竹林入り口の貴族と取り巻きたちを蹴散らし
遂に帰ってきた、無敵要塞ザイガス。
しかし、そこには――――
迷いの竹林のその奥にオレンジ色の巨大な建物がある。
私たちの一行の一人… 首領パッチを模した要塞。その名も無敵要塞ザイガス。
天の助がその建物を見て感慨深く頷き、私も同様に頷いてから――――
「まるで一年間戦ってたみたいね…」
私の方に振り向き、口を半開きにしてショックを受けたような顔で見つめる天の助。
やや間を置いてから前を向き、手を背中の後ろで組んで何事もなかったかのように――
「まるで一年間戦ってたみたいだ…」
…言うんだ。
「だがこれで終わりではない! むしろ始まったばかりと言えよう!
さぁ行くぞ! ボーボボ! 首領パッチ! 」
やおら要塞に向かって駆け始める三人と、冷めた目で眺める私たち。
「「俺たちの戦いはこれからだ!!」」
□ 少女移動中 □
「「待っていたぞ。月の姫の守護者たちよ…」」
要塞の前には両手両膝を地につけ、力なく
その目前には五人の屈強な男たちが陣取っていた。
俺たちの戦いはこれからだ !! ――なんていうから…
五人は鍛えられた肉体を持ち、それぞれが…
アメフトのプロテクターのようなモノで身を固めた巨漢。
褐色の肌に白と青のコスチュームの男。シマウマのような衣装を纏った男。
迷彩柄の軍服の男。最後に上半身に赤とピンクの線の模様が描かれている男。
身に付けている衣装は違うが… 全員ともトサカのついた覆面等を被っている。
その五人を見て、私を含めてその場にいた全員が思ったことだろう。
なんだアレは…!? ――――と、
とりあえず只者ではないことは確かである。
なにしろ竹林最奥部といっても過言ではない場所がここだ。
妖怪ですら迷うようなところに普通の人間が気軽にやって来れるわけがない。
護衛か、それとも依頼で来たのか… あの姿格好で貴族ということはあるまい。
どちらにしろここに来たということは私に用があるのだろう。気は進まないが…
せめての救いが彼らが自分から名乗りを上げるだけの礼節を持ち合わせていることかな?
「俺は石作皇子(いしつくりのみこ)ビッグボディと呼ばれている」
一番身体の大きい彼はそう名乗り、この時点で私の思考は一度停止した。
後からてゐに聞いた話によると… 褐色肌のはマリポーサ。シマウマはゼブラ。
身体に赤い模様があるのがフェニックス。迷彩柄の軍服はソルジャー。というらしい。
皇子やら大臣やら納言やらと、立派な肩書もあるらしいが…
見た目と肩書が釣り合っていない。
「あの、てゐさん…?
私の思い描いていた五人の貴公子が1ミリもかすっていないのですが…?」
「あんたが何を思い描いていたのか知らないけど、現実はこんなもんだよ…」
メリーの困惑した表情とてゐの何かを悟ったような達観した顔を妙に覚えていた。
運命とは… かくも避け難く、ときに儚いものである。
そんな私たちの心情を察してかソルジャーと呼ばれている男が――――
「安心しろ。我々みたいな貴族はごく一部だ」
いたら困る。
「長旅で疲れているところを悪いが… 聞くまでもないが輝夜というのはどいつかな?」
フェニックスが腕を組みつつ顔をニヤニヤしながら私を直視しながら尋ねてきた。
コイツらも入り口の貴族同様に求婚しにきたくちのようだ。
コイツらにモテても嬉しくないのだが… どうしたものかと悩んでいると――――
「「私が輝夜だ!!」」
三バカがやたらと目をキラキラと輝かした私の格好をして出てきた。…おい。
さしずめの貴族様も言葉を失って押し黙る。その中、ビッグボディが――――
「輝夜が四人いるだと…?」
それはまるでこの世の成らざるモノを見てしまったかのように
目を大きく見開き… 身を震わせている。
「「ビッグボディ!?」」
他の四人が彼の名を叫び――――
「おい!? しっかりしろ! いったいどこをどう見たらアレが輝夜に見えるんだ!?」
フェニックスが声を掛け肩を揺さぶっても、頭を抱えて蹲るのみ。
見た目だけじゃなく、脳まで筋肉でできていたのか… ビッグボディ。
貴族がこんなんでいいのか…?
