東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 決闘当日。
 フェニックスから聞かされた太古の月の民の忌まわしき遊び。
 そして平安京に突如現れたコロセウム。 
 始まる三対三の決闘。
 しかし首領パッチがゼブラと戦闘中、自分の攻撃で猛毒に侵されてしまった。




輝夜! 激闘を目の当たりにする !? …の巻
元ブロックA隊長の実力とゼブラの本気


 

 

 オレンジ色の身体の色素が薄く変色。

 白目を剥きつつ紫色の泡を口から吹かせながら痙攣を絶えず引き起こしている。

 さすが0.01ミリグラムでクジラを毒殺するだけの威力はある。

 リングの中央で倒れているのは自分の攻撃で自滅した私たちの仲間の一人…

 

 

「「首領パッチィィィィィッ!?」」

 

 

 ボーボボが駆けつけ肩を二、三回揺さぶると首領パッチが反応を示した。

 

 

「あばばばばば…」

 

 

 白目を剥きつつ、だらしなく開いた口から舌を蛇のように伸ばし…

 薬指と中指を曲げた両手を前に突き出して首を左右に(せわ)しなく動かす。

 その様子を見ていたボーボボは悔しそうに表情を歪ませると――

 

 

「くぅっ… ダメだ。重症だ…」

 

 

 そうなの!? というか今のなんなの!?

 

 

「ボーボボ! 解毒剤を持ってきたぞ!」

 

 

 天の助が『ぬ』と書かれた風呂敷を背負ってやって来た。

 それを床に広げて見せると大量の液体の入った瓶が――――

 

 

「20本あるんだが… どれがいい?」

 

 

 多っ!? 解毒剤、多っ!

 あと何処から調達してきたの!?

 

 

「ん? ああ、そこのゆっくりだが?」

 

 

 リングの外。放送席の隣にある天幕の一つ。

 でかでかと『死』という文字が書かれている。不吉だ。

 天の助が指差した先には銀髪の髪を三つ編みにしたのとウサミミのついたゆっくりたち。

 

 

「ゆっくりして逝ってね!!!」

 

 

 字が違うような気がするが彼女ならば不可能ではないと納得。

 私の元教育係を元にしたゆっくりがいることに疑問を感じたが――

 そこはボーボボだから…

 

 

「会話してる暇があんなら、とっとと寄越せや!

 こっちは死にかけてんだぞ!? あ"あ"あ"ん!?」

 

 

 突然、意識を回復した首領パッチが引ったくるように天の助から瓶を強奪。

 「ちぇすとぉぉぉ!」と手刀で全ての瓶の上部を切り落とす。

 猛毒に侵されて死にかけているのに… まだまだ元気のようだ。

 

 

「あ… ちょ!?」

 

 

 天の助が止める暇もなく次々と飲み干していく…

 全てを飲み干してからゲップを出すと――

 

 

「元気百倍! 首領パッチィィィッ!」

 

 

 両腕を天に突き上げて立ち上がる。

 

 

「おい、首領パッチ… 動いて平気なのか?」

 

 

 天の助が心配して声をかけるも――

 「ちっちっち…」と人差し指を立てた右手を左右に振りながら…

 

 

「おいおい、俺様を誰だと思っている? 天下無敵の首領パッチ様だぞ?

 毒ごときで死ぬわけね――――だろ~~~がっ!」

 

 

 天の助の胸ぐらを掴み… 顔面に向かって唾を吐きながら怒鳴り散らす。

 一応、命の恩人なんだが… その天の助だが――

 

 

「いや、その解毒剤。効き目がスゴい分… 副作用もスゴくてな――」

 

 

 

 

 一、全身が痒くなる。

 二、頭痛・腹痛に見舞われる。

 三、痛覚が鋭くなり、ほんの少しの刺激でも反応して激痛が走る。

 四、最低一日から最長で三日間その状態が続く。

 

 

 

 

 と説明して、結果…

 

 

『燃え尽きたぜ… 真っ白にな…』

 

 

 トゲをしおらせ身体を真っ白に染め上げた首領パッチが

 体を少し前に傾けてイスに腰掛けている。

 

 

「「首領パッチィィィィィッ!!」」

 

 

 ボーボボと天の助が彼の名を叫びながら滝のような涙を流す。

 なんでそんな副作用のある解毒剤を持ってきたのか…

 解毒剤を作ったと思われるゆっくりに視線を向けると――黒い笑みを浮かんでいた。

 

 

 わざとか!

