共食い的なテンションの作風となっておりますので合わなかったらごめんなさい。
多少生々しかったり、アイドルが合コンとかブラクラかよ・・・って方はごめんなさい。
うちのこのみ姉は合コンしても「全員酔い潰したから優勝私!」とか言っちゃう人だからそんな感じに受け取ってもらえるとありがたいです。
おもに成人組が日常的に飲み会してたらこんな感じなんだろうなぁっていう話。
毎月25日。
それが765プロにおける給料日であり、同時に一カ月でみんなが一カ月で一番お金を持っている日。
特に事務所組のアイドルたちは、普段あまりコミュニケーションをとれない後輩たちと話すために自ら腹を切ってご飯を食べに行ったりもする。
あるものは自分が率いるユニットのメンバーと出かけたり、またあるものは現在関わっている仕事の景気付けで集まったり、口実は様々だが本音を言うと彼女たちも新しく出来た後輩たちの面倒を見たくて仕方が無いのだ。
そんな中、異色な集まりが一つある。
給料日の夜になると、普段は不夜城とも揶揄される事務所の明かりが定時で消え、早々に誰もいなくなる。
そして、
「今月もお疲れさまでしたー、乾杯ッ!」
「「「「乾杯!!」」」」
事務所が入る雑居ビルの一階にある呑み屋『たるき亭』から陽気な声が聞こえてくるのだ。
「いやー、毎月給料日後の酒ほど旨いものはないわね!」
その手には不釣り合いな中ジョッキをドンッとテーブルに置くと早速誰を肴にして呑もうかと物色を始めるこのみ姉。
「り~お~、アンタそういえばこの間の合コンどうだったわけ?」
真っ先に狙われるのは合コンするときは誘い会おうね、と誓い合っていたはずなのに速効で裏切り抜け駆けを画策した妹分、百瀬莉緒。その時の合コンは風花の前職絡み。根に持つのも当然と言えよう。
「え、私? ・・・給料日に集まってる辺りで察してくださいよ~」
「何よ、私やあずさちゃんに黙って合コンやった癖に戦果なしなの? 風花、風花はどうなの?」
「お察しです・・・」
「アイドルなのにだらしないわねぇ・・・ねえあずさちゃん」
「どっちかってーと相手の方が見る目がないんじゃありませんかねぇ、姐さん」
「おっと・・・テキーラ入ったわね、これ」
「なんでこの子酒入ると柄が悪くなるのかしら・・・」
「カッコいいというか、漢らしい酔い方というか・・・」
「いいんですよ、あたしは・・・Pさんが振り向いてくれればそれで」
「そこ、一番倍率高いところだから・・・あの鈍感。ねぇ、千鶴ちゃん?」
「ごほッゲほッ・・・どうして私にその話題が来るのですか?」
「どうしてって、そりゃあ・・・ねえ?」
「いやいや・・・そういうのはまだ私には早いですわ」
「「甘い!」」
「このみさん、莉緒さん必死すぎますから・・・」
「ええい止めてくれるな風花ちゃん。いい?そんなこと言ってるとそろそろ美希ちゃんが結婚できる歳になるのよ?」
「あー、確かにその辺りでひと悶着ありそうですね」
「過激派は春香ちゃん、美希ちゃんと、あずさちゃん・・・あと琴葉ちゃんよね」
「765プロ黎明期から牽制しあってきた三人に新メンバーが加わり流血の予感・・・って亜利沙ちゃんが言ってたわ・・・千鶴ちゃんも動かないと!」
「ぐぬぬ・・・確かに、そう・・・ですわね」
「ん、いつでも相手になるわ」
「・・・あずさちゃん、怖すぎ」
「っていうか千鶴ちゃんはどういう恋愛を求めてるわけ?」
「どどどどういう恋愛って・・・それはその・・・節度を守った・・・・・・」
「「「高校生か!」」」
「ちょ、ちょっと!嗤わないでくださいまし!」
「いやいやいや、あんた今いくつよ」
「今年で22ですわ・・・」
「その歳だったら私のお母さん私を産んでるわ!」
「なお未経験の模様」
「右に同じ」
「同じく」
「アイドルだし」
「「「「・・・はぁ」」」」
重い沈黙が辺りを包んだ。それを破ったのは意外にも意外、あずさだった。
「・・・よし、じゃあ決めましょう」
「決めるって、何を?」
「千鶴ちゃんのデートプランよ」
