剣姫の弟ですが何か 〜ジャガ丸君の好みは豚キムチ味〜 作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)
ゴライアスとの戦闘は激しさを極めた。
ちまちま攻撃してもということで初撃からスターバーストストリームを打ち込んだり螺旋丸を打ち込んだりと大技を連発した。
17階層で戦ったゴライアスよりも強いらしく大したダメージにならないうえ、傷もすぐに再生してしまう。
「須佐能乎ォォォォォォォォ!!」
後でリヴェリアに怒れられるだろうけどここで使わないと勝てないしね、いきなり完成体で右ストレートを打ち込む。
「ゴァァァァァァァァアアア!!」
「ベル!!今から俺が先輩として英雄の姿ってもんを見せてやる、姉貴と並びたいなら英雄になりたいならその目によーく焼き付けとけぇえ!!」
聞こえているかは分からない。
だが同じ目標……いや、夢を追う仲間として先輩としての姿を見せるべきだ。
二本の剣を顕現させゴライアスの正面に立つ。
ゴライアスは突然自分の前に現れた同サイズの敵に警戒をしていた。
「(今回は準備無しの完成体だから持続時間もかなり短い………早い所倒さないと)」
飛ぶように駆け一瞬でゴライアスに接近する。
ダンジョンで生まれその膂力のみで戦うゴライアスとは違い俺には積み上げてきたモノがある。
「スターバーストストリーム!!」
一撃、二撃、三撃、四撃………と早く剣を振り抜く。
ただゴライアスの再生力が尋常じゃない為斬った傷もすぐに治る。
渾身の16連撃も意味もなさない。
スターバーストストリームは16連撃という連続技である為発動した若干のインターバルが存在する。
そう、今はそのインターバルで無防備なのだ。
「ゴァァァァァァァァァァァ!!」
ゴライアスが振り下ろした拳が動けない須佐能乎の顔の部分を捉えられヒビが入ったのを感じる。
そのまま地面に叩きつけられバウンドしたところをサッカーボールの如く蹴り飛ばされる。
蹴られた瞬間に須佐能乎は砕け俺はゴライアスの蹴りをモロに喰らい宙に浮かぶ。
そしてそこにゴライアスの容赦無い咆哮〈ハウル〉が俺を襲う。
「ルミノスウィンド!!」
咆哮のチャージ中にリューさんが得意の広範囲高火力魔法であるルミノスウィンドを背後から発動した事で咆哮が当たる事は無かった。
しかし、スターバーストストリームでさえ効かなかったゴライアスにルミノスウィンドで削りきる事は出来ず
「ゴァァァァァァァァァァ!!」
背後からの攻撃を鬱陶しそうに裏拳………大振りなバックハンドブローを放つゴライアスが魔法を発動しているリューさんが狙われているのを見た。
「はぁぁぁぁあ!!鬼斬りぃぃぃぃぃ!!」
「れ、レオンさん!?」
あらかじめリューさんを始めある程度の仲間にはマーキングをしていたから飛雷神の術でリューさんの所まで移動しリューさんが持っていた木刀を口に咥え三刀流の剣技を放つ。
「(ハハッ、冗談じゃねぇよ。筋肉という筋肉がブチブチ千切れていきやがる。でもリューさんを守れるならこれくらい!!)ぉぉぉぉおおおおおお!!!」
普通のモンスター、人間ならこの技を喰らえば確実に吹っ飛ぶのだが絶対的な攻撃力の違いで俺は吹っ飛ばされてしまう。
「貴方は馬鹿なのですか!?彼処で私をかばったばかりにこんなダメージを負って!!それに昨日も須佐能乎を使っていたのに貴方はどれだけ自分を苦しめれば気がすむ!?」
本当なら目が見えない筈だがエリクサーのおかげでぼんやりとだがリューさんが見えた。
須佐能乎の反動はリヴェリアの治療とエリクサー使ってやっと治るレベルだからな。
冷静沈着なリューさんの怒った所は初めて見たかもしれないな…………
「怪我なんてポーションやら魔法やらで幾らでも治せる。
それよりもリューさんが傷つく事は耐えきれないんですよ」
「それでも!!例え貴方がは私を想い、仲間を想った故の傷であるとしても許す事は出来ない!!
貴方は………………貴方は………………」
リューさんは外していたフードをかぶり直し再びゴライアスの方へと向く。
そして小太刀を構え
「大切な人だから」
全力で駆けた。
本来ならもう少し長く書くつもりだったけどゴライアス戦は2話くらいに分けたいなという俺の身勝手ですわw
はい、リューさんの告白(?)が出た所で今回は終わりました。
ヒロインはリューさんだけどエイナさんの振られるフラグが立ってしまったので後で回収します。