ブラック・ブレット 紅き守り手   作:フルフル真

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大変長らくお待たせしました!
仕事が忙しくなり何もできない状態が続きました...
久しぶりの休みなのでなんとか投稿することができました〜....

今回かなり急ぎ足な感じになってしまいました...ですがこれでようやく二巻の内容が終わりました、長すぎですね(^◇^;)

3巻と4巻の内容、VSアルデバラン編はもう少し話数を減らそう...
てもそうしたら文字数が...ぐぬぬ

ま、まぁとにかくこれでとりあえずひと段落ですかね?それでは駄文ですがごゆっくり!



間違えて外伝の方に投稿してしまったので修正しましたm(__)m
内容は変わりません


最終話

一つの戦闘が終焉を迎えたその少し前、もう一つの戦闘も終わりが見えていた

 

 

辺りの地形は原型が分かりづらく陥没しておりひび割れていないところが無い程のものだった

 

そしてそこら中ではおびただしい程の血が付いていた

血だけで無く、何やらぴちぴちと蠢めく触手の様なものも辺りには落ちていた

 

 

「ねぇ、パパ〜、もう飽きちゃった〜...つまんない」

 

両手にバラニウム刀を持ち、赤眼の少女、蛭子小比奈は小さく呟く

その両刀からは少し血が滴り落ちていた

 

「...こいつは研究対象なのだがねぇ、やはり真莉くんの様に完全に制御出来ているわけでは無いんだね、まぁガストレアとを内蔵して共に生きていくことなど出来ようが無いんだがねぇ...」

 

ボソリと呟く燕尾服を着た仮面の男、蛭子小比奈の父である蛭子影胤は仮面で表情はわからないが落胆した声色をしていた

そのすぐそばでは人としての姿をなくした...いや、人だったものが倒れ伏していた

 

体は傷だらけで血濡れていない場所は無く、ボロボロではあるが人間には無い触手が未だに元気に蠢いている

しかし、本体と言える部分は全く動く気配が無く生きているのか死んでいるのかわからない状態であった

 

「まだわかんないでしょ...ってかお兄ちゃんの事知ってるんだ...」

 

「ヒヒヒ、まぁ私が無理やり聞いたわけでは無いからね、彼から言ってきたんだよ...まぁ、彼にも考えがあってのことなんだろうけどねぇ」

 

未だに敵意を隠さないもう一人の少女、アカネは警戒心を解かずずっと化け物の方を見ているが声色は若干震えて多少の動揺が見て取れた

 

ズルルル.....ズルルル....

 

「「「っ!?」」」

 

三人は一気に後ろに飛び距離を取った

今まで動かなかった触手の本体が唐突に動き出したのだ

 

しかし先ほどまでのめちゃくちゃな動きをしていた触手は一変して統率がとれておりこちらに一気に迫って来る

 

「パパ!」

 

真っ先に狙われたのは影胤

 

しかし影胤は焦りもせずに向かってくる触手を片っ端から両手に持つ銃で撃ち落としてバラバラにしていく

 

《ギィィィィィ!!!》

 

ビリビリと空気が震える

 

「....人間の言語すら喋れなくなったか、やはり、彼になろうとしたところでそれは無理なのだろうね...終わらせようか、小比奈」

 

「はい、パパ!」

 

影胤が小比奈に指示を出す、小比奈はすぐに両手のバラニウム刀を構え触手の化け物に向かって突撃した

 

しかし、小比奈の足元に散らばっていた触手の欠片たちが小比奈の足にまとわりつき動きを止める

 

「うわ!にゅるにゅる気持ち悪い!」

 

触手の本体から大型の触手が小比奈に向かって飛んでくる

 

「っ!?」

 

小比奈は迫ってくる触手を見るが動けないのでどうしようもない

迫る衝撃に備えるが目の前に青白い膜の様なものが現れ触手を防ぐ

影胤が小比奈の前に自身の能力である斥力フィールドを展開し小比奈を守った

 

そしてその横からアカネが速度を上げて一気に相手に近づく

 

「見よう見まね...《昇天牙》!」

 

相手の足元を蹴りその勢いを利用して回し蹴りを放つ

真莉が和眞に放ち躱された技をアカネは見よう見まねだがしっかりと、完璧に本体に当てる

 

