風が君の頬を撫でる。 作:だん
皆様、私を覚えていてくれてるでしょうか´д` ;
かぜきみをこっそりと再開します。
1節まずは書き終えて、奇談の3節を書き上げるんだ!
頑張るぞ!
赤茶けた|外套≪ローブ≫と目深に被ったフードで、その顔はうかがい知れないが、クツクツと含み笑いを漏らしながら、いつの間にやらパイアールの傍に立つその人物。
老婆、いや老婆と一瞬思いはしたが、性別すら判断しかねる。ある種異様な雰囲気を持つ人物だった。
「この様子では、本当に援助を打ち切られかねませんぞ?急いてはことを仕損じると申します。ここは、この|婆≪ババ≫に免じて、日を改めなさいませ」
言葉遣いは控えめに、だが、有無を言わさぬ物言いである。
流石のパイアールも「う、うむ」と頷いて見せると、先ほどまでとは打って変わり、この怪しげな人物の言うがまま「仕方ない」と言って|大仰≪おおぎょう≫に肩をすくめて見せたのだった。
「今日のところは、婆やの顔を立ててやるとするか。レナ姫よ、また足を運んでやるぞ?」
そう言うパイアールに対し、言葉をかけらえたレナは勿論、彼女の姉を含めた身内の者達の視線には、彼の来訪を喜びそうな色は一切無いのだが、カルナック王子の残念な|脳味噌≪あたま≫では理解できないらしい。
「その時には、今度こそ|我≪おれ≫の……」
「次回からは正式な手続きに則って、会談の場を設けさせていただきます。今回のように、何の連絡も無い来訪は、お控えいただきますよう」
「次同じことしたら、女王に言いつけるからな」
みなまで言わせず、丁重に頭を下げるレナの傍で、姉姫の方はその敵意を隠そうともしない。
だが、そんな姉妹姫の物言いに特に気を悪くした様子もなく、パイアールは|踵≪きびす≫を返す。
「フッ。何をそこまで照れているのやら。|我≪おれ≫の誘いをこのまま無下にしておいて、|我≪おれ≫の心変わりを招いても知らんぞ?」
そう背中越しに|曰≪のたま≫うや、憤慨するファリスや呆れ返るバッツになど目もくれずに、レナにだけ|一瞥≪いちべつ≫をくれて、パイアールは靴音高らかに広間を後にするのであった。
彼なりの流し目のつもりなのだろう。
だが、かの王子の熱視線は目当ての人物と交わることはなかった。
「お騒がせ致しましたの」
そう言って、主人であるパイアールに従い、広間を後にしようとする老婆に、レナの視線は縫い付けられていたからである。
「では、レナ様」
……にたり。
目深にかぶったフードの陰から、黄ばんだ歯が不気味に|嗤≪わら≫う。
ぞくりと、首筋に虫が這い回る様な不快感。
理由なく他人に嫌悪感を抱かないレナであったが、老婆のフード越しの視線は、レナの胸中を乱すのだった。
「また、お目にかかりましょうぞ」
「ええ。ごきげんよう」
普段の彼女ならば絶対にしないであろう、まったく熱の入らぬ言葉だけの挨拶。
何とも言えない嫌悪を顔に出さなかっただけ、よくできた方だと思うほどだった。
そんな彼女の様子を、苦楽を共にした仲間である2人は敏感に感じ取り、|火の国≪カルナック≫の主従が去った後も、しばらくは誰も口を開かなかった。
はい。
パイアールのお供の婆様です。
何者なんでしょうね?
さて、次回はなるべく待たせないように頑張ります!