城下町のダンデライオン ~赤い弓兵~ 作:じゃんぬ
夢を見ている
月の綺麗な夜、縁側に並ぶ赤い髪の毛の男の子と黒い髪のやつれた男
暫くすると大人の男の方が呟いた
「子供の頃、僕は正義の味方に憧れてた」
すると赤毛の子供が不満そうに返す
「なんだよそれ。憧れてたって、諦めたのかよ」
男は済まなそうに笑い、遠い月を仰ぐ。
「うん、残念ながらね。ヒーローは期間限定で、オトナになると名乗るのが難しくなるんだ。そんなコト、もっと早くに気がつけば良かった」
「そっか。それじゃしょうがないな」
「そうだね。本当に、しょうがない」
相槌をうつ男。
少年は当然のように次の台詞をいった
「うん、しょうがないから俺が代わりになってやるよ。爺さんはオトナだからもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ。まかせろって、爺さんの夢は」
少年がその先を言い切る前に前に男は微笑った。続きなんて聞くまでもないという顔だった。
そうか、と長く息を吸って、
「ああ────安心した」
静かに瞼を閉じ、その人生を終えていた。
何を、するでもなく、冬の月と、長い眠りに入った父親だった人を見上げた少年は、ただ涙を流していた
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「(なんだったんだろう…あの夢)」
子供の時から偶に、あの男の子、自分の双子の兄の昔の格好に似た男の子夢は見ていた。
だが、自分はあの家も、あの男も、自分は知らない。
子供の頃特に小学生まではほぼどこに行くにしても一緒にいたのだ、それに兄が小学高学年の時には肌は浅黒く、髪は白髪になっていたのだ。だからあれは多分自分の夢、我ながら妄想が過ぎる気もする、と茜は思う。
こんな夢を見てしまったせいか、昔の事を思い出す。
茜にも、正義の味方に憧れた事があった。今もちょっと憧れている
そう、それはまだこの街にここまでの監視カメラが設置されるより以前の事──────
「この国の平和は私が守る!」
決めポーズをしながらそんな事を口にしていた
「まーた言ってる。お前は正義の味方じゃないんだぞ?」
「大丈夫!私の力があれば悪者が現れたってやっつけちゃうんだから!」
テンションを上げる茜を士郎と修が諌める
「ふん、ならばその力とやらをちゃんと使いこなす事だ。ここ最近のお前は力の使い方が荒い」
「そーだ、母さんだってそう言ってたぞ?」
「そんな事ないもん!…行ってきます」
「パトロールか?」
「カレンのお家。今日お留守番だって行ってたから遊びにいってあげるの!ほらシロちゃんもはやく!」
数分後、士郎と茜の前には強面のSPが並んでいた
「来ないで!」
「茜様、行けません。お嬢様方のお出かけに際しては必ずSPを同行させるよう、陛下から言付かっておりますので」
「お友達のおうちに遊びに行くだけなんだよ!」
「お出かけはお出かけでございます。ことに、茜様は最近外で力をお使いになることが多うございますし」
茜は段々苦々しい顔になり、士郎は呆れている無論、SPにでなく茜に。
理由が理由なので茜の自業自得だ
「陛下も大変ご心配なさっていますよ?」
「もういい!わかりました!」
とは行ったものの結局茜はSPたちを巻いたのであった。
士郎は僅かに城の従業員とSPたちに同情しながらついていった
「お母さんはいつ帰ってくるの?」
「わかんないけど、遅くなるんだって。でも、茜が遊びに来てくれたから平気」
「えへへ。私が入れば絶対安心だよ!」
そうして、三人は家に入り、いち早く士郎が異変を察知する
「お邪魔しまーす、あれ、誰かいるの?」
「お父さんかな」
そうして、部屋に入っていく
「ねえお父さ…」
「ねえ、お父さんだった?」
「知らない人!!!」
「ちぃっ」
「ふむ、(SPたちが追いつくまで時間でも稼ぐか?まあ、間に合わなかったとしてもこの程度なら何ら問題はあるまい)」
士郎は適当に時間を稼ぎながらSPを待とうと考えているようだった。
最悪この二人に危険が迫ろうともこの程度なら素手でも倒せる。
