剣姫の弟ですが何か 〜ジャガ丸君の好みは豚キムチ味〜   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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アイアムガネーシャ

「リューさん、リューさん!!何食べます!?

 

焼きそば………たこ焼きにお好み焼き………凄いですよ、見た事無い食べ物がいっぱいあります!!」

 

 

極東の食文化はオラリオとは異質なものだ。

 

米と呼ばれるものや豆を原料にした調味料などを用いて作る料理は和食と呼ばれオラリオでも人気を博している。

 

レオンハルトは別段、食関して大した拘りは無いがタケミカヅチファミリアでご馳走になった極東の料理に惚れ込んでしまいそれからというもの極東文化に染まり気味なのを主神であるロキから懸念されている。

 

レオンハルトが扱うクナイも螺旋丸も飛雷神の術も極東出身者である男から受注したクエスト報酬として授けてもらったのだ。

 

 

「自来也先生もこういうの食べてたのかな?」

 

 

「自来也先生?初めて聞く名前ですね」

 

 

「今の僕の戦闘スタイルがあるのはその人のお陰なんです。

 

クエスト報酬として修業をつけてやるって言われて………まぁそれからステータスもかなり上がるようになってランクアップも出来たって感じですね」

 

 

「なるほど、自来也さんとレオンさんは師弟の関係だったんですね。

 

それよりも驚きなのは魔法を他人に教えるなど出来るのですね」

 

 

灰色の髪をした可愛い同僚ならばもっとそれらしい………男女の会話らしい事などしてしまうだろう、何故自分は不器用にも堅苦しい話しか出来ないと嘆くリュー。

 

しかし、それを悟られてはいけない。

 

ポーカーフェイスに徹して会話を続けるリュー。

 

 

「まぁリューさんは強いし信用出来るから話すけどその二つは魔法じゃない。

 

自来也先生との修業で得たスキル……忍者戦士【ニンジャ・ウォーリアー】っていうまぁ俺だけの固有スキルの副産物なんですよ。

 

忍者としての知識や技術、素質と言ったモノが付与されて終いにはチャクラと呼ばれる魔力とは別のエネルギーまで手に入れてしまう始末なんですよ」

 

 

オラリオの神は娯楽を求めている。

 

人であれ、物であれ面白ければそれでいい。

 

冒険者のステータスなんて格好の的だ。

 

 

「辞めなさい、何処で誰が聞いてるかも分からないのに。

 

そしてそれを私に話す理由も明確じゃない」

 

 

何時のにか仕入れていた焼きそばを啜りもう片手にはたこ焼きとお好み焼きが無造作に置かれた紙パックを持っている。

 

 

「もへはふゅーはんふぁふぁれふよ」

 

 

「口にものを入れながら話すのはマナーが宜しくない。

 

飲み込んでから話しなさい」

 

 

「それはリューさんだからですよ。

 

リューさんは他人の秘密を話すような事はしないでしょう。

 

根拠が知りたいなら教えます、まずエルフの血がそんな下衆な行動を許さない、エルフとしての誇りがそれを良しとしない」

 

 

エルフは高潔で誇り高い。

 

だが自分が認めたもの以外は視界に映る有象無象としか捉えない傲慢さがある。

 

リューはそんなエルフの血を嫌ってこのオラリオまで来ている。

 

しかし、目の前のレオンハルトはそれを知っている筈なのにやれ血だやれ誇りだと言う。

 

自身でも好意を寄せていると実感しているのに嫌な苛立ちが渦巻く。

 

結局お前もそうなのか、エルフとしてしか私を見ないのか………と。

 

怒りと言うより裏切られて湧いた悲しみという方が正しいのかもしれない。

 

 

「そして何より、リュー・リオン本人が俺を裏切る筈が無い」

 

 

「へ?」

 

 

随分と間の抜けた声が漏れてしまった。

 

目の前の少年はリューに絶大な信頼を置いている。

 

先程までの怒りや悲しみは何時の間にか喜びと羞恥に変わっていた。

 

気が付けば心拍数も隣のレオンハルトに聞こえるのではというくらいに大きくなっていた。

 

同僚に無理矢理読まされたラブロマンスの物語の一場面とすごく似ていた。

 

