イジスが魔王ウルフに止めの一撃を食らう事を覚悟して目を閉じた時だった。時が止まり、周りの動きが無くなる。不思議に思ったイジスは目を開けてギョッとする。魔王ウルフの腕が頭の上1cmの所で止まっていたのだ。しかし、それだけではない。イジスは光の輪に包まれており、その光の輪に少しずつだが確かに光が集まっている。
「え・・?---う、うわぁ!---」
そして、直後。光の輪が眩しい光に変わり、イジスは空・へ飛ばされた。
□■□■
「ん、ん・・・」
イジスが目を覚ましたのは何もなく、ただ薄暗い遺跡・・の中のような場所だった。壁に変な模様が幾つも彫られていて、【魔法文字】と呼ばれる文字も見える。
「なんだここ・・・?」
イジスはまだクラクラして、痛い頭を抑えつつも何とか上半を起こして周りの状況を確認してみる。
「・・・遺跡?」
今度は下半身も起こし、不思議な事に傷一つ無・い体で一歩前進しようとする。
〈ここは未探検エリアです。エリア情報を確認しますか? YES/NO〉
一歩前進しようとした所で【鑑定】の念話が聞こえてくる。イジスは考えもしないで心の中でYESと念じてみるが---
〈ここは探知不可能エリアです。探知可能エリアに移動してから【鑑定】と念じて下さい。〉
と、また念話が聞こえてくる。
「やっぱりか・・・さて、どうしたものか」
イジスはそうつぶやき、先ほども踏みだそうとした一歩を踏み出して奥に見えるドアの方へと歩き出す。
「にしても、何も無いところだなー・・・」
そして、ドアの前にたどり着いた。ドアには4つの剣の絵が上から下まで並んでいて、剣の絵の横にはそれぞれの【魔法】を表す【魔法陣】が描かれている。
「【炎魔法】、【氷魔法】、【嵐魔法】、【地魔法】だな。ま、入ってみるか」
見知れない場所の中とは言え、ドアはこのドア一つだけであって、他に出る手段が見つからない。だから、『ドアを開ける』という手段しか無いのだ。
『ぎいいぃぃ』
ドアを開けてみると、もう一つの部屋に繋がっており、他のドアが見当たらない。部屋の真ん中辺りには赤に光っている剣がふわあっと浮かんでいる。イジスはその剣に近づき、手を伸ばしてみる。
『よく、ここまで来たな。選ばれし者よ』
剣に手を伸ばしてみると、そんな声が聞こえてきた。声に出さず、その声の正体を探ってみるがどこにも誰も見当たらない。「誰だ!?」と驚きつつも周りを見渡していると、剣の方からまた声が聞こえてきた。
『声の正体は我だ。我は炎の力を司る剣『プラチナム』と言う。そなたは我を使うマスターとして選ばれたのだ』
おそるおそる顔を剣の方に向けると、赤に光っている剣の光が少し強くなって声をかけてくる。実にも不思議な光景に驚くイジス。腰を抜かしていて、何もいえないのだ。
『驚いていても構わないが、そなたは我を使うことになる。よく、話を聞くが良いぞ』
喋る剣---プラチナムにそう言われると、イジスはこくこくと2回頷く。そして、イジスの反応を確認したかのようにプラチナムはまた語り始めた。
『先ほども言ったが、我は炎の力を司る剣『プラチナム』というモノだ。人間でもなく、魔物でもない。神だけに作られた神器だ。そして、我の他にも3の剣が存在する。氷の力を司る『ウェスピア』。嵐の力を司る『アンムード』。そして、地の力を司る『テイラー』だ。我はこの4の剣の代表だ。そして、我はそなたを呼び出して、ここで語りかけているが・・・・そなたは、我を持ち出すことは出来ない。』
あまりにも、一方的な会話にイジスは腰を抜かしたままプラチナムが何を言おうとしているか考えるが、まったくさっぱり分からない。
『ここまでは良いとして、重要なのはここからだ。』
プラチナムの言葉にイジスはまた頷いて、今までの話を切り捨てる。
『そなたの友達に神からの地図が届いている筈だ。そなたが目覚めた時、そなたの友達がその地図を渡してくれよう。』
「・・・わ、分かった。それで一体どうすればよいんだ?」
『選ばれし4人(イジスを含む)を地図が示す場所へ連れてくるのだ。そうすれば、彼らに新しき力を授けるとしよう。』
なんとか驚きから立ち直ったイジスは質問をしてみる。そして、丁寧に答えてくれたプラチナムに感謝をしつつも、イジスの意識が遠くなっていく。
『そろそろ時間だな。良いか、そなたは生き返る。そして、ここにまた来るのだ。連れてくる者の名前は地図の裏に書いてある筈だ。待っているぞ』
そのプラチナムの声を最後にイジスは気を失い、今に至るのだ。
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全てを思い出し、マラスに渡された紙により夢ではなかったことを認めざるを得なくなる。
プラチナム・・・・『炎の力を司る剣』と言っていたが、精霊のようなモノだろうか。そういえば、他にも剣が3本あると言っていた。とにかく、今後の事が決まった。それに、『選ばれし者』と言われたが『何に選ばれた』のかは聞いていない。全てを説明してもらうためにも行く必要がありそうだ。