もともと、士郎は英霊エミヤという存在だった。いかに子供になっていようとこの程度捻り潰すのは何ら問題はない。何万倍も強い敵を相手に戦ってきたのだ、泥棒などに今更苦戦するなどあり得ない
「おとなしくしていて貰おうか、お嬢さんたち」
が、茜が士郎と花蓮をつれて能力を使い逃げ出した。
「まて!」
そして能力で扉を押さえつけ泥棒を弾き飛ばす
そのあと、泥棒のもう一人が此方にくる
「もう一人いたー!?」
「こっち!」
そして、花蓮の自室らしきものに逃げ込む。
「茜ー!」
「大丈夫!私が入れば悪い奴なんてコテンパンだよ!」
その後、茜は泥棒を翻弄していく。それにはちょっと士郎も感心していた。が、
台所に逃げたところで
「子供だと思って手加減してりゃ、調子に乗りやがって」
「「!!?」」
茜と花蓮は凶器を持った泥棒をみて完全にすくみあがっている。このままでは茜が能力を滅茶苦茶に使い、家を倒壊させかねないと、士郎は判断する。というか既に茜の力が周りに作用し始めている。
「(仕方ない。気は乗らんが手を出すことにするか)落ち着け、茜。そしてそこを動くな。すぐに終わらせる」
士郎は殺気を少し前面に押し出す。
「「っ!」」
それだけで、泥棒を怯ませる
「この程度で怯むようなら私には勝てん。出直してこい」
といい、大人顔負けの力で蹴り飛ばす。
「テメェッ!」
もう一人が激昂し遅いかかるそれをいなしながら、一応警告はしておく。
「怪我をしたくなかったらここで去れ。これ以上は容赦しない」
「ガキが!調子にのるな!」
「そうか。残念だ」
そう言って、片方の男の脚を砕く。
そして、もう一人も脚を砕き、首、頚動脈のあたりにナイフを当て、
「これ以上やればどうなるかわからんわけではあるまい。それでも尚、続けるというなら殺しはしないが五体満足で帰るのは諦めることだ」
士郎の殺気を食らって完全に怯えきった男たちを拘束する。
そして、士郎は何事もなかったかのように散らかった部屋と物品の修理を始めた。
その後集まった警官と、SPにより泥棒は逮捕。
士郎はやり過ぎだ、と国王である父と警官による厳重注意をくらっていた。
そして、花蓮の家に集まった野次馬の視線に怯えきった茜と、大泣きする花蓮が取り残された。
この野次馬の怪訝な表情とこそこそと何かを話しながら此方を見る視線により、
茜は目立つことが嫌いになった。
目立つことが怖くなった。
だが、それと同時に自分とは違い、怯えることなく、当たり前のように敵を圧倒的な力で倒し、自分と花蓮を助けた士郎に憧れた。
櫻田士郎はあの時の茜にとって紛れもなく正義の味方だった
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「(懐かしいな〜あの時のシロちゃんかっこよかったな〜)」
回想は終わったが自分の世界から帰らない茜。
朝食のパンを齧りながらニヤニヤしてる姿を見て周りは少し引いている。
あれから人に見られるのが怖くなった。
あまりあの時、人の視線に晒されたのは思い出したくないが、士郎の活躍は積極的に思い出したいというちょっと矛盾した思い出である。
「そういえばシロちゃん。最近なんか私たちに隠してない?」
「どうした、唐突に」
「いや、シロちゃん最近険しい顔すること多いし、なにかあったら言ってね?」
「いや、大丈夫だ。特にこれといったことはない」
「ふーん。わかった」
茜は即座に士郎の言葉が嘘だと見抜く。
他の兄弟は気づいてないかもしれないが、絶対になにか大きなことに巻き込まれていると。
自分がちょっと前に熱を出した日、自分と奏と栞以外が家にいなかったその翌日、士郎が帰宅した時には険しい表情をよく浮かべるようになった。
「(ちょっとくらい頼ってくれてもいいのに…)」
櫻田茜はまだ知らない。
櫻田士郎が英霊と呼ばれる人知を超えた者たちとの戦いをしていることを。
弱体化してるとはいえその敵がどれだけ強いかを。
そして、近いうちに自身がその戦いの中に自分から巻き込まれていくことを…
fate/goの我がデータにやっとエミヤさんが降臨なさった。
後はジャンヌと青王さんのエミヤの再臨素材を集めなければ…モニュメントとセイバーピースとアーチャーピースと英雄の証と竜の牙がたりないんだ