誘拐犯の指示で辿り着いた場所で待っていたのは
白ずくめのニンジャ=ゲッコウ。
彼はボーボボたちに「闇のゲーム」による決闘を望んでいた。
上半分が赤で下半分が白の手のひらサイズのボール。名称は「モンスターボール」
ボーボボが持っているモノと同じモノをそのニンジャ=ゲッコウは持っていた。
「キサマ、トレーナーだったのか…
『闇のゲーム』と言われて「はい」と答えるとでも思っているのか?」
「忘れたか? 人質がいることを――」
対決に応じないボーボボにゲッコウは懐から巻物を取り出し広げる。
そこには「人質」と縦に書かれた大きな文字が二つ。
片手で印を結んで「解」と唱えると『ポンっ』と軽い音とともに煙が発生、
煙が晴れると――
「やっくん !?」
縄で胴をぐるぐる巻きにされた首領パッチが愛用している不気味な人形。
『首領パッチぃぃぃ… ころすゥゥゥゥゥ…』
なんか危険なこと口走っている !? しかも怒りの矛先が所有者 !?
いや、それ以前に自我が芽生えてる !?
「ときどき、派手に壊れるからな… それで恨んでいるのかもしれんな」
「危害をくわえられる可能性があるから、ほっとくか…?」
天の助が冷静に分析し、ボーボボが提案を上げる。
無論その意見に首領パッチが賛成するハズがなく…
「そんなこと言わないで助け――」
やっくんに背中を見せた瞬間――
『 やっくん・ビィィィィィム !!!! 』
「 ぎゃぁぁぁぁぁっ !? 」
背後から撃たれて、細い紫色の光線が首領パッチの体を貫く。
血を吐き、倒れる――寸前に『ダンっ!』と地面を強く蹴ると、姿が掻き消える。
人の目には認識できない高速による移動。
「 いってぇぇぇな――――! 何すんだテメー !? 」
やっくんのすぐ真横で再び現れて――――
『 奥義「しみったれブルース」 !! 』
不気味な人形に乱打を浴びせて空へと吹き飛ばす。
青い空へと飛んでいく人形を見送るとゲッコウの方へ振り向き、憎しみのこもった目で…
「よくもやっくんを…」
『俺はなんもしとらん』
次に二つ目の文字を解放、二人目の人質が現れる。
そこには子供ほどの大きさの鯉が同じように縄で拘束されていた。
「皆さん… 私のこと忘れてませんでした?」
空を飛び、人語を操る不可思議な鯉――ヴォルガノスがそこにいた。
「「 すいません、忘れていました… 」」
全員がでっかい鯉に頭を下げる。
『くっくっく、これでも同じことが言えるのか…?』
「 キサマっ! よくも俺たちの非常食を! 」
えっ? あれ非常食だったの !?
「――皆さん…」
腹に力を入れると縄がぶちぶちと千切れ、小刀を逆手に切っ先を自分の方に向けると――
「 俺に構わず悪を討て !!!! 」
自分の首元を刺した!
「「 自害した !!!? 」」
ボーボボが急いで駆け寄り尻尾を掴むと「ふんっ!」とハンマー投げの要領で投げて
大空の彼方へと消え去った。それをじっと眺めるボーボボ…
「よくもヴォルガノスを…」
赤いオーラを身に纏って凄みのある声で、ゲッコウの方へと振り向く。
『言っても無駄だと思うが、俺はなんもしとらんぞ』
「言い訳など聞きたくもないな…」
『やれやれ、こうも話が通じないとはな…
もっとも俺がこれからやることは変わりはないがな』
両手で次々と印を結びながら、呪を唱える。
『二一が二、二ィ二ィが死んで、二ィ三がロクでもない、二ン四ン発覚…』
兄さんダメ人間過ぎる! というか何その呪文 !?
