現代人 in エド in ONEPIECE   作:アディオス

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終止符を打ち国と仲間に別れを告げる23話

 

 

 

 

 

遥か上、宮殿のさらに上に人が飛んでいた。ひらひらとコートをたなびかせ、背中から自由落下するその姿はそいつ自身が能力によって飛んでいるわけではないと思い知らされる。

宙を飛んでいるのはこの国の英雄、そして海賊であり国家乗っ取りを計らった組織のボス、クロコダイルである。

 

つまり、あのクロコダイルが気絶して飛んでいるということは。

 

「あいつが勝った!!」

 

両手を突き上げ喜ぶ。感情に呼応してかドライヴも同じように上へ動きそして一周程周った。いやそんなモーション要らない。

 

「クククッ、アハハハハハハハ!!見たか!鳥野郎、この国の英雄の無様な姿!!」

「五月蝿い!静かにしろ!」

「い゛っ!?」

 

扉を開けて中に入りながらそう叫ぶと俺よりも小さいおっさんに頭を殴られる。余りの衝撃に前のめりになって転倒しかけたが、持ち前の胆力と体幹で持ち直した。こんな事で地面に倒れたりしない。

頭を押さえてながら足下を見ると、白衣を着たおっさんは怒ったように目付きを鋭くさせながら口を開いた。きたねっ唾が少し飛んできたんだけど!?

 

「ここは病院だ。患者がいる、静かにしろ」

「っても一人じゃねェか。このヤブ」

「おれはヤブじゃねぇわ!」

「こんな王都から離れた場所に建ってる病院なんてヤブだと言ってるようなモノだろ」

「……それは否定せんが」

「しないのかよ」

「だがヤブじゃねぇ!!」

 

ハイハイわかったわかったと手をひらひらしながら医者を素通りする。ギャーギャー喚くおっさんを無視して、奥にある患者室へと向かう。少しだけ立て付けの悪い扉を勢い良く蹴り付けて、中に入った。

 

「よぉ!元気か!鳥野郎!見たな、見たよな!?あの英雄の雄姿!!」

 

クハハハハハハ!

そう笑いながら入っていくと、患者用のベッドに腰掛けた包帯だらけの細身の男が苦笑しながらこちらを見ていた。特徴的な化粧が剥がれてはおり一目見て誰かわからないが、服装から予想することはできる。ま、こいつ死んだ事になってそうだけど。

 

「えぇ見ておりましたよ、エド殿。アラバスタの勝利の狼煙を」

「ククク、そんな狭い窓からちゃんと見れるとは思えねェけどな。ま、そういう事なら良いや。俺は出ていくけど、お前も来るか?」

「いえ、医者殿にはあと一週間は絶対安静を言付けされておりますので」

 

ふーんと呟いて、外を見る。何年も快晴だった空は突然雲を呼び、太陽は隠れてしまった。陽光の代わりに降るのは、恵みの雨。ここ数年ばったりと降らなくなった雨が勢い良く降り始めた。

今出て行ったら雨に濡れてしまうが仕方ないだろう。思い出した記憶によれば、ポーネグリフがある遺跡はもう崩れているはずだ。見つけ出すのは安易ではないだろうなと溜息を吐きたくなる。

 

「あ゛ー!!てめぇ!また扉壊しやがったな!開けるっていう動作知らねぇのか!」

 

突然の雨で外から帰ってきた医者は俺が壊した扉を見て叫んだ。此方を睨みつけるように見上げて来るから、肩を竦める。

 

「開けようとしたからこうなったんだろ。オンボロなこの場所が悪い」

「見事な責任転嫁すんな!蹴り倒す事が扉の開け方なんて言わせねぇぞ!?」

「蹴り倒す以外に開け方なんてあるか?」

「何言ってんだ!?お前!!」

 

今度は強く直しとけよと笑いながら医者の横を通り過ぎ出て行く。後ろから二度とくんな馬鹿野郎!という怒鳴り声が聞こえた気がしたが、安心して欲しいと思う。多分一生ここには来ないだろう。

外へ繋がる扉を手で開けて、土砂降りの雨を見上げる。見事な大粒であり、あまり降りすぎると作物が腐るだろうなというぐらいであった。何年もの干ばつに襲われていたこの国に作物があるかなんてわからないが。

