東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 久々に無敵要塞ザイガスに戻ってみたら…
 五人の求婚者が立ち塞がっていた。
 とっさの気転でビッグボディを倒し、ソルジャーは求婚争奪戦から離脱。
 残る三人はボーボボたちに決闘を叩きつけた!



永遠亭の建築と話し合い

 

 

 迷いの竹林――その奥にて、木を叩く音。削る音。等々。

 さまざまな騒がしい音を奏でて一つの純和風の建物を建てていく。

 

 

 五人の求婚者たち、そのうちの三人との決闘。

 その方法の取り決めを決定するための場所を建造しているわけである。

 

 

 さすがに無敵要塞ザイガスはマズイ。

 あそこには見せてはいけないモノがありすぎる。

 満場一致で可決されたのは言うまでもない。

 

 

 求婚者たちの屋敷で会見の場を(もう)けることも考えているのだが…

 罠の可能性を視野に入れて… 相手の有利な場所でやる必要はない。

 ――という、てゐの考えのもと工事を着工することと相成(あいな)った。

 

 

 大量のイナバたちとゆっくりたち… さらにボーボボがどこから呼び寄せたのか

 サングラスをかけた三匹のブタが工事に(たずさ)わっている。

 ちなみに三匹のブタには背中に羽が生えていて、頭上には光る輪が浮かんでいた。

 

 

 人海戦術を用いて瞬く間に形になっていく。

 人ではない、妖怪だからこそできる方法だが…

 正直、強度に問題がありそうなのだが――――

 

 

「姫様の「永遠の術」を使えば問題ないと思うよ?」

 

 

 てゐがさも当たり前に事もなげに言う。

 なるほど。それならば下手な建築物より頑丈になる…?

 試したことはないがやってみる価値はあるだろう。

 私の永遠の術は、言わば変化の拒絶なのだから。

 

 

 そして着工から(わず)か半日足らずで完成してしまった。驚きの速さである。

 もっとも末っ子のブタによれば、もっとスゴいモノが造れるらしいが…

 風が吹くと跡形もなく瓦解するらしい。もはや欠陥住宅というレベルではない。

 

 

 ちなみに建物の名前は「永遠亭」

 『永遠の術』が(ほどこ)されているから「永遠亭」

 単純でわかりやすいことこの上ない限りである。

 

 

 ちなみにボーボボたちは(きた)るべき決闘に備えて特訓中とのことだが…

 永遠亭から離れた開け放された空間にて――――

 

 

「ちょ!? おま!? マジか!? おいっ!? っていうか何この状況!?

 まさか… その鉄球を俺にぶつける気じゃねえだろーな!?

 死ぬからな!? 普通に死ぬからな!? それ!!」

 

 

 鉄製の十字架に(はりつけ)にされ… さらに両手両足を鎖で縛られた首領パッチ。

 前方にはトゲつき鉄球をぶら下げた重厚なクレーン車。

 その操縦席に座って二本の操作レバーを握るのはボーボボ。

 

 

「安心しろ首領パッチ! この処け――――

 特訓はお前を鍛えるためのもの! 死ぬことはまずない!」

 

 

 今、処刑って言いかけてた気がするんですけど?

 死にはしないでしょいけど… ボロボロにはなるでしょうねー。

 

 

「死ね! 首領パッチ! 人気投票で俺を差し置いて一位になった怨みじゃぁぁぁ!!」

 

 

「「あからさまな私怨!!」」

 

 

 操作レバーをガチャガチャ動かし――クレーン車の車体部分が半回転。

 クレーンが動き、ワイヤーロープが揺れて… 

 当然、先端部分に取りつけられた鉄球も振り子のように大きく揺れる――――

 

 

『必殺! 隕石落とし!!(メテオストライク)』

 

 

 わけのわからん技の名前を出しつつ赤いボタンを思いっきり叩く。

 トゲつき鉄球の側面に取りつけられた噴射ノズル。

 そのノズルから火が吹き、加速。首領パッチへと勢いよく迫る。

 首領パッチは必死の形相で――――

 

 

「バリア! バリア! バリア! バ――――リアッ!! バリアつってんだろっ!?」

 

 

 最後は憤怒の形相で叫ぶが――――

 無論そんなものでバリアが出るわけもなく… 鉄球が止まることもなく…

 骨が砕くような鈍い音を出して、鉄球に押し潰され瀕死の重傷を負う。

 

 

「どうした首領パッチ! もう、おしまいか!? 

