剣姫の弟ですが何か 〜ジャガ丸君の好みは豚キムチ味〜   作:万屋よっちゃん
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青い悪魔

「せやぁぁぁぁあ!!」

 

 

命が何体目かの蟻型モンスター、キラーアントを斬り伏せた。

 

レオンハルトも同様に斬り伏せていた。

 

レオンハルトと命が四日が経った。

 

 

「ふぅ、今日の稼ぎは期待出来るな」

 

 

「そうですね、レオン殿のお陰ですよ」

 

 

「俺はサポーター紛いの事しかしてねぇよ。

 

レベル1なのに11階層でここまで立ち回れたら充分すぎるぜ」

 

 

オラリオの冒険者の半数はレベル1だ。

 

その中で命の実力は間違い無くトップだ。

 

レオンハルトは目の前で鼻歌交じりに歩く命の成長ぶりを今更ながら実感していた。

 

そしてドンドン進んで行き11階層。

 

白い霧に包まれ迷宮の武器庫〈ランドフォーム〉と呼ばれていてモンスター達が使うネイチャーウェポンがそこら中にある。

 

三人、四人程度のパーティーがちらほらと見える。

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!せいやぁ!!」

 

 

「(何でこれでレベル2じゃ無いのかな…………)」

 

 

最早オーク如きでは命の相手にすらなっていなかった。

 

攻撃を避け、距離を取り、詰めて攻撃するヒットアンドウェイを徹底している。

 

何体か倒していたら何時の間にか昼時になっていた。

 

モンスターの波が収まったのか辺りは大分静かだ。

 

しかし、その静寂は最も簡単に破られる。

 

 

『ォォォォォオオオオオオオ!!』

 

 

慌てて雄叫びの方向を確認すると4足歩行のモンスターが見えた。

 

龍とよく似たそれは迷宮の孤王〈モンスター・レックス〉の居ない上層では事実上の階層主。

 

エンカウントする事すら稀有であるそのモンスターの名はインファントドラゴン。

 

 

「な!?インファントドラゴン!?」

 

 

パーティーが次々と逃げ出す。

 

倒せない事は無いだろうが無事では済まない。

 

インファントドラゴンの赤い目がレオンハルト達を捉える。

 

 

「おい、命俺に掴まれ!一旦飛ぶぞ」

 

 

「掛けまくも畏きいかなるものも打ち破る我が武神よ、尊き天よりの導きよ」

 

 

ターゲットをインファントドラゴンと定め魔法の詠唱に入る。

 

本来ならば直ぐにでも逃げるべきなのだろう。

 

いや、逃げるべきなのだ。

 

しかし、レオンハルトは事実上の階層主と向き合う命の目を見たら逃げるという選択肢は持てなかった。

 

 

平行詠唱の出来ない魔導師は敵にとって格好の獲物、インファントドラゴンもブレスの貯めに入る。

 

 

「こち向けアホ!」

 

 

クナイを目にめがけて投げる。

 

すると見事に命中して痛みを叫ぶインファントドラゴン。

 

そしてレオンハルトは右手に螺旋丸を準備しクナイの元まで飛ぶ。

 

そして頭上に螺旋丸をぶつける。

 

 

「今ここに、我が名において招来する。

 

天より降り、地を統べよーーー神武闘征!!!!

 

 

《フツノミタマ》!!!」

 

 

インファントドラゴンの頭蓋を半分以上削ったところで魔法が発動されたのに気づき間一髪逃げる事に成功するレオンハルト。

 

頭蓋を潰され動けなくなったインファントドラゴンの上には紫色の光剣が待ち構えていた。

 

そしてそれがインファントドラゴンに突き刺ささりふくすの同心円が現れインファントドラゴンを優に包む結界を構成する。

 

重力の結界だ。

 

 

『ォォォォォオオオオオオオ』

 

 

結界を壊そうにも頭蓋を潰されマトモに動けないインファントドラゴンは結界の重力に押しつぶされていた。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

込める魔力を最大限にする。

 

何とか耐えていたインファントドラゴンだが迫りくる重力に耐えきれず黒い煙を四散させ消えてしまった。

 

それを確認して魔法を消す命。

 

相当の魔力を消費したのか肩で息をしている。

 

魔法は魔力を使うのだが消費されるのは精神力。

 

