東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

8 / 40
 

 駿河の国。富士山にて『 火鼠の皮衣 』を手に入れた一行。
 残す神宝は二つ『 燕の子安貝 』『 龍の頸の玉 』
 彼らはどのようにして、この二つを手に入れるのか?
 



五つの難題 後編

  

 

『オカエリナサイ』

 

 

 巨大な扉を潜ると独特な機械音声が頭上から響く

 あのヘンテコな仙人の元から一週間ほどかけて無敵要塞ザイガスに帰ってきた。

 この要塞… 自我が芽生えている。

 

 

「まるで一年間、戦ったみたいだ…」

 

 

 天の助が感慨深く語り、他の二人が頷く。二週間しか経っていないのだが…

 群がるイナバとゆっくりに道中で手に入れた品を渡してその日はそのまま朝まで寝て過ごす。

 不老不死でも疲れるものは疲れるようだ。主に精神面で。

 

 

 翌日、メリーがこの時代にやって来た場所に赴き。彼女の能力が有効かどうか確認。

 結果はダメ。メリーの目でも唯の竹やぶにしか見えないという。原因も不明。

 

 

「単純に力不足か、それともこの竹やぶに何かしらの力が働いて阻害しているのかもね」

 

 

 この地をよく知るてゐですらもお手上げのようで、引き続き神宝探しをすることになった。

 次の目的地は西の筑紫(つくし)の国。その北の海。その海の底。

 

 

 

 

 『龍の頸の玉(たつのくびのたま)』

 

 龍の首にあると言われている五色に輝く宝玉。

 

 

 

 

 てゐの記憶が確かならば、そこに驪竜(りりゅう)と呼ばれる黒い鱗の竜がいるとのこと。

 相手は龍と呼ばれる生き物。仙人を相手にするのとは訳が違う。

 宝玉とまではいかないが、鱗の一枚でも取れたらとっとと去るという話に…

 

 

 大事なのは強力な水の気がある品。

 五行思想において黒は北と水に対応しており、黒竜である驪竜は打ってつけといえる。

 

 

 そして問題が一つ。かの黒竜は海を司る存在と同時に闇を司る存在でもある。

 闇を司る存在だけあって光を苦手としているらしく、普段は深い海の底に棲んでおり

 光のない新月の夜のみに海底から姿を現すという。

 

 

 ここから筑紫の国は遠く、先日行った駿河の国ほどの距離の上に相手は海の中にいる。

 旅の下準備も必要だが… 旅の疲れを癒やす必要もある。

 

 

 もっともボーボボたち三人がいるところで休めるかどうかは話は別だけど。

 今も修行としてメリーにパンを作らせている。相変わらず行動が読めない連中だけど…

 

 

「必殺惑星返し(プラネットアベンジャー)!」

 

 

 近くで埋まっていた自分の身長ほどの岩石を引っこ抜いて三人に投げつける。

 

 

「「 見た目に反して力持ち!? 」」

 

 

 メリーの能力は彼らが元の時代に戻るための要になるのだ。

 連中に関わりすぎて変な方向に走ったら大変である。もう手遅れかもしれないが…

 ちなみにパンは岩石の下敷きになったボーボボたち三人を除く皆でおいしく頂きました。

 

 

 地上に落とされて二週間ほど経ったのか… 空に浮かぶ半月を眺めて

 不思議な迷いの竹林で可笑しな連中と過ごす日々を悪くないと感じている。

 

 

 それ故、私は… 考え… 悩み… 苦しむ。

 先に死ぬのは彼らだということを… どんなに不死に近くても不老ではない。

 事実であり、残酷な現実が否応なしにやってくる。

 

 

 翌日。私の考えなど、大して気にもせずにいるであろう連中は…

 てゐは配下の因幡を使って旅に必要な物をかき集め、ヴォルガノスは要塞の生け簀で

 サンマっぽい魚等を釣り、私も含む残りの面々はというと…

 

