グレイフィアさんから話された『ライザー・フェニックス』と『リアス・グレモリー』の婚約を聞いたイッセーの絶叫から数分後、やっと落ち着きを取り戻した。
「いやー、リアスの『女王』が入れてくれたお茶は美味しいものだな」
「痛み入りますわ」
ライザーにお茶を出す姫島先輩だがいつものようなニコニコではなく、上部だけのものらしい。
証拠に何時ものような「あらあら」や「うふふ」が全くない、そばで見ているイッセーが少し怖がっていた。
ソファに座るグレモリー部長の隣にすんなりと座り肩を抱いている、ライザー。
グレモリー部長が何度も手を払うが、その度に構わず肩やら髪やらを触っている。隣のイッセーが不機嫌になっていく。
「いい加減にしてちょうだい!!」
突然部室内に、響いたグレモリー部長の激昂した声。
眷属の皆がそちらを向くと、ソファから立ち上がりライザーを鋭い目で睨み付けるグレモリー部長とその視線を受けていてもニヤついた表情のライザーがいた。
「ライザー!!以前にも言ったはずよ!!私はあなたとは結婚何てしない!!」
「ああ、以前にも聞いたよリアス。だがな、そう言うわけにもいかないだろう?キミのところのお家事情は意外に切羽詰まってると思うんだが?」
「余計なお世話だわ!!私が次期当主である以上、婿の相手ぐらい自分で決めるつもりよ!!父も兄も一族の皆も急ぎすぎるのよ!!当初の話では、私が人間界の大学を出るまでは自由にさせてくれるはずだった!!」
興奮した様子で喋るグレモリー部長とそのグレモリー部長を諭すように話すライザー・フェニックス
「確かにキミの言うとうりだ。キミは基本的に自由だよ。大学に行ってもいいし、下僕も好きにしたらいい。だが、キミのお父さまもサーゼクスさまも心配なんだよ。御家断絶が怖いのさ。ただでさえ、先の戦争で純血悪魔が大勢亡くなった。戦争を脱したとはいえ、堕天使、天使陣営とも拮抗状態。奴等との詰まらない小競り合いで純血悪魔の御家断絶の話を聞いたことがない訳じゃないだろう?純血悪魔を増やしていくのは大切なことなんだその為に上級悪魔の御家同士がくっつくのはこれからの悪魔の事を考えれば当然のことだ。上級悪魔の新生児がどれだけ大切な事か、君が知らない訳じゃないだろ?」
長々と下らないことを話していたライザー。イッセーは話に全く付いてきてないようでアホ面をしている。
そんなことも露知らずライザーはカップの紅茶をすすり、更に話を続ける。
「新鋭の悪魔―――。キミの下僕みたいに人間からの転生悪魔が最近は幅を聞かせているけど、それでは俺たち古い家系である上級悪魔の立場がない。力があると言うだけで転生悪魔と通じる旧家もある。まあ、別にいいさ。俺たちは純血悪魔を途絶えさせないために選ばれたんだ。キミの家だってキミの台で御家断絶にするわけにはいかないだろう?」
グレモリー部長はライザーから正論を言われ黙るしかなかった。イッセーや他の眷属は部長の意見を尊重するらしい。
「私は家を潰さないし、潰す気もないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」
ハッキリと言うグレモリー部長の言葉を聞きライザーは満面の笑みを浮かべ
「おおっ、さすがリアス!!じゃあ、早速俺と―――」
「でも、あなたとは結婚しないわ、ライザー。私は私が良いと思った人と結婚する。古い家柄の悪魔だってそれくらいの権利はあるはずよ。」
ライザーはグレモリー部長の一言で途端に機嫌が悪くなり、舌打ちまでした。
目元が細まり、
「……俺もな、リアス。フェニックス家の看板を背負った悪魔なんだよ。この名前に泥をかけるわけにも、かけられる訳にもいかないんだよ。こんな狭くてボロい人間界の建物になんか来たくなかったしな。というか、俺はこの世界が余り好きじゃない。この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔としては、耐えがたいんだよ!!」
ボワッ!!