ドライヴを展開し、電磁波による傘を作り出す。四機分だけ使えば、後の二機は移動に使える。一歩出ても濡れなくなった事にニヤリと口角をあげ、あの絶壁の上にある宮殿を見上げる。

 

「さぁて、俺はオレの仕事しますか」

 

ククク。笑みがこみ上げてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっわ、マジで崩れてやがる」

 

街から響く怒声罵声も収まった頃、クロコダイルが飛んできたであろう穴に来ていた。正規の行き方ではないので、最深部までどれぐらいあるかわからない。だがだからと言って本当の道を行こうとしても、瓦礫で塞がれているだろう。

ここならまだ奥底まで通じている。心なしか話し声も聞こえることから、ルフィ達も脱出する手はずなのだろう。まぁここからは来ないと信じたいね。

 

「さて、行くか」

 

両手をポケットに突っ込み、トンと軽やかに落下する。途中で迫ってきた瓦礫はドライヴで破壊し、俺はそのまま奥底まで重力に従って落ちて行った。

まぁ完全に地面に激突する前に、ドライヴに乗って衝撃を暖和したが。

 

「さぁて、お目当てのは何処かなー」

 

四方八方にドライヴを飛ばしてあらゆる物をスキャンする。目の前にタッチパネルを開き、ドライヴ達がスキャンしてきた情報を流し見る。

流石4000年の歴史を持つ場所だ。王家の墓の地下である此処は、人目に触れずともずっとあり続けていた。こんな遺跡を作る技術が4000年前にあるとは思わないが……いや彼らの事もある。歴史とは技術が一周回って元に戻るなんて事があるものだ。何年もの先の技術を作ってしまったが故に刈られ、何事もなかったかのように元に戻る。

まぁそれが世界がしているのか、人間が恐怖からしているのかは現代に生きる我々にとっては謎だが。

 

「っと、見つけた……」

 

案外近くだな。

他とは明らかに違う情報に目を輝かせる。相も変わらずよくわからない素材でできた石だ。どうにもこうにも今この世にある凡ゆる素材に全くもって当てはまらない。まぁドライヴ内のデータベースでの話だが。

どんなデータベースにも負けないと自負できるほどの情報量はあるが、それでも無い物はない。少なくとも4000年以上前の特殊な鉱石などわかるはずもない。今でも掘られているのなら話は別だが。

降ってくる瓦礫を余裕で躱しながら、見つけたポーネグリフの側による。やはり内容は前見つけたポーネグリフからしてこの国の歴史であった。

ポーネグリフに刻まれているであろうプルトンについて知りたかったクロコダイルはこの結果に残念がっただろうな。と言っても読めるのはミス・オールサンデーのみなので、もしかしたら彼女がわざと教えていないと勘違いしたのかもしれない。

左手でポーネグリフを触りながらぐるりと裏に回る。前に見つけたのも裏の右端に記してあったので、今回もそうだろう。寧ろそうでなくちゃ困るけど……念の為にドライヴで全体像スキャンして保存しておくか。

 

「……あったあった。やっぱエリオスの文字だな」

 

やはりと言うか、右端の一番下に記してあった。これはよく見ないとわからないほどの溝だ。メインはあくまで表側で、裏は別にって感じか。お邪魔してもらっているという状況だろうな。過去の研究者がこのポーネグリフを作り出した人種とどういう関係なのかは知ることは出来ないけれど。

 

「“よくぞ見つけてくれた、未来の人よ。これより記すは我が人生の集大成。きっと役に立ててくれ”……か。ククク、面白れェ」

 

ついと視線をずらして読んで行く。そこにはオレが予想した通りの事が書いてあった。目を細め口角を上げる。小さい文字ながらも情報量は多く、石の下側まで続いていた。肉眼で確認できるのはそこまでなので立ち上がり、ドライヴを展開してパネルを表示させた。

もうここには用はない。彼奴らと合流しなきゃな。俺はあまり活躍できなかったけれど、一国を救ったんだ。たんまりとお礼を貰わないと割に合わない。まぁ彼らはそれを考えて救ったわけではないだろうけど……殆ど成り行きだしな。考えているのは守銭奴気味なナミぐらいだろう。

 

「クックック、本当に思わぬ収穫だ。オレ一人じゃぁこれを見つける事は出来なかっただろうな。俺のお陰か、アイツらのお陰か…………まァ、どっちでも良いがな」

 