触手の本体はうめき声の様なものを上げる、更に追い討ちをかけるかの様に影胤がゼロ距離まで詰め寄り腕を引き触手本体に向け技を放つ

 

「お終いにしようか...《エンドレス・スクリーム》!」

 

掌から槍状のエネルギーを放出し触手の化け物の土手っ腹に風穴をあける

触手の化け物は立ったまま動かなくなり周りの触手たちも完全に機能を停止した.....と言うより徐々に触手たちが溶けていき触手まみれになっていた男、翔が残された

 

「.....なんで...この力があれば誰にでも勝てるはずなのに....なんでこんな...」

 

翔はそこまで言うと地面にうつ伏せに倒れ、やがて静かにその命の灯火を消した

 

 

「ふう、ようやく終わったね、まさかここまで消耗させられるとは思わなかった」

 

流石の影胤も未知の敵との闘いに疲労を隠せないでいた

 

「3対1だったし私だけでも勝てたのに...」

 

アカネはふくれっ面を見せ文句を垂れた、それに対して小比奈は目ざとく反応する

 

「パパと私がいなければ死んでたくせに...弱いくせによく言うよ、次はアカネを切るから」

 

小比奈の目はギロリと鋭くアカネを射抜く、アカネもそれに負けじと小比奈を睨む

するとぱんぱんと軽い音が聞こえ2人はその音の方を向いた

そこには影胤が仮面では分かりづらいが呆れた雰囲気を出していた

 

「今はそんな事より君の依頼を優先すべきではないのかな?それに、迎えも来たみたいだしねぇ」

 

影胤はそう言うと別の方向を見る、暗闇からは少しボロボロの状態の真莉が歩いてきた

 

真莉は影胤がいるのが意外だったのか少々意外な顔をしながら近づいてきた

アカネは真莉を見た瞬間花が咲く様な笑顔を見せ真莉に抱きつく

 

「お兄ちゃん!!無事だったんだ!」

 

真莉はアカネの突進を受け一瞬顔を歪めたがすぐに安堵した顔を見せる

 

「まぁ、無事とは言えないがな...今回も助かった、すまなかったな、影胤」

 

「ひひひ、まぁ君には色々と借りを作っておきたいからね...と言っても今回のは君にもらった恩を返しただけだ」

 

「そうかい、なら次何かしらあればなんか考えてやるよ...

アカネ、蓮太郎のところに急がなきゃならけぇんだ、行けるか?」

 

「うん!私はもう大丈夫!早く行って蓮太郎を助けなきゃ!」

 

アカネはふんすと鼻息を荒くする、どうやら完全に色々と出来上がっている様だった

 

「悪いな、俺らはここらで行かなきゃならん...小比奈もありがとうな?」

 

「う、うん!」

 

真莉の言葉に満開の笑顔を見せる小比奈は頬に少し赤みがかかり照れている様だった

影胤はそれに気付き笑いをこらえていた

 

その後は特に何を話すでもなく真莉とアカネはすぐにその場から猛スピードで走って消える

残された2人は互いを見合いくつくつと笑いその場を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蓮、太郎....さん、私、分からないんです、どうしてこんなことになったのか....どうすればよかったのか、全然、こんなはずじゃなかったんです...でも、蓮太郎さんと真莉さんと会って...こんな風な生き方もあったんじゃないかなって...思ったんです...」

 

「喋るな、傷に障る....」

 

蓮太郎はつい先ほど打ち倒したティナ・スプラウトに肩を貸しながら一歩ずつゆっくりと階段を下りていく

ようやくかびくさい建物の外に出た蓮太郎は清涼な空気をゆっくりと吸い顔を上げる

 

(とりあえずは病院だな...)

 

蓮太郎がそう思考しているとティナから声が聞こえる

 

「責任...とってもらいますからね」

 

蓮太郎は驚いて横を見ると、ティナは泣きはらした瞳のままうっすらと微笑んでいた

 

「私を倒したんですから、その責任を取ってもらいますから」

 

蓮太郎は一瞬呆気にとられたがすぐに朗らかに頷く

 

「あぁ、わかった」

 

 

 

 

 

 

パァン!!