 

 

「ゼブラよ… よくも首領パッチを殺ってくれたな!」

 

 

 …と、ゼブラを指差すボーボボ。

 

 

 なんでそうなる!

 

 

「いや、待て! 俺は無関係だぞ!

 どう見ても、その薬品が原因だろうが!

 それ解毒剤じゃなくて… 毒薬の間違いじゃないのか!?」

 

 

 天幕にいるゆっくりとリングにある空のビンを交互に指差すゼブラ。

 

 

「人を導く立場にある貴族ともあろうものが言い訳とはな… 見苦しいな…」

 

 

 事実なのですが… 

 無論そんなもんで首を縦に振るボーボボではない。

 当然、会話が成り立たない。

 

 

「かける言葉は語り尽くした! キサマのような下郎に慈悲は無用!

 お前の手で無惨に殺された首領パッチの仇… 討たせてもらうぜ!」

 

 

 ボーボボの中では既に死んでいるのね… 首領パッチ。

 両手を半開きに相手に対して体を斜めに傾けた構えで鼻毛を伸ばすボーボボと…

 両腕を顔の高さに拳の甲を向けた構えを見せるゼブラ。

 

 

 対面する二人。両者のオーラが目に見える幻となって動物の姿を借りて顕現(けんげん)する。

 ゼブラには鼻息を荒く鳴らした傷だらけのシマウマが背後に立ち…

 ボーボボにはクルミをガジガジとかじっているシマリスが肩の上に乗っかっている。

 

 

「「迫力が微塵もねぇぇぇぇぇっ!」」

 

 

 クルミをかじっていたシマリスはゼブラと背後のシマウマを見ると…

 

 

『ひぃぃぃっ! シマリスには無理なのです!  退散するのです!』

 

 

 敵に背を向けて逃走を始める。

 

 

「ああっ!? 待って僕のオーラ!」

 

 

 ボーボボの制止を無視して土煙を上げながらコロセウムの外へと逃げ出した。

 しばし流れる沈黙。

 ボーボボはゆっくりと振り返りゼブラを真っ正面に見据えると――

 

 

「かける言葉は語り尽くした! もはや慈悲は無いと思え!」

 

 

 なかったことにした!?

 

 

 再度構えを見せて鼻毛を伸ばすボーボボに… 天の助が肩を掴んで待ったをかける。

 

 

「大将は最後に出るものだ。ここは俺に任せてくれないか…?

 それに俺も多少の出番が欲しいし…

 ここで活躍すれば――ところてんの地位向上に繋がる」

 

 

 少しは本音を包み隠しなさい。

 それにところてんの地位向上は無理だと思うよ…

 

 

「そういうことで… お前の相手は俺になった」

 

 

 仁王立ちで両腕を組んだ天の助がゼブラと対峙する。

 

 

『ボーボボ選手が出るかと思われましたが――天の助選手が出てきましたね。スグルさん』

 

 

『天の助選手の身体は半固形のゼリー状で変幻自在。さらに再生能力が凄まじいらしい…

 ゼブラ選手はどうするつもりなのか… 気になるところだわいな 』

 

 

 変幻自在なゼリー状の肉体を持ち不死身の体を持った天の助を倒すことは不可能に近い。

 せいぜい気絶させるぐらいしか手はない。

 だがその天の助には決め手になるような攻撃が他の二人と比べると…

 

 

「ところてん怒りの乱舞! タツノオトシゴ・バージョン!」

 

 

『天の助選手、巨大なタツノオトシゴでゼブラ選手をメッタ打ちだ――――っ!!』

 

 

 なんか変なモノだしてるぅぅぅっ!?

