東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 浦島太郎を倒し… 拘束。
 彼への裁きはボーボボの力で実体を得た。
 彼の妻――おツルに委ねた。




浦島太郎の終わりの続き

  

 

 怪老人――浦島太郎。その妻であり現幽霊で300年前の人間――おツル。

 彼女は夫の帰りを待ち続けて、やがて死に… 幽霊になり… それでも待ち続けて

 夫が帰還したときに取り憑いた。そして――――

 

 

 ボーボボの聖鼻毛領域(ボーボボ・ワールド・ナイトメア)でこの世に顕現した。

 おそらく… この力が発動して、しばらくの間は彼女は生前の姿を… 生前の姿…?

 彼女が老衰で亡くなったのなら――老婆の姿のハズ。なぜ、若い姿を取っているの?

 

 

「最後に別れたときがこの格好なんだよ。

 それにヨボヨボのばあさんじゃ… 恥ずかしいだろ…」

 

 

 顔を紅くして横を向く。見た目はがさつそうだけど、やはし彼女も女性。乙女心というやつだ。

 言いたいことはいっぱいあるのだが、何から話せばいいのか…

 そんな感じで頭の後ろを掻いていた彼女だが、やがて腹をくくったのか――――

 

 

「あんた今すぐ海賊をやめちまいな。さもなければ――――」

 

 

「「さもなければ…?」」

 

 

「あんたが泣くまで、あたしはあんたを殴るのをやめない」

 

 

「「脅迫だ!!!」」

 

 

 いくら夫婦とはいえ、そんな脅しで海賊の頭領が――――

 

 

「もう二度と悪さをいたせません」

 

 

 両腕両手首を後ろで縛られた状態だというのに頭を下げて、額を砂に擦り付けていた。

 表情こそ隠れていて見えないがおそらく恐怖で青く染まっているのだろう。

 身体を小動物のようにふるふると震わせている。

 

 

「「屈しているぅぅぅぅぅっ!?」」

 

 

 出会い頭に指令一つでモヒカンたちを動かせていた人物と一緒とは思えない。

 どんだけ奥さんを恐れているの? この人は…

 どちらにしろ、これで海賊たちに頭を悩ますことはなくなったのかな…?

 

 

 維持できなくなったのか、ボーボボが創り出したこの空間に揺らぎが生じ始める。

 それはつまり彼女も姿を保つことができなくなる。

 無論その都度、同じ技をかければ彼女は姿を現すだろうが…

 

 

「悪いけど、これ以上恥の上塗りは御免だね。死人は死人らしく死者の国に行ってくるよ」

 

 

 思った通りの答えが返ってきた。

 彼女の性格を考えれば自ずとこうなることはわかっていたけど。

 

 

 創造された世界に雷が落ちたような亀裂が私たちの周囲を取り囲むように幾重にも生まれる。

 生み出された亀裂のその隙間から光が漏れだして徐々に強くなっていく。

 やがて空間が光で満たされ――――気がつけば元の場所、木々に囲まれて立っていた。

 

 

 縄を解かれて解放された浦島太郎とおツルさんが向かい合って会話をしている。

 正直、気になるが… 割って入るのは無粋というもの。大人しくするのが…

 

 

(どうだ天の助、聴こえるか…?)

 

 

(落ち着け首領パッチ… 今、合わせているところだ)

 

 

 集音器の一種だろうか、ダイヤルをカチカチ回している天の助と首領パッチ。

 

 

   □ 少女成敗中 □

 

 

 何故か岩の下敷きになっている二人を放置して浦島夫婦の方へ視線を向けると… 

 おツルさんの姿が薄くなって向こう側の背景が身体越しに見える。時間がきたようだ。

 本当の意味での最後。本当の意味での別れ。本当に二人は納得したのだろうか…

 

 

 そして、おツルさんの身体が光に包まれて淡い光を放つ。

 静かに涙を流している夫と、対称的に少年のように笑っている妻。

 

