Charlotte~君の為に……~   作:ほにゃー

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乙坂有宇

作戦は簡単なものだ。

 

まず今回の能力者、乙坂有宇を陽野森高校の生徒会長さんに呼び出してもらう。

 

そして、彼にカンニング容疑の疑いがあるとでも言ってもらい、入学後にやった実力テストをもう一度やってもらう。

 

で、生徒会長の手には乙坂有宇の答案用紙のコピーを持ってもらう。

 

もちろん、中身は答案用紙のコピーなんかじゃない。

 

恐らく、乙坂は答えを見ようと生徒会長に乗り移る。

 

後は、その場面を一部始終友利のカメラで撮り、言い逃れできない状況へと持ち込む。

 

「では、手筈通りにお願いします。私は部屋の隅で監視カメラで監視してるんで私には触れずにお願いします」

 

「分かりましたが、貴方たちは一体…………」

 

「俺らの事には触れずにお願いします。貴方は、俺達の言った通りにやってくれればいんで」

 

「はぁ…………」

 

生徒会長さんは不思議そうに俺達を見て、行動に取り掛かってくれる。

 

「では、高城は外で、響は校門前にて待機で」

 

「分かった」

 

「了解です」

 

「よし、では乙坂有宇を捕まえるぞー」

 

いつも通りの棒読み。

 

指示に従い、校門前で待機する。

 

放課後だけあって、やっぱり生徒達からの注目も集まる。

 

正直キツイ。

 

早く終わってくれないか……………

 

すると、一人の女子が俺の隣に立った。

 

まぁ、隣って言っても距離的には三メートルぐらいは空いてるが。

 

黒い髪の長髪で、整った顔をしてる。

 

誰かを待ってるのか?

 

そう思って、待ち続けると、誰かが走って来た。

 

あれは、乙坂有宇じゃないか。

 

どうやら、逃げてきたようだな。

 

「走って!」

 

乙坂有宇がそう叫び、その女子の手を掴む。

 

だが、行き成りの事に付いて行けず、女子はそのまま倒れる。

 

「っ……くそっ!」

 

そう言い残し、乙坂有宇は逃げて行った。

 

乙坂有宇の確保が最優先だが、怪我人を放置も出来ないか。

 

「アンタ、大丈夫か?」

 

「あ、は……はい」

 

女子を助け起こしてると、高城もやってくる。

 

「高城、アイツを追え。お前なら余裕で追いつけるだろ」

 

「任せてください」

 

高城は頷くと乙坂有宇の後を追う。

 

「響、乙坂有宇は?」

 

友利も走りながらやってくる。

 

「今、高城が追いかけてる。俺達も後を追うぞ」

 

「では、おぶって下さい」

 

「………………はい」

 

一目に付かない所に移動し、能力を使い一気に移動した。

 

集合場所の河原で高城の到着を待っていると、向かいの岸から高城が乙坂有宇を抱き、空へと上がり、そのまま落下して、川を水切りし、やってきた。

 

「すっげー、人間て水切りみたいなことできんだ」

 

「いや、単に高城の能力のなせる業だと思うが」

 

高城はずぶ濡れになりながら乙坂を引きずり、川から出てくる。

 

「ゲホっ!………い、今のは………?」

 

「瞬間移動です。字の如く、一瞬で移動する能力ですが、都合よくピタリと止まりません。この能力のおかげで、何度病院送りになったことか…………」

 

涙ながらに語る高城に同情せざるを得なかった。

 

「そんなことより、僕をどうするつもりだ?」

 

乙坂有宇は仰向けの体制で聞いてくる。

 

「我々の学園に転入してもらいます」

 

そこで、ようやく友利が口を開き、近づく。

 

「はぁ!?転入!?」

 

「はい。貴方の様な特殊能力者はあなた以外にもいます」

 

「なに!?」

 

「でも、それは思春期の病のようなもの。いずれは消えます。それが消えるまで、私たちの学校、星ノ海学園に通ってもらいます」

 

「はぁっ!?」

 

「既に親権を持ってる方に話は済んでます。しっかし、ルックスだけでモテそうなのに、なんで態々優等生を演じる必要があったんですかね?ああ、お蔭でお目当ての女生徒とお近づきになれたか」

 

女生徒っていうと、あの時の女子か。

 

確かに、美人ではあったな。

 

「くっ……貴様!」

 

乙坂有宇が立ち上がり、友利に掴み掛ろうとする。

 

だが、乙坂が掴む前に、友利は一歩引き、手を躱す。

 

直後、乙坂は驚いた表情を浮かべる。

 

能力を使って乙坂有宇の視界から消えたか。

 

そして、乙坂の顔を左右から殴り、ボディーブローを当て、最後に顎を蹴り上げ、乙坂を倒す。

 

「な………なん、だ?き、消えた?」

 

「それが友利の能力だ」

 

乙坂の疑問に俺が答える。

 

「透明人間になれるのか?」

 

「それは違う。友利の能力は一人の対象者から視認されない能力だ」

 

「ちなみに、貴方には私たちの生徒会に入ってもらいます」

 

「はぁ?」

 

「貴方の能力使えるので協力してください」

 

「……何に?」

 

「貴方の様に能力を悪用する人間を脅し、守るために」

 

その言葉に乙坂は呆然と、俺達を見つめた。

 


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