ウルトラマンX  これくしょん   作:ベンジャー

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第1部最終章です。
ただ、書いてる途中でゼットンアーマーを出す話を書くのは忘れてた・・・・・・。
どこかで最終章の前にゼットンアーマーが出てくる話を挟み込まないと・・・・・・。

化石魔獣 ガーゴルゴン
スクラップ幽霊船 バラックシップ
登場。


第12話 『悪夢』

どこかの宇宙・・・・・・そこでは口の中に目があるという不気味な外見を持ち、両肩には口のついた2本の首のようなものがある魔獣・・・・・・「化石魔獣 ガーゴルゴン」が「光輝く巨人」・・・・・・エックスと同じ、「ウルトラマン」と宇宙空間で激しい激闘を繰り広げていた。

 

『シュア!!』

 

巨人はガーゴルゴンに勢いよく突っ込んで拳をガーゴルゴンの胸部へと叩き込み、ガーゴルゴンは小さな悲鳴のような声をあげるが負けじと両肩の口から稲妻状の破壊光線を巨人に向かって発射し、光線は見事に巨人へと直撃してしまう。

 

『グウ!?』

 

火花を散らしながら吹き飛ばされる巨人だが、巨人はどうにか体制を立て直してガーゴルゴンへと向かって行き、ガーゴルゴンは破壊光線を放って巨人を近づけさせまいと攻撃するが巨人は飛行しながらどうにかガーゴルゴンの攻撃を回避していき、一度空中で止まると両腕を突き出して光線を発射・・・・・・ガーゴルゴンの破壊光線とぶつかり合い相殺させ爆発が起きる。

 

その際、ガーゴルゴンと巨人の間に白い煙幕のようなものが出来上がり煙幕はすぐに晴れたのだが・・・・・・巨人の姿はそこにはなくガーゴルゴンは辺りを見回す。

 

『ダアアアアア!!!』

 

すると上空からガーゴルゴンに向かって巨人が急降下キックを繰り出し、ガーゴルゴンは頭部を蹴りつけられて近くにあった小惑星に落下し叩き落とされる。

 

しかしガーゴルゴンも落下しながらも破壊光線を巨人へと向かって放っており、それを喰らった巨人もダメージを受けて同じようにガーゴルゴンと同じ小惑星へと落下してしまう。

 

『ヘアッ!? グゥ・・・・・・!』

 

なんとかすぐに起き上がろうとする巨人だったが先に起き上がっていたガーゴルゴンの蹴りつけられて吹き飛ばされてしまい、巨人は地面を転がる。

 

「ギシャアアア!!」

『ヘアッ!?』

 

そのままガーゴルゴンはすぐさま巨人の元へと行くと巨人の首を左手で掴みあげて右手の爪で巨人を斬りつけ・・・・・・巨人は軽く吹き飛ばされるがその瞬間に右手から巨人は光弾を放ってガーゴルゴンに反撃、ガーゴルゴンは多少たじろいたものの大したダメージは受けていなかった。

 

さらに巨人のカラータイマーは点滅を始め、エネルギーも既に尽きようとしていた。

 

『ハアアア・・・・・・シュアアアアアアア!!!!』

『グルルル!! ギャアアアアオオオオオオオ!!!!!』

 

そして巨人はなんとか立ち上がり・・・・・・最後の力を振り絞って右腕を突き出して必殺の一撃を放ち・・・・・・それに対しガーゴルゴンも中央の口を開きその中にある目から相手を石化させる光線を発射し・・・・・・2人の技がぶつかり合った時・・・・・・辺りは眩い光へと包まれるのだった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、地球では・・・・・・そこでは「ウルトラマンエックス」がハッキリとは見えない「ナニカ」と戦っており、エックスはその敵に向かって駈け出して行くのだが・・・・・・エックスの身体は敵の放った攻撃によって激しく火花を散らし始める。

 

『グアアアア!!?』

 

膝を突くエックスだが・・・・・・それでもどうにか立ち上がり敵へと尚挑もうと前へと進む・・・・・・。

 

だがエックスはさらなる敵の激しい攻撃を幾つも幾つも受け・・・・・・遂に力尽き、赤く点滅していたカラータイマーは点滅を止め、目から光は消えエックスはその場へと力なく倒れ込んだのだ。

 

しかしそれだけでは終わらなかった、倒れ込み動けなくなったエックスに向かって敵は尚も攻撃を続けたのだ。

 

それをただ・・・・・・唖然と見ているしかなかった少女・・・・・・「時雨」は必死に叫んだ。

 

