私のご主人様   作:天神神楽

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アクセス数が上がっているなーと思ったら、日刊4位になっていました。
ありがとうございます。
ついに恋愛要素が……?


恋とは甘いものかしら? その一

今、私は舞姫様の教室に向かっている。今日は舞姫様も部活がお休みなので放課後は舞姫様のお伴なのだ。

「あら、杏奈ちゃん」

声をかけられたので振り返れば、そこには唯依様。

「舞姫の所に行くのよね? 私も一緒に行っていいかしら?」

勿論、断る理由はない。

「はい。喜んで、です」

「ふふふ、ありがとう。杏奈ちゃんと二人っきりだなんて、舞姫に膨れられてしまうわね」

「はぁ……」

どうしてか、こういうことはよく言われる。柊さんやソフィアさんにもよく言われるし。

「ふふっ、そんな杏奈さんだから魅力的なのよ」

そう言いながら、唯依様が私の頭を撫でてくる。唯依様の撫でテクは傾国の域に達す……はふぅ。

「こんなに可愛い杏奈ちゃんが見られるのも役得ね。ほら、もう少し」

そんな風に笑われる唯依様もとても魅力的なのだが、これ以上やられてしまうと、骨抜きになってしまうはふぅ。

…………ふぅ。

何はともあれ、無事舞姫様の教室に到着する。軽く挨拶をすると、舞姫様が笑顔で迎えてくれた。

「いらっしゃい舞姫。でも、堤さんもいるんだし、ソフィアさん達と過ごしてもよかったのよ?」

「勿論それも魅力的ですけど、舞姫様と一緒にいたいのです。だから、そんな意地悪なことを言わないで下さい」

私の素直な気持ちを告げたのだが、舞姫様は黙ってしまう。はて?

「舞姫様?」

「え、あ、ごめんなさいね」

「ふふふ、流石は杏奈ちゃん。あれほどの台詞、華琳でも中々言えないわよ」

唯依様にも笑われてしまった。何故だろうか。

「誰か呼んだかい?」

すると、ひょいとやってくる華琳様。

「残念だったわね、華琳。今さっき、杏奈ちゃんがとても甘い台詞を吐いたのよ」

「何、だと……。くっ、一生の不覚……っ!」

「もうっ、二人ともふざけないで? ただでさえ恥ずかしいのに」

「そうは言うがね、杏奈ちゃんの落とし文句は絶大な威力があるんだ。現に、周りの子達は撃沈してるし」

周りを見れば、お嬢様方が真っ赤になっている。まぁ、今日はとても良い陽気だからかな。

「つまり、いつも杏奈ちゃんに愛を囁かれているなんて、最高の贅沢なんだ。分かるかい?」

「分からないわよ……」

熱弁する華琳様と、頭を抱える舞姫様。中々珍しい光景なので少し可笑しい。

「そうね、……ねぇ、杏奈ちゃん。私達のこと、どう思っているのか教えてくれない?」

突然そんなことを言われても困ってしまう。とはいえ、大切なことなので、真剣に答えなければ。

「そうですね……お二人とも、舞姫様の大切なお友達です。そして、従者たる私にもとても良くして下さいます。お仕えしている訳ではございませんが、私はお二人のことが大好きですよ」

そう、私は華琳様と唯依様のことが大好きなのである。いつも、舞姫様だけではなく私に対しても気を遣ってくれるお二人は、私にとって憧れの女性なのだ。

「あ、あぅ……これは、敵わないな」

「えぇ……顔が真っ赤になってしまうわね」

正直に言ったので少し恥ずかしいが、お二人も真っ赤になっていた。まぁ、ちょっと気障だったかも。

「だから言ったでしょう? この子は全く気付かずにいるんだから、油断しちゃダメよ」

「あぁ、心に刻むよ。っと、そうだ。お願いがあるのを忘れるところだった」

華琳様が鞄から何枚かプリントを取り出す。

「前に言っていた衣装の案が固まったから持ってきたんだ。杏奈ちゃんにも確認してもらいたくてね」

華琳様は演劇部である。そして、華琳様の衣装は私も一緒に作らせて頂いている。

今回の華琳様の役はお姫様である。男役が似合う華琳様だが、お姫様も抜群にお似合いだ。

「……はい、これなら問題なく作れると思います。少し時間がかかるかもしれませんが」

「時間はまだまだあるから大丈夫だ。しかし、こういう役は私の役ではないと思うんだがね」

「あら、可愛いじゃない。それに、いつも愛を囁いているのだから、お姫様にピッタリだと思うわよ」

唯依様の言う通りである。ならば、華琳様の可愛さを200%引き出す衣装を作らなければ。

「まぁ、いつもと違う役というのも面白いんだけどね。ともかく、お願いするね」

「はい。詳細は後日演劇部に伺ったときに」

色々話しているうちに時間が結構過ぎていた。

「じゃあそろそろ帰りましょうか。あまり堤さんを待たせても申し訳ないしね」

「はい。それじゃあ華琳様、唯依様。失礼いたします」

「あぁ、また明日」

「また明日。今日は楽しかったわ」

お二人に別れを告げ、舞姫様と校門に向かう。すると、校門付近に人が集まっていた。

「何かあったのかしら?」

「そのようですが、特に連絡はありませんね」

修凰学園のセキュリティは万全である。何かあればすぐに連絡がくる。

首を傾げつつ、校門に向かうとそこ理由が判明した。

「舞姫さん、それに杏奈ちゃんも。久し振りだね」

「業平さん?」

そこで待っていたのは、一人の美青年。この方がいらっしゃるのならば、この騒ぎも無理はない。

有馬業平様。有馬グループのご子息にして、舞姫様の婚約者であるお方である。

 




舞姫の婚約者登場。

……この作品、トップクラスの苦労人の予定。男には厳しい世界です。

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