 

 

「なら明日わたしが案内しましょうか?」

 

 

「本当ですか、お願いします!」

 

そろそろこのやたら広い屋敷の構造を把握した方がいいだろう。

 

「じゃあ明日はお願いします。」

 

 

「はい、わかりました。」

 

挨拶を交わした後、自分の部屋に戻る。ベッドに倒れこむと、寝るつもりは無かったが、意識が遠退いていく。そんな中、明日は今日よりも疲れませんように、と僕の中でかなり信用度が下がっている神様に祈った。

 




ちょっと早めに投稿しました。この調子で早めに紅魔館メンバー全員と絡ませたいです。
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