ライザーの周囲を炎が駆け巡る。
皆は炎の熱さとこの室内で炎を使ったことに驚いているがそのあとの一言が俺を怒らせた
「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れて帰る」
「………」
ライザーが言った下僕を全部燃やし尽くすと言う言葉で皆が臨戦体制に入りかけてるなか俺だけはライザーに近づいて行った
「……おい」
「なんだ下級悪――――」
ライザーが喋ることを突然やめたことに疑問を感じている皆だがそれに構うことなく
「……あんましなめたこと言ってると次元ごとお前を喰らい尽くすぞ」
背中にあの吸血鬼から貰った能力…眷獣の一体『龍蛇の水銀(アル・メイサ・メルクーリ)』を顕現させて脅しをかけた
「ま、マモル…その龍は…?」
「きさまぁぁ!!」
グレモリー部長の困惑した声とライザーの激情した声を聞きながら何時でも『龍蛇の水銀』を突撃させられるようにしていると、ライザーも魔力を高め始めた。
やつの背中に炎が集まり始め翼の形を整形し始める。
見た目だけなら確かに火の鳥。
「お嬢様、ライザーさま、神崎さま、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら、私も黙って見ているわけにもいかなくなります。」
ライザーとグレモリー部長が高めた魔力を納めるが俺は眷獣を消さなかった
ライザーは顔を強ばらせながら
「……最強の『女王』と称されるあなたにそんなこと言われたら、さすがに俺も怖いよ。化け物揃いと評判のサーゼクスさまの眷属とは相対したくはないからね」
グレイフィアさんはグレモリー部長とライザーの戦意が無くなったことを確認するとこれの方を見て
「神崎さまもそちらの蛇を納めてください」
「……無理ですね…こいつらがこの男にたいして今までにないほどの殺意を持っているから、俺が消したとしてもすぐに出てきますよ、しかもこいつらより厄介なのが…ね?」
にこやかにでも殺意を込めてライザーを身ながらグレイフィアさんに返事をすると
「……その蛇は一体?」
「こいつは俺に仕える眷獣が一体…名を『龍蛇の水銀』次元喰いと呼ばれる二体で一体の龍です、敵意がなければ襲いかかりませんよ」
龍が眷獣とわかると部長や姫島先輩、イッセーたちも驚いていた
「はぁ…わかりました…」
グレイフィアさんはため息をつきながらグレモリー部長たちに視線を戻し
「こうなることは、旦那さまもサーゼクスさまも、フェニックス家の方々も重々承知でした。正直に申し上げますと、これが最後の話し合いの場だったのです。これで決着がつかない場合のことを皆さま方は予測し、最終手段を取り入れることにいたしました」
「最終手段?どういうこと?グレイフィア」
「お嬢様、ご自分の意思を押し通すのでしたら、ライザーさまと『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか? 」
「―――ッ!?」
グレイフィアさんの意見に言葉を失うグレモリー部長。どうやらレーティングゲームで決めると言うのが驚きだったようだ。
「お嬢様もご存じのとうり、公式の『レーティングゲーム』は成熟した悪魔しか参加できません。しかし、非公式の純血悪魔同士のゲームならば、半人前の悪魔でも参加できます。この場合多くが――――」
「身内同士、または御家同士のいがみ合いよね」
ため息をつきながらグレモリー部長は続けた
「つまり、お父さま方は私が拒否したときのことも考えていたわけね……どこまで私の生き方をいじれば気が済むのかしら……ッ!!」
おお、良い塩梅の殺意が漲ってるよ。
「では、お嬢様はゲームも拒否すると?」
「いいえまさか、こんな好機無いわ。良いわよゲームで決着をつけましょう、ライザー」
挑戦的なグレモリー部長の物言いにライザーが口元をニヤつかせて
「へー、受けちゃうのか。俺は構わないぜ。ただ俺は既に成熟しているし、公式のゲームも何度かやっているそれでもやるのか?リアス」
ライザーにたいして更に挑戦的な笑顔を浮かべた。
「やるわ。ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる!!
「良いだろう。そちらが勝てば好きにすれば良い。俺が勝てばリアスは俺と即結婚してもらう」
睨み会う両者。激しい眼光のぶつけ合い。そこらの悪魔なら確かに1歩下がるほどだろう……だけど…
「……これは負けたかな…」
誰にも聞こえない音量で言った一言はグレモリー部長にとっては酷なものだった
「承知いたしました。お二人の意見は私グレイフィアが確認させて頂きました。ご両家の立会人として、私がゲームの指揮を執らしてもらいます。よろしいですね?」
「ええ」「ああ」
「わかりましたご両家の皆様には私からお伝えいたします」
ペコリと頭を下げて1歩下がっていたグレイフィアさんの前でライザーとグレモリー部長はお互いを睨みあっていた。
こうして俺たちがグレモリー部長の結婚をかけて『レーティングゲーム』に参加することになった。
ライザーは視線をイッセーに向けてムカつくほどの嘲笑を浮かべていた。