「よっしゃー! 今のうちに本物を逃すぞ! お前たち!」
言うや否、運動服に着替えたボーボボが――――
『日本ラグビー強豪国相手に勝利おめでとうキィィィッックゥッ!!』
首領パッチの後頭部にケリを入れて上空へと飛ばす。
弓なりの軌道を描いて黒いカツラを風になびかせて飛んでいく。
「そうはさせん!」
ビッグボディが首領パッチのあとを追いかけて地上を走っていき――――
首領パッチの真下。地面を蹴って高く飛び上がり… 両手で頭の横を挟み込むようにキャッチ。
ボールを抱え込むように身体を丸めて一回転半。
次に身体を伸ばして… 両足を上に、肘を伸ばした両手の先には首領パッチ。
顔面を下にして逆さまに落ちていく――――
『ビッグボディ・タッチダウン!』
ビッグボディの体重を乗せた首領パッチが派手な音を響かせて地面と接触。地面に穴を開ける。
おい… それが私だったら、どうするつもりだアイツは…
顔をアザだらけにし、トゲをしならせた首領パッチを両手で掲げると――――
「輝夜… 捕ったどぉぉぉ!」
と私を含め周りの連中に知らしめる。私は野生生物の獲物かなんかか?
「残念だが、ソイツはニセモノだ。よく見てみろ、ビッグボディ」
腕を組んで近くの竹を背にしてビッグボディに声をかけるのは…
長いカツラを被った女装姿のボーボボ。
脱げや、それ。
ボーボボの言葉通りに首領パッチをまじまじと見つめると気づいたのか――
「よく見たら口紅が濃い! コイツはニセモノだ!」
判断基準、そこ!?
怒りに任せて首領パッチを地面に叩きつける。
そしてビッグボディに迫る二本の黒い縄状の物体。
胴体に絡みつき、腕を――両腋を閉じさせ、その上からさらに巻きついていく。
千切って引き剥がそうにも思いのほか丈夫なのか… 剥がすことができないでいる。
「なんという窮屈だ!! こんなに動けないのは初めてだ!」
「ビッグボディ! きさまは俺たちの大事な仲間を傷つけた!
よって! ――もっとも残酷な方法で死を贈ろう!」
鼻毛を伸ばして上昇。ビッグボディを上空へと吊り上げていく――
「ビッグボディよ! お前はいったい何のためにこの戦いに参加した!?」
「オ… オレにもよくわからないんだ。
他の貴族に
「いけないなァ、貴族のことを悪く言っては」
遥か頭上高くに吊り上げられ… 上下逆さまに反転。頭を下に――――落ちていく。
「うわ――っ! 動けない~~~!!」
迫りくる地面に首を横に振って鼻毛を振りほどこうとするが…
必死の抵抗も空しく頭から地面と激突。
白目を剥いて一言も発しなくなる。
やがて、鼻毛が解かれ… 巨木が倒れるようにゆっくりと背中から傾き…
音を立てて地面を揺るがし、大の字になって仰向けで倒れる。
レフェリー姿の天の助が彼を一瞥した後に…
首を横に振り、頭上で両腕を左右に動かして何度もバツを作ると――――
迷いの竹林にゴングの鳴る音が響き渡る。
黄色いパンツにブーツのレスラー姿のボーボボ。
身体中が紫色のアザだらけの上にあちこちに擦り傷などがある。
足を震わせて立つのが精一杯のようで、口の端から血を流して腕で拭っている。
いつキズを負ったの…?
「いい試合だった… どっちが負けてもおかしくはなかった…」
うそだぁぁぁっ!! 明らかに楽勝でしたよね!? むしろ首領パッチのが重傷ですよね!?
「ボーボボの勝利により、ビッグボディは求婚争奪戦から外れる!」
ボーボボの腕を上げて勝利を告げる天の助。
そのレフェリー姿の服装は… 穴や切り裂かれた跡があり、ボロボロである。
戦ってもいないのになぜボロボロ!? それにそういうシステムなの!?
「だらしないヤツらだぜ。こんなことでケガを負うようじゃな」
竹を背にして葉巻を吸っている首領パッチ。
あんたはさっき死にかけていたでしょうがっ!?