「やめて・・・・・・やめて!! もう良いでしょ!!? なんで・・・・・・なんでこんなこと!! やめてよやめてよぉ!!」

 

涙を流し叫ぶように訴える時雨だったが・・・・・・それでも敵は攻撃はやめず、最後に放たれた攻撃を受けて爆発の炎に巻き込まれ・・・・・・消滅したのだ。

 

そしてその炎の中から・・・・・・自分が所属する鎮守府の提督である「夜空」が現れ、彼は身体中から血を流しながら時雨の元へと歩いて来たのだ。

 

「てい・・・・・・とく・・・・・・。 提督!!」

「あっ・・・・・・うっ・・・・・・し、ぐ・・・・・・れ・・・・・・」

 

時雨は夜空の元へと駆け出し、夜空は今にも消え入りそうな声で彼女の名を呼びながら朦朧とする意識の中で彼女に手を伸ばし・・・・・・時雨はその手を握ろうと自分も手を差し出したのだが・・・・・・時雨の手が届くよりも前に、夜空は力尽きその場に倒れ込んだのだ。

 

「て・・・・・・い、とく・・・・・・? てい、とく・・・・・・やだ・・・・・・やだやだ!! 提督!! 死なないで提督!!」

 

時雨は夜空の身体を抱きかかえ、彼女は泣きながら必死に夜空に「死なないで」と何度も呼びかけるのだが・・・・・・彼が目覚める気配は全く無かった。

 

「やだよ・・・・・・僕を置いてかないでよ・・・・・・。 提督!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・夢か」

 

それが彼女・・・・・・白露型2番艦の時雨の第一声がそれだった。

 

つまり、夢オチである。

 

だが、時雨はあの夢を思い出して何かが引っかかるらしく険しい表情を浮かべており、彼女は希に見る史実での夢のことを思い出していた。

 

艦娘は希に自分達が艦だった頃・・・・・・史実だった頃の記憶を夢を見て思い返す時があり、それはただの夢ではなくもっと別の・・・・・・実際にその時の出来事をまた体験しているような感覚だった。

 

そして今回見た時雨のあの夢・・・・・・あの夢もまさしくそれに近い感覚でまるで・・・・・・自分が今体験しているような・・・・・・リアルな夢・・・・・・。

 

先ほど見た夢を思い返しどこか胸騒ぎを感じた時雨は急いで着替え、まだ時間帯ならまだ部屋にいるだろうと考えすぐに夜空のいる部屋へと向かった。

 

「提督!!」

 

ノックも無しに勢いよく部屋の扉を開けるとそこには・・・・・・着替え中で下着姿の夜空がいた。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

しばらくの間思考停止する2人だが・・・・・・時雨は顔を真っ赤にして「ボンッ!」と頭から湯気を出して顔を真っ赤に染めた後にすぐに我に返り「し、失礼しました!!」と言って扉を素早く閉じた。

 

それから数分後・・・・・・一通り着替え終えた夜空がひょっこりと部屋から顔を出すと向かい側にまだちょっとだけ顔が赤い時雨が体育座りしており、夜空と時雨は互いに顔を見合わせると少しだけ気まずそうな雰囲気に・・・・・・。

 

「時雨、お前・・・・・・ノックくらいしろよ」

「ご、ごめんね? ちょっと、提督が心配になって・・・・・・」

 

時雨の言葉を疑問に思った夜空は首を傾げ「心配になったってどういうことだ?」と彼女に聞こうとしたのだがそれよりも早く時雨が自分の方へと駆け寄って服の裾を握りしめる。

 

「提督、どこも・・・・・・身体が悪かったりしないよね?」

「あ、あぁ、無いけど・・・・・・いきなりどうしたんだ?」

「ほんとに? どこも悪くない? 少しも?」

 

不安げな表情を見せる時雨に夜空は笑顔を見せて優しく彼女の頭を優しく撫で、「少し落ち着け」と声をかけた後、時雨はこくんっと小さく頷いた。

 

取りあえずこのままというのもあれなので一旦時雨を部屋に入れた後、彼女から一通りの説明を受けるのだった。

 

「それで胸騒ぎがした・・・・・・っと?」

「うん。 でも、やっぱり夢は夢だったのかな」

 

説明を受けた夜空は顎に手を当ててしばらく考え込んだ後、もしかすればそれがただの夢ではないのかもしれないと思った。

 

現に時雨もそう思ったからこそここに来た訳で・・・・・・しかも「過去のことを夢に見る」のと同じ感覚だというのだからやはり「ただの夢」だとまだ決めつけるのは早いだろう。