 

 

 

 『燕の子安貝(つばくらめのこやすがい)』

 

 燕が卵を産むときのみ、体内に現れ出すという子安貝。

 

 

 

 

 朝の朝食時のとき、見た目だけならアジの干物にしか見えない魚をつつきながら 

 何を思ったのか首領パッチは――――

 

 

「ツバメに変身して子安貝を産めば良くね?」トチ狂ったことを(のたま)い。

「なるほど。下手に探すよりも確実性があるな」愚かにも天の助は賛同し…

「それじゃ俺がツバメになって産もう 」ボーボボがアホなことをぬかした。

 

 

 そして二人はボーボボが入るでっかい鳥の巣を建てるために外で作り… 完成する。

 それは木製の三角屋根の――――

 

 

「「犬小屋!?」」

 

 

「みんな~、お待たせ~♥」

 

 

 鳥の着ぐるみを着込んだボーボボが現れる。

 それは茶色の羽毛に鋭い爪と嘴を持った――――

 

 

「「ツバメじゃない! それトンビ!」」

 

 

「まぁ、素敵な鳥の巣♥」

 

 

 そして犬小屋の屋根の上に乗っかる。

 

 

「「犬小屋の意味は!?」」

 

 

 ボーボボが「ぽこぺん。ぽこぺん。だーれがつっついた…」

 と呪文のように唱え、力み始めると喉の部分が大きく膨らみ… やがて口から卵を吐き出す。

 

 

「「ピッコロ大魔王!?」」

 

 

 白い卵に亀裂が入り、殻が弾ける。

 中から頭は白い毛で覆われ体は黒い羽毛の雛…? が孵り

 「タカー!」と鳴く。

 

 

「「鷹!?」」

 

 

 三人が涙を流しながら鷹の名前だろうか「タロウ!」と呼びながら駆け寄ると…

 

 

「タカツツキ!」

 

 

 三人の額に嘴で突き刺し――

 

 

「タロウなんてダセェ名前、名乗れるかよっ!

 俺はこれから『バイオレンスジャック』と名乗らせてもらうぜ!」

 

 

 「あばよ!」と要塞の外へと飛び出した。

 ボーボボが消え去っていく影に向かって

 

 

「戻ってきなさい! 女の子の一人旅は危険よ!?」

 

 

「「メスだったの!?」」

 

 

 そんなやり取りなど、どこ吹く風と首領パッチと天の助は残った殻を調べている。

 そして殻の中から手のひらほどの大きさの子安貝を手に取り… 邪気のない笑顔で

 

 

「子安貝見っけ♪」

 

 

「これで残り一つになったな」

 

 

 ベチョベチョの子安貝を渡してきた。

 あとで洗ったのは言うまでもない。

 

 

 ツバメならぬトンビ… というかボーボボが産んだ子安貝。

 これでいいのか… いや、ダメな気がするのですが…?

 私の意見は却下され、西へ行くための旅支度が進められていく。

 

 

 時間は経過していき、月は満ちて満月に。

 私たちは南の海岸を伝って筑紫の国に向かっている。

 移動方法は首領パッチカー。ぬの車も用意されたが首領パッチが手榴弾で爆破した。

 

 

「妙だね。盗賊、山賊には遭うけど海賊には遭わない…」

 

 

 襲撃してきた追い剥ぎを返り討ちにして、倒れている連中の身ぐるみを剥がしているてゐ。

 ここ瀬戸内海は海路による交易が盛んであり、それに伴い海賊行為を働く連中もいるらしい。

 

 

「俺たちの顔が知られているからじゃねーの?」

 

 

 追い剥ぎの顔におはぎを塗りたくっている首領パッチ。追い剥ぎとおはぎをかけているのか…

 襲撃者が減るのはよいことだし、深く考えるのはやめることにした。

 何かあれば、そのときに対処すればいい。

 

 