満身創痍だったとはいえ上層最強のモンスターを倒す程の魔法を使った反動はデカイ。

 

 

「良くやった命、マインドポーション飲んどけよ」

 

 

精神力を回復するポーションを命に渡すレオンハルト。

 

命が回復するまで待って地上へ帰還しようと考えた。

 

 

「れ、レオン殿…………」

 

 

「おう、流石命だな」

 

 

「い、いえ後ろを…………」

 

 

何のことかと思い振り返ると思わず言葉を失った。

 

先程のインファントドラゴンよりもデカイ、大きさは10mぐらいか。

 

ミノタウロスのような筋骨隆々で青い皮膚で羊のような頭をしている。

 

その手には何故か5mぐらいの大剣を引きずっていた。

 

レオンハルトの飛雷神の術で人を飛ばす時、最大で術者含めて2人まで飛ばせる。

 

しかし、2人を正確に飛ばすにはその分の集中力と魔力と時間を要する。

 

詰まる所…………………

 

 

『ゴォアアアアァァァァァ!!』

 

 

咆哮と共に此方へ向かい走り出す化け物。

 

そう、間に合わない。

 

このままでは二人ともお陀仏と判断したレオンハルトは命だけを地上へと飛ばした。

 

そして抜剣し構える。

 

その巨躯に似合わない俊敏性で近づき巨剣を振り下ろす。

 

レオンハルトはそれを受け流し懐へ潜り込む事が出来た。

 

 

「我流剣術…………九頭龍閃!!」

 

 

剣を振るう上でどのような流派、我流であろうと基本の9つの斬撃は必ず有る。

 

唐竹、右薙、右斬上、逆風、左斬上、左薙、逆袈裟、刺突

 

の9つだ。

 

この九頭龍閃とはそれらを神速で振るい9つの斬撃を同時に叩き込むという技だ。

 

どの方向に防ごうと回避不可能のこの技だが……………

 

 

『グ、グルゥゥゥウ』

 

 

大したダメージにならない。

 

 

「オーバーパワー!!オラオラオラオラぁ!!」

 

 

拳を次々と繰り出す。

 

するとモンスターは殴られたように身体が後退していく。

 

オーバーパワーは威圧するだけの魔法なのだが今のこれは応用バージョンだ。

 

拳で放つルートを限定し対処に当てる事でその部分だけに威圧を送りそこの部分に衝撃を与えたと錯覚させるというもの。

 

つまり、殴る振りで相手が勝手にダメージを受けたと勘違いさせる使用法。

 

生物の細胞に直接威圧を叩き込むこの技は外傷はなくともダメージにはなっている。

 

 

「ハァハァ、装甲固すぎだろ……」

 

 

今度は自分から近づきブンブンと振り回される巨剣を躱して螺旋丸を打ち込む。

 

現時点ではレオンハルトの持つ最高火力の技。

 

 

「ォォォォォオオオオオオオ!!!」

 

 

『ゴォアアアアァァァァァ!!』

 

 

ダメージを受けている最中だというのにモンスターはレオンハルトを掴みぶん投げる。

 

そして木にぶつかってしまう。

 

何とか立ち上がるがその瞬間に近づいており拳が目の前まで来ていた。

 

もろに喰らって何メートルと吹っ飛ばされ岩にぶつかる事で止められる。

 

 

「うっ…………」

 

 

助骨や背骨、脚など体中の至る所が骨折や内出血でボロボロになっていた。

 

軋む身体で何とかハイ・ポーションを飲み無理やり体を動かす。

 

そのモンスターは剣を振り上げながら突っ込んでいる。

 

このまま行けば死ぬ。

 

そう直感した瞬間、ふと足元に落ちていた剣に目がいった。

 

インファントドラゴンから逃げた冒険者が落としたものなのだろう。

 

大した剣では無い。

 

あの巨剣を防ぐ事すら出来ないだろう剣。

 

それを手に取った。

 

何時の間にか振り下ろされていた巨剣を二本の剣をクロスにして防ぐ。

 

剣術を使うときの剣気をその剣に纏わせる事で強化した為巨剣を防ぐ事が出来た。

 

 

「はぁ…………はぁ………」

 

 

巨剣とモンスターの全体重が乗った一撃を踏ん張りながらも耐えているレオンハルト。

 

全力の一撃というのに倒し切れない目の前の標的に焦りを感じるモンスター。

 

そしてその焦りは軈て恐怖へと変わる。

 

 

「スターバスト…………ストリーム」

 

 

技名を告げ巨剣を弾いた。

 

まさかの事に驚きを隠せないモンスター。

 

しかし、そこで止まらないレオンハルト。

 

懐へ飛び込み次々と連撃を繰り出す。右、左、右と早く、更に速く。

 

 

「(速く、速く、速くもっと速く!!