その事に少し胸が踊るリュー。

 

 

「まぁ…………俺が勝手に思ってるだけなんですけどね」

 

 

たこ焼きや焼きそばは胃袋へイリュージョンされている。

 

その空いた手で恥ずかしそうに頬をかく。

 

その表情にリューは不覚にも可愛いなどと思ってしまった。

 

リューは自身より頭一つ分高いレオンハルトの顔を両手で挟んで無理矢理向かせる。

 

 

「レオンさん………それは勘違いなんかじゃない。

 

私は貴方を裏切らない、何時でも何時迄もこの魂が朽ち果てようとも一生信じ守ります。

 

だから貴方も約束してください」

 

 

お互いの顔の距離はゼロ距離に近い。

 

リューの青く澄んだ瞳がレオンハルトの金色の瞳を真っ直ぐに捉える。

 

 

「なんやなんや〜〜、レオンお前さん最近やたら出掛けとると思ったら彼女に会うてたんかい」

 

 

「な!?ロキ様!?」

 

 

ゼロ距離の2人の間をこじ開け顔を割り込ませるロキ。

 

その後ろには苦笑いをしているリズベットとニタニタ笑っているアマゾネス姉妹。

 

 

「しかもミア母ちゃんのとこの子かいな〜〜、こりゃ式は盛大にせんとあかんな〜〜」

 

 

「プクク、これはあのギルドのアドバイザーさん泣いちゃうね〜〜」

 

 

「はぁ!?なんで其処でエイナさんが出てくんだよ、その肌と一緒にアホ丸出ししてんじゃねぇよバカゾネス!!

 

そもそも俺とリューさんは付き合ってなんかな………………」

 

 

同意を求める為にリューの方を見ようとするレオンハルト。

 

しかし予想していたリューの姿とは全く違っていた。

 

 

「あ、あう………わたしとレオンさんがこ、こここここいびっ……あばばばばばば」

 

 

顔を真っ赤にさせ完全に壊れていた。

 

普段キリッとしていて何事にも同時無さそうなリューだったがその姿は見る影もない。

 

これ以上絡まれたら大変な事になる。

 

ロキが手に持っていた串カツを掠め取り壊れたリューを抱えその場から逃げ出す。

 

 

「あーっ!!その串最後の一本やねんぞ!!レオン帰ったら覚えとけよぉぉぉぉお!!」

 

 

ロキの悔しがる表情を尻目に串カツの美味しさを味わいながら脱兎の如く走り抜ける。

 

暫く走ると其処はオラリオ全体が見渡せる高台だった。

 

その頃には壊れたリューも復活していた。

 

 

「レオンさん本当にすいません」

 

 

まだ熱が収まらないのか顔が少し赤い。

 

 

「それにしてもこの景色は素晴らしい。

 

こういうのを見るとオラリオに来て良かったと思える」

 

 

若干顔の赤いリューが花のように微笑む。

 

それを見て反応しない男はいない、いたら何かしらの病気としか思えない。

 

 

「(心拍数が上がりっぱなしだ、彼の言動一つ一つに心が躍ってしまう。

 

この情景、心拍数、雰囲気。

 

ここは言うしかないのでしょうか)」

 

自身の心に問うリュー。

 

心の中の同僚は行け、言え、押し倒せと暴れまわる。

 

 

「また、この景色を見てくれますか?

 

ずっと私の隣で笑っていてくれますか?」

 

 

そう言ってレオンハルトの方を見ると…………………

 

 

「………………」

 

 

何故か寝ていた。

 

確かにはしゃいだり追い回されたりと疲れたかもしれないが寝るのは今じゃなくてもとちょっとしたイライラが募る。

 

しかしそういう所も可愛いのかもしれない。

 

 

「大好きです、レオンさん。

 

リュー・リオンはレオンハルト・ヴァレンシュタインを愛しています」

 

 

そう言って瞳を閉じているレオンハルトの額に軽い口付けをする。

 

その後目覚めたレオンハルトはリューと挨拶を済ませホームへと帰っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞こえてるってリューさん………」

 




うん、書いてみたけど言うほど甘々なラブコメは書けなかったw

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