Fate/Apocrypha ホストが聖杯大戦に参加するようです 作:ニーガタの英霊
「よくよく考えたら駄目だよね、犯罪者を召喚するとか」
アサシンの触媒を手に入れ、召喚前夜になったその日。相良豹馬は至極当たり前な正論を口にした。
「ジャック・ザ・リッパーとかいうけどさ、女性を殺して子宮を抉り取るとか、まともじゃないよね。俺はまともだけど、しかもちゃんとした資料もないし、こんなんだったら縁召喚したほうがまだましだよ」
殺人鬼というだけでもうわかるキチガイ感。自身をろくな人間じゃないと自覚しているからこその反応だ。なんだが豹馬は才能を持つ者に対し徐々に嫉妬の気持ちを生み出しながらも、自身の右腕に浮かび上がった令呪を見ることで悦に浸り、精神を安定させる。
「まぁいいや。さっさと召喚しよ。案外簡単に手に入るものだなコレ」
そういって懐から一冊の書籍を取り出し、儀式に入る。儀式場は青山霊園、豹馬が狙うサーヴァントが葬られた場所である。
「サーヴァントが見るのは俺と自分の墓か、知り合いも一杯ここに葬られてるし、なんか最初に墓参りしそうだな・・・・・・」
―――fate/Apocrypha ホストが聖杯大戦に参加するようです―――
相良豹馬は没落した魔術師の家系に生まれた。相良家は魔術師としては地味な一家であり、すでに何代も優れた能力を持つ当主を排出せず、当の豹馬も魔術師としての才能はよくて二流程度であり、これから当主になるとしても力不足であった。
魔術師としての誇りを持つ両親からの愛を受けることなく、豹馬は相良家の一人として成長した。そして成長した豹馬がどうなったかというと―――。
「おい、お前焼きそばパン買って来いよ。ダッシュな」
小物チックな屑となった。
親が何度も言った相良家は元はかなり力を持っていた名門である言葉に対し豹馬は何の感動もなく。
「過去は過去はって、自慢はそれだけなんですか? もっと今を見ないと。嗚呼、すみませんね。現状を把握できてないんですね、難しいことを言った俺に非がありますわ。それとユグドミレニア家ってのがありますけど、所詮は傷の舐めあいですよね(笑)」
魔術に才能がなかった結果、彼は立派な煽りストと化した。
特に話術に定評があり、顔もよかったために、それなりに成功した。国立大を出て、所謂裏の繋がりを深めてそれなりに成功。
ピンチに陥ろうとも得意の魔術で、事細かに隠ぺいし、あるいは暗示を使い、鼠のように細かな穴から逃げ出すことにより『†鼠†』と揶揄された。
表向きの仕事は得意の話術と顔の良さを生かしたホスト。
もちろんそれだけが仕事ではなく、ヤのつく人たちに対する情報屋であり、封印指定執行者やフリーの魔術使いの情報屋、ユグドミレニアより協会の情報を探ることなどの活躍によりお小遣いをもらっていたりした。
「人生って楽だわ、ユルゲー(笑)」
圧倒的屑である、この社会の塵と比べればニートのほうがよっぽどまともである。
しかし、そんな彼の緩い人生にも試練が訪れる。
「えっ? 聖杯戦争? 協会からの離反? そんで協会の魔術師を殺したの? えっ? 馬鹿なの、死ぬの?」
ユグドミレニア一族の協会離反、それを後押ししたのは豹馬の情報も一端であるとされ、小物な彼は全力で保身のための算段を整えようとした。
誰だって泥舟に乗りたくない、協会に目をつけられて生きれるほど豹馬の心臓は分厚くない。
「情報が足りないィィィィ! 嫌だー! 死にたくなーい! 死にたくなーい!」
そんな小物な彼の叫びを聖杯はきちんと聞き届けていた、浮かびあがった令呪。最悪なことに、聖杯戦争から聖杯大戦へと変わったその出場権を手にしてしまったのだから。
落ち込むのは束の間、豹馬はすぐさま準備取り掛かる。金はある、時間はないが、ここは幸い日本。魔術協会からしたら辺境、追手は来ないだろう。
じゃけん、触媒集めましょうねー。と繰り出したは良いものの、彼程度の魔術師では召喚出来るサーヴァントはたかが知れてた。
悲しいけどこれ、現実なのよね。
彼我の実力を知っているので、サーヴァントは単独行動のスキルを持つアーチャーか、基本的な能力の低いアサシン。魔術に関しては高い能力を持つキャスターから選択しようとしたが、キャスターは召喚済み、アーチャーは既に目星が付けられ、血迷った盟主である駄肉さんからそれなりに圧力をかけられた為に断念。
結果的にアサシンを選択するが、ここで問題がある。
亜種聖杯戦争が行われるこの世界では肝心の超優秀なハサン先生は大人気らしく、対処方が組まれている。
かといって年代の古い神代のアサシンを手に入れ、尚且つ制御出来るかと言えば疑問だ。
身を守る意味でも、自分の魔術を使える程度には余力は残しておきたいという保身力の下、彼は年代的に新しいサーヴァントを手に入れようとした。
そして漸く触媒を手に入れたは良いものの、新たな疑問が発生する。
手に入れたサーヴァント、アサシン。こいつを召喚して、俺は殺されないかと。
「・・・・・・馬鹿め、引っ掛かったな魔術協会! 全部ブラフさ!」
そういうことにした。ジャック・ザ・リッパー? 知らない子てすね。
じゃけん、このナイフ仕舞いましょうねー♪
ジャック・ザ・リッパーのナイフは後でヤフオクで売るとして、部屋の奥深くに封印。ジャックはジャックでも豆の木ジャックの方が彼は好きなのだ。(人生の勝ち組的な意味で)殺人鬼なんていう危険人物は彼は知らない。誰だってそう思う、俺だってそう思う。
とは言え、触媒が無くなったのは事実。これをどうするのかとしたところで、彼の目に写ったのはとあるTV番組だった。
時は幕末、幕府と薩長の藩が戦い、やがて明治維新へと至るまでの過程、その中でもとある人物に焦点をあてた某午後8時に毎週放送される国営放送のドラマであった。
瞬間、豹馬の頭脳は高速回転し、一つの答えにたどり着く。
幕末の人物なら年代的に浅いし、欧州視察に行った人物なら、現地での逸話が有るかもしれない。そして何より、青山霊園に行けば、本人の遺体という本人そのものといえる触媒があるではないかと。
始まったな豹馬、なんという隙のない考えと豹馬は自画自賛する。心なしか心もウキウキしてきた。
そして幕末の人物を調べるために古本屋に入った時に、豹馬はそれを見つけた。
購入した一冊の書籍、それを片手に豹馬は新宿から青山霊園へと向かうのであった。
すまない・・・こんな短編ですまない・・・・・・。
F/GOではすまないさんと呼ばれる彼だが、apocrypha ではただの無口ですまない・・・・・・。
うちのエース? ヘラクレスだけど?