Charlotte~君の為に……~   作:ほにゃー

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姉弟の再開

「うわああああああああ!!」

 

俺はベッドから飛び起きる。

 

息の荒い呼吸を整え、辺りを見渡す。

 

ここは………病院?

 

「目が覚めたか?」

 

そこに現れたのは、前に自販機の前であった茶髪で長髪のイケメンだった。

 

「………熊耳」

 

「ほぉ、俺の名前を知ってるか」

 

「夢の中でアンタを見た。教えてくれ、アンタは知ってるんだろ!俺の事や姉さんの事!」

 

「………いいだろ。教えてやる。だが、その前に付いて来てくれ」

 

ベッドから起き上がり、熊耳の後に付いて行く。

 

「なぁ、俺を病院まで運んだのって」

 

「ああ、俺だ。ついでに近くで気絶してた能力者も保護しておいた」

 

「そうか………ありがとう」

 

「礼はいい。………ここだ」

 

連れ来られたのは病室だった。

 

ここに何の用だ?

 

「誰だ?」

 

中から声が聞こえた。

 

これは奈緒の声。

 

「特殊能力者発見の能力者と言えば分かるか?」

 

熊耳は前髪を垂らし、奈緒に見せる。

 

「おお、お前か!乾いたらイケメンだな」

 

乾いたらってなんだよ?

 

そう思いながら、俺も病室に入る。

 

ベッドでは乙坂がいた。

 

「一之瀬、お前も一緒だったのか?」

 

「ああ、頭痛がして倒れて熊耳に運んでもらった。それで、色々思い出した」

 

「お前も!」

 

「ああ。で、熊耳どういうことが教えてくれるんだな」

 

「そうだ!兄さんのこと知ってるんだな!」

 

「まぁな」

 

「教えてくれ、全て!」

 

「落ち着け。そのつもりで来た。黙って付いてこればお前たちの疑問は全て分かる。そして、助けに行くんだ妹を、乙坂歩未を」

 

どういうことだ?

 

「死んだ人間をどうやって助けるって言うんだ!」

 

「今のお前達なら分かるだろ。兄、隼翼と、姉、由美の能力がなんなのかも」

 

まさか、俺たちに姉さんたちの能力を使わせるってことか?

 

「………あの、隼翼さんと由美さんって、あの二人ですか?」

 

今まで話に付いてこれなかった奈緒が聞いて来る。

 

「ああ、そうだ」

 

「うっそ!お前達、あの二人の弟かよ!?全ッ然、似てないな!」

 

「奈緒、姉さんたちを知ってるのか?」

 

「兄が廃人になってから私に道筋を教えてくれた方たちです」

 

てことは、奈緒が言ってた唯一信頼できる人達って、姉さんと隼翼さんだったのか・・………

 

「あの、私も会いに行っていいですか?ご無沙汰していますので」

 

「いいだろ。付いて来い」

 

俺達は病院を後にし、外へ出る。

 

外には、黒塗りの車に眼鏡を掛けた男性が待っていた。

 

車に乗り込み、俺達は眼鏡の人が運転する車で山の奥まで連れてこられた。

 

病院を出た時は、夕方だった為、今はもう夜だ。

 

山を登り、ある場所に着くと熊耳は岩肌に向かって何かを操作する。

 

すると、目の前の岩が動き、中に地下へと続く階段が現れた。

 

「凄いっすね!」

 

「金だけはあるからな」

 

階段を降りて行き、どんどん地下へと降りて行く。

 

「ここは?」

 

「いわば超能力者の研究施設だ」

 

「それは僕たちの敵じゃないのか?」

 

「違う。つべこべ言わずについてこい」

 

「すっげー!!録っていいっすか?」

 

「いいわけないだろ」

 

「ちっ」

 

一番下まで降りると鉄のドアがあり、それをパスワード入力と指紋認証、網膜認証で解除する。

 

「随分厳重だな」

 

「ここが最後の砦だからな」

 

ドアの中はエレベーターで俺達は更に地下へと降りる。

 

そして、ある一室の扉を熊耳がパスワードを入れて開ける。

 

仲は、大きな本棚と来客用の椅子とテーブル。

 

奥には机と椅子が置いてあった。

 

「有宇、響君。久しぶり」

 

横を向くとそこには男性が居た。

 

この人が隼翼さん…………

 

「あら?私もいるわよ」

 

後ろを振り向くと、そこには車いすに乗った女性、そう、夢の中で見た俺の姉さんがいた。

 

「ね、姉さん………」

 

「ええ、久しぶりね。響」

 

そう言い、姉さんは中に入っていく。

 

「連れてきたぞ」

 

「ああ、ありがとう」

 

隼翼さんは白杖を付きながら熊耳さんのサポートを受け、歩く。

 

目が見えないのか?

 

「まだ思い出してないのか?」

 

「ああ、前泊が消した記憶は思い出してない様だ」

 

「消した記憶!?なんっすかそれ!?」

 

奈緒が消した記憶がなんなのか気になり、声を上げて近づく。

 

「その声は奈緒ちゃんか!ご無沙汰だな」

 

「最後に会った時と変わって、更に可愛くなったわね」

 

「はい!今でもお二人が示してくれた道を歩み続けています」

 

「ああ、助かってるよ。よくやってる」

 

そう言い、隼翼さんは奈緒の頭を撫でる。

 

「奈緒ちゃん、お姉さんにはハグがいいな」

 

「はい!」

 

奈緒は姉さんの要望通り、ハグをする。

 

「で、有宇と響君はどうした?有宇にとって、俺は血の繋がった兄貴で響君は俺のことを実の兄の様に慕ってくれてただろ!感動の再開で、抱き付いてきてもいいんじゃないか?」

 

「そうよ。ほら抱き付いて着なさい。有宇君もお姉さんがハグしてあげるわ」

 

二人は手を広げて言う。

 

「いや、その、なんていうか………」

 

「色々混乱してて、まだ疑問だらけなんだ………」

 

「なんだよ、寂しいな」

 

「でも、それも私たちの自業自得よね」

 

「ああ、全部話してやるか。なぁ、ぷー」

 

「ああ」

 

「「「ぷー!?」」」

 

まさか熊耳だからぷー?

 

なんて言うあだ名だ……………

 

「では、話しましょうか」

 

「長い長い、俺と由美のタイムリープ話を」

 

「興味津々です!」

 

俺と乙坂は覚悟を決め、二人の話を聞くことにした。

 

一体二人は、何を語るんだろう?

 


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