くつくつ、抑えきれない笑みをこぼす。これ程嬉しい事はない。研究者冥利に尽きる。滞っていた研究が一歩前進した時の感激は全研究者共通の幸せだろう。例えその先にまた壁があったとしても、それは研究者にとっていつもの事でそれでも今までよりも浮かれた気分で挑む事ができる。

今のオレはそんな感じだ。喜んでいるようには見えないと大体の人間には言われるがな。

 

「さて、こんな収穫に加えてどんな報酬を貰えるんだろうな」

 

少しだけ、楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで三日経った。

初めは人知れず立ち去ろうとした麦わらの一味だが、ビビの言葉で宮殿で休ませてもらう事になった。と言っても一つの部屋を借りてひっそりと休息を取っていただけなんだけど。

内乱が終わった事で急にバタバタし始めた宮殿内は、国を救った英雄と言えど海賊に構っている余裕はないらしく、ここ三日間は部屋に閉じこもっている。風呂は部屋に付いているのを、食事は指名手配になっていない男で迷子にならないという理由でサンジとウソップが買い出しに行って事を終えていた。

因みにこの国一強かったであろうクロコダイルを倒した労働者であるルフィはこの三日間、昏々と眠り続けていた。まぁついさっき起きたけど。

何故かベットが隣である俺は上着と靴を脱ぎベッドの上で胡座をかきながら取ったデータを整理していると、目の前で目蓋が動いたのに気づいた。端っこなので壁にもたれながらしていたから隣の様子が見えたんだけど、今まで起きなかったものだから少しだけ驚いた。けど、声を出して驚くほどでもなく自然にルフィに声を掛けれたのが幸いだ。オレが驚くとかキャラ崩壊に近い。

 

「おはようさん。もう夕方だぜ」

「んぁ?……おーエド、おはよ」

 

いつも五月蝿い彼は起きかけの時はあまり五月蝿くない、寧ろ静かな方だ。一瞬で目を覚ませばそんな事もないんだけれど。

いつものように眠たげに目を擦る彼に苦笑して、視線をデータに移す。耳にはもう元気な彼の声が届いたから、完全に起きたのだろう。三日間眠りっぱなしだったようには思えない速さだ。

にしても、このアラバスタでは情報の質はめちゃくちゃ良いが量が少ない。まぁバタバタしすぎてデータ集めにも専念できなかったけどな。この三日間を有意義に使うため、四機ほどドライヴを飛ばし凡ゆる情報をかき集めてるところだ。まぁ今までの島と比べてデカイというのも理由の一つなのだが。

 

「おいエド!お前も行くだろ!」

 

データ整理に没頭していると、急に目の前にルフィが現れた。壁沿いに座っている俺の前に膝と手をつき此方を覗いてきた彼はよだれを垂らしながら、なっ?行くだろ?と言ってくる。

いや全くもって何のことかわかりませんし、何でそんなに近いんですかね。

エリオスの文字で整理しているから良いものの、この世界での文字だと読まれていた可能性がある。表示していたデータを消して、ルフィの顔を押し出す。うぇ、よだれ付いた。

 

「飯だよ!飯!!」

「この宮殿の料理長自ら振舞ってくれるらしいぜ?楽しみだ」

 

ルフィとサンジの言葉に納得する。さっきイガラムらしき人が来ていたのは呼びに来るためだったのか。オレには関係ないかと思い放置していた。

なるほどと頷いてベットの上に放っていた上着を取る。ルフィを二機のドライヴで放り投げれば、靴を置いていた場所が空いた。

それを機にぞろぞろと部屋から出て行く彼らの後ろ姿を見ながらため息をつく。

 

「ったく、あいつのパーソナルスペースの狭さどうなってる」

「お前が広いんだろ」

 

いつのまにか隣にいたゾロにそう言われて俺は肩を竦めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海賊というのは食事となると何処に居ても宴になる。

その理屈はまだ海賊に染まりきって居ない俺にはよくわからないが、丁寧に静かに食べるよりも楽しくワイワイ食べる方が海賊は好きなのだろう。まぁ元々男が多いし、無法者たちの集まりだ。礼儀がないと言えばそれまでである。

 

「ん、これ美味いな」

「どれ……本当だな。これ隠し味に何か使ってんな……知らねぇ味がする。後で聞くか」

 

独り言のように呟いた言葉をサンジが拾い、近くに来た料理人に料理の事を聞いている。

サンジの隣に座らされた俺は優雅に食事をしていた。例え周りが五月蝿くとも、ルフィに飯を取られそうになってもだ。普通に食べてんの俺ら二人だけじゃね?