 

 

 

突如銃声がして、ティナが膝を崩した

 

 

「.....ぁ」

 

ティナは信じられない様な表情で胸に空いた黒い穴を見ていた

穴から漏れ出した鮮血が服をじわじわと侵食していく

ティナは小さく口を開け、声を出そうとするが声は出ず、困り果てた様に小首を傾げて微笑しようと努力する

 

ツカツカと近づいてきた制帽に白マントの男が拳銃を撃ち込む、ティナの喉から鮮血がほとばしり、背後に倒れる

 

保脇がティナの腹を思いっきり蹴飛ばすと、ティナの体は軽々と宙を舞い、ぐしゃりと音を立てて落下する

蓮太郎はその光景をただただ呆然と、悪い冗談の様な光景を眺めていた

 

「殺し屋風情がッ!てこずらせおって!!」

 

(何で、コイツが....)

 

麻痺した脳で首を傾けるとその疑問に答える様に保脇がこちらを見る

 

「聖天子様は無事に送り届けている、今頃会談中だろうよ

あぁ、会談が終わる前には帰らねばならんからこちらも忙しいんだ...そんなことより」

 

保脇はニヤニヤと薄汚い笑みを浮かべる

 

「なんだ?その表情は?ゴミを一つお前の代わりに処分してやったんだぞ?感謝の一つぐらいしたらどうだ?」

 

直後に憤激が脊髄を貫き、脳を焼き尽くす

 

「ぶっ殺してやるッ!!」

 

蓮太郎が拳銃をホルスターから引き抜こうとした瞬間、ミシリと音がして背後から衝撃が来る

 

「か.....ハッ....」

 

肺から空気を絞り出されながら背後を見ると、仲間の聖天子付護衛官の拳が背中にめり込んでいる

 

息も絶え絶えになりながらお返しに裏拳を食らわす

だが、もう1人に腰を押さえられ、足が払われ、地面が迫ってきたと思うや強靭な力で頭を押さえ込まれ、地面に叩きつけられる

 

ビキリと筋が張って腕に激痛がはしり、無理やり背後を見ると他の護衛官が三人、蓮太郎の背に乗り、後ろ手に拘束していた

奥歯が砕けんばかりに歯を食いしばり、うなり声をあげながらめちゃくちゃに暴れるが、戒めは緩みもしない

 

「保脇いいいいいッ!!!貴ッ様あああああ!!」

 

「クハハハハハッ!漁夫の利ってのはまさにこのことだね」

 

その時、ティナの体が弓なりに沿ったかと思うと強く血を吐く

 

(ティナ!生きてる!)

 

保脇が自分の拳銃を見つめた後薄気味悪そうにティナを見る

 

「やはり、バラニウム弾でなければ死ににくいな」

 

そこで何か思いついたのか、他の護衛官に向かって薄ら笑いを向ける

 

「おいお前ら、一つ、生物的実験をしないか?お題は、『赤目』は鉛弾で何回撃ったら死ぬのか、だ」

 

他の護衛官が肩を揺すって忍笑いを漏らす

保脇は倒れたティナの体をまたぐと連続で拳銃の引き金を引いた

 

ティナの体が踊り、ほとばしる鮮血が保脇の顔にかかる

ティナの足が突っ張り、何度も地面を引っ掻く

 

「ヤメロォォォォォッ!!殺してやる!保脇いいいぃぃッ!貴ッッ様ぁぁぁ!!」

 

保脇が両手を広げ狂笑する

 

「ヒハハハハ!そうだ!その表情が見たかったよ、里見蓮太郎!ヒャハハハハっ!」

 

保脇は銃口を上げるとティナの眉間に照準する

 

「フィナーレだ!.....は?」

 

保脇は驚愕に目を見開く

ほんの一瞬の出来事だった、真下にいたはずのティナがその場から消えたのだ、しかしすぐに居場所がわかる

ティナを救出したのは赤目の少女、古畑アカネだった

彼女がここにいる、その事が意味するのは...蓮太郎は自身の口角が間違いなく上がっていることを理解した

 

「おい、クソガキ、そのガキをこっちによこせ、そのガキは殺し屋だ、聖天子様を狙った薄汚い呪われたクソガキなんだよ!

お前も殺されたくなければさっさとそのガキをこっちによこしやがれ!.....ッひ!?」

 

保脇はアカネを睨むがすぐに全身から冷や汗が溢れ出す

何故なら、蓮太郎を押さえつけていた三人のうちの1人の『首』が自身の目の前に転がってきたのだ

保脇は蓮太郎の方を恐る恐る見ると...