 

 

 刀で袈裟懸けをするように連続で左右斜めに上段から得物を叩きつける天の助に…

 両腕を使ってガードして猛攻を凌ぐゼブラ。

 

 

「タツノオトシゴは英語でシー・ホースっていいますから、おそらく馬繋がりで…」

 

 

 メリー… 真面目な顔で何を言っているの…

 

 

「調子に乗るなぁぁぁっ!」

 

 

 右ストレートを繰り出すゼブラの拳。拳の風圧が風を切る音を鳴らす。

 慌てて拳の直線上にタツノオトシゴを盾のように構え――拳が腹部に直撃。

 

 

「ぐはぁっ!?」

 

 

 タツノオトシゴは目を大きく見開き口から呼吸が漏れて――

 

 

『すんごいダメージだぁぁぁ! 天の助選手のタツノオトシゴが血を吐いた~~~!』

 

 

『これは試合続行ができるか危ぶまれるのぉ…』

 

 

 いや、別にタツノオトシゴとゼブラが戦っているわけじゃないんだが…

 というか生きているんだ… あのタツノオトシゴ。

 

 

「すいません天の助さん。自分エラ呼吸なもんで、これ以上はキツいッス…」

 

 

 なら何故出てきた…

 

 

「でも安心してください。私よりも強力な助っ人を呼びましたので…」

 

 

 勝ってください… そう言い残して天の助の腕の中で息を引き取った。

 

 

「うおぉぉぉ、アルフレッド・ガーナソン・エルゥゥゥッ!」

 

 

 なにその名前!?

 

 

「よくもアルフレッド・ガーナソン・エルを!」

 

 

 射殺すような視線で涙を流しながら睨む天の助。

 

 

「エラ呼吸の魚類を陸の上に持っていくのがおかしいだろうが!?」

 

 

 うん。私も含めて頷く観客席の皆さん。

 

 

「だがアルフレッド・ガーナソン・エルは俺のために強い助っ人を残してくれたぜ!

 しかもエラ呼吸じゃない肺呼吸だ!」

 

 

 「見ろ!」と指差す先――リングの外。その下には…

 

 

「ぜぇぜぇ… はぁはぁ…」

 

 

 ぐったりとしたシャチが苦横たわっており…

 「もう… だめ…」と言葉を最後にそれ以降動かなくなり…

 彼の体から魂が抜け出ていき… ヒレをぶんぶんと振りながら天へと昇っていく。

 とりあえずこちらも手を振って返す。

 

 

 イナバとゆっくりたちがシャチの遺骸を荷台に乗せて

 「うんしょ、うんしょ」「ゆっ! ゆっ!」と出口の方へと引っ張って運んでいく。

 

 

「シャチ軍曹ぉぉぉ!? 海のギャングと恐れられているあなたがやられるなんて!?」

 

 

「「アホかぁぁぁっ!?」」

 

 

 敵味方両方からのツッコミ。

 

 

 でもそれ以前にどっから出した!? あの巨大な海の生き物!

 さっきまでいなかったよね!?

 

 

「悪いがお前のアホな行動には付き合いきれん…

 一気に勝負を着けさせてもらう――――」

 

 

 後ろ向きでリングに張られているロープ。その上段に飛び乗ると…

 

 

「お前に面白いモノを見せてやろう…」

 

 

『おーっと!? ゼブラ選手! ロープからロープへと跳び移って

 天の助選手の回りをぐるぐる回っています!』

 

 

『うむ。これではどこから攻撃が来るのか予測がつかんわい…』

 

 

 ――速さを増して… 

 

 

 ――回転数を増やして…

 

 

 ――白と黒の残像を残しながら…

 

 

 ――ロープからロープへと跳躍による高速移動。

 それはまるでゼブラが分身・分裂したかのような錯覚を引き起こして… 

 

 

 …そして――

 

 

 リングの四辺それぞれ中央から四体のゼブラがロープをバネにして飛び掛かる。

 

 

『四体のゼブラ選手が天の助に向かって襲い掛かる! これはどういうことだ!?』

 

 

『――超高速で動いて四体に分身しているように見せておる』

 

 

 天の助の前後左右から四体のゼブラが拳を大きく振りかぶり――前に突きだす。

 あと一歩で体に触れるか否かの距離――

 

 

『プルプル真拳奥義! 超ところ弾!』

 

 

 青いオーラを纏わせて高速回転。

 リングの中央で青い球体を造り出し――それに触れたゼブラたちを(はじ)け飛ばす。

 風が煙を吹き飛ばすようにゼブラたちの姿が掻き消えていき… 天の助の姿だけが残る。

 

 

「これが元Aブロック隊長の力だ」

 