ここは食堂。本来王家の人間が静かに食事をする場所である。

海賊にしては少数にしても、この部屋からすれば大人数。埋まった椅子の周りには衛兵たちが監視するように立っていた。最初は俺たちの食事風景にドン引きしていたが、慣れたのか今じゃ笑いっぱなしだ。

 

海賊の食事は宴。

 

今の光景が、その意味に含まれる一つだと言えよう。

さぁて、食事が終われば風呂なのは当然の摂理だろう。だだっ広い風呂場に感嘆する。これは王族用であり、他の人々が使用することはない場所だ。無駄に広いだけで意味はない。こんなにもいらないだろうと浴槽に浸かりながら、女湯を除くために壁に登って行く彼らを見る。その中にこの国の王も混ざっているのだから世も末だな。

 

「王だとしてもただの人か」

 

クックックと笑う。

そういやみんな一緒に風呂に入るのは初めてだろうか。メリー号は風呂はあるけど小さいから一人ずつしか入れない。二人入ろうとするならばぎゅうぎゅう詰めになるのは必至。まぁチョッパーは例外で彼と一緒は余裕だ。デカくなられると困るんだろうけど。

カリと首にあるチョーカーに触れる。一人湯の時は流石に外しているが、今回は全員とだ。まだこの首を晒す気にはならない。そこまで彼らを信用したわけではないし、それにこれはオレの最大の汚点でもある。

 

「……あーまって、SAN値チェック案件」

 

ドラム王国での出来事を思い出した。あの時俺はこの傷の理由を知っていることについて驚いた。だって俺はエドじゃないんだから。

でも今はどうだ?今この首について考えていても、何ら不思議がないように思える。寧ろ自然だ。何も疑問を持たず、俺はチョーカーを外さなかった。俺はこの傷に何の思入れもないはずなのに。

知らない方が良いこともある。けど知りたいと思うのは科学者の、研究者の性なのだろうか。

 

「(考えないでおこう)」

 

現実逃避とも言える。

何をくらったのか鼻血を噴いて倒れた男達に呆れた視線を向けながら、上気せる前に湯船から上がった。

カリ。もう一度触る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だか、気持ち悪い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中のうちに宮殿から抜け出し、ボン・クレーが舟番をして居てくれたゴーイングメリー号へと辿り着く。送ってくれた超カルガモ部隊に感謝しつつ、荷物を全て船に乗せる。戻って来ていたドライヴ達に荷物を任せつつ、ボン・クレーの話を聞いた。

曰く、自分がいなければ海軍に船を取られていた。

曰く、俺たちはダチだ。

曰く、だからこそダチを思って船を上流まで運んだのだ。

曰く曰く。ボン・クレーの言い分はわかった。けれどたった一度会っただけで友人になるだなんて、おめでたい頭だ。元々敵同士で敵対していたと言うのに。まぁ組織の方針と自分の考えが合わなかったりするのは良くあることである。入ってからすぐ退社はしにくいもんな、わかるぜ。

俺が運ぶことになっていた分を運び終え、ドライヴを呼び戻してその上に寝転ぶ。あの大雨のあとの晴天は良いもので、それは夜であっても変わらないようだ。星々が良く見える。

 

「野郎ども!一度しか言わないからちゃんと聴くのよ!!」

 

ナミの声が届いた。いつの間にやら全員船に乗っているようで、俺だけが外に取り残されていた。いそいそと立ち上がり、ドライヴで上昇する。

 

「夜明けと共にここを出港!川を下ってぐるっと島を回る。それでここ、タマリスクって港町に昼の十二時丁度に一度だけ寄せる。ここでビビと落ち合うわけね」

 

でも、と続けるナミの斜め後ろ側、ちゃんと最初からいました風を装って会話に加わる。既に確認事項なので地図を見れば一目瞭然なのだが。

 

「海軍がうろうろしてるわ。十二時までは渋るけどそれ以上は無理。ビビにもそう伝えた。もしあの子が残るならそのまま離脱、乗るのならルフィ、あんたの出番よ」

「ん?おれ?」

 