 

「.....お前らは調子に乗り過ぎたな...少しは我慢してやったが....これ以上は流石に無理だわ」

 

蓮太郎を押さえつけていた残りの2人もほぼバラバラに殺されていた

彼は...いや、彼らは唯一怒らせてはいけない者を怒らせてしまったのだった

 

すると

 

 

「そこまでです!」

 

厳粛な一括がその場に存在した人間を凍らせた

 

死を覚悟していた保脇も、殺意がこれでもかと溢れ出している真莉も聖天子の到着に少なくない驚愕を見せていた

 

「保脇さん、あなたたちが独断専行したと聞いたので、斉武大統領との会談を中座して参りました」

 

「馬鹿なッ!たかが民警と用心棒如きのために大阪エリアの国家元首との会談を投げてきたですとッ!」

 

「わたくしにとって里見さんと古畑さんはあなたの言うたかがではありません、そして、あなたたちの狼藉をこれ以上見過ごすわけにはいきません...なので申し訳有りませんが古畑さん、その男を殺すのは勘弁していただけませんか?あなたの気持ちは分かっているつもりなので嫌だとは思いますが」

 

真莉は横目で見ていたがすぐに大きな溜息を吐きアカネといつの間にかいてティナの治療をしている夏世、そして血だらけのティナの方に歩いて行った

 

「里見さん、わたくしに教えてください、わたくしの命を救ってくれたあなたが、わたくしに望むものは何なのかを」

 

「.....力が欲しい!俺の守りたい者を守れる力が欲しい!」

 

「里見さん、力には責任がついて回ります、あなたが剣を振り下ろした時、あなたには夥しい返り血が降りかかることを忘れてはいけません

力に過ぎればそれは暴君となり、責任が過ぎれば心を砕かれてしまう、天地開闢より力と責任のバランスが取れたことは一度としてありません、あなたはそれを両立させなさい...与えましょう、その力」

 

夜天に厳かな声が響き渡る

 

「東京エリア国家元首の特権によりIISOの事例をスキップ、里見蓮太郎の序列を1000番から300番までに昇格させます

里見さんの機密情報アクセスキーのレベルを五に、そして擬似階級は二尉に承認...つまり、保脇さんの一つ上です、この意味がわかりますか?」

 

「はい」

 

「力なき正義に価値はありません、もっと強くなって里見さん、誰よりも強く」

 

蓮太郎は顔を上げると自身の拳銃、XD拳銃をホルスターから引き抜き三発発砲する

 

保脇の右肩、左脇に着弾し、右の親指を付け根から吹き飛ばす

 

「アギャッ、ギャァァァァァァァァッ!!」

 

蓮太郎は悠然と歩を進め保脇の前に立ち、彼を見下ろす

保脇は驚懼におののきながら必死に尻であとずさりをする

 

「ひゃああああ!く、来るなッ...来るなぁぁぁ!!」

 

「失せろ、そして二度とティナに近づくな...拒否するのならば、上官反逆罪により貴官をこの場で射殺する」

 

保脇は足をもたつかせながらなんとか立ち、立ち去ろうとするがその背後を真莉が思いっきり蹴り飛ばす

保脇は地面を滑り気を失った

 

「ティナの受けた痛みはこんなもんじゃねぇ、これからは俺にも怯えて生きていくんだな、俺はテメェをゆるさねぇ、もし次会えば殺すかもしれねぇぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの戦いから一週間、未だにボロボロの体の蓮太郎は何処をどう歩いたのかほとんど覚えていないにもかかわらず、いつの間にか天童民間警備会社の前まで来ていた

 

習慣とはまことに恐ろしいものである

 

愛すべきボロビル、ハッピービルディングの外観は大きく変化していた

ティナと木更が好き放題暴れてくれたおかげであちこちが崩落しており、青の防水シートがかかった二階のキャバクラは未だに営業中止らしい

 

漫然と階段を上りながらふとティナは元気だろうかと思った

ティナは手術の末、一命を取り留めた

彼女の身柄は聖天子預かりという異例の措置を受け、聖居にて軟禁と事情聴取が続いているらしい

願わくば、彼女に下される沙汰が寛大なものであって欲しい

 

