剣姫の弟ですが何か 〜ジャガ丸君の好みは豚キムチ味〜   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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重鎧vs.剣雄

「はぁはぁ…………はぁ………」

 

 

「ガハハハ!!どうしたレオン、もう疲れたか!?」

 

 

戦闘を初めてかれこれ二時間が経つ。

 

外傷は目立たないが全力で戦い続けたレオンハルトは肩で息をするくらいスタミナを消費していた。

 

レオンハルトの得物のエリュシデータとダークリパルサーは片手剣にしてはかなりの重量がある、二本合わされば大剣と変わらないくらいだ。

 

ガレスの斧はそれ以上に重い筈なのだがガレスはまだまだ余裕が見られる。

 

 

「来ないならこっちから行くぞぉ!!」

 

 

物凄いスピードでレオンハルトに接近そして、飛び上がりながら斧を振り上げ力任せに振り下ろす。

 

 

「く、ぐぅぅぅぅあぁああああ!!」

 

 

咄嗟に剣をクロスして受けるがガレスの腕力と体重の乗った一撃はゴライアスの攻撃とは比べる迄もない。

 

 

「(んだよこれ………体中の骨が軋んでやがるぞ。ていうかエリュシデータとダークリパルサーが耐え切れるかも怪しいぞ!!どんな怪力だよ!!)」

 

 

エリュシデータもダークリパルサーもだがゴブニュファミリアの上級鍛冶師が鍛えたものでそこら辺の武器とはモノが違う。

 

そんな名剣ですらギシギシと悲鳴をあげる。

 

レオンハルトは元々ファミリアを抜け出したかった。

 

ファミリアが嫌いという訳では無い、ロキファミリアだからとか剣姫の弟だからという声に嫌気がさしていたのだ。

 

今回の戦争遊戯をふっかけたのはファミリアを抜け出す良い機会だと思った。

 

どのみちあの状況ならレオンハルトが言わずともヘスティアが宣言していた。

 

友を助ける為でもあるが1番の理由はファミリアからの脱却。

 

エゴ、自分勝手な考えだ。

 

体中の骨や筋肉が悲鳴をあげ潰れていく地獄のような中でレオンハルトは己のエゴさに呆れこのままファミリアに居るからこの空間から解放されないのかと言いたくなる。

 

 

『いいかレオン、英雄になりたいと言うなら自身の言葉は何処までも貫け。

 

賛同も無く否定されても貫き続けた先にきっと………きっと必ずお前の見たい景色が広がっている。

 

冒険者という道は辛く険しい事が多い………いや寧ろそればかりだ。

 

だが自分自身で選んだ道だ、絶対に諦めちゃいけない。

 

もしも辛くなった時は叫べ、お前の熱い魂を!!』

 

 

かつてレオンハルトを鍛えた恩師からの言葉。

 

レオンハルトが剣術というオラリオ史上初のアビリティを開眼するきっかけとなった人物。

 

一瞬、ほんの一瞬でも諦めようとした事に腹が立った。

 

 

「ぉぉぉおぉぉぉおぉぉぉおらぁっ!!」

 

 

「む?おぉ!!」

 

 

力任せに斧を弾きかえす。

 

瞬間、無理が祟ったのか二本の剣は砕けてしまった。

 

 

「(すまん、リズ…………)いっくぞぉぉぉお、螺旋丸!!」

 

 

魔力が具現化する程に練り上げその魔力が球体という形を形成する。

 

その球はレオンハルトの魔力を螺旋状に高速回転させその大きさを増していく。

 

斧を弾かれた事で無防備になったガレスの腹部に鎧の上から叩き込む。

 

 

「吹っ飛べぇぇぇぇぇぇぇええ!!」

 

 

螺旋丸の威力に思わず吹っ飛ばされるガレス。

 

螺旋丸が当たった所は砕けている所を見ると生身で受けたら身体に風穴が空いて通気性抜群になってしまう。

 

そんな事を考えたら面白くなるガレス。

 

 

「ガッハハハハ、良くやったぞレオン。

 

しかしどうする?ワシの武器は健在だがお前の武器は壊れてしまったろう。だからこの勝負は…………って何を笑っとる」

 

 

「いやいや、もう勝ったと思われてるなら面白いなって………………まだ終わって無いですよ」

 

 

螺旋丸により吹っ飛ばされた事でガレスとレオンハルトの間にはそれなりの距離がある。

 

普通パワー型のガレスの間合いに飛び込もうものなら身体はバラバラになってしまう。

 

幾ら恩恵の影響で死にかけでも助かるとは言え息子的存在を斬りたくは無いガレス。

 

 

「何を言うてお「フン!!」グハァッ!!」

 

 

一瞬でガレスとの距離を詰めガレスの顎を蹴り上げる。

 

そう、レオンハルトには飛雷神の術がある為マーカーさえ付ければ距離なんてものは関係無い。

 

螺旋丸を撃つと同時にガレスにマーカーを付けておいたのが功を奏した。

 

打ち上げられたガレスに影舞葉といって相手を木の葉に見立て追尾する術で背後にピタリとつく。

 

 

「行くぜ…………」

 

 

そこからレオンハルトは蹴り、裏拳、ラリアットを高速で撃ち込み地面に叩き落とす。

 

 

「これで終わりだ、獅子連弾!!」

 

 

そしてトドメとばかりに落下に合わせ体重の乗った踵落としを叩き込む。

 

ランクが一つ違うだけで冒険者の身体能力は大きく変わる。

 

ガレスとレオンハルトはランクが二つも違う………幾らガレスが油断したとは言え奇跡を起こした。

 

レオンハルト・ヴァレンシュタイン【剣雄】がガレス・ランドロック【重鎧】を倒したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ分かったわ、勝ったことやし改宗は認めたる。

 

けど幾つか条件をつけるで。

 

まず一つ、ファミリアが変わろうがあんたはウチの子や、せやから週に一度は顔出せや

 

二つ、レオンが自分に自信を持てる………レオンハルト・ヴァレンシュタインに自信を持てたと思うなら戻ってきいや」

 

 

「分かりました…………」

 

 

それから3日後レオンハルトはヘスティアファミリアに加入した。

 

しかし改宗そのものはロキとヘスティアの喧嘩により五時間ぐらいかかった。

 




レオン君や…………剣雄名乗っといて体術で倒すとかwwwww

あ、みなさんレオン君が変に情緒不安定だったりエゴイストなったり色々キャラがぶれますがそれは15歳という年齢故です。

思春期なんです、許してあげてください!!

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