 万太郎の『マッスル・ミレニアム』はこんなもんじゃないぞ!?」

 

 

 万太郎って誰? マッスル・ミレニアムって何ですか?

 その首領パッチに天の助が両手でメガホンを作って声をかける。

 

 

「首領パッチィィィッ! 頭上に輝く赤い星が見えるか!?」

 

 

 一同、空を見上げるがそんな星は見当たらない。

 昼を少し回ったとはいえ空はまだ明るい。そのせいもあるのだろうが…

 

 

「へへっ、見えるぜ… あれは希望の星ってやつか…?」

 

 

 どうやら首領パッチには見えるようだ。

 

 

「それは「死兆星」といってだな、これから死んでいく人にだけ見える星なんだ!」

 

 

 よかった、見えていない。ホッと胸を撫で下ろす私たち。

 

 

「ぬぅわぁんだとぉぉぉ!?」

 

 

 ふんがぁぁぁっ… 

 と獣のような雄叫びを上げつつ、歯を喰いしばって強引に鎖を引き千切る。

 

 

「ふざけんな! こんなバカバカしい時代錯誤の特訓なんてやってられっかよ!

 俺様は二度とやんねぇからなっ!?

 それに俺様はやるって… 一言もいってなかったよな!?

 っていうか、今度はテメーがやられろや――――!!」

 

 

 ネギを片手にボーボボが乗るクレーン車へと地上すれすれを滑空。

 

 

「ところがぎっちょんちょん!」

 

 

 首領パッチの頭上から鉄球が降ってきて彼を押し潰す。

 ボーボボがワイヤーロープを緩めて頭上から落としたのだ。

 手足をジタバタ動かして鉄球から這い出ようとするが…

 鉄球はうんともすんとも動かず――――やがて力尽きて白くなる。

 

 

「よし! 次は天の助、お前の番だ!!」

 

 

「ええええぇぇぇぇっ!?」

 

 

 クレーン車を動かして天の助へと暴走を開始する。

 圧倒的な重量の鉄の塊が天の助へと襲い掛かる。

 たまらず背を向けて逃走を試みる。

 

 

「皆さん、お茶が入りましたよー」

 

 

 そんな光景をよそ目に御盆に載せた茶を配るメリー。

 この娘も随分と逞しくなったというべきか、図太くなったというべきか…

 

 

 五つの神宝…? ――を手に入れたというのに自分たちの未来への帰還よりも

 私の求婚争奪戦という問題を優先していいのか…?

 

 

「突然、何を言うのかと思えば… そんなことか」

 

 

 身体を薄っぺらい紙のようにヒラヒラした天の助が会話に割り込んできた。

 どうやらあのクレーン車に轢かれたようだ。

 この程度で済んでしまうのがコイツらのスゴいところである。

 

 

「貴女が私たちを助けたように… 私たちが貴女を助ける。

 それだけの話ですよ。それが仲間というものですよ?」

 

 

 いつの間にかに仲間にされている。

 仲間の一人として数えられているとは… 

 そういや――月の都にいた頃は、仲間と呼べるのがいたかな…?