 

 そして――――――――

 

 

   □ 10分経過 □

 

 

 未だにおツルさんはその場に留まって存在していた。

 

 

「「消えねぇな、おい!」」

 

 

 どういう理屈か原理か、おツルさんは成仏せずに地上に残っている。感動が台無しだよ。

 

 

「聖鼻毛領域の作用で何かしらの力が働いてこの世に留まらせているのかもしれませんね」

 

  

 スーツ姿の天の助がメガネのつるに手を当ててよくわからない仮説を唱える。

 要するにしばらくの間… 引き続き浦島太郎に取り憑いている。――ってことである。

 

 

「いやー、あたしが思っている以上に未練たらたらのようだね。

 しばらくはこいつがあんたらに悪さをしないように取り憑いて見張っておくよ。

 でもそれだけじゃダメだ。人様に迷惑をかけた分の償いをさせなきゃね?」

 

 

 彼女は迷惑そうにそう話していたが、その顔は満面の笑みで説得力など欠ける。

 しばらく夫婦二人仲良く過ごすことだろう。見た目は祖父と孫だけど。

 そういえばこの二人に子供はいたのだろうか…? 浦島太郎も気になっているようで…

 

 

「ああ、ジョナサンもガストも成人して子供をもうけたよ。その子孫のバーミヤンもね」

 

 

「「キラキラネーム!?」」

 

 

 変な名前ですね。とは言えず無難に個性的な名前ですね。と答える私たち。

 首領パッチは「なにそれ!? かっけぇー!」と、やたらと褒め称えて

 メリーは「何ですか!? そのファミレスみたいな名前は!?」と詰問したが。

 

 

「さぁて、アタシらは今まで散々人様に迷惑かけてきたんだ。

 人様に迷惑をかけた分、善行を積んで罪を償って生きるんだよ!

 ボーボボの旦那に負けたアタシらに拒否権はない! 」

 

 

「「はい! (あね)さん!」」

 

 

 一糸乱れずに腕を後ろで組んで直立不動で答えるモヒカンたち。既に掌握されている。

 浦島太郎はともかく、おツルさんとモヒカンたちは今日初めて目にするハズなのだが…

 彼女がいる限りモヒカンたちが悪さをする心配をしなくて大丈夫だろう。

 

 

 こうして浦島太郎率いる海賊の襲撃事件は幕を下ろした。

 私たちは動かなくなった首領パッチカーをおツルさんの指示の下

 モヒカンたちが人力で引っ張っている。

 

 

 拠点の要塞まで距離があるとはいえ放置していくわけにもいかず

 どうしようかと悩んでいたところをおツルさんがこちらの了承を得ずに

 勝手に縄でくくりつけてモヒカンたちに引っ張らせ始めたのである。

 正直、助かるが彼女の行動力に皆、呆気に取られたのは言うまでもない。

 

 

 

 

   □ □ □

 

 

 『浦島太郎』という物語がある。彼を題材にした創作物。

 ただしその内容はお世辞にもハッピーエンドとはいえない。

 

 

 浦島太郎が助けた亀に連れられて竜宮城へと行き

 故郷に戻ってきたときには300年もの時間が過ぎていた。

 

 

 開けてはならぬという玉手箱を開けてしまい…

 年を取った老人の姿へと変化してしまった。

 

 

 物語ではここで終わってしまうが… ごく一部だがこの続きが語られているモノがある。

 

 

 

 

 浦島太郎はもう一度、竜宮城へと行くために海賊稼業を始める。

 生きるため  資金を得るため  力をつけるために

 彼の背には死したあとも幽霊になって待ち続けた妻の姿があることも知らずに――――

 そして瀬戸内海の海を荒らしていた海賊たちを纏めあげるほどの力を身につけた。

 

 

