東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 ボーボボが発動した人間の人生を体感できる技。

 鼻毛真拳超絶奥義
 「鼻毛発人間超特急(はなげヒューマンエクスプレス)」

 その技をその身で受けた満月伯爵。
 最後には高所から床へと落下してボーボボは叫んだ。

 「そんな人生を歩んでいる人間がいるわけねぇ――――っ!!!!」



合流と脱出と帰還

 

 

 ボーボボの奥義で宇宙船の外から宇宙船の内部へ背中から激突した満月伯爵。

 月を模した頭に亀裂が入り、砕け散る。

 首の上にあったのは被り物だったらしく、素顔が曝け出された。

 白く長い髪の持ち主。その人物が大の字になって床に倒れる。

 

 

「よし止めを刺すぞ、お前ら!」

 

 

 私たちが止める間もなく首領パッチと天の助が駆け寄って、

 

 

「「合体奥義『シリアス台無し拳』!!!!」」

 

 

 油性ペンで顔に落書きをしていく。

 おでこに「中」「肉」「愛」。頬にぐるぐる模様。

 口元には両端が跳ね上がった八の字形のカイゼル髭。

 下品な高笑いを上げながら次々と書き込んでいく三人に永琳が声を掛ける。

 

 

「その人、一応女性なんだけど…? 頭の被り物のせいで誰だか分からなかったけど」

 

 

 ピタッと動きを止めて顔を合わす三人。

 ボーボボは手に持っていた油性ペンを投げ捨てて、立ち上がると

 

 

「女の顔に落書きをするという赦しがたい行為、その罪。「死」でしか償われない…」

 

 

「「俺たち、そこまで重罪!?」」

 

 

 いやいや、ボーボボも一緒にやってたましたけど…?

 「このド外道!」と奇妙なポーズを取りながら、伸ばした鼻毛で二人をはっ倒す。

 やがて、身を震わせながら満月伯爵が剣を杖にして立ち上がる。

 そこに部屋の扉が開かれて玉兎の集団を引き連れたミサトがやって来た。

 天の助の「ぬのトラップ」に全員が嵌まったらしく「ぬるぬる」していたが…

 最後に頭部だけで宙に浮いているザンボットが現れる。

 

 

「ザンボットさん、無事でしたのね…」

 

 

『乗っ取られる間際にこのヘッドに移した。この宇宙船を含めて俺のボディは全滅だ』

 

 

「通路がウナギとナマコのせいで先に進めませんでした…」

 

 

 二人からそれぞれ報告を受けた満月伯爵は、

 沈痛な表情で一言「撤退します」と告げると永琳が待ったをかける。

 落書きされた顔のせいで威厳の欠片がなく、ボーボボたちが指差して笑っているが…

 

 

「この宇宙船は破棄した方がいいわよ。

 万が一、月の都に「首領パッチ・ウィルス」が入り込んだら――――」

 

 

 

 

 月の都の文明が()()()可能性がある。

 

 

 

 

 永琳のその言葉に誰もが口を半開きにして唖然とする。

 いや、ボーボボたち三人は理解していない。明後日の方向を見てボーッとしているし、

 そして月の民は永琳については地上人よりは知っている。

 彼女が滅多に冗談を言うような人物ではない事を…

 彼女が「終わる」と言ったら冗談抜きで「終わる」のだ。

 事の重大さに顔を青褪める満月伯爵とミサト。

 私も「首領パッチ・ウィルス」の恐ろしさを今しがた理解する。

 

 

「永琳殿はこの宇宙船を「捨てろ」と仰るのですか…?

 そんな事をすれば我々は無能者のレッテルを貼られるだけでは済まないのは明白ですよ!?

 この宇宙船内の「首領パッチ・ウィルス」を除去すればよいだけの話ではないのですか!?

 それこそ永琳殿の御力と叡智があれば――――」

 

 

「私は罰を受けるために輝夜と一緒に地上に残ります。

 月には()()()()()()()帰りなさい」

 

 

 月の使者たちは当然のこと、私も永琳の言葉に耳を疑う。

 もはや戦う力が残っていない彼らは私を諦めて永琳と共に月に戻るのが最善だろう。

 だがその永琳が「地上に残る」と言い出したのだ。

 月の民にとっては永琳の存在は重要である。彼らとしては何としても避けたい状況の筈。

 私を連れ戻すのに失敗し、宇宙船を乗っ取られ、さらに永琳まで地上に残れば、

 彼らには一体どんな罰が下されるのか、少なくとも碌な目に遭わないのは確かと言えよう。

 そんな彼らに永琳は前もって用意していたのか、懐から封筒を取り出して満月伯爵に手渡す。

 それには大きな文字で「退職届」と書かれていた。

 

 

「これを連中に渡しなさい。少なくとも死罪、追放になる事はなくなるでしょう。

 それでも断るなら私はあなた達を一人残らず射ってでも地上に降ります」

 

 