ビシッと指差したナミは真剣な顔でルフィを見ていた。当の本人はビビが仲間になるかどうかしか考えていなかったらしく、急に話題に上がって驚いたようだ。間抜けな顔をしている。

 

「そう。あんたのゴムゴムの実で引き寄せて、それが一番手っ取り早くあの子を載せられる」

 

彼女が船に自力で上がるような余裕は当然ないだろうな。

ルフィのおう!という素敵な笑顔を見たナミは一つ頷いて、話の続きをし始めた。

 

「んで、それまでの時間稼ぎもお願いね。ルフィだけじゃなくてサンジ君とゾロも。特にエド!!」

 

え。

 

「何だ?」

「最初から聴いてたからみたいな雰囲気出しながら加わった罰ね。あんた、一隻は沈めなさい。それがノルマ」

 

笑顔で言ってくる彼女に戦慄する。うちの航海士が怖すぎるんだが……?

 

「それは無茶が過ぎるんじゃねぇか?」

「何言ってんの!9000万ならちょちょいのちょいでしょうよ!」

 

いや、その9000万は別の意味でかけられた9000万なんですけど。

 

まぁそれはともかく、本当に一隻沈めさせられた件について。

 

夜明けと共に出港して川を下った出口あたり、丁度巡回中だった軍艦が此方に砲撃して来た瞬間に後ろ指で軍艦を指したナミの顔と言ったら……女性は怖いね。

船が沈むように船体の下辺りをパーティクルアクセラレーターでぶち抜いてやった。あの大きさだ、多分水が入った瞬間にダメになるだろうな。あぁ一体何円分した船だったのか、考えたくないね。

そんなこんなでタマリスク沖。付いてきていたボン・クレー一味は、厄介過ぎる陣形や大砲を持つ大佐がいた船を引き付けてくれた。多分今頃捕まってらっしゃる。友人の為にと囮になったオカマに敬礼。お疲れ様でした!!

 

「ん?ありゃ、王女サマじゃねぇか?」

「本当だ!ビッ「ちょ!海軍に見つかるから!!」んぐっ」

 

俺が言った方向を見て喜んだルフィはビビを呼ぼうと声を上げるが、ナミによってそれは遮られる。近くに海軍の軍艦があるからこそ、一国の王女と海賊の関係性を疑われてはいけない。それこそビビの選択肢を無くすようなものだ。

電伝虫の受話器を持った彼女は泣きそうなのを必死に隠そうとしている顔をしていた。笑顔ではあるけれど、でも綺麗な丸い目からは何かが流れている。

涙であると気づいたのは、彼女が私はいけないからと言ったときだ。

 

『楽しかった!貴方達との旅が!!とてもとても。何も知らなかった私に色々なことを見せてくれた貴方達が、当たり前のように助けてくれた貴方達が大好きでした!!』

 

息を飲んだ音がした。

彼女はこの別れを惜しんでいる。けれど一国の王女として生きていくことを選んだのだ。それは様々な命を背負う職業。これから王女ならではの困難とかもあるだろう。でもそれでもその道を行くと決めたのだ。

どこまでも愛国心溢れた王女だこと。アラバスタは安泰だな、と心の中で呟く。

 

『私は!そっちに行けないけれど!!それでもまた!“仲間”とッ!!そう呼んでくれますか!?』

 

応えることはできない問い。もしここで叫んでそうだと言ったなら彼女は王女でいられなくなる。それは本意ではない。あくまで彼女に将来を決めさせたのだから。

 

『---ッ!!!』

 

けれど彼女の問いに絶対に応えられないというわけではない。俺たちには自分たちしかわからない仲間の印があるじゃないか。誰かがそう言った。

進む舟の後方、全員で横一列に並んで左腕を上げた。もちろん俺もだ。

 

 

 

左腕に描かれたばつ印。

 

 

 

それは海賊の印であり、同時にビビと麦わらの一味を結ぶ目印である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------当たり前だッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

俺たちは心の中でそう叫んだ。

 

 

 

 

 




アラバスタ編、終!!!!

今年中に終わらせると息巻いてこの時間!!実にギリギリ!流石私だな!!

ではみなさん、良いお年を!!!!!(颯爽と去る)
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