 

特に気になるのは今まで見ていたのが「過去の出来事」だったのに対し、時雨の話の内容からして恐らくその夢は「未来の出来事」ではないかと推測されるが・・・・・・。

 

(エックスの敗北・・・・・・そして、俺が死ぬ・・・・・・ただの夢じゃないのだとしたら、俺もエックスも・・・・・・)

「ご、ごめんね? やっぱりきっとただの夢だよ。 感覚が似てるって言っても予知夢なんて見たことないもの・・・・・・。 自分が死ぬなんて言われたら不安だよね・・・・・・」

 

夜空が少し不安そうな顔を浮かべていることに気づいたのか時雨は慌てて誤り、「やっぱりただの夢だよきっと」と自分にも言い聞かせるように夜空に言う彼女だったが・・・・・・夜空はそんな彼女に笑みを浮かべて「大丈夫」と声をかけた。

 

「仮にそれが本当に予知夢で近い未来に起こりうることだとしても・・・・・・未来は変えられる。 1人では変えることができなくても・・・・・・お前等と一緒なら、きっと良い未来を作れるさ」

「・・・・・・うん。 そうだ、そうだよねみんながいる」

 

夜空は時雨の頭を撫でながらそう言い放つと時雨は先ほどまで不安だった表情が笑顔へと変るのだが・・・・・・その時、時雨はつい「ふぁ・・・・・・」と小さく欠伸をしてしまい慌てて口元を押さえる。

 

「そう言えば、俺達今日早起きだな・・・・・・。 俺は目が完全に覚めたから起きたけど、時雨は部屋に戻ってもう1回寝るか?」

「うん、そうするよ・・・・・・」

 

時雨はそう言って立ち上がり、自分の部屋へと戻・・・・・・らずにそのまま「こてんっ」と夜空の膝の上に自分の頭を置いて眠り始めたのだ。

 

「お、おい!? なんで俺の膝の上で・・・・・・!?」

「・・・・・・ここがいいんだ。 ダメ・・・・・・かな?」

 

上目遣いで・・・・・・ウルッとした瞳で見つめながら夜空の膝の上でお願いしてくる時雨に夜空は若干頬を赤く染めつつも右手で頭を抱えた後、「分かったよ」と彼女がそこで寝ることを承諾したのだった。

 

「ありがと、提督」

「全く・・・・・・」

 

と言いつつも心なしかどこか嬉しそうな顔を浮かべている夜空であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はサイバーゴモラの実体化テストを行うため、夜空はグルマンやリョーガ、もしもの時のために護衛として朝潮、時雨、ヴェールヌイ、夕立、満潮、菊月を引き連れて以前にも実験のために使った山奥へと訪れており、一通りの準備を行った後、サイバーゴモラの実体化テストを行っていた。

 

「司令官! 準備が完了しました!」

 

朝潮の言葉に夜空は頷いて頭にサイバーゴモラを実体化させるための装置を取り付け、エクスデバイザーを取り出してサイバーゴモラのカードを装填する。

 

最も・・・・・・ゴモラは未だに時雨に力を貸すことを拒否しているようで、そんな状態でこの実験が上手くいくかどうかと言えば上手くいかない可能性が高く、満潮や朝潮なども他のサイバー怪獣で実験した方が良いのではないだろうかという意見も出たのだが・・・・・・。

 

夜空としてはやはりどうしても最初の成功例はゴモラにしたいという気持ちがあり、夜空はサイバーゴモラ以外を使う気はせず、何よりも1番自分の気持ちに応えてくれるとすればゴモラしかいないだろうということでゴモラ以外を使うことはせず、今日もゴモラを使って実験を行っていたのだ。

 

「よし、じゃあテストを始めるぞ!」

『サイバーゴモラ、ロードします』

 

26回目のサイバーゴモラとのシンクロ実験を開始し、徐々にサイバーゴモラは実体化を始め・・・・・・数秒後には実態をサイバーゴモラが出現し、後はそれを長時間意地するだけなのだが・・・・・・。

 

「よし行けるぞ! 頑張れゴモラ!」

 

だが、サイバーゴモラは敢えなく消滅してしまい・・・・・・結局今回も失敗に終わってしまったのだ。

 

「また、ダメか・・・・・・」

 

それから夜空はグルマンとリョーガの元へと行き、どこが悪かったのかを一緒に調べ始める。

 

『以前よりも遙かにサイバー怪獣を実体化させるシステムは確立されている筈なのだが・・・・・・やはりどこかシステムに欠陥があるのだろうか・・・・・・』

「私が見る限りではシステムは完璧だと思うんだがねぇ・・・・・・。 計算ではこれで完全に実体化できる筈なんだが・・・・・・」

「後一歩ってところか・・・・・・」

 

夜空は机の上にあったゴモラのスパークドールズを見つめ、そっとそれと掴み取ると今のゴモラの気持ちを知りたかったのか夜空はゴモラの感情を知るため、エクスデバイザーにゴモラのSDをリードさせて感情を解析するのだが・・・・・・。

 

『ゴモラ、解析中・・・・・・解析不能』

「やっぱり・・・・・・ゴモラ、なんで俺にまで心を閉じてしまったんだ、ゴモラ・・・・・・!」

 

夜空は不安そうな表情で・・・・・・ゴモラの今の気持ちを知ろうと何度かエクスデバイザーで解析しようとするが幾らやっても「解析不能」としかでず、やがて満潮から「いい加減にしなさいよ!」と怒鳴られたことで夜空は我に返り、解析するのを諦めた。

 

「ったく、無理にゴモラの気持ちを聞き出そうとしても逆効果に決まってるでしょ? 先ずはゴモラの気持ちを引き出すんじゃ無くて理解しようとするところから始めたらどうなのよ?」

「そう、だな・・・・・・すまない満潮・・・・・・。 はぁ、こいつとは小さい頃から一緒にいて・・・・・・ゴモラのことなら誰よりも知ってるつもりなんだけどな・・・・・・。 最近じゃ全く分からない、ゴモラがなにを考えているのか・・・・・・」

 

夜空はゴモラのスパークドールズを見つめながらそう呟くと・・・・・・。

 

「そうですね、 確かに、司令官は誰よりもゴモラと一緒にいた時間は長かった筈です・・・・・・。 ゴモラのことならなんでも知ってる、そんな気持ちなんだと思います。 だけど、身近な存在だからって何でも知ってるとは限らないと思います。 例え家族の間柄だとしても、知らないことって割と多いものだと思いますよ?」

「朝潮・・・・・・なにも言い返せないな・・・・・・。 ってことはお前の言ってることがきっと正しいんだろうな・・・・・・」

 

苦笑いしながら・・・・・・されどもどこか落ち込んだ様子を見せる夜空に、時雨はなにか声をかけようと思い彼の背中に手を添えた。

 

「ゴモラが心を閉ざしてショックなのは提督だけじゃないよ、僕もさ・・・・・・。 だからみんなで見つけよう? ゴモラの本当の気持ちを・・・・・・」

「・・・・・・あぁ、みんなありがとう」

 

するとそこでヴェールヌイが「暗い雰囲気は終わりにしてお腹が空いたからお昼にしよう」と言いだし、なぜか彼女は背中に装着していた艤装を外して下ろす。

 

「響・・・・・・? なんで艤装を外してるんだ?」

 

疑問に思った菊月がヴェールヌイに問いかけると、ヴェールヌイは艤装の先をパカっと開けて手を突っ込むと・・・・・・串に刺したおでんが出てきた・・・・・・。

 

「なんでだあああああああ!!!!?」

「流石に山は冷えるからね」

「そういう問題じゃないだろ!! なんで艤装の中におでんが入ってるんだ!?」

「心配ない、みんなの分もあるよ」

「響、私は卵欲しいっぽい」

「話を聞けええええええええ!!!! あと夕立なに食べ始めてるんだぁ!!?」

 

今日も今日とて割とやりたい放題なヴェールヌイとツッコミが冴え渡る菊月に、夜空達は思わず苦笑いしてしまうのだった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃・・・・・・夜空と時雨が以前着任していた鎮守府に所属している艦娘で・・・・・・以前、夜空の鎮守府にも訪れたことがある「白露型5番艦 春雨」と「白露型9番艦 江風改二」、「夕張型1番艦 夕張」そして「吹雪型1番艦 吹雪改二」と「川内型1番艦 川内改二」「長良型2番艦 五十鈴改二」が遠征任務を終えて鎮守府へと帰投している時のことだった。

 

「はぁ・・・・・・深海棲艦ももう殆どいないから遠征任務ばっかりなのは分かってんだけどさぁ・・・・・・最近、全然夜戦してなくてつまんないぃー!! 演習でも良いから夜戦がしたいよ夜戦ンー!!」

「江風も同感だよ川内先輩!! 江風も夜戦がしたいぃー!!? 夜戦だ夜戦ー!!」

「うっさいわねこの夜戦バカコンビ!? ちょっと誰か黙らせてくれない!?」

 

「夜戦夜戦」とうるさい川内と江風に頭を抱えながら誰かなんとかしてくれと願い五十鈴・・・・・・そんな彼女の願いを叶えるように・・・・・・夕張が川内と江風に近づくと・・・・・・。

 

「「夜戦夜戦ー!! 夜戦がしたいぃー!!」」

「・・・・・・(無言の腹パン」

「「ぐほぉ!?」」

 

あんまりにもうるさいので無言の腹パンを決め込む夕張だった。

 

「ちょっと!? 大丈夫ですか2人とも!? 夕張さん、ちょっとやりすぎなんじゃ・・・・・・」

「いや、よくやったわ夕張。 一応まだ任務中なんだから騒ぐのは帰ってからにしなさい。 でないとまた夕張にダイレクトアタック(物理)させるわよ?」

「「は、はーい、すいませんでしたー・・・・・・」」

 

吹雪が今のはちょっと・・・・・・と言うが旗艦である五十鈴がじきじきに許可を出し、流石にもう夕張の無言の腹パンという名のダイレクトアタック(物理)を喰らいたくないので川内と江風は静かに黙っていようと思うのだった。

 

「んっ・・・・・・? 五十鈴さん! あれ、なんでしょうか・・・・・・?」

「えっ?」

 

その時・・・・・・春雨がなにかに気づき、五十鈴は彼女の指差す方へと顔を向けるとそこには海の中から「巨大な鉄のような塊」が出現し・・・・・・やがてそれは巨大な「船」のような形をした「スクラップ幽霊船 バラックシップ」が出現したのだ。

 

「あれは・・・・・・船・・・・・・?」

「潜水艦でもないのになんで船が海の中から現れるのよ・・・・・・」

 

するとその時、突然・・・・・・五十鈴達は自分の意思とは関係なく、自分たちの身体がバラックシップに引き寄せられ始め、五十鈴達は突然のことに驚き、慌ててバラックシップから全速力で逃げようとするのだが・・・・・・バラックシップが発生させる磁力があまりにも強力で彼女たちの艤装がその磁力に引き寄せられ、バラックシップは同時に彼女たちを引き寄せようとしていたのだ。

 

「おいこのままじゃアイツに引き寄せられちっまうぞ!!?」

「これは・・・・・・強力な磁力で引っ張られてる!?」

 

そして夕張は即座に自分たちを引き寄せているものが磁力であることを理解し、艤装をすぐに外そうと思ったのだが・・・・・・海の上を走るために足に装着されている物も艤装であるため、それだけ難を逃れることはできないと思い彼女はならばと考え、リョーガから支給されたジオデバイザーとサイバーカードを取り出し、ジオデバイザーにサイバーカードを装填。

 

『サイバーアントラー、ロードします』

「これなら行けるはず!!」

 

磁力を発生させることができる「磁力怪獣 アントラー」の力を使い、バラックシップの発生させている磁力と似た磁力を発生させ、「磁石の同じ極同士はくっつかない」という法則を利用して一同はすぐさまその海域から脱出するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後・・・・・・夜空の鎮守府の執務室にて・・・・・・。

 

「共同作戦・・・・・・ですか?」

 

夜空の鎮守府に上層部の1人である・・・・・・あのドライと裏でコソコソと動いていた「阿久野」が夜空の元を訪れており、彼は夜空が以前勤めていた鎮守府と共同してバラックシップの対処に当たって欲しいというのだ。

 

「でも、そんな大きな磁石の塊みたいな船が動き回るなんて信じられませんね・・・・・・」

「あぁ、だが調査の結果その船は15年前にマゼラン海峡付近を航行中に氷山に激突して沈没した『クーインズ号』であることが判明した。 既に怪物マシンと化したクイーンズ号による被害も相次いでいる、早急に対処が必要なのだ」

 

阿久野の言うには・・・・・・その「クイーンズ号」はかつては最新鋭のコンピュータ制御によって無人で動くことが可能の船であり、沈没前にプログラミングされていた通りに従って自身に積み込まれた荷物を日本に届ける為にアメリカの沿岸から東京湾を目指して航行していたのだがコンピュータにも予測できていなかった氷山に激突し、確かに沈没した筈だったのだが・・・・・・。

 

クイーンズ号は海底に眠る無限の鉄資源を利用して自己再生を遂げて復活した廃船や沈没船の塊となり、自身が沈没してしまった原因となった氷山に「2度と負けない」身体を15年かけて作り上げたというのだ。

 

「しかし、どうして駆逐艦しかいないウチの鎮守府を・・・・・・?」

