どしゃぶりの雨のなか男は傘を指さずなにも持たずにただ一人立っていた。
服装は白のワイシャツにジーパンと言う極めてシンプルなものでありながらその姿は何処か完成されたまるで人形のような出で立ちをしていて、それがよりいっそう周りの通行人の目を集めさせていた
ザワザワ ザワザワ
辺りは更に人だかりができてきて色んな人の声が聞こえてくる。
空は雨雲のせいで暗く照らされていき、ふと男はある一点を見つめ始め、更に辺りの声が煩くなる
彼の顔は口を三日月に歪ませその目をその目には深くそれでいて冷静な狂気を含んだ目をしていた。
ふと雨がやむ
「もう少しだ、もう少しで会えるサーラン」
またさっきよりも強く雨が振りだしてきて周りの通行人は皆雨といっしょに来る風に傘をとられぬように力一杯手で持つ部分を握り締める
数秒後また通行人の一人が顔をあげる、しかしそこには男の姿はなくさっきまでのことが嘘だったのではないかとまで思うほどそれのことを誰も気になど止めてなどいなかった。
Sidaut
「こんな雨ではお客も来ないな。早めに店じまいをするか」
サァザァと窓の外で大量の雨を降らせているのを憂鬱ぎみに見ながら今日は早めに店じまいをすることに決める湯助
辺りは雨雲が原因で光が遮られ、薄暗く照らされている
……暇だな
カウンターに肘をつき頭を腕で支えるがついに、しびれを切らして店の中に趣味で置いている本棚から小説を一つ取りだしコーヒを片手に読み始める
題名(カラフル)その本にはそうかかれていた。
その小説は死後の世界で意識を持っていた人間の目の前に突如として現れた天使が「当選しました」と主人公に話しかけることから始まり、彼が自殺したある少年に成り代わり少年の自殺した理由を探すというストーリーで
、家族との関係、周りとの繋がりが強く書かれており
読むほどに謎が深まりラストの衝撃的な真相はてに汗を握るものがありとてもよい小説ではあるのだが、
彼は飛ばし飛ばし目を向けるだけですぐに閉じてしまう
……しょうがないか話が変わるなんてこともないか。
彼が直ぐに閉じてしまう理由は(ここにある小説を彼は全て読み終えたもの)というもので、映画でも、小説でも、ゲームであっても、同じものを繰り返して見直すと言うことを一番に嫌っており、今回もそれのせいで直ぐに閉じてしまった。
……まるでなにかに操られた人形のように感じるしましてや、ループするのは悪夢だけで充分だ。
湯助はやることを無くし、ただ来客が来るのを待ちそして日がくれていった。
「お疲れ様ダーリン!」
この間の一見からすっかり元気になったミーアが一番に労働の労いをかけてくる
「主殿お疲れ様でございます。」
「お仕事お疲れ様で御座いますわ旦那様」
「オツカレ オツカレ」
ミーアに続いてセントレア、メロウヌ、スゥがいつものように声をかけてくるが何時ものようにパピが元気よく飛び込みも抱き付いてもこなず首をかしげパピの方を見ると、パピは息を荒くして今にも倒れそうにふらついていた
「パピ!?どうした風邪か?」
急いでパピを抱き込んで様態を調べようとパピのおでこにてをやるが特に温度には異変はみられず更に湯助を不安がらせる
「風邪じゃない?いったい何が取り敢えず病院に」
「主殿、湯助落ち着いて下さいパピがなにか話している」
セントレアに落ち着くように言われ一度深呼吸をするために目をつむるがパピから放たれた言葉、否爆弾に思わず吹き出す。
「ご主人……たまご産まれる」
瞬間空気が固まり凍る
うら若き乙女たちの考え
たまご=♂と♀の+→(ヤッチッタ)
湯助の考え
たまご=定期的な排泄行為鶏のあれとからない奴→(僕知らない)
スゥの考え
たまご=コウノトリ→(私知らない)
ミーア(スゥ、パピ以外)たちは湯助に飛びかかる
「お前たち落ち着け」
飛びかかってきた乙女の頭にチョップをくれる
「あた!」
「いた!」
「ん!」
三人とも違う反応を出し頭を押さえ此方を睨んでくる。
専用の参考本を持ってきてパピのそれを調べ彼女たちにも教え自分が無実(ある意味無傷)であることを証明し終え疲れぎみに溜め息を吐く
「はぁ」
「どうやらお困りのようですね?」
庭で溜め息を吐いている最中に突然声をかけられそちらを真っ直ぐ見るそこにはなんとも胡散臭い中肥りのオッサンが此方にビジネススマイル全開で立っていた
……何者かは知らんが気に入らんな…雰囲気が
それが湯助がその男を最初に目にした時の反応だった。
「ああ、申し遅れました私映像監督のカセギともうします!」
彼、カセギが懐から名刺を取りだし自己紹介をしてくる
