剣姫の弟ですが何か 〜ジャガ丸君の好みは豚キムチ味〜   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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クリスマスとは関係無いけど洒落た事したくて投稿しました最終回ですたい。





聖夜の奇跡

光り輝くクリスタルが群生しモンスターと冒険者のレストルームとなっている18階層、そこには数柱の神と多数の冒険者がいた。

 

通常神々はダンジョンに潜る事が出来ない……………というよりイレギュラーが当然のダンジョンに神を潜らせる訳にも行かないし潜ったら潜ったでどんなイレギュラーが起きるか分からないのだ。

 

しかし、オラリオにいる神々の纏め役であるウラノス自らダンジョンに入って祈祷をする事で18階層は平穏を保っている。

 

リヴィラの街にある宿屋の一室待機している冒険者達はそうそうたる面々だった。

 

 

「しっかし結婚式をわざわざダンジョンで挙げるなんざ凝ってるよな」

 

 

赤髪に着流しというスタイルで武具を作る鍛治師としても冒険者として一級線にいるレベル5『不冷魔剣〈イグニス・クロッゾ〉』ヴェルフ・クロッゾ。

 

 

「黙れよ鍛治野郎、お前は黙って鉄でも叩いてろよ…………まぁレオンの為だから俺は大人しくしといてやるよ」

 

 

銀髪の狼人、オリラリオ最強派閥のロキファミリアに所属しているレベル5『凶狼〈ヴァナルガンド〉』ベート・ローガ。

 

互いの胸ぐらを掴み会い眼を飛ばし合っているが周りにいる連中からしてみれば何時もの事なので顔色一つ変えない。

 

 

「ったく、なんでヴェルフは何時もベートさんに喧嘩腰なの?

 

出来ればベートさんも大人しくして欲しいですよ」

 

 

白髪赤目で兎のような容姿をしている少年、オラリオの冒険者に関するあらゆる記録をぶち抜き今では世界にその名を轟かしているレベル7『英雄〈アルゴノゥト〉』ベル・クラネル。

 

ベートとヴェルフの喧嘩は毎度ベルが仲裁役を担っている。

 

この三人の他にも『勇者〈ブレイバー〉』フィン・ディムナや『重鎧〈エルガレム〉』ガレス・ランドロックや『指揮者〈コンダクター〉』ラウルといった一級冒険者が集まっている。

 

 

「ははは、みんな主役を忘れて騒ぎ過ぎだよ。そうだよね、レオン?」

 

 

フィンがタキシードに身を包んでいるレオンハルトが緊張した面持ちで静かに座っていた。

 

 

「静かにされてるより落ち着くよ、それにしてもみんな本当に仲良くなったな」

 

 

「ここ半年くらい毎月のように戦争遊戯をしていればそれは互いの事も知るようになるさ」

 

 

ベルとヴェルフ、そしてここには居ないがリリルカもヘスティアファミリアの冒険者は全員が上位ランカーとなり志願者が増え今では最強派閥の一角に名を挙げるまできていた。

 

子ども想いのヘスティアとロキは毎月のように戦争遊戯をしている。

 

レオンハルトを取り合った勝負なのだが毎度引き分けになり盛り上がるのでギルドは恒例行事にしちゃう?みたいなノリになっている。

 

中でもベートとヴェルフ、アイズとベルとカードは大人気で物凄い量の金が動いていると言われている。

 

最強派閥といっても精力的に劣るヘスティアファミリアがロキファミリアと拮抗出来ているのは紆余曲折あり五年前に新加入した『疾風』ことリュー・リオンの働きが大きい。

 

ブラックリストに載っていたリューだがミィシャとエイナ、それにつられ男性職員及び一部の冒険者と阿呆な神々による必死の説得でブラックリストから疾風の名前が消えた。

 

 

「ちょっと邪魔するよ」

 

 

「ミアさん、どうしたんですか?」

 

 

リューの勤めている豊穣の女主人の店主であるミアが入り口に立っていた。

 

ドワーフというだけあってその迫力は本物であり一級冒険者のレオンハルト達でさえ睨まれたらビビる、超ビビる。

 

 

「とある神から聞いた話なんだけど…………娘が結婚する時にその親族は相手を一発ぶん殴るという風習があるそうでね」

 

 

握り拳を掲げ大きく振りかぶるミア。

 

その姿を見てレオンハルト以外の一級冒険者は下手に手を出すと巻き込まれるので静かに十字を切るしか無かった。

 

音の速さを超えた速度で向かってくる拳は鼻っ柱を見事に捉えそのまま陥没するのではという勢いでめり込む。

 

そしてレオンハルトはゴルフボールよろしくな勢いで吹っ飛んでいった。

 

幾らそういった風習があったとしてもこれは明らかにオーバーキルだ。

 

 

「っち、しゃーねーな」

 

 

ベートはポケットからポーションを取り出すとレオンハルトの顔面にむけ思いっきり叩きつけた。

 