呪文の詠唱が終わったのか、右手を地面に置くとそこを起点に白い線が走り…
物の数秒で半透明の直方体を二つ繋げたバトルフィールドができあがり――
私たちはその中に閉じ込められた。
『このバトルフィールドは俺を倒せば自動的に解除される』
「「 ほんじゃ早速、始めるか――! 死ねや―― !! 」」
釘バットを手にした天の助と、バールのようなモノを持った首領パッチが奇襲を仕掛けるも
武器が触れる直前、手前でオレンジ色の八角形のバリアが形成されて防がれてしまった。
『――ただし「闇のゲーム」で、だ…
そしてルールを破った物には罰が与えられる』
「「 なんだと !? 」」
『6億ぬ円、支払えば免れるが… どうする?』
「「 そんなには無理! 」」
ぬ円って何 !?
『――ならば、罰を受けるがよい』
天の助と首領パッチの身体が足元から灰色に変化していき…
「「 石化だと !? 」」
両手をバタバタと振って抵抗を試みるが、必死の努力も空しく… 物言わぬ石像へと化した。
『これから行う「闇のゲーム」で負けた場合も同じように石化する。
石化の解除およびバトルフィールドからの脱出する唯一の方法は勝利のみだ』
「小難しいことを言っているようだが… 要はポケモンバトルで勝てばいいんだろ?」
『そうだ』
「気をつけた方がいいよボーボボ。
こんなとこまで呼び出して結界を張ってまで勝負を仕掛けてきたんだ。
うちらに勝利できる見込みと根拠がないとできないよ」
「だがてゐ、あのニンジャに勝つ以外に脱出する方法がない以上は…」
ちょいちょいとボーボボに手招きして、彼を小さく屈ませて…
その耳元に囁くように――――
(アイツはわざわざここまで私たちを誘導した。
逆に言えば要塞の近くでは勝てないってことを意味する。
なにしろ、あの要塞には――)
――八雲紫がいる。
あの妖怪の能力ならば通り抜けることは可能だろう。
(なるべく時間を稼いで欲しい。手下の因幡が向かっている。
最悪、石化されても… あの女なら元に戻せる)
『相談は終わりか?』
「ああ」と立ち上がり、アフロからモンスターボールを取り出すと…
何処とも無しに流れる音楽。現れるメッセージウィンドウ。
「 目と目が合ったら、ポケモンバトル! 」
アフロの ボーボボが
しょうぶを しかけてきた!
「目が合ったらバトルって… これ完全にチンピラの類いですよね…?」
メリーが至極真面目に指摘した。
それよりもポケモンバトルの方が気になるのだが…
「捕まえたモンスター同士で闘わせる遊戯です。
でも、私が知っているのは画面の中の話です。
少なくとも私の知っている世界では――ですけど…」
ボーボボたちは1300年後の幻想郷から、メリーは彼らよりも先の未来から…
さらに幻想郷に幻想入りする前のボーボボたちがいたのは1000年後という話だ。
ボーボボたちのいる時代では普通にあるかもしれないが…
「 サンダース、君に決めた! 」
モンスターボールを開くと中から白い格好の背筋をピンと伸ばした老人が飛び出す。
黄色い闘気を纏わせて、電気が発生しては体の表面を縫っていくように駆け抜ける。
モンスターといっているが中には人型のもいるようだ――と思ったらメリーが、
「 ポケモンじゃない !? 」
え? それじゃあ、あそこにいるのは…?
「 フライドチキンの創業者です! 」
そんな人物がなぜモンスターボールなんぞに入っているのか理解できないが…
ゲッコウも手持ちのボールから――
『ケンタロスのまこっちゃん、出てこい』
ケンタロス…? 半人半馬のあれだろうか?
でもあれはケンタ
「ポケモンのケンタロスは名前だけで実際は雄牛です。
半人半馬のケンタウロスとは別物です」
しかし出てきたのは馬の胴体に首にあたる部分には人間の上半身を持った生き物。
銀髪に白いひげをたくわえた半人半馬。その目はお世辞にも生き生きしているとは言い難く。
死んだ魚のように濁っていて、何よりも覇気が微塵も感じられなかった…
えーっと、メリー…?