「はあ、ところで今日はなんのようで?」
「ええ、実はお宅にいるパピちゃんがたまごの産卵の時期だという情報をキャッチしましてね。是非とも産卵のシーンをこのカメラで撮りたいと思いましてね!」
「はあ、で」
……胡散臭すぎるこの男。
カセギと話しているうちにミーアがパピの様態を伝えに来た
「パピ、もう少しかかるかも……そっちの人はお客さん?」
「そうかすまん。この人は「カセギと申します湯助さんとは仲良くさせてもらっております! 所で奥さんか愛人ですか?」……。」
……こいつ
カセギにまんまと乗せられミーアがその気になってしまう
「あら、そうでしたか何時も主人がお世話になっております。どうぞ立ち話もなんですから家の方に。」
「「いや、こ」はい、では失礼させてもらいます!」
どんどん部屋の奥にまるで自分の家のように進んでいくカセギ
辿り着いたのは家のリビングで、その部屋のソファーに腰かける
「イヤーちょっと疲れてしまいまして、あ、そうでした私映像監督のカセギと申しまして、実は今日お宅のパピさんの産卵のシーンをドキュメンタリーとしてTVに押さえたくて来ました。もちろん他のかたのご協力もしていただきますが。」
「ドキュメンタリー?」
まず話しかけられたミーアがドキュメンタリーについて質問をする
「はい、実はハーピ族の産卵はとても貴重なものでして映像に納めるというのも世界初なんです。ですから是非今回研究のためにも映像をと思いましてね」
「そうなんですか、所で私たちの協力と言うのはいったい?」
「ああ、それに関してもどうやらお宅には多くのた種族が移住しているみたいじゃないですか。だから多種族が共に住むとどんな影響が出るかというのも調べておきたくて。」
そのもっともな話に湯助以外全員が納得をする
……とは言えもう上げて、しまったしな。動機には不純なことはないか。
「彼女たちがよければ良いですよ」
「本当ですか!?イヤーよかった~!こう言うのは断られるのが大体でけっこう毛嫌いされてますからねさすがご主人。」
「私も湯助がいいなら良いよ」
「私も研究のためなら」
「私も構いませんわ」
「スゥ?」
「ありがとうございます。では早速パピさんの様態を取材させてもらいます。」
ミーア達も認め、早速取材に取り掛かるカセギ
その後もパピの産卵を待つ間にと他のひとの取材がされていく
「ここに何時もお住みに?」
「ええ、人魚族は水のなかで基本は住み着くことになっていますわ」
「ほぉーでは泳いでいるシーンとか映せてもらいます。」
メロウヌの次にはセントレア
「朝はどのように起きて?」
「朝は起きたらまず行水をするのが日課です」
「それシーンでとらせてもらってもいいですか?ほんの一瞬ですので」
「……ええ。」
セントレアの次にはミーアと
「おや?これは脱け殻ですか?」
「ちょっと待って!」
「ん?どうかいたしました 」
「いや、これは撮されたくなくて」
ミーアが以前脱皮した皮を取って置いたものを見つけられ急いでカセギから取り上げる
「此方ミーアさんの物でしたか実はラミア族の生体での調査でお調べしているところでしてその皮を是非とも研究のためにも譲ってほしいのでして」
「そ、それは」
「カセギさん嫌がっているのは「大丈夫ですあくまで研究の一環でございますから悪用などはいたしませんので」。」
「……はい」
ミーアの取材を終えた頃に丁度まるで狙っていたかのようにセントレアがやって来てパピの様態が変わったと知らせに来た。
「パピ大丈夫か?」
湯助は駆け足で向かいパピの様態を診るが明らかに悪化していてもうフラついて歩くこともままならない。
「産まれそう、パピたまご産まれそう」
「お、出産ですかでは是非映像に、パピちゃんそれじゃスカートまくり上げて、ほらご主人も手伝って」
「……ああ」
パピが自分の手でスカートをまくり上げて行きそれを湯助が押さえる
「じゃあ下脱いじゃおうか」
「ちょっと幾らなんでもそこまでしなくとも…。」
「パピはいいよ」
ミーアがカセギを止めるもパピが声を薄れさせて言う
その時だった突然スゥが動き出してカセギの頭に触手をバレないように置いたのは
……ぐへへハーピ族の無修正の産卵シーンにラミア族の脱皮の皮それにケンタウロス族の行水のシーン全く多種族てのは金になるぜ。……ん?何で俺の考えてることが
カセギの考えがスゥから漏れだしてくる
慌て出すカセギしかし空気が凍る
「……ほぉう。」
殺気
本物の自分の死のイメージが鮮明に写し出されるそれ
しかし受けたのは完璧にカセギのみ
彼は怒りに触れた最後の狩人の怒りに
次回狩人の雨