気分を切り替え事務所の扉をくぐると

 

「あ、里見くん」

 

「蓮太郎!」

 

という2人の女性の声が出迎えてくれる、快復した木更と延珠だ

 

麻酔が切れた延珠はほどなく全快して退院すると、もう普段と変わらないように振舞っている

蓮太郎の前に来た延珠がくりっとした大きな瞳で小首をかしげる

 

「どうしたのだ?蓮太郎?妾の顔に何か付いているのか?」

 

「........いや、お前がいるのといないのじゃ、やっぱ事務所の雰囲気が全然違うなって思ったんだよ」

 

延珠は束の間驚いた顔をした後、くすぐったそうに笑う

 

「ふふふ、そうであろうそうであろう」

 

「えぇぇ、本当にそれだけなの?蓮太郎?」

 

「俺の予想だと今まで寂しかったから延珠がいて本当によかった〜って言ってるんじゃねぇの、ほら、蓮太郎はヒネデレだからな」

 

延珠は他の2人の声にキラキラとした顔を見せ蓮太郎を見る

蓮太郎はうるせぇよと言って来客用のソファーにどっかりと腰を下ろし大きく伸びをする、するとパキポキと骨がなった

 

(さて、今日も儲からない仕事をしようじゃねぇかよ)

 

「蓮太郎さん、お水をどうぞ」

 

「お、悪い、気が利くな、ティナ」

 

水を干して、そこで今までの違和感がどっと押し寄せてきてはてと思い至った瞬間、盛大に口から水を噴き出していた

 

「キャッ!」と悲鳴が上がってお盆を持った少女が顔だけ防水をガード、お盆を半分だけずらすと上目遣いにこちらを見る

 

金髪、少し眠そうな目....間違いなくティナだった

 

「何するんですかッ?」

 

「なんでいるんですかッ?」思わず口調が移る

 

「って!それよかなんで真莉とアカネと....もう1人の朱音がいるんだよ!」

 

「やっとかよ、お前も意外と天然なのな」

 

木更がニコニコしながらティナの背後に回ると、彼女の両肩に手を置いてこちらを見る

 

「うふふ、ティナちゃんと古畑くん、アカネちゃんと古火田ちゃん雇っちゃった♪」

 

「いや...『雇っちゃった♪』って....」

 

蓮太郎の記憶が確かならば、木更はガトリングガンで蜂の巣にされかけて、延珠は対戦車ライフルで腹を打ち抜かれたはずだ

蓮太郎に至っては至近距離をピュンピュン対戦車弾がかすめてぶっちゃけ泣きそうだった

 

「ちょっと里見くんッ?何よその目!釈放されてティナちゃん帰るお家ないのよ?かわいそうだと思わないの?」

 

「でも.....こいつ殺し屋だぞ?」

 

「妾は別に構わないぞ!」

 

「俺は俺で雇われた身だからな、相手が例え誰だろうと社長が決めたことならそれに従うさ」

 

「お兄ちゃん、もっと素直に...まぁいっか!私は仲良くしたかったからティナ大歓迎だけどね!」

 

「兄さんはこういう人だから...あたしは前会った時からしっかり話し合いたかったから....それにある意味あたしも殺し屋だしね.....」

 

延珠は喜色満面で手を振る、真莉は面倒臭がりながら、アカネは延珠の様にぴょんぴょん跳ねながら、朱音は少し顔を暗くしながら答えた

 

「ついに妾にも後輩が出来るのだ!妾のことは延珠先輩でいいぞ!」

 

蓮太郎が小さく口を開けたまま固まっていると、事務所を単身全滅させかけた少女がはにかみながら一歩こちらに進みでる

 

「今日から天童民間警備会社でお世話になることになりました、宜しくお願いします、蓮太郎さん」

 

嬉しそうにぺこりと一礼する

蓮太郎はあきれと脱力でソファごと後ろにひっくり返りそうになった

天井を見ながら大きく溜息をつく

 

合縁奇縁、袖振り合うも他生の縁とは言うが....どうなっても知らないぞと蓮太郎は独りごちる

 

「事務所が騒がしくなりそうだな」

 

ボソリと蓮太郎は呟いたがそれも事務所の騒音にかき消されていった

 

 

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