昼の休憩の時間それは喫茶店や食事処の一番の稼ぎの時間であり一番忙しい時間帯でもある。
それは湯助の店も変わらず同じことであった。
「湯助さんコーヒーを二つお願いします!」
エルから元気のよい声が発せられそれに答えるように湯助は素早く正確に注文の品を作り上げていく
「はい、珈琲二つ」
カウンターに添えられた品を丸盆に乗せて溢さないように慎重に運んでいく。
お客はそのエルの初々しさを目にして優しい目で見ていた。
「ついに人を雇うようになったのか」
「まあ、な・・・悪くはないだろ?」
よくここに来る客である局長はこの日も何時ものように昼休憩にこの店へとやって来て何時ものである珈琲とクッキーを頼みそれを満足そうに口に含んでいる。
「・・・ああ。」
ふと局長の顔に影が射したのが気になったが、気のせいだと自分に言いつけエルに視線を戻す。
「ご注文はいかがいたしますか?」
忙しそうに動くエルを見て自分も頑張ろうと改めて心に決めた湯助であった。
ピークの時間も過ぎ店にいるのは自分とエルの二人だけとなりさっきまでの賑やかさは嘘のように消え去っていた。
「イヤーそれにしても静かになりましたねー。」
「まぁ、午後だしな所で今から飯だがどうだ?一緒に」
何気なくエルを夕飯に誘おうとする。
エルも特に考えることもなく「はい」の二つ返事で了承した。
「まあ夕飯といっても我が家だがな、まぁ、上がってくれ。」
「いえいえ、自分独り暮らしだったので、逆に招待されて嬉しいです。あ、失礼しますー」
家の店から繋がるドアを開けなかにはいると急に体に抱き付かれるような衝撃が走り湯助は自分の腰辺りを見る
まず目についたのは特徴的な青い色の髪それと自身を包み込む大きな翼それが少女の肩から生えていた
彼女の目は自分ではなくその隣にいるエルをとらえていた。
「お帰りご主人!所でその人だーれー?」
パピが抱き付いてから少し遅めにお帰りといってきたから頭を撫でながら居るとほんの数秒後他の皆が集まってきた。
「ただいま。こっちは新しく雇ったエルヴィーンだ」
「湯助さんの喫茶店でこれから働かせていただきます。エルヴィーンですエルと呼んでください!」
「ヨロシク!」
スゥが一足早く挨拶を交わすと他の皆も挨拶を交わしていく。
「ケンタウロス族のセントレアだ此方こそ『湯助』のことを宜しく頼む。」
まず挨拶を交わしたのはケンタウロスのセントレアだったがその際に何故か湯助の所を強く強調した為に他の子達にも変なスイッチがはいった。
「ハーピーのパピだよー♪よろしくー!『ご主人』の事を頼むね!」
次に元気のよい声でパピが挨拶を交わすもやはり湯助の事を何故か強調していた。
「ラミアのミーアです!『主人』がお世話になります。」
ミーアも何時ものように挨拶を交わす。まぁ強調はしていたが。
「マーメイド族のメロウヌ.ローレライですわ、メロと呼んでくださいませ♪」
メロは他の皆とは違い普通な挨拶をして、軽く会釈をした。
「アラクネのラクネラだよ。ラク姉て呼んでくれ!うちの旦那、頼んだよ。」
姉さん肌のラクネラは相変わらずな豪快な挨拶をして頭を下げる
一通りの挨拶が終えて湯助が皆にリビングに行くように差し向けると全員がその足をリビングに向けて進めていく。
「まぁこんな感じで、個性の強いやつらだが仲良くしてくれ」
「アハハ、はい!」
エルは何時ものように元気のいい返事を返して前を見つめていて表情は解らない。
湯助とエルも彼女達に続くように足を進めていく
その目線がずっとスゥを捉えていたことも知らずに
食事を終えエルも自分の家に帰りこの家にいるのは湯助とその家族のみとなり。
また普段の何時も通りな生活に戻り先ほどまでの空気がまるで嘘のように変化し生活音とちょっとした会話のみが辺りを支配した。
・・・こんな生活がいつまでも続けばな。
それは湯助の願い。だがそれは叶わない何故ならば彼の命は無限なのだから
・・・この傷かいつか消えることがあったら、僕は
憎たらしく首筋の傷を見つめる。
この傷の消しかたはただ一つ
・・・獣を狩らなければ。すべて一匹残らず
獣を狩ること全てを狩終えること
故に狩人、『サーラン』は獣を狩る。愛しきもの達との生のために、全てはこの泥沼な世界の夜明けのために。