 船で交易をしている者たちのために設けられている宿泊場を利用しつつ西に向かいながら

 道中の人や妖精やら、ときには妖怪から驪龍もしくは黒竜に関する情報を入手しつつ

 私たちは本州の西へ進み、目的地の海岸に辿り着いた。

 

 

 新月の夜。光源は星の明かりのみ。耳に聴こえるのは寄せては引いていく波の音のみ。

 案内人はチーズ三つで引き受けたボーボボのアフロにいるゆっくりナズーリン。

 彼女のロッドを頼りに行くのだが… ここにきてメリーが空を飛べないことが判明した。

 

 

 メリーとゆっくりナズーリンを除く全員は空を飛べるのだが…

 

 

「普通は空を飛べませんよ!?」

 

 

 彼女は反論。仕方ないのでヴォルガノスに馬の鞍をつけて海上を進むことに。

 砂浜に首領パッチカーを止めて、番人としてゆっくりメーリン(寝ている)を残して飛翔。

 暗闇の中を彼らが持っている懐中電灯の光で照らしながら突き進む。

 

 

「家主、止まれ。ここで反応が止まっている」

 

 

 ゆっくりナズーリンの言葉にその場で停止する。

 しかし、そこには驪竜の姿はおろか生物一匹見当たらない。

 ということは海底にいるのだろうか…?

 

 

「首領パッチさん! 合言葉ですよ!」

 

 

「ボーボボ様、あの言葉ですね!」

 

 

 三人は揃って頷くと――――

 

 

「「出でよ神龍(シェンロン)! そして我の願いを叶えたまえ!」」

 

 

 三人揃って合言葉とやらを空に向かって叫ぶ。

 すると何の前触れもなく大型の船など簡単に飲み込みそうな大渦が出現。

 その大渦の中心から黒い鱗の細長く巨大な竜が顕現する。

 

 

「このボーボボ様を不老不死にしろ!!!」

 

 

「ギャルのパンティおくれー!」

 

 

 白い身体に頭頂部が紫に、さらに長い尻尾を生やした姿に変化したボーボボと

 長い耳を持ったブタの姿をした首領パッチが好き勝手に願い事を言う。

 

 

『知るか…』

 

 

 口から炎を噴いて三人を燃やして塵と化して、おかしな色の三色の灰が波間に漂う。

 天の助が直前に「なんで俺まで!?」と叫んでいたが。

 ちなみにゆっくりナズーリンは直前にメリーの胸元に飛び込んで回避していた。

 

 

「ちょっとてゐさん!? 海の化身が炎を吐きましたけど!?」

 

 

「いやぁ、こいつは龍じゃなくて、人魚の鱗あたりで妥協した方が良かったかもね…」

 

 

 無言で二人を眺めていた驪竜は… やおら、声を出す。

 口をあまり動かさずに声を発っして顔をこちらに、私の方に向けると――

 

 

『騒ぐな。別に取って喰うわけではない。少々、気になることがあってな…

 何故、月の民が此処にいる?』

 

 

 何故、わかった? 表情に出ていたのか驪竜は答える。

 

 

『過去に何度か遭遇したことがあるからだよ。お前からそいつらの匂いをかぎとったからな…

 それで、なぜ月の民がいて… 何を求めて此処へ来た?』

 

 

 口の端々から感じられる嫌悪感。主に私――――月の民に対してでしょうね。

 私たちは彼にここに来た経緯と目的を説明した。

 

 

『成る程。月の民が地上の民と一緒にいるのはその為か… にしても妙な娘だな… 

 今まで見てきた月の民というのは地上の連中を見下しているのだが…』

 

 

 否定はしないが、全員が全員とも見下しているわけではない――と思いたい。

 この愉快な連中と出会う以前の私ならば… 地上に興味を持つ以前ならば… 

 

 

『頸の宝珠はやれぬが… 代わりにこいつをやろう…』

 

 

