剣姫の弟ですが何か 〜ジャガ丸君の好みは豚キムチ味〜 作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
薄暗い迷宮、そこで一人の少年が異形なモンスターと戦闘を繰り広げていた。
黒いコートに黒いブーツ。
漆黒の刃が振るわれる度に金色の髪が揺れる。
「キシャァァァ!?」
少年の背後に巨大な蟻型のモンスターが現れ襲いかかる。
しかし、少年が一睨みすると蟻型のモンスターは金縛りにあったかのように動きを止めてしまった。
「ふん!」
動きを止めたモンスターを漆黒の刃が襲う。
辺りのモンスターは倒してしまったせいか少し静かになった。
漆黒の片手直剣を鞘に収めモンスターを倒した事で落ちた魔石を拾う。
「試し斬りも終わったしそろそろ帰るかな」
少年は出口へと向かっていった。
この迷宮はダンジョンといって世界に唯一存在している。
ダンジョンを中心に栄えてる都市がオラリオ、ダンジョンを夢見る冒険者達で賑わっている。
冒険者とは面白さを求めて下界した神々の眷属となり恩恵を与えられダンジョンへ潜る者の事だ。
神の眷属………言わば冒険者と神のコミュニティーをファミリアと呼ぶ。
そしてこの少年、レオンハルト・ヴァレンシュタインもその冒険者という奴だ。
「うわ〜〜、すっかり暗くなったな。
今日は宴会だって言ってたな、早く行かないとロキ様に怒られるよ……」
小走りで目的地へと向かう少年。
少年が所属しているのは神であるロキが率いるロキファミリアだ。
ロキファミリアというのは冒険者が集まる都市オラリオに置いて一二を争う巨大派閥だ。
昼夜問わず人通りが多いメインストリートを駆け抜け目的地へとたどり着く。
豊穣の女主人という看板が掲げられた居酒屋だ。
オラリオで最も人気の有る飲食店の一つだ。
店のドアを潜ると店内は喧騒に包まれていた。
「あー!やっと来たんかいな。
主役遅いから先に始めてしもーたで」
朱色の髪が目立つ麗人もとい麗神である主神のやや呂律の回っていない出迎えに笑みを浮かべながら店内に入る。
ロキの他にもロキファミリアの幹部クラスが勢揃いしていた。
「やぁレオン。
試し斬りにしてはエンジョイし過ぎたようだね。
ともかくランクアップおめでとう」
見た目は少年だが実年齢が40を超えているというナイスミドルな男性。
小人族〈パルゥム〉のフィン・ディムナだ。
レベル6の猛者にしてロキファミリアの団長を務めていて通り名は勇者〈ブレイバー〉、優しく頼れるお父さん。
「こんな時間までダンジョンに潜るとは流石アイズの弟だ。
ホラ、丁度料理が運ばれたぞ」
容姿の美しさは神にも届くと言われるエルフの王族出身である副団長、リヴェリア・リヨス・アールヴ。
フィンと同じくレベル6で通り名は九魔姫〈ナイン・ヘル〉、ロキファミリアのお母さんポジだ。
「ガハハハハハ!!強くなる事に貪欲なのは結構じゃろ!!」
ロキファミリア最古参のメンバーでオラリオ随一の怪力を誇る男。
ドワーフのガレス・ランドロック、通り名は重傑〈エルガルム〉。豪快なおじいちゃん的存在。
「レオンの癖に私達を待たせるなんて生意気ね」
「やっはろー!レオン」
やや露出度の高い服を着る褐色の姉妹。
アマゾネスのティオネ・リュヒテとティオナ・リュヒテだ。
レベル5の冒険者で通り名はそれぞれ
怒蛇〈ヨルムンガンド〉と大切断〈アマゾン〉。ロキファミリアのムードメーカー兼ベートお仕置き担当。
「けっ、ようやくレベル2かよ。訓練とか手伝ってやった俺に感謝しやがれよレオン」
銀色の狼を思わせる風貌の獣人、厳密には狼人〈ウェアウルフ〉のベート・ローガ。
レベル5の冒険者で通り名は凶狼〈ヴァナルガンド〉、ロキファミリアのツンデレ担当。
「……遅いから心配した、だから今度ジャガ丸君買って」
冒険者の中でトップクラスの剣技を誇り女流剣士最強との呼び声も高い美少女。
アイズ・ヴァレンシュタイン、レオンハルトの姉にしてレベル5の冒険者。
通り名は剣姫、ロキにとっての天使でありジャガ丸君狂気〈ジャガ丸ジャンキー〉だ。
オラリオでも有名な冒険者が集まったロキファミリア。
フレイヤファミリアと並んでオラリオの看板ファミリアだ。
「それじゃあ、レオンも来たことやし改めて…………ランクアップおもでとぉぉぉぉぉぉあ!」
そのあと閉店時間ギリギリまで飲み続けたロキファミリア。
調子に乗ったのか酔っ払ったせいか皿を割りまくったベートが店主であるミアの逆鱗に触れ店の掃除と後片付けをやらされていた。
ベートが帰ってきたのは次の日の昼頃だっそうな…………………
よろしくお願いします。