イジスは家に到着すると、すぐに父へ贈るプレゼントを倉庫の奥に押し込み、父・の誕生日パーティの準備を始めた。
「ふふ~ん♪」
楽しそうに鼻歌を歌いながらパーティの準備を進めるイジス。しかし、平和はそこまで。家のドアが勢い良く開けられた。
「大変や!怪物の大群が草原から押し寄せてきよる!避難するで!」
「なんですって!?」
勢い良くドアを開けてそんな事を言ったのは、イジスと同じ学校のファバロである。ファバロは身長145cmくらいの小柄な少年だ。黒い髪の毛と黒い目が良く目立つ。
そんなファバロの言葉を耳にしたイジスの母のマノブはあっという間に避難の準備を終わらせる。
「イジス!行くわよ!」
「分かった!」
イジスはドア付近に置いてある緊急用の長剣を手にすると、マノブとファバロの後を追いかけていく。
「なんだこれ・・・」
家から出ると、怪物が目に飛び込んできた。
村にはすでに変異・・したモンスターが入り込んでいて、一部の家が崩壊している。近くにはモンスターと戦っている兵士も多く見える。しかし、兵士でも変異したモンスター相手だと中々手強いようだ。中には、すでに片腕がちぎれそうになっていて大量の血を流していたり、すでに手遅れの兵士も見える。
イジスはその光景を目にすると決心したのか、持っていた長剣を強く握りしめる。
「母さん、俺行ってくる! さすがに見過ごせねえ!」
イジスはそう母に言うと、母の返答も待たないでモンスターが襲ってきていると言う草原の方へかけ始める。
「イジス!!」
背後からは母の声が聞こえたが、イジスは母の声をスルーして長剣で一番近くに居たモンスターを薙ぎ払う。
『GRAAH!』
モンスターは痛みに悲鳴を上げると、バランスを素早く整える。モンスターの見た目は比較的オオカミに似ているが、サソリの尻尾をしていてクビが少し長い。変異したモンスターとは言え、モンスターはこんなに早く変異---- 進化はしないのだ。
しかし、今はそんな事を考えている暇はない。イジスは、剣の実力こそ高い物の実戦はあまり経験が無いのだ。今は何よりも、目の前の敵を倒してより多くの命を助ける事を目的とした方が良い。
イジスは、モンスターの噛み攻撃をギリギリ避けると素早く腰を回転させてモンスターを横に斬る。
『GAAAH!』
再度悲鳴を上げるモンスターだが、イジスは攻撃の手を緩めずモンスターの横に足を踏み出すと、素早く【火魔法】の魔法剣の詠唱をする。
「我が剣の火の力を働かす! 《フレイムソード》!」
『GRAAAAAH---』
モンスターは最後の悲鳴を上げるとそのままその場に倒れる。イジスはモンスターが倒れるのを確認すると、草原の方へと振り向く。そこには、先ほどいた兵士達が、先ほどまでいたモンスターを倒し、他のモンスターより二回り大きいモンスターと戦っている姿が見えた。
「大きい・・・」
イジスが言葉を口から漏らした直後、そのモンスターはどこから出したのか巨大な手で兵士達を横に吹き飛ばす。そして、モンスターの周りに黒い空間がいくつか現れたかと思うと、その中からおよそ10体のモンスターが出てくる。
「あれが親玉か!!」
イジスは声を上げると力いっぱいに地面を踏み、モンスターの方へ駆けていく。
先ほど飛ばされた兵士達も立ち上がり、モンスターの方へ駆けていく。しかし、先ほどの空間から出てきたモンスター達で手が一杯のようだ。
「お、おい!坊主!逃げるんだ!馬鹿な真似はよせ!!!!」
イジスの姿を見た兵士がイジスに叫ぶが、イジスは兵士の言葉も無視するとさらに足に力を入れて変異したモンスターのボスへとジャンプする。そして、長剣を空中で横に構えて《力魔法》の魔法剣を詠唱し始める。
「我が剣の秘められた力を解放す! 《パワーソード》!」
イジスが詠唱すると、横に構えていた長剣の周りに赤色のオーラが現れるとそのオーラが剣に吸い込まれる。そして、力任せにイジスは長剣をモンスターに突き刺す。
『GUUAAAAGHHHHH!!!』
「うわっ!!」
しかし、実力が足りないようだ、モンスターは悲鳴を上げながらもイジスを剣ごと吹き飛ばす。イジスは、吹き飛ばされると空中で姿勢を整えて見事着地をする。
「手強いな・・・」
イジスは、弱気の言葉を口にすると敵に向かって《鑑定》と念じる。実は、イジスは小さい頃から戦闘術が得意で、魔法も覚えが早いのだ。そして、《鑑定》は気づいたら覚えていたのだ。
〈敵を鑑定しますか? YES/NO 〉
YESと念じると、すぐに鑑定結果が出てくる。
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変異種 マスターウルフ
Lv23
状態異常あり
【闇魔法】デビルトランスフォーム 進行中 89%完了 追加効果あり
└攻撃力2倍 防御力2倍 エネミーデッド (発動率1%)
闇の神の祝福 追加効果あり
└【闇魔法】メイクボディー 【闇魔法】キルゾーン
└【闇魔法】デビルトランスフォーム
称号
闇の神に誓ったモノ
仲間を犠牲にするモノ
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〈通常ステータスが表示出来ませんでした〉
「なんだこれ!?」
こんなステータスを初めてみたイジスは、その場で驚きを言葉に表わしてしまう。何故なら、こんなステータスのモンスターは初めてみたからである。
「やばい、はやく倒さなきゃ一種の魔王になるぞあれ!」
イジスはその場を今度こそ全力で踏み出し、自分でも驚くほどの早さでモンスターに近づく。【限界突破】だ。
限界突破は死ぬ可能性を身近に感じると戦闘術を身につけている者なら誰でも自然発生するものだ。
しかし、驚いている暇などない。目の前にいるモンスターはここで消さなければいけないのだから。