すっかり空が暗くなってからかなりの時間が過ぎ、
夜の街を歩く人々もその数を段々と減らしていった頃。
「ハァ ハァ ハァ ハァ・・・」
その街を走り抜ける一つの影、辺りが暗くその人物が女か男か人か化物かもわからなかったが急に影だったそれは街の街灯に照らされ姿を現す。
まず目に入ったのは背中にこさえてある骨か枝を加工して繋げた何かと、その人物の右手で怪しくも美しい雰囲気を醸し出す短刀。
その他に解ることと言ったらその人影は男性だったと言うことでよく着こなされているコートを身に付けていると言うこと、顔の方は残念ながらマフラーをしていた、為にその正体を掴めずにいた。
「何処だ、何故見つからない。」
ふと、彼が口を開きその声を露にする18~20くらいの青年の声。
その青年はどうやらなにかを探しているようで必死に辺りを見渡しながら足を前に進める。
・・・気配もなにも感じない、それどころか、其らしい情報も
彼にも、焦りが出始め額に汗がポツリ、ポツリと流れ始めていく。
時間もかなりたってしまった。
彼は・・・湯助はすっかり暗くなった空を見上げる
一月だというのに雪一つない空は彼をただ寂し眺めた。
Said out
そんな同じ空の下、下から見上げるほど高く見下げると人が蟻のように見える高さの何処かの建物の屋上、
そんな高い場所から街を一望する集団が一つ先頭に立つまるで人形を思わせるような雰囲気と人とはまた違う何かを現すような、神々しい金色の髪の男は口角を歪め呟く。
「始めろ」
すると、その声を待っていたかのように背後に控える彼の部下らしきものたちは一斉に鐘を鳴らす。
その鐘の音色は不気味で不吉で美しく音はまるでオーロラのように波紋となり街の夜空を覆い被さっていった。
チリーン チリーン チリーン チリーン
少しずつ音が大きくなっていき終には世界を覆い被さる
チリーン チリーン チリーン
その日世界中の人間が目を覚まし、手を止め、ある方角、ある一点、ある場所を見つめた
チリーン チリーン チリーン
この日、世界は、この時間、数秒ほんの一瞬、世界は静止し、音が消え去った。
完全な静寂
それは彼、湯助も変わらず。
さらに
顔を青ざめながら
ザワザワザワザワ ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザ ワ ザ ワ!!!!!!!!
これまでに無いほどの寒気が、悪寒が彼を雪崩のように襲う。
・・・・なんだこれは なんだこれは なんだこれは!?
次の瞬間には頭を抑えナニカニ必死に抵抗するかのようにうずくまり、呻き声を吐き出す。
「グ、グウゥゥ」
・・・・頭が痛い、まるで脳に焼き印を入れられているかのようだ!
再度続く痛みに顔を歪ませ立ち上がろうとする、
しかし足に全く、うんともすんとも力が入らず直ぐに尻餅をついてしまう
・・・しかもこれは寒気?気持ち悪い頭が、気がどうにかなってしまいそうだ!!!
ふと、頭に映像が流れたそれはある建物の影、
そこに彼女が、セントレアがぐったりとした姿が頭に雪崩のように流れ込んできた。
「・・・クゥアァ ガァ。」
もはや湯助から漏れるそれは言葉でも人の呻きでもなくまた別のナニカで声は細く、今にも薄れ消えそうなほどか細かった。
誰かの気配が自分に近付いていく
それはどうやら聞きなれた声の持ち主で話なれた人物だった。
「ス・・・ミ・ス」
消え入りそうな声に答えるように
そこに顔を驚愕の表情に変えたスミスが走り寄ってくる
「湯助!」
彼女もまた彼と同じようにセントレアを探しているようで湯助を見つけたのも鉢合わせたのもただの偶然だった。
「立てる?」
スミスの言葉に湯助は顔を必死に上下に首を振るい肯定し、スミスは彼に寄り添い杖になるように湯助を支えることでなんとか彼は立ち上がれた。
「セントレアが・・・彼女が」
小さく細く彼は言葉を発してある方角を指差した
「セントレア、彼女があそこにいるの!?」
湯助は再び上下に首を振るう
「連れ・・て・いって・・くれ、・・・頼む 」
それにスミスは目をつぶり、心を決めたように目を見開く。
「ええ行きましょう」
指を指す方角そこには他の建物とは段違いに大きい建物があった。
屋上が上を見上げるほど高く、見下げると人が蟻のように見える建物が
その建物の名前は『他種族交流保安局本拠地』別名で
「教会」
スミスは呟き足を前に進める。
街は未だかつてないほどの危険に晒されようとしていた。
その危険が何かは解らない。少なくとも彼ら以外に
全員が動き出した。