妖怪「八雲紫」と従者の九尾の狐「八雲藍」
遠い未来ではボーボボたち三人の見知った顔でも、
過去では初めて会う赤の他人――当然、警戒される。
だが天の助の助言で一枚の写真を見せることで納得、
彼女の口から聞かされる「今」「未来」「分岐点」の話。
そして、てゐが語る今まで集めた五つの神宝の使い道。
物語は進む。
天の助がキョロキョロと辺りを
「さっきから、おかしくないか?」
「なにを言っているんだ? 首領パッチの頭がおかしいのは元からだろ?」
ボーボボ、あなたもです。
「それは知っている… って、そうじゃなくてだ。
さっきから人の気配がしないんだよ」
あれから結構、時間が経っている。
誰も来ないことに違和感を感じ、誰しもが疑問に思い始める――二人を除いて…
「あら失礼、他の方々たちが参りますと不便ですので…
人払いの結界を張らして頂きました」
犯人はすぐ近く、あっさりと白状した。九尾を従える妖怪――八雲紫(やくもゆかり)
とはいえ、一人ぐらいは結界を素通り、もしくは突破してきてもよさそうなのだが…
私と同じことを考えたのか、メリーが彼女に質問する。
「でも、あれだけの人間と妖怪がいるのに気づかないってのは…
何人かは気づきそうなものなんですけど…?」
「先代の帝と、顔見知りの鬼に頼みましたので
あとは私よりも格下の集まり、気づかれることも侵入される心配もございません」
退役したとはいえ元帝の権力は健在のようで…
それに、鬼にケンカを売るような物好きはいない――と、
だが私たちの予想を裏切って…
「なんかヘンテコなとこに迷いこんだです、ワンワン」
――電気ウナギと犬を両親に持つ、電気ウナギイヌが侵入していた。
「「 …………………… 」」
やり場のない沈黙の後、彼の足下に穴が開き――そこへ落ちていく。
「あれ――っ !? 」と声を反響させて、その場からいなくなる。
彼女は表情一つ変えずに――
「…気づかれることも、侵入される心配もございません」
なかったことにした !?
「――とはいえ、いつまでもここに留まっていては…
不粋な輩が侵入する可能性も、無きにしも
そう言うと、私たちの前方の空間に穴が空く。
その向こう側には天に向かって伸びる青々とした竹の群生。
奥には橙色の首領パッチを模した建物「無敵要塞ザイガス」と、和風の造りの「永遠亭」
「相変わらず移動に便利な能力だな」
「ああ、羨ましいぜ。この能力があればところてんを効率よく広められるのに…」
ボーボボ、天の助が何の
そのあとを「パチ美を置いてかないで~」と首領パッチが追いかける。
残る私たちも若干の戸惑いを見せながらも穴の中へと侵入していく。
空中にできた穴を
落とし穴の底で竹ヤりで串刺しになった三人の姿。
なんか罠にかかっとる !?
ボーボボが身体中を穴だらけにして、穴の底から這い出て――
「対つけもの用の罠を仕掛けていたのを忘れてた…」
忘れるな、そんなもん。
一般人がかかったら、どうするつもりなのやら…
「それよりも「対つけもの用」ってことに疑問に思いましょうよ…」
「メリー… それをいったら「罠」があること自体がおかしいからね?
私ら因幡のウサギのナワバリだからね、ここ?
――というよりも何で許可もなく仕掛けたのさ !? 」
幸い罠の場所は因幡たちが覚えていたので、
彼女たちに罠の場所を教えてもらいながら進んでいく。
道中三人がワナにかかるというトラブルがあったものの、
目的地が目と鼻の先ということもあり、さほど時間もかからずに到着する。
その無敵要塞ザイガス――その門扉の前で天の助が立ち止まり、何やら考え込むように、
門をじっと見つめながら「うーん」と声を唸らせる。
気になったボーボボが…
「どうした天の助?」
「イヤ、大したことではない…」
「もしかしたら私たちにとって重要な手掛かりになるかもしれないからね。
一応、言ってみたらどうだい?」
てゐに
「前々から思っていたんだがな」と前置きを置いてから真顔で応える。
「――『ただいマンボウ』って言葉はあるのに、
『おかえり』の魔法の言葉がないのは何故だろうって思ってな…」
本気で大したことなかった…
「言われてみれば、確かにないな…」
「これは『オレたちの手で作れ』という啓示かもしれんな…」
そこに首領パッチ、ボーボボが加わって意見を述べ合う。
熱く熱弁を奮う彼らを放置して、私たち女性三人は要塞の扉を
三人…?
目に映るのは竹でできた森林のみ。てゐも彼女たちがいないことに気づき、
「味方ではないけど、敵でもない。
――かといって、中立かと訊かれば… 首を傾げるざるえない。
コウモリみたいなどっちつかずの連中が一番厄介なんだよね。
おまけに空間と空間を繋げる能力をお持ちだ。
覗き見、盗み聞きし放題。さらに捕まる心配もない」
「それじゃあ、どうしようもないじゃないですか…」
「そうさメリー『どうしようもない』から対策が立てない。
対策を立てても相手に筒抜けじゃ、ほとんど意味を成さない。
なら『対策を立てない対策』で対策をするのさ」
まるで言葉遊びのような、意味のあるようで無いような会話。
「無駄な努力のために時間を無駄に使う必要はないからね、
私たちに時間を使わせる。疑心暗鬼に陥らせる。
それがやっこさんの目的であり、狙いの可能性もある」
「だから『対策を立てない対策』なんですか…」
「後手後手に回る悪手だけどね」
要塞の中、その一角に建てられている首領パッチの形をした居住区に足を踏み入れる。
「随分と遅かったな」
扉を開けた――その向こうで八雲藍(やくもらん)が待ち構えていた。
何かの見間違い、幻覚、或いは幻影の類いの可能性を視野に入れて、
私はそっと扉を閉めて… 大きく深呼吸。もう一度、開ける。
「気は済んだか?」
扉を閉じる前と変わらず、そこに紫の従者の九尾の狐が立っていた。
やっぱいる… ゆかりんの能力で侵入したのだろう。何しにここに来たんだ?