そして何を思ったのか十何本ものポーションをとり出し次々にポーションをぶつける。

 

 

「ゥエヒヒヒ、ッエーイ!!レェェェェオンくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」

 

 

ベートの頭の中の何かが一方通行してしまった。

 

待機室はただのカオスからカオスという言葉すら形容に成らない異様な空間と成り代わった、その原因を作ったミアは一発殴ったおかげで満足したのかこれでもかというドヤ顔で式場へ向かうのだった。

 

その後ベートの献身的?な治療により何とか復活したレオンハルト。

 

時間も近いという事でベル達は急いで式場へ向かって行った。

 

 

「ふっ、剣雄ともあろう者が情けない姿だな。

 

これが噂に聞くマリッジブルーというやつか」

 

 

背中に大剣を担いだ猪人冒険者、最強派閥フレイヤファミリア所属にしてオラリオ最強の冒険者〈猛者〉オッタル。

 

元々そこまでの面識は無い二人だが何回か刃を交わした事もあり会えば会話をするくらいの仲にはなった。

 

 

「うるせぇよバーロー。

 

喧嘩売りに来たならそのまま三三枚におろすぞコラ」

 

 

「今の腑抜けたお前に斬られる程俺は落ちぶれていない。

 

よく聞くがヒューマン…………いや人間というのは護る者が居れば強くなれると。

 

これでお前にも護る者が出来る訳だ、つまりより強くなったお前と闘えると思うと夜も眠れず昼間に寝ている」

 

 

「それただ夜更かしし過ぎて昼夜逆転してるだけだから!!ていうかお前もそういったボケかますんだな」

 

 

オッタルの言葉は九割が本音だった、しかし彼なりに気を利かせて言った冗談が思いの外良い反応とは言えなく少し落ち込むオッタル。

 

自身の主神にも日々言われている、無表情過ぎて冗談が伝わらないと。

 

どんなに肉体を鍛えようともどんなに技を磨こうともギャグセンスが向上する事が無かった。

 

 

「別にマリッジブルーでも何でも無いから心配すんなよ、シュールで逆にイケるぜ?

 

次会う時は遺書でも書いてこいよ」

 

 

「抜かせ、お前こそ少ない遺産の相続人を探しておけ」

 

 

拳を合わせ待機室を後にするレオンハルト。

 

この後リューとレオンハルトの式は何事も無く済んだ。

 

互いに摑み合い子供達に止められているヘスティアとロキ、互いの襟を摑み睨み合うベートとヴェルフ、さりげなくベートにボディブローをかますアマゾネス姉妹、その様子を見て大爆笑のガレスと頭を頭を抱えるリヴェリアとフィン。

 

何にも無かった、神父代わりのウラノスも平然と進めていたのだ、騒ぎなど無かった………………と思いたいレオンハルトであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式が終わり、リューのブーケトスを独身女性冒険者による争奪戦が起きたがリヴェリアが大人気なく全力であった為勝者はリヴェリアとなった。

 

その後の披露宴もそれなりに一悶着あったが無事に終わった。

 

騒ぎ疲れ皆が寝静まった頃リューとレオンハルトはとある場所にいた。

 

数種類の武具とユリが丁寧置かれた墓、そうリューのかつての仲間達の墓だ。

 

元々結婚式はオラリオの外れにある教会でやる予定だったのだが人生最高に幸せな姿を、自分はもう大丈夫だという姿を昔の仲間にみせてやりたいというリューたっての願いによりダンジョン内で行われたのだ。

 

 

「………………という事です、私は残りの人生は彼と共に歩みます」

 

 

墓の前で手を合わせながら淡々と今は亡き仲間へと語ったリュー。

 

レオンハルトはその隣でそれを聞いていた。

 

 

「良かったよ、リューさんの仲間にも報告出来てさ」

 

 

「はい、アストレア様にも報告はしていますから安心です」

 

 

「さてと、そろそろ戻ろっか?

 

彼奴らに抜け出してる事がバレたら面倒だしね」

 

 

リューの手を取りリヴィラの街へ戻るレオンハルト。

 

幸せな空間が二人の間には出来ていた。

 

レオンハルトもリューも思った…………何があってもこの手を離さない、二人の間に障害が立ち塞がるのならそれを乗り越えてみせると。

 

 

「リューさん」「レオンさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「貴方を愛しています」」

 

 

 

墓に置かれているユリが静かに揺れた。




前半に登場した二つ名はオリジナルです、五年もあればベル君たちもかなりのところに行くと踏んでつけました。

こんな感じで最終回を迎えるのは何処かクるものがありますがとりあえず嬉しいです。

次回作ですが中国語の補習アンド再試があり僕自身がめっちゃナーバスになっているのでもう少し先になります。

次回作のお知らせについては活動報告にてしますのでお楽しみに
短い間でしたがこの作品を読んでくれてありがとうございました、次回作で会いましょう

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