 これといって思い出になるような記憶が瞬時に思い浮かばない。

 

 

「そういうことだ輝夜。

 あの日あの時あの場所でお前たちと出会って今もここに存在している。

 それは縁であり運命ともいえよう」

 

 

 クレーン車の操縦席から飛び降り――着地した際に足首があらぬ方向に曲がり

 ごろごろと地面を転げ回ってから… 何事もなかったかのように立ち上がる。 

 うん。いろいろと台無し。

 

 

「俺たちがお前たちと出会ったのもそれのせいであり、それのお陰でもある。

 そんな凄い出会いをしたのにつまらない別れをするのはもったいないだろう?」

 

 

 ボーボボがよくわからんことを述べている。

 …が、なんとなく彼らが私に言いたいこと、伝えたいことを…

 なんとなくだが… なんとなくだが…

 

 

「おおっと、勘違いするなよ? 俺様はそいつらとは違ってお前たちのことなんぞ…

 仲間とは思っちゃいねえぜ? むしろライバルと思っている!」

 

 

 全身を包帯でくるまれた首領パッチが松葉杖を鳴らしながら近寄ってきた。

 ただし、その身体の色素が薄い。というよりも幽霊のように透けている。

 さらに体の後ろに幽霊の脚のような透明な尻尾が伸びていて… 

 辿っていくと――鉄球の下敷きになっている首領パッチの口から伸びていた。

 

 

「「魂!? 死にかけているの!?」」

 

 

「俺様はあの貴族たちが気に入らねえから戦うんであってだな…

 お前のために戦うなんて、これっぽちも思っちゃいねえからな!」

 

 

 熱く語っているのと反比例して… だんだんと姿が消えていく。

 さすがに魂がなければ復活も危うい。

 慌てて鉄球を退かして口の中に魂を突っ込ませて… 事なきを得る。

 

 

 鉄球を退かしている最中、私はてゐに決闘の試合形式はどうするのか訊いてみた。

 

 

「三対三。ボーボボたちの得意そうな形式と思わないかい?」

 

 

 彼女はにんまりとイタズラを仕掛ける悪童のように黒く笑う。

 

 

 

 

   □ 数日後 □

 

 

 

 

 完成した純和風の外観を持つ永遠亭。その内部、数ある部屋のうちの一つ。

 大理石でできた長方形のテーブルが部屋の中心に置かれ…

 その周りを同じく大理石でできたイスが置かれている。

 それは大陸の遥か西にある大神殿を彷彿させる造りである。

 

 

「「外観と内部が合っていない!」」

 

 

 ついでに建物の外の造りと内部の面積も合っていない。むしろ異常。

 ちなみにこの部屋を作ったのは例の三兄弟のブタ。その末っ子。

 会見が開かれる前に確かめれば良かったのだが… (かたく)なに拒否したのである。ブタが。

 

 

「時間もないし… これでいくしかないね。

 もしかしたら連中がこれで動揺するかもしれないしね…?」

 

 

 あとは連中が来るのを待つだけと、イスの上にちょこんと座るてゐ。その隣に私が腰掛ける。

 私とてゐ以外の面々は周囲の壁を背にしてイナバとゆっくりたちに埋もれるように立っている。

 ボーボボたち三人は『我々の血税を返せ!』と書かれたプラカードを掲げている。

 

 

「ふっふっふ… 圧倒的じゃないか我が軍は…」

 

 

 周囲を見渡したてゐが洩らす。

 イナバとゆっくりの中には疲れたのか飽きたのか、すぴすぴ寝息を立てて寝ているのもいるが…

 

 

 一人のイナバに連れられて五人の貴族たちが現れる。

 部屋に入るなりビッグボディがビクッと驚き、目を見開き首をキョロキョロと動かしていたが…

 ゼブラは眉をひそむだけで、フェニックスは「ほう…」と感嘆の声を漏らし

 マリポーサとソルジャーに至っては無表情、無反応。感心を通り越してもはや異常である。

 

 

 私たちの対面にはあの三人。上座にはソルジャー、その後ろにはビッグボディが鎮座している。

 決闘方法に関する話し合いをてゐが主体となって静かに進んでいく。

 

 

 そう、不気味なほどに静かなのだ。ボーボボたちがいるにも関わらず――

 気になって彼らがいる方向を顔を向けると… 

 クマのぬいぐるみを抱き締めて布団を敷いて寝ていた。

 