 顎を大きく開くと口の奥から五色に輝く宝珠がふよふよと浮かびながら… 私の手に収まる。

 どうしよう… 何かイメージ的に体内にある異物を吐き出されて、それを受け取った気分。

 

 

『体内の胃袋で私の力が固まったモノだ。水の気を含んだ品としては申し分ないだろう』

 

 

 力そのものが形を持った代物。それがこの宝珠なのか… 

 おかしなことを思って、ごめんなさい。一応、心の中で詫びる。

 

 

「これで五つ揃ったことになるな」

 

 

 ボーボボの服を着て所々に棘を生やした天の助が話し掛ける。復活するときに混ざったようだ。

 近くには無傷のボーボボが海面に立っていて、その隣にもう一つ…

 

 

「あたいってば最強ね♪」

 

 

「「誰!?」」

 

 

 三対の氷の羽を生やした青いリボンに青い服装の少女が浮遊していた。

 三人の面影がまるっきしゼロである。彼女はキョトンとした表情で――――

 

 

「ん? あたいは天の助だよ?」

 

 

「「アイエエエエェェェェッアァァァァッ!?」」

 

 

 今までで生きてきた中で一番驚いたかもしれない。

 ある意味、酷い詐欺だ。

 

 

「そんな… 声まで変わって…」

 

 

 メリーが青ざめた顔で呆然とする。

 姿形を変えられても、声までもというのは難しい。彼女が驚くのも無理もない。

 ここにいる女の子にしか見えないのが天の助ならば、あっちの天の助っぽいのは…?

 

 

「ボボボーボ・ボーボボだ」

 

 

「「ええええぇぇぇぇっ!?」」 

 

 

 それじゃあ、あっちのボーボボにしか見えないボーボボは !?

 

 

「首領パッチでーす♥」

 

 

 舌を蛇のように伸ばせて、こちらを小馬鹿にするかのようにダブルピース。

 腹が立ったので取り敢えず顔面を一発殴って黙らせる。

 殴られた首領パッチが顔を下にして海面にぷかぷか浮かぶ。

 

 

 燕の子安貝は酷かったけど、今回の龍の頸の玉はマシな部類といえる。

 彼…? かどうかは知らないが礼を述べる。

 しかし、先日の仙人と同じく――宝珠をあっさりと渡すされることに疑問を覚え問う。

 

 

『生憎、私には不死を倒す術がない。それに万が一、お主らを滅したとしても――――

 あの月の連中が、これみよがしに喧嘩を売ってくる可能性が生まれる。

 そんなことになれば海が荒れてしまう…』

 

 

 『それは私の望むことではない…』そう言い残して驪竜は海の底へと姿を消した。

 見た目こそ厳つい竜そのものだったが… 彼はもっともこの海を愛しているのかもしれない。

 

 

 そして月の民はこの地にいる者たちを穢れた存在と――――そう思うと複雑な気分になる。

 どうやら私は… 私が思っている以上に私はこの世界に染まったのかもしれない…

 

 

 目的の物を手に入れた以上ここに残る必要はない。

 私たちは元来た場所へと向けて海面上を滑るように飛んでいく。

 後ろからふと思い出したかのように驪竜の声が――――

 

 

『三百年前に月に行き、数年前に戻ってきた男が海賊を率いている。気を付けろ。 

 奴は月の民に良い感情を抱いていない…』

 

 




 

 斯くして、五つの神宝( モドキ )を手に入れた一行。
 しかし驪竜から『 気を付けろ 』との警告を受ける。
 かの地にて海賊と遭遇するのか…? 海賊を率いる人物とは?
 そしてボーボボたちは元に戻ることができるのか…? 
 

   □□□□□□□□□□□□□□□


 (´・ω・)にゃもし。

 ようやっと五つの難題をクリアしたぜ。
 感想と評価と突っ込みがあると助かる。と書いておけばいいのかな。

 ※カッコと空白部分を修正しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。