理由は精神操作だと、どのような悪用をするか思いつかなかったからです。
「では、聞き込みを開始するぞー」
清々しい位の棒読みで友利の声が響く。
「はい」
「………おう」
俺達三人が居るのは大庭高校と言う地元では進学校で有名な学校だ。
そこに、余所の学校の制服を着た男女が三人、校門の前で集まってたら嫌でも目を引く。
おまけに下校時刻だ。
滅茶苦茶注目されてるんだが……………
「はい、行きますよー」
友利が俺の袖を掴み、引っ張って歩き出す。
「待て、友利。制服が伸びる。てか、なんで俺を連れて行く」
「貴方は今回初めての仕事なんで、私と一緒に行動してもらいます。ぶっちゃけ、私の能力は一対一なら問題ないですが、多人数相手だと意味がありません。なので、私の護衛もかねて付いて来てもらいます」
友利の言い分に納得し、黙って友利の後に付いて行く。
高城はいつの間にか、何処かに行ってた。
やることは簡単。
聞き込みをする。
最近急に変わった人、挙動がおかしい人を見なかったかなどと質問していき、能力者を探すと言う物だ。
はっきり言おう。
今の俺達の方が十分に怪しい!
他校の生徒が行き成り、変な人を見かけなかったかなんで聞いて来たら、それこそ、お前が変だよってツッコまれる行動だ。
もうちょっとまともな方法で能力者を探せないのかよ。
「ほら、アンタも聞き込みの一つぐらいしたらどうですか?」
友利に背中を叩かれ、文句を言いつつ、聞き込みをする。
「あ、すいません」
「ひっ!」
近くに居た男子生徒に声を掛けたら、行き成り挙動不審な態度を取った。
「ちょっと聞きたいことが」
そう言い掛けたら、男子生徒は行き成り走り出した。
「え?」
「ボサッとすんな!追うぞ!」
友利に怒鳴られながら、男子生徒の後を追う。
「彼奴にキックなりなんなりして、動きを止めてください!」
「結局実力行使かよ!」
怒鳴りながら、脚力の強化を行い、一気に男子生徒との距離を詰める。
そして、そのまま体当たりをして男子生徒を転ばし、その男子が落した鞄を友利が掴み、中身を出す。
すると、大量の小物が出て来る。
この小物………今話題のアイドルのグッズだ。
確か……………ちょっと止まる系のコンビニのスイーツみたいな名前のバンドのボーカルだっけ?
「この小物、ライブイベント限定の物やプレミア付きの物、既に販売中止になったものまであるな」
「こりゃ、黒で決まりっすね」
「お、お前ら何なんだ?」
叫ぶ男子を無視し、友利は男子に近づき尋ねる。
「これは、貴方が盗んだものですね」
「な、何言ってるんだ?そんなわけないダロ」
「語尾裏返ってんぞ」
「最近、学内で盗難事件が続いてると聞きました。ここにあるもの、盗難された物ですよね」
「…………別に貴方を突き出すつもりはありません。これが貴方が盗んだものではないなら、盗品を買った線が濃いです。なら、誰から買ったのか教えて下さい」
友利の言葉が真実なのかか分からなく、男子生徒は疑いの目を友利に向ける。
「教えてくれないと、学校側に貴方が盗難事件の犯人だと告げ口しますよ」
「………………三年の倉橋先輩から買いました」
あっさり吐いたな。
まぁ、冤罪で犯人にされたらたまったもんじゃないよな。
「よーし、三年倉橋を捕まえるぞー」
友利が棒読み気味で言って、走り出す。
「あ。おい、待て!」
慌てて後を追うが、気が付くと友利の姿は無かった。
「…………見失った」
次回、フラグが立ちます。