剣姫の弟ですが何か 〜ジャガ丸君の好みは豚キムチ味〜   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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小話『リヴィラ』

リヴィラの街、それは第18階層に存在する冒険者の街である。

 

武骨な冒険者達が作り幾度となく破壊されてきたがその度に作り直されてきた。

 

物価は高く質も良いとは言えないが冒険とは消費が激しい、だから高くても品質が低くても元がとれるのだ。

 

 

「くっ、ベル君と二人のデートの筈が………………何でこんな大所帯に」

 

 

ティオナ、ティオネ、アイズのロキファミリアとベル救出隊とベル達という随分な大人数で街に繰り出していた。

 

ヘスティア自慢のツインテールも残念がっているのかしおしおしている。

 

 

「高ぇ!!この砥石が一万三千ヴァリス!ありえねぇよ」

 

 

「くっ、このサポーターバッグぼったくり過ぎますよ全く…………」

 

 

初めてのリヴィラの常識という壁の前に驚くヴェルフとリリルカ。

 

 

「じゃーん!!どうだベル君」

 

 

ヘスティアは何処から捻り出したのか無駄に高い香水を振りまきながらベルに近づく。

 

ベルはその臭いを嗅いで素直に褒める、しかし香水なら地上の方が安く品質も良いものが買える。

 

ヘスティアのお金の管理能力を疑ってしまう。

 

 

「ヘスティア様は経済観念のかけらもありませんね」

 

 

どうやらリリルカの意見と俺の意見は同じようだ。

 

その言葉にヘスティアはツインテールをわさわささせながら対抗する。

 

 

「む!?サポーター君だってそのバッグを買ったじゃないか」

 

 

「これは必要なので仕方なくです!!」

 

 

「ボクだって仕方なくさ、乙女の嗜みだよ!!ベル君もレオン何某君も汗臭い子は嫌だろう?」

 

まだ俺の名前を覚えてないのかよヘスティア様…………………

 

ベルはハハハと苦笑いしか出来ない。ここでヘスティアを味方すればリリルカが怒り、リリルカを味方すればヘスティアが不機嫌になると分かっているからだ。

 

 

「まぁ度合いによりますけど基本的にはそういう所に気が回せない人は嫌ですかね、まぁ散財癖が強いのも困りますけど」

 

とまぁ、当たり障りのないコメントをする。

 

その時チラリと見えたリューさんが自分の臭いを嗅いでベースキャンプへ戻っていく姿が見えた。

 

リリルカとヘスティアは喧嘩している猫のように牽制しあっている。

 

最近はこの2人が姉妹だったりするのではと思ったりする。

 

それを見た賢い方のアマゾネス、ティオネが水浴びに誘う。

 

それに快く了承するヘスティア、そしてやはり乗ってくる命。

 

 

「やぁ、レオン君にベル君。

 

キャンプに戻ったら時間を貰えるかな」

 

 

ヘルメス様に肩を組まれるがここで逃げないと何か面倒ごとに巻き込まれる。

 

 

「すいません、ヘルメス様俺ちょっと忙しいんで失礼しますね」

 

 

そう言って腕を振り解き走って街を抜けた、まぁこれで面倒ごとは回避出来た筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、迷った…………」

 

 

絶賛迷子なうだ。俺だって18階層は初めてだ迷うのは仕方ない。

 

別に俺は悪くない。

 

飛雷神の術用のクナイはベースキャンプに置いてきたか自力で戻る事は不可能。うっかりしてた訳じゃない、決してうっかりしていない。

 

ともかくどうしようも無いので森を歩き続ける。

 

すると少し離れた所で水音が聞こえた。

 

走ったり動き回ったりで汗もかいてた所だ、丁度良い汗を流そう………なんて軽い気持ちで水音のする方へいった。

 

だが考えても見てくれ、滝でも無い限り水音などするはずが無い。

 

つまりは……………………

 

 

「………………」

 

 

若葉色の髪に女神でさえ霞む程の綺麗な肌をしているエルフ、リュー・リオンが水浴びをしていた。

 

絵にする事が出来たらどれ程の価値がつくのか、なんて考えてしまうくらいに美しかった。

 

そして俺の後ろに誰かの気配を感じた同時にそいつが枝を踏み折ってしまった。

 

 

「誰だ!?」

 

 

リューさんは石を投げてきたのだがレベル4の膂力で投擲された石はもはや弾丸に等しい。

 

 

「ベリンゲイ!?」

 

 

俺の後ろにいた奴はベルだったのだがリューさんの投擲をモロにくらい倒れ込んでしまった。

 

 

「クラネルさんに…………れ、れ、れれれれれれレオンさん!?な、ななぜここに?

 

というより見ないでください、恥ずかしいです」

 

 

「あ、ごめんなさいリューさん。

 

道に迷ってたらここに行き着いてそのあとは思わず見惚れちゃってて…………」

 

 

神様級に鋭いリューさんの事だから下手な事を言えばハートキャッチプリキュア(物理)である。

 

ここは正直に言うべきだろう。

 

 

「そ、そうですか事情は理解しました。

 

そしてその言葉は褒め言葉として受け取ろう(まだ私の身体にも魅力があったようで良かった)」

 

 

リューさんが着替えるということで背中を向けていたせいで表情はわからなかったがどうやら俺の体がスパーキングする事もないのは分かった。

 

その後、起きたベルと三人で元アストレアファミリア団員の墓に花を添えてベースキャンプへと戻った。

 




と言うわけで久々の更新。

なんかざっくりし過ぎたなとは思います、本当ごめんなさい。

実はまだ対ゴライアスとの決着について考えがまとまっていなくて書き出せない状況が続いています、ごめんなさい。

すぐに結論を纏め早めに更新出来るようにしたいです

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