 

 静まり返るコロセウム。

 しばらく、ぼーっと見ていたメリーはやがてハッと気がつくと…

 

 

「どうしよう !? 一瞬、アレ(天の助)をカッコいいと思っちゃいました!」

 

 

 不覚にも私も思ったから安心しなさい。

 しかし四体のゼブラがいなくなるのは… おかしい。

 

 

 その理由がすぐに出た。

 

 

 突如、呻き声を一つ漏らして天の助が上空へと上昇する。

 ゼブラが背後で後方へ宙返りしつつ無防備な背を蹴り上げたのだ。

 

 

『超ところ弾でやられたと思っていたゼブラ選手が後ろから反撃!

 天の助選手たまらず上空へと吹っ飛んだ~~~っ!!』

 

 

 打ち上げられ…

 

 

 減速のちに失速。落下。

 

 

 大の字で落ちていく天の助。

 

 

 その背に向かって跳躍。

 空中で膝を曲げてからの後転。

 頭を下に… 膝を曲げて踵を揃えた両足を上に向けて…

 

 

 天の助の背中に触れるか否かの瞬間。

 瞬時に体を伸ばして蹴りを叩き込んだ。

 

 

『打ち上げ落下してきたところをゼブラ選手の蹴りが炸裂ぅぅぅっ!!』

 

 

『これが普通の相手ならば背骨が大変なことになっておるぞ!』

 

 

『だが! これで終わらない! 

 ゼブラ選手! 両足に天の助を乗せたそのままの体勢で昇っていくぅぅぅ!

 この体勢! このフォルム! この構えは!?』

 

 

「「マッスル・インフィルノか!?」」

 

 

 ソルジャーが… マリポーサが… 先代の帝が口を揃えて技の名前を叫ぶ。

 一応、貴族の一人であるビッグボディはというと――

 三角巾のついた帽子を被ったゆっくりと一緒にポテチを頬張っていた。

 

 

 こっちの視線に気づくとポテチを手に「食べる?」と訊いてくる。

 お前はもうちょっと緊張感を持て石作皇子( いしつくりのみこ )

 

 

「マッスル・インフィルノだと!? 

 確かにあのフォルムはマッスル・インフィルノ… だが!」

 

 

 ボーボボも声を大にして叫ぶ。

 彼らは未来から来たのならば知っていても不思議ではない。

 

 

 地上からロケットを打ち上げるようにぐんぐん上昇。

 人の肉眼では確認できない高さにまで達する。

 大空へと昇っていく最中、天の助が疑問をぶつける。

 

 

「マッスル・インフィルノは水平移動で壁にぶつける技のハズだぞ!?」

 

 

 ボーボボ同様に天の助もあの技を知っているようだ。

 しかしゼブラのやっていることは上昇である。だが――

 

 

「あの高さから落ちたら… 天の助でも無事に済まないかもね…」

 

 

 頬に冷や汗をかきながらてゐが遥か上空の二人に目を向ける。

 首領パッチが自滅して天の助も敗れれば――

 

 

「そうなるとボーボボさんが一人で三人と戦うことに…」

 

 

 メリーが顔を青ざめて空を見上げる。

 もっとも人間である彼女には見えていないでしょうけど。

 

 

 ビッグボディを撃破したとき

 ソルジャーが争奪戦から離脱したとき

 

 

 他の三人も大したことはない。

 

 

 そう判断してしまった。

 相手はたかだか人間と

 力量を見誤ったのは私たちかもしれない。

 メリーとてゐが手をパタパタと振って否定する。

 

 

「「いやいや姫様、もうあれは人間って呼べないですよね?」」

 

 




 

 (´・ω・)にゃもし。

 ネタはいろいろ。マッスル・インフィルノもそのうちの一つです。
 原作と本作のマッスル・インフィルノが違いますが独自解釈ってことで 
 次話でゼブラさんとかに代弁させる予定だよ。
 戦闘シーンって難しいよね。
 ネット小説だからできる表現があるのでは? と試した結果です。
 それと章を作ってみたよ。
 前回は二話連続で投稿したけど今回はこれのみで様子見。

 コメントとツッコミがあると助かるです。
 あと、ここまで読んでくれてアリガトウです。

 ※カッコと空白部分を修正しました。

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