 その力を用いて竜宮城に関することを調べたが… 竜宮城の情報が入らない。

 海のことは海をよく知る者に訊けば良い。

 浦島太郎は海の底に棲まうという黒竜に会いに行くことに――――

 

 

『海の底に竜宮城は存在しない。遥か頭上にある月。そこに都がある。その都がそうだ』

 

 

 浦島太郎は絶望した。相手が月にいるのではどうにもならない。

 彼の姿を見て不憫に思ったのか黒竜は…

 

 

『月の民は時折、地上に降りてくる時がある。その時ならば――――』

 

 

 月に行けるかもしれない。彼は一縷(いちる)の望みを託して月の民に関する情報をかき集める。

 人は勿論のこと… 仙人、陰陽師、はたまた妖精、妖怪などの妖異の類いからも

 

 

 そして彼は迷いの竹林に住む月の姫の噂を手に入れる。

 手下の海賊を率いて攻めいるも姫を守る守護者たちにより敗北する。

 

 

 彼を憐れに思った守護者の一人である仙人は彼に幽霊が見えるようになる術を施して

 彼は自分に取り憑いていた妻が見えるようになった。

 

 

 私利私欲で襲ったにもかかわらず寛大な心で許し… 

 あまつさえ妻と再会させてくれた彼らの懐の広さに深い感銘を抱き

 己の行動を恥、過去を猛省し、心を入れ替えて

 幽霊となった妻とともに犯した罪を償うために人々に善行を施し廻った――――という。

 

 

 そして浦島太郎が死したときにその妻である――おツルも一緒に逝ったそうな。

 

 

 めでたし、めでたし…?

 

 

 

 

 ――――という物語が創られたそうな。

 これがハッピーエンドかどうかは人それぞれだが…

 少なくとも一人で寂しく孤独に生きるよりはマシといえよう。

 

 

 

 

   □ □ □

 

 

 車内には最初の村で出会った村長には見えない筋肉ムキムキの村長トモヒロが座している。

 人質にされ盾にされたり、浦島太郎ごと首領パッチカーで轢かれかけたりと――

 散々な目に遭ったが最終的には助けられたこともあり私たちにお礼を述べた。

 

 

「当然だ! この首領パッチ様をどこの誰だと思っていやがる!?

 俺様の活躍を子孫代々伝えろ! いいな!?」

 

 

「主食をところてんに変えていただきたい。全ての家庭とは言わん。

 ごく一部でも構わん! ところてんに陽の光をぉぉぉぉ!」

 

 

 紅く豪華そうな玉座に腰掛けた首領パッチが葉巻を片手にふんぞり反り指差し

 『ところてん促進運動』と書かれたタスキをかけて天の助がところてんを勧めている。

 村長は相も変わらず仏頂面なので心の内はどうなのかわからないが…

 

 

 ちなみにボーボボはメンテナンス中。

 下半身が戦車になっていて青い帽子を被ったゆっくりが彼を整備していた。わけわからん。

 

 

 五つの神宝モドキを手に入れ、海賊等々も激減。各地を旅する必要がなくなった今

 あとは彼らを元の時代に戻すことを考えればいい。てゐはどのようにして戻すつもりなのか… 

 おツルさんが浦島太郎を待っていたように彼らにも待っている人たちがいるはず。

 その人たちのためにも、この人たちを帰す手助けをすべきだろう。

 

 

   □ 少女移動中 □

 

 

 私たちの拠点――無敵要塞ザイガスに向かう途中… 

 トモヒロは迷いの竹林の現状を教えてくれた。

 

 

「最近、貴女に会うために迷いの竹林に足を運ぶ貴族が現れ始めてます。

 おそらく目的は――――貴女への求婚です…」

 

 

 トモヒロが重々しく語り… 首領パッチが「ええぇぇっ!?」と驚きの声を上げて――

 

 

「そんな… 私にはやっくんという心に決めた殿方がいるのに、求婚だなんて困るわ…」

 

