Charlotte~君の為に……~   作:ほにゃー

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*書き直しです。少し原作とは古木さんの扱いを変えました。


拘束

暫く寛いでいると、熊耳さんがやって来た。

 

「隼翼、由美。能力者が現れた。学園に行ってくる」

 

「ああ。ついでに響君も連れて行ってくれ」

 

「いいのか?」

 

「響は有宇君と比べると危険性はかなり低いから問題無いわ。古木さんの方にはこっちから連絡してあるから事情を説明しなくてもいいわよ」

 

「わかった。一之瀬、行くぞ」

 

熊耳さんの後に続き、外に出ると待機してあった車に乗る。

 

「古木さん、星ノ海学園まで頼みます」

 

後部座席に座り、シートベルトを装着すると、古木さんの手が僅かに震えてることに気付いた。

 

「古木さん?どうかしましたか?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

古木さんはそう言い、車を発進させる。

 

すると、車は着た時とは違う道を通り、別の道へと入った。

 

「?…何故曲がらなかったのですか?」

 

「…………すまん、熊耳、一之瀬君。俺はお前達を別の所へ連れて行かねばならない」

 

売られたのか?

 

いや、この人を見た感じ人を売るような人には見えない。

 

なら、脅されてる?

 

熊耳さんは、ポッケからスマホを取り出し、隼翼さんと連絡を取ろうとする。

 

「家族が……家族が……脅されてるんだ!」

 

「え!?家族がいらっしゃったのですか!?」

 

「………居たと知られれば組織を止めなくてはならない」

 

「…それが規則ですので」

 

「俺はOBとして、お前たちを手伝えることに誇りを持ってたんだ………だからこそ、枷にならないようにと組織に入ったと同時に家族とも別れた。だが、奴等は何処かで別れた家族の事を知り、それをネタに俺を……………!」

 

「…………せめて一之瀬だけでも降ろしてやってくれませんか?」

 

「………彼も連れて来るように言われてる。それはできない」

 

下手に姉さんたちと連絡を取れば、古木さんの家族の命が危ない。

 

姉さんたちが異常事態に気付くのを待つしかないか……………

 

「………はぁ……厄介なことになりそうだ」

 

熊耳さんは古木さんに聞こえないようにそう呟いた。

 

俺達が連れてこられたのは廃工場だった。

 

「ここだ。付いて来てくれ」

 

「「はい」」

 

中は潰れた時から放置されてるらしく埃が舞い、鉄骨や鉄パイプ、ドラム缶などが放置されている。

 

「連れてきたぞ!」

 

古木さんが叫ぶと、現れたのは背の低いサングラスを掛けた外人と、眼鏡を掛けた背の高い細身の外人。

 

そして、上半身裸のマッチョの男と、褐色の肌の小さな女の子だった。

 

「Welcome mighty one」

 

「ヨウコソ、超能力者サン」

 

「異人さんか。やれやれ」

 

「もういいだろ!家族を返してくれ!」

 

「マダダ。モウ一度、働イテ貰ウ必要ガアル。マタ連絡スルカラ出テ行ケ」

 

「そんな!?話と違うじゃないか!」

 

「You do want to meet your family,right?」

 

「家族ト会イタインダロ?」

 

「…………すまん……!」

 

古木さんは悔しそうに俯き、謝る。

 

「いいっすよ。古木さんはご家族の事だけを考えてください」

 

「……すまん!」

 

そう叫び、古木さんは走り、車に乗って去って行った。

 

するとマッチョの男がサングラスの男の指示で動き出し、熊耳さんの腹を殴った。

 

「がっ!?」

 

「熊耳さん!」

 

前のめりになった所で男はひじ打ちを背中に落し、熊耳さんを気絶させる。

 

今度は俺の方を向き、拳を振る。

 

俺は咄嗟に躱し、がら空きのボディに拳を叩き込む。

 

だが、効いてないのか男は平然とし俺に攻撃を再度仕掛ける。

 

二度目の攻撃も躱し、今度は強化した拳で反撃を試みようとする。

 

「ソコマデダ」

 

しかし、眼鏡の方の外人が俺を止める。

 

「ソレ以上抵抗スルノデアレバ、古木ノ家族ハ、今スグニデモ、処分スル」

 

咄嗟に反応して反撃しちまったが、考えたらそうだ。

 

古木さんの家族が人質に取られてる以上、俺達はコイツラに反抗出来ないんだ…………

 

俺は大人しく腕を下ろした。

 

その瞬間、男の拳が腹にめり込み、首の後ろを肘で殴られ俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………う…………んん!?」

 

目が覚めた俺は最初に見たのは椅子に縛られ爪を剥がされたの熊耳さんだった。

 

熊耳さんに呼び掛けようとするが口がうまく動かせず話せない。

 

近寄ろうにも手枷を付けられ、鎖でつながれてる為動くこともできない。

 

能力で強化し壊そうにも、体に力が入らず強動かせないため意味が無かった。

 

「……一之瀬か?」

 

顔を上げると熊耳さんが目を覚まし、俺の方を見ていた。

 

見ると爪だけでなく歯も抜かれていた。

 

「……すまねぇ、何もかも吐いちまったみたいだ。…………話せないのか?」

 

俺は頷いて答えた。

 

「………おそらく………なにか薬でも打たれたんだろう………お前に…………時空間制御の能力を…………使われない………為に…………」

 

熊耳さんは息絶え絶えな声で話し、口から血を吐く。

 

「すまねぇ……隼翼……由美………」

 

姉さんたちの名前を言い、謝る熊耳さんの声を聞き、俺は打たれた薬の所為で朦朧とし、またすぐに意識を失った。

 


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