 ――と、矢を番えて狙いを定める。

 両者は暫く対峙したが先に折れたのは満月伯爵の方。部下達を引き連れて部屋を出ていく。

 時間を置いて空中に投影された画面の一つに宇宙船から飛び立っていく小型艇が映し出される。

 その行き先は遥か上空の空に浮かぶ「月」その裏側に建ててある「月の都」

 これで私を連れ戻すのを諦めてくれればいいのだが…

 

 

「これで一件落着だな」

 

 

 小型艇が見えなくなった頃にボーボボが呟き、首領パッチと天の助が「うんうん」と頷く。

 

 

「まだよ、最後にこの宇宙船を太陽に突っ込ませれば、

 月の連中も派手な装いで地上に降りてくることは少なくなるでしょう。

 あとは満月伯爵たちが「首領パッチ・ウィルス」のことを細かく報告してくれれば…」

 

 

 床から台座のような物がせり出してきて、電子機器に使われている端末機が現る。

 永琳はそこに配置してあるタッチパネルに触れて入力キーを打ち込んでいく。

 

 

 何もない空間。そこに両端の切れ目がリボンで結ばれた紫色の裂け目が縦に生じ、

 別行動を取っていた紫たちが奥から出てきた。

 その後を藍、メリー、てゐ、数体のゆっくり妖怪と続いていく。

 

 

「よくやったお前ら、作戦通りだったぜ」

 

 

 キリッとした顔で親指を立てて見せて紫たちを褒め称える首領パッチ。

 まるで自分が作戦を立てたみたいに聞こえるが、コイツが考えるわけがない。

 

 

「ねえ…「首領パッチ・ウィルス」が邪魔をして実行ができないんだけど…?」

 

 

「ああ、悪い悪い。今すぐ回収するわ」

 

 

 透明のトゲを取り出して頭上に掲げると、周囲の壁から光の粒子が出現。

 箒星のような軌跡を残しながらトゲの中へと入っていき、満杯になる。

 それを見届けてから再度コンソールを操作していく。

 

 

「――――これで完了、っと……あとは脱出しておしまいよ。

 私たちは空を飛べるからいいけど、そっちの人間の娘は飛べないわよね?

 小型艇もないし、どうするつもりなの?」

 

 

「大丈夫だ、ちゃんと考えてある」

 

 

 ボーボボが背後を指差す。

 そこには「ビュティ救出隊」と書かれた気球と、

 そのゴンドラに乗り込んで手を振っている首領パッチと天の助の二人。

 

 

「これぐらいの距離なら私の能力ですぐに地上に着くわよ?」

 

 

 紫が能力を発動させて、ここの宇宙船と永遠亭が見える地上との空間を繋ぐ。

 ぞろぞろと穴を通って永遠亭に向かう一同。俯いた顔、沈んだ表情で見送る二人。

 ボーボボは気球に乗っている二人の方に振り向き怒気を含んだ声で、

 

 

「何を遊んでいるだお前たちは!? ふざけるのも大概にしろ!!」

 

 

「「ええ――――っ!!!?」」

 

 

 二人の反応を見るとあの気球はボーボボが用意した物なのだろう。

 納得しない憮然とした態度でゴンドラから降りて永遠亭へと向かう首領パッチと天の助。

 私も紫が作り出した穴を通って地上の永遠亭へと戻る。

 蒼い鋼鉄の部屋から緑が溢れる竹林へと光景が変わり、遥か遠くの空には宇宙船の姿。

 その宇宙船は徐々に小さくなっていき、やがて消えてなくなる。

 時間を掛けて太陽へ進んでいく事になるだろう。少々、勿体無い気もするけど…

 

 

「そうそう、この子も出してあげないとね…?」

 

 

 紫が扇子を横に線を引くと、空間が大きく横に裂かれて奥から巨大な物体が降ってきた。

 両手両足を失い、黒い鋼鉄の体にヒビが入っているがそれは紛れもなく……

 ヒソウテンソク…? だが宇宙船から見たときよりも一回りも小さくなっている。

 

 

「天元突破ヒソウテンソクの中身がこの核熱造神ヒソウテンソクってわけなのさ。

 自分と同じ姿格好をした機体に乗り込んでいる、と言えば分かりやすいかな?」

 

 

 天の助が丁寧に説明をする。

 もっともこの中で過去にヒソウテンソクを見たことがあるのは私だけだが…

 おまけにあれはボーボボたち三人が合体した姿。

 僅かな期待と希望を込めて永琳の方に視線を送る。

 だが設備のないここでは無理なのか、彼女は黙って首を左右に振る。

 私は下から彼を見上げる形で告げる。

 

 

 

 

「ありがとう、ザイガス」

 

 

 

 

 ……さようなら。

 

 

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 週一で二本執筆してました「にゃもし。」です。
 DQBも発売していたので、さらに速度が……スマン。

 これでようやっと月の使者編が終わりました。
 最初に言っておきます。この先「ギャグ」が減ります。メイビー。

 ここまで読んでくれて、ありがとうです。
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