「いいわね! 駄目よラブホとか露骨なもの入れちゃ、まだ早いわ!」
「姉さん流石に攻めすぎ」
「莉緒ちゃんはそういうの駄目だから仕留め損ねるのよ! 風花ちゃんを見習いなさい」
「なんでまた」
「私ですか? そんなお手本にされるようなことは・・・」
「この子、こんな清純派ぶってるけどプロデューサーにカメラの前で脱げって言われたら躊躇いなく脱ぐわよ」
「そんなことないですよ! 流石に躊躇しますから」
「やらないと言わない辺り調教済みね・・・プロデューサー君恐ろしい子・・・ッ!!」
「あいつ、風花には無茶させる癖に私にはいつもコスプレよ・・・ったく、そのうち絶対にシメる」
「・・・でもこの間制服着てた時ノリノリでしたよね」
「んーなんだ風花! そんなこというのはこの口か? あ?」
「いひゃいれすって! もう、このみさん結構回ってますね?」
「そうかしら? ・・・ひっく。そうそう千鶴ちゃんのデートプランの話よ」
「ちっ、誤魔化しきれませんでしたの」
「黙ってたら見逃されると思ったらそうはいかねぇよお鶴さん」
「あずさちゃんそれ何キャラよ?」
「千鶴本人的には予算はいくらくらいがいいのよ」
「2000円」
「「「2000円!!??」」」
「あっはっはっは、財布覗きながらじゃなくていいから! てかセレブキャラはどうしたのよ!」
「やっぱり少ないですの? 恋ってお金がかかるんですのね」
「奢らせちゃえばいいわ! 千鶴なら許される。千鶴が開き直れるなら」
「・・・・・・ぐぬぬ、究極の選択ですわ。アイドルとしてのプライドを取るか、女を取るか」
「女を取りなさいって」
「いいんですか~? 千鶴さんにとってのセレブへのこだわりはその程度のものだったのですか~?」
「あずさちゃんが素にもどって妨害工作始めた!?」
「っていうか2000円ならいっそのことどこかに買い物とかじゃなくて公園デートとかキメればいいんじゃない?」
「そんなものもあるんですの?」
「あるらしいわ、ねえ莉緒?」
「みたいね、風花ちゃん?」
「どう思う? あずさちゃん?」
「都市伝説でしょう、だって誰もそんな経験無いでしょう?」
全員顔を見合わせて察したように頷くと真顔で千鶴の方を向き直り、言った。
「「「「うん、都市伝説みたい」」」」
「現実に負けてんじゃねーですか!?!?」
「おっと、千鶴ちゃんがあまりの事態に動揺して下町言葉を漏らし始めたわ」
「でも良いですわね、お弁当作って・・・バスケットにでもつめて・・・・・・そういうのもありだと思いますわ」
「なんか普通に成功しそうね」
「その時はアイデア料で飲みに誘いなさいよ」
「え、ええ・・・」
「っていうか、前から思ってたんですけどこのみ姉さんってプロデューサー君とどういう関係なんですか?」
「どうもこうもないわよ。ときどき一緒に飲んでるだけっていうか・・・腐れ縁というか」
「やっぱりアイドルになる前から交流があったんですね?」
「ちょっと詳しく聞かせてもらえませんか~?」
「そんな大したことじゃないわよ。ってかあずさちゃん顔近い、顔近いから!」
「白状するべきですよ?」
「・・・もう、ただの幼馴染よ。ここに入ったのもたまたまアイツの縁で高木社長に会う機会があったからで」
「なるほど、ラスボスはここにいたのね・・・仲間だと思ってたのに!」
「ちょっとあずさちゃん! 落ち着いて!」
「だからそういう関係じゃないってば! ・・・まぁ、その・・・三十までお互い結婚してなかったらお互い引き取ろうって・・・昔そんなこと言ったことも無くはなかったっていうか・・・その・・・・・・」
「つまり、このまま膠着状態が続けば・・・このみ姉さんの一人勝ち?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙。その視線は明らかに殺気を孕むものだったとその一部始終を遠目で見ていたたるき屋の亭主は後日語った。
翌日からプロデューサーに対するアプローチが過激になったのは言うまでも無い。