Charlotte~君の為に……~   作:ほにゃー

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頭痛

哲二は施設内ではかなりの嫌われ者だった。

 

俺と歳が近いこともあって、よく俺の事を苛めの対象にしていた。

 

そして、俺は哲二に連れられて空き地に連れてこられた。

 

「哲二。俺を此処に呼んで何の用だ?」

 

「ああん?そんなもの、考えなくても分かるだろ?お前が俺に何をしたのかをな」

 

俺がコイツにしたこと。

 

能力を無意識に使い、俺は哲二を殺しかけた。

 

幸いにも助かったが、コイツはそのことを恨んでるんだろう。

 

「そのことについては謝る。すまなかった」

 

「謝って済むと思ってるのか?俺はお前のせいで死にかけたんだぞ?なら、それ相応のことをしてもらわないとな」

 

「殴って気が済むならいくらでもしてくれ」

 

「そうかい、なら遠慮なく殴らせてもらおうか!」

 

そう言うと哲二は俺の顔を思いっきり殴った。

 

相変わらず痛いな。

 

まぁ、殴って気が済むならそれでいい。

 

耐えるのは慣れてる。

 

「大体お前は最初から気に食わなかったんだよ!施設の中で一番の入居者だがしらないが、結局はただの親無し子だろうが!それなのに、皆は俺よりもお前に懐いて…………おかしいだろうが!俺はお前よりも強い!強いんだ!それなのに、誰も俺の事を慕おうとはしないし、逆に俺を恐れる!そんなことあってたまるか!」

 

そう言うと、哲二は殴るのを止めた。

 

「次は………コイツでやってやるよ」

 

そう言って哲二は拳を握ると近くのコンクリートブロックを拳で粉砕していた。

 

その光景に俺は驚いた。

 

「そ、その力は…………」

 

「お前に殺されかけてから急に変な力に目覚めてな。こいつはいいぜ。体の力が強くなって、どんな奴にも負けない。最高だよ」

 

「……………哲二よく聞け。お前の持ってる能力はお前だけが持ってるものじゃない。他にも大勢の人がお前と似たような力を持ってる。そして、その力は思春期の病の様なもの。いずれは消える」

 

俺は立ち上がりながら言う。

 

「だが、その力を無暗に使えばお前は捕まるぞ」

 

「…………誰にだ?」

 

「能力を研究してる科学者にだ。もし捕まれば、二度と自由にはなれない。これは忠告だ。このままだとお前は捕まって、解剖されたりするかもしれない。だがら、その能力は二度と津空くな」

 

「………………詳しいな。てことは、お前も俺と同じような力を持ってるんだろ。なら、使えよ。俺とお前、どっちが強いかはっきりさせようぜ」

 

「お前!俺の話聞いてたか!?」

 

「ああ、聞いてたさ。でも、そんなことどうでもいい!俺はお前を潰したいんだ!科学者なんか、この能力で返り討ちにすればいい!」

 

「…………なら、力づくで分かってもらう」

 

拳を握り、能力を発動させようとすると、哲二は地面に手を付いて俺の側頭部に蹴りを入れた。

 

「悠長にしてんじゃねぇよ!」

 

俺がふらつくと、俺の頭を掴み地面に叩き付ける。

 

それを何度も繰り返す。

 

「あらら~?もう終わっちゃったか?つまんねぇな。なら、もっと愉快なことしてやるよ。この能力で、お前が居る学校を襲う。お前の新しい友達も居場所も壊してやる。それで、俺は言うんだ。お前の友達ですってな。そうすりゃ、お前は孤独だ。よかったな!また一人ぼっちだぞ!ギャハハハハハハハハハハハ!」

 

「黙れよ」

 

俺は哲二の口の左側に手で掴む。

 

そして、そのまま、横に引っ張って地面に叩き付ける。

 

掴む際、爪を立てて引っ張ったので口の中は切れたみたいだ。

 

「がぁつ!………テメー!」

 

「俺の事殴ってもいいし、俺の事を馬鹿にしても構わない。だがな、俺の友達に手を出すって言うなら容赦はしない」

 

「この野郎!」

 

哲二は俺に向かって走り出し、拳を振る。

 

俺はその拳を全部躱す。

 

この程度なら、不良たちの方が速い。

 

「くそっ!なんで当たらねぇんだよ!」

 

「お前の拳には何もないからだ」

 

そう言い、俺は哲二の最後の拳を躱し、下から顎を打ち上げるように殴る。

 

哲二は一メートル程飛び、そのまま地面に倒れ気絶する。

 

「取り敢えず、奈緒に相談か。いや、まだライブ中だろうし、ここは高城だな」

 

それにしても、コイツの能力俺のと似てた。

 

いや、俺の能力そのものじゃないか?

 

同じ能力者が複数いるのか?

 

その辺は聞いていないから分からないな。

 

その辺の事も高城に聞きがてら、電話するか。

 

高城の番号を呼び出し、電話しようとすると、急に頭痛が起きた。

 

だが、それはただの頭痛ではなかった。

 

徐々に痛みが大きくなっていき、俺は我慢することが出来ずに、その場にしゃがみこんだ!

 

「なんだ…………!この痛み……!どんどん強くなってくる…………!」

 

頭を抱え、必死に耐えようとするが無理だった。

 

「う………うわああああああああああああ!!!」

 

俺は叫び、そのまま気を失った。

 


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