 

 エネルギー弾を生成して三人の顔にぶつけようかと思ったが… なんとか思い踏み留まる。

 三人は寝ていた方がはかどる。いざというときには爆破して起こせばいい。

 

 

 てゐお得意の話術のおかげか、当初の予定通りに三対三の形式に――

 さらに、大勢の観客がいる目の前でやることとなった。

 

 

「このような催しを一部の人間にだけ見せるのは… もったいないと思わないかい?」

 

 

 てゐは身振り手振りを交えつつ大げさに説明したが…

 おそらく、貴族たちが難癖をつけて試合を無効にすることを防ぐためだろう。

 そのための観客。そのためにどちらでもない中立の人間を集めるために…

 さらに観戦料を取ってしまおうとも… おそらく、こっちが本音。

 

 

 見せ物という話がでたときは渋っていたゼブラとフェニックスだったが

 お金の話が出てくるとゼブラがさっきまでとは態度を変えて積極的に賛同するようになり

 フェニックスはしばらく腕を組んで思案する素振りを見せると――

 

 

「ならば場所はこちらで指定させてもらおうか… 

 ここ――迷いの竹林じゃ普通のヤツでは来れないだろうしな…?」

 

 

「ほう… なら、どこで俺たちとやりあうつもりだ?」

 

 

 可愛らしいフリフリのついたピンクのパジャマに

 大きなクマさんのぬいぐるみを抱えたボーボボたちがやって来た。

 コイツら本気で寝てやがった。

 

 

『平安京の奥。そこにある広場。そこが決闘の場所だ!!』

 

 

「「な、なんだってぇぇぇ!?」」

 

 

 ボーボボたち三人とぬいぐるみのクマが驚きの声を上げる。クマ、喋れたんかい…

 

 

「こうしちゃいられない、これは女房を質に入れてでも観に行かなければ!」

 

 

 部屋を飛び出していくクマ。女房いたんだ… 

 

 

「そうだ、人間だけじゃなく妖怪たちも呼び寄せてみるのはどうだ?

 無論、人に害を及ぼすのはお帰り願うがな… 

 そう――人に危害を加えない、そこのウサギと生首なら問題ないだろう」

 

 

 フェニックスが大げさに両手を広げて提案を出す。いやいや、生首はマズイだろうに…

 ゼブラは金が増えると喜んでいるがフェニックスはどうだか… 彼の意図が読めない。

 マリポーサとソルジャーは相変わらずの無表情。

 ビッグボディは立ったまま寝ている… 何しに来たんだコイツは…?

 

 

「予定が違うわね…」

 

 

「…予定?」

 

 

 私の漏らした呟きにフェニックスが聞き返し、ボーボボが答える。

 

 

「ああ、お前みたいな悪党は大抵、最後に出てきて

 ペラペラと企みを全て喋ったあとに倒されるハズなんだが…」

 

 

「今、この場で殴っていいか、お前ら?」

 

 

 フェニックスがこみかみに青筋を立ててボーボボを睨んだ。

 堪え性のないヤツである。

 

 

「力が弱いとはいえ… 妖怪に変わりはない。

 正直、都には入れさせたくはないのだがな…」

 

 

 今まで黙っていたソルジャーが口を挟んでくる。すかさずゼブラが――

 

 

「噂の結界師、陰陽師、仙人に頼み込んで結界を張らせばいい。

 連中の中には物好きなのがいるからな… それに金さえ払えばやるのもいるだろう」

 

 

 それ以降ソルジャーは沈黙し、話し合いが続けられて… 試合の日時が決まった。

 

 

 

 

『三日後に!! 平安京で!!』

 

 

 

 

 ――――と。

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。
 
 一日に二話投稿に挑戦その1です。15話は17:00辺りかな?
 この作品はギャグとストーリーを交ぜています。

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 ※カッコと空白部分を修正しました。
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