 

 口紅を塗ったくった首領パッチが身体をくねらせ… 

 お世辞にも可愛いとはいえない不気味な人形を取り出すと不気味な腹話術を始めた。

 

 

「(裏声)パチ美どういうことだ!? 俺というものがありながら…

 まさか、貴族の求婚を受けるつもりなのか!?」

 

 

「違うのやっくん! 違うのよ! 私を信じてお願い!」

 

 

 仰向けになってお腹の上に人形を乗せると――――

 

 

「(裏声)チキショー! お前が誰かのモノになるぐらいなら…

 俺がっ! お前をっ! 俺のモノにしてやるぅぅぅぅぅ!」

 

 

「そんな!? ダメよ、やっくん! こんな人がいるところで! いやぁぁぁぁぁっ!」

 

 

「(裏声)お前がっ! お前がっ! お前がいけないんだぁぁぁ!」

 

 

 なおも続く一人芝居に、私は首領パッチが座っていた玉座を両手で頭上に持ち上げると…

 

 

「ウザい!」

 

 

 首領パッチの真上に玉座を力強く振り下ろして、首領パッチを玉座の下敷きにした。

 砕かれた人形の破片が辺りに散らばる。

 玉座からはみ出た腕がジタバタもがいていたが… 力尽きたのかピクリとも動かなくなる。

 

 

 ガサゴサと衣擦れの音に振り向くと――

 女物の衣服に身を包んだボーボボと天の助がいそいそと服を脱ぎ始めていた。

 どうやら、あの二人も似たようなことをやるつもりだったようだ。

 

 

「求婚ということは… 輝夜とメリーのことか…?」

 

 

 ふざけた格好から一転。至極真面目なことをいうボーボボ。

 「求婚」という言葉に頬を赤く染めるメリーだが…

 

 

「いえ、姫様一人です。メリーの嬢ちゃんは金髪と変わった格好のせいか…」

 

 

 ――妖魔の一種と思われています。

 トモヒロの無遠慮な物言いに目から光を失わせて、無表情で両手両膝を床につける。

 彼女が立ち上がることを切に願う。しかし、なぜ貴族たちが…

 

 

「東西南北に渡って旅してたのが原因でしょう。

 姫様も含め、あなたたちは目立ちますから…」

 

 

 トモヒロの言葉に首を傾げる私たち。

 

 

「「 …………………………………………目立つ?」」

 

 

 その私たちを死んだ魚のような目で見るトモヒロ。

 

 

「なぁてゐ、貴族がどいうものなのか詳しくは知らんが…

 海賊を連れて行くのは不味くないのか…?」

 

 

「取っ捕まること間違いないよ。仕方ないけど貴族連中と出会う前に別れた方がいいね。

 あとは手下のイナバを呼んでイナバとゆっくりたちで引っ張らせよう。

 ――っていうことで頼むよ、天の助」

 

 

「俺が行くのかよ…」

 

 

 なんだかんだいいながらも外へ出ると腹這いになって滑るようにして地面を進み…

 あっという間に見えなくなる。

 

 

 海賊を片付けたと思ったら今度は貴族。

 しばらく退屈しなくて済みそうだが… できれば間を置いてほしいものである。

 はてさて求婚問題。どうやって解決したものかな…

 

 




 

 海賊襲撃事件は幕を下ろし…
 新たに貴族たちによる求婚? が始まるのか?
 貴族相手にいつも通りに力づくで解決するわけにはいかない。
 ボーボボたちはどう解決するのか?


   □ □ □


 (´・ω・)にゃもし。

 ぶっちゃけ浦島太郎という昔話は好きじゃないので
 いい機会なので勝手に続きを書いたぜ。
 私はハッピーエンドが大好きなのさ。
 これがハッピーエンドかどうかは人それぞれですが。

 コメントとツッコミあると助かるです。

 ※カッコと空白部分を修正しました。
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