「紫様はあなた方に興味を抱き、近くで観察することにしたのだ」
「――したのだ、って近すぎの上に堂々しすぎですよ…」
「陰でコソコソすればいいのか、人間?」
さすがに予想外だが、かといって力づくで追い返すわけにもいかず、
そう言えば主人の紫は…?
「居間で布団を敷いて、お休みになられている」
居間の奥――畳が敷き詰められている所で幸せそうな顔で寝ている。
それはもう勝手知ったる他人の家と言わんばかりに一角を布団で占領していた。
「さすがボーボボさんの未来の知り合いだけのことはありますね…」
メリー、それを言ったらここにいる全員がボーボボの知り合いになるからね?
てゐは自分は無関係とばかりに明後日の方向を見ているが…
その瞳が「自分はボーボボたちとは違う」と強く否定していることを主張している。
ガチャッと扉が開く音。次いで複数の足音。
「「 ただいマンボウ 」」
ボーボボたちが帰ってきた。頭には水色のマンボウの被り物を着用して…
「紫さんと藍さんが勝手に入ってきているんですが、いいんですか?」
「オレたちが被っているマンボウについては――」
「紫さんと藍さんが勝手に入ってきているんですが、いいんですか?」
にべもなくボーボボの発言を切り捨てるメリー。
精神的に強くなったというか、逞しくなったというか…
「用があるから入ってきたんだろう、未来でもこんな感じに神出鬼没だしな」
「でも今、居間ですぴすぴ寝ているんですが…」
「能力の使いすぎで寝ているんだろう、未来でもこんな感じだしな」
「そういうことで、くれぐれも紫様の睡眠の邪魔だけはしないように…」
藍が私たちに釘を刺す。
ここは私たちの拠点なんですが?
「――で何をやっているのだ…? お前たちは?」
寝ている紫の周りにゆっくりたちを置いていくボーボボ。
「ああ、こうすると紫がゆっくりに襲われているように見えないか?」
――してどうする…
紫に興味津々なのか周囲で「ゆーゆー」と小さく鳴くゆっくりたち。
ゆっくりだけでなく二体の小さな羊に、二等身の犬耳を生やした銀髪メイド、
人の身長ほどのでっかいトカゲなんてのもいる…
「「 トカゲ !? 」」
「紹介しよう『おかエリマキトカゲ』だ」
なにそれ !? エリマキないんですけど !?
「ボーボボさん! それコモドオオトカゲです!
人を襲うこともある危険なヤツですよ !?」
「心配性だなメリーは、大丈夫だ。問題ない」
件のトカゲはいきなし二足歩行で立ち上がり天の助の背後に立つと――
『 いただきマンモス! 』
「 ぎゃぁぁぁっ !? 」
天の助の左肩に咬みついてきた。
ほら、いわんこっちゃない… と思ったら――
『 マズごぱぁっ !? 』
血を吐き、後ろ向きにひっくり返り、泡を吹かせながら痙攣し始める。
「どうやら、オレの体のあまりの旨さに倒れたようだな…」
喰い千切られた肩を押さえながら、荒い息を吐く。
「マズごぱぁっ」って言ってましたよね。
「ところで夕食はどうする? お前たちが来るまえに作っておいたんだが…」
他人の家の台所で何をしているんだか…
りゅうおう出現から今の間に調理を終えるとは思えないし、
おそらく、それ以前にやって来て料理をしていたのだろう。
…ん?
てゐの話だと試合前に観客席にいたみたいだが…
ああ、空間を繋ぐ紫の能力で説明できるか…
「おお、さすが藍。できる女だ」
「少々早いが食事にするか」
「わーい。僕ぅ~、お腹ぺこぺこだよー」
ボーボボ、天の助、首領パッチが席につき、藍が料理を運んでくる。
眩い輝きを放つ、どこか神々しさを感じる肉の塊。
「ジュエルミートだ」
「「 なんかスゴい食材出た――――っ !? 」」
「それと台所にある「虹の実プリン」は紫様のために用意したものだ。
くれぐれも口にしないように…」
「えーっと、藍さん…?」
「どうした人間?」
「その虹の実プリンがスゴい勢いで食べられているんですが…?」
――と指差す先には… 大人が両手を広げても尚、収まりきれない巨大なプリンと、
それを手掴みで次々と口に運んでいく三人。頭上にはどういう原理か虹ができている。
「それは紫様のために用意したものだ――と言っただろうが !? 」
彼女には珍しく声を荒げて、皿を掴み阻止するが――
「「 この実を待ち続けて10年! 渡してなるものか――っ !! 」」
藍と同様に三人も皿を掴んで引っ張り合いを始める。
このあと目覚めた紫に三人が痛い目に遭わされたのは… まぁ、いうまでもないか…
(´・ω・)にゃもし。
物語を加速させたい…
東方キャラは出したいが、あんまし出すと物語が混乱する。
文のようにゲスト出演として出そうかなと目論むが…
1300年前いても不思議じゃないヤツって少ないね。
個人的には八雲コンビは必須キャラ。
さらにもう一人、あの方も出す予定。
――というか物語上、出さないとダメだわね。
でも、その前にオリキャラの敵キャラと取り巻きのモヒカンを…
ここまで読んでくれて、ありがとうです。