「「ビッグボディ!?」」
他の貴族たちがビッグボディの元に駆け寄って、上半身を起こす。
命に別状はないが… 気を失っている。
「キサマら! よくもビッグボディを!」
「まぁ待てゼブラ…」
「なぜだ!? フェニックス!?」
喰って掛かりそうなゼブラをフェニックスが肩を掴んで制止する。
「俺たちは目的が一緒なだけで、別に仲間というわけではないだろう?」
「だが、ヤられっぱなしというのは… 貴族としてのメンツが立たないだろうが!?」
「何もここで晴らす必要はない。然るべき場所で然るべき制裁を与えるべきだ」
「それに…」と首を動かしてビッグボディに視線を送ると――――
「ヤツらのおかげでライバルが減ったと思えば… な?」
「なるほど…」
そう言って悪人ヅラで嘲笑うゼブラとフェニックス。
どうやらコイツらには仲間意識というものがないようだ。
あと、そういうシステムでいいのコイツら?
「そういうわけで貴族に対してこのようなことをしでかしたお前たちに
俺たちは決闘を申し込む。まさか拒否はしないよな?」
ボーボボたち三人を指差すフェニックス。
「悪いが俺は抜けさせてもらう」
そう
「「ソルジャー!?」」
「臆したのか…? お前ほどの男が…?」
「そう受け取って構わない。マリポーサ。
それに貴族としての責務のが優先だと判断したのもある」
「ほう、それじゃ… 求婚争奪戦から抜ける。 ――でいいんだな?」
しかし、フェニックスの問いには無言で頷いて返すソルジャー。
話を勝手に進めないでほしいのだが… そう思ったのは私だけじゃないようで…
「何を考えているのか知らんが――この術で隅々まで調べるまでよ!」
青色の
彼は高く跳躍すると右手一本で――逆立ちした状態でソルジャーの頭に乗り…
『人心露の術!!』
ぷるぷると、天の助が身体を震わせる音が流れ…
天の助とソルジャーの身体が一瞬白く発光したかと思えば――
何かと衝突したかのように弾かれて地面に尻餅をつく天の助。
「見えないでゴザル。この男の頭の中がまるで霧がかかったように見えないでゴザル!」
「気はすんだか? 命に別状はないとはいえ…
ビッグボディをこのままにしておくわけにはいかないのでな」
とビッグボディを肩に担ぎ上げて出ていこうとする。
てゐは去っていこうとする彼の背中に待ったをかける。
「決闘についての取り決めにあんたも参加してほしい。それぐらい、構わないよね?」
こちらに振り向きじっと見つめてくるソルジャー。
その瞳は欲望とは無縁の… 何かを見透かしたような瞳をしていた。
「後日でいいか…? そこにいる三人もな?」
「フン。まぁ、いいだろう。大して苦労もせずに一人が脱落するのだからな」
ゼブラがソルジャーを睨み付けながらも賛成する。
フェニックスは愉しそうに、マリポーサは無表情で沈黙したまま首を縦に振って…
五人の求婚者は竹林の外へと向かっていった。
彼らの姿が見えなくなりメリーはてゐに…
「こういう場合、無理難題をふっかけて… 諦めさせる。
っていう方法もあった気がするんですけど…? 例えば、五つの神宝とか?」
「私も考えたよ。それじゃあ逆に聞くけど、その場合… 結果はどうなると思う?」
「普通に取ってきそうですね…」
「そういうことだよ。あれは人間の形をした人間以上のモノ。
神代の時代に現れた化け物退治の達人。もしくは神殺しの英雄。
そういった連中の集まりだよ。久々に見たから驚いたよ… 」
……ビッグボディも?
一同、首を傾げて疑問を口にする。
「あっさりやられたから、そう思うでしょうけど。
普通に戦ったら普通に強いからね、彼は?」
(´・ω・)にゃもし。
ここから混沌化していく予感。もう手遅れかもしれないが…
五人の貴公子たちの姿は非常に悩んだ。悩んだ結果、こうなった。
ボーボボのマンガでもキン肉マンネタあったし… いいかな。
見た目だけでご本人様ではないので、あしからず。
日本ラグビーがスゴいので技にしました。
コメントとツッコミあると助かりますが…
『 投稿する際のガイドライン 』
投稿に悩んだときは一読することをオススメします。本気で。
※カッコと空白部分を修正しました。