「聞かないでください…」
対峙する二体のポケモン。なんていうか別次元の闇というか、ある種の狂気を感じる…
私たちのやり取りを余所に対決が始まる。
先に動いたのはボーボボ。サンダースに指示を出す。
「 先手必勝! サンダース『電光石火』だ! 」
フィールドをジグザグに黄色い残像を残しながら走り――
拳を連打しながら、まこっちゃんの懐へ飛び込んでいく。
拳が触れる寸前――まこっちゃんは後ろ足だけで立ち上がり、真上に跳ぶ。
サンダースの拳が空振り、空を薙ぐ…
「 サンダース、相手の攻撃が来るぞ! 後ろに下がるんだ! 」
上空のまこっちゃんに目を離さないまま後方に飛び退き――
まこっちゃんは馬の胴体部分の前足二本から着地。
地面に蜘蛛の巣のような亀裂が入り… 直後、地震のような縦揺れが私たちを襲う。
「 しまった! 『のしかかり』じゃなくて『じしん』だったのか !? 」
『電気タイプには地面タイプの技――ポケモンバトルの定石だ… とどめを刺してやれ』
『じしん』によるダメージが大きいのか、片膝をつくサンダース。
そこにまこっちゃんが接近。手前で前足を上げて――その蹄を脳天目掛けて振り下ろす。
蹄が当たる――瞬間。
まこっちゃんの顔が白い布で覆われ攻撃が外れる。
サンダースが上着を脱ぎ捨て、顔面に当てたのだ。
投げると同時に高く跳び上がり、一回転半捻りして頭上を乗り越えて背後へ
――まこっちゃんの背中に乗馬するように着地。
後ろから両手の指先をまこっちゃんの顔の横に突き刺す!
「 サンダース !? まさか自爆技の―― !? 」
『「大爆発」か… 正気の沙汰とは思えん』
ボーボボとゲッコウが会話をする一方で…
まこっちゃんが背後にいるサンダースに声をかける。
「キサマ、死ぬ気か…?」
「死ぬのが怖いなら、始めから戦うな…」
――っていうか喋れたんだ…
『ハッタリだ。ここで「大爆発」などすれば周囲も巻き込まれる。振り落とせ』
ゲッコウの命令を受けて、まこっちゃんが身体を激しく揺らし始める。
「――ならば、周囲に影響を与えないところで実行すればいい…」
サンダースがまこっちゃんごと宙に浮き…急上昇。
バトルフィールドの透明な壁を砕いて、さらに進む。
『 なん、だと… !? 』
結界を破壊されたことに目を大きく見開き驚く。
そして遥か上空、二体のポケモンが見えなくなったころ… 大爆発が起こった。
炎が空を紅く染め上げ、轟音が耳をつんばく。
「「 サンダ――――ス !? 」」
上空の爆発に向かって涙を流しながら叫ぶボーボボと
いやいや、何でサンダースがここにいるの !?
「これぞ鼻毛真拳奥義『エール拳』」――と手を合わせる二人。
それも技だったの !?
「 バトルフィールドの結界がなくなれば、攻撃が通るはずだ! 」
二本の鼻毛を伸ばしながら駆けるボーボボ。走るその先にはゲッコウ。
「 鼻毛真拳奥義ぃぃぃ――――っ !!!! 」
ゲッコウとすれ違い様に二本の鼻毛が左右から袈裟斬りするように打ちつける。
『 キノコたけのこ戦争を終結に導いた女傑「紅美鈴」!!!! 』
ボーボボの技で上空に打ち上げられるゲッコウ。
しかし、空中で膝を抱えて一回転。両手片膝を地面につけて身を低くして着地。
私たちを真っ正面にして立ち上がる。
その胸にはボーボボの技で白い忍者衣装が破かれ、その下から――
生物の身には存在しない鋼鉄、機械が顔を覗かせていた。
「キサマ、サイボーグだったのか…」
『正しくはロボットだ。それに俺がいつ、生身だと言った?』
そう言って、ニンジャ=ゲッコウは戦闘体勢に入った。
(´・ω・)にゃもし。
よせばいいのに別の連載を始めた「にゃもし。」です。
この作品にそろそろラスボスが出る頃なので始めたんですけどね。
ここまで読んでくれて、ありがとうっ!