 

これだとまだ足りない!

 

強く、強く、強く、もっと強く!!

 

こんなんじゃ追いつけない!!)」

 

 

冒険者として、女流剣士としての才覚を遺憾なく発揮する姉をこそうと身につけた剣技の数々。

 

格上の相手に一矢報いる為にこしらえた最強の技。

 

それは未完ながらもモンスターを追い込んでいた。

 

当の本人はそれとは別のところを見ていたが。

 

 

「ォォォォォオオオオオオオ!!これで最後だ!!」

 

 

星屑と化した剣が次々と襲いかかり止めとばかりに一際大きな星屑がその巨躯を貫く。

 

体感時間は数時間なのだろうが数秒の静けさに包まれた。

 

そして青い悪魔は四散し消えた。

 

それを確認して鞘にエリュシデータを戻しもう一つの剣を捨て気を失ったレオンハルト。

 

それと同時に魔石とそれに似た物がゴトリと落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レオン?………あ、起きたらジャガ丸くん作ってもらお」

 

 

ボロボロになった弟を見て出てきた一言がジャガ丸くんとはどんなんだよとツッコミたいが天然故ツッコんでもしょうがない。

 

ジャガ丸くんという報酬がため魔石とそれに似た何かをレオンのバックパックに入れ担ぎ地上を目指すアイズ。

 

その後、目を覚ましたレオンハルトは悲惨に尽きた。

 

ギルドではまず、たった2人でインファントドラゴンと戦ったとしてエイナに怒られ、新種のモンスターと戦った報告したら何故逃げないと怒られ、命には勝手に自分だけ逃した事を怒られ、ボロボロになった事を怒られた。

 

ホームに帰ってもリヴェリアからの説教を受け、正座して痺れた足をティオナに突かれたり、酔っ払ったベートに痺れた足を蹴られ骨を折られたりもした。

 

そんな悲惨な状況にも関わらずジャガ丸くんを作らさせたアイズ。

 

 

「うん…………ランクアップしてから作るのが上手くなってる。

 

お礼に、訓練付き合ってあげる」

 

 

頭の中には戦闘とジャガ丸くんの事しか頭に無いアイズなりの鼓舞だと信じたかったレオンハルトであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はバベル、そな高い所に聳える塔はオラリオを見渡す事が可能だ。

 

ワイングラスを揺らしながら美の女神は隣に立つオラリオ最強の獣人に問いかける。

 

 

「ねぇ、オッタル。あれの準備はどうかしら?」

 

 

「申し訳ありません、用意していたモンスターが剣姫の弟に倒されてしまった為急遽新しいのを用意しなくてはいけません」

 

「そう、構わないわ。彼もまた良い魂の色をしてる。

 

でも、純白の透き通った魂には叶わないわ………」

 

「早急に用意しますが予定のものよりかは実力が劣るでしょう。

 

彼の冒険となれば良いのですが……………」

 

 

「彼ならどんな壁でも越えてみせるわ。今度は新型とかじゃなくていいから………………そうねミノタウロスでも用意しといて、期待してるわよオッタル」

 

「はっ、仰せのままに」

 

 

オラリオの夜は更けていく。




はい、とりあえず命ちゃんはインファントドラゴンを倒してランクアップです。

その前にもたくさんモンスター倒してるしこれでいけると思いました。

そしてレオンハルトが倒したモンスターはSAOでキリトが二刀流スキルを発動した相手、グリームアイズを浮かべてください。

そして最後の所はあれですね。ヤンデレの陰謀ですよ。

頑張れ、ベル!!



レオンハルトの二つ名を、どうしようか迷ってます。

剣帝(けんてい) 金色の夜叉(こんじきのやしゃ)

瞬神(しゅんしん)

とりあえず浮かんでる二つ名ですがこのほかにも何か良いのはありますかね?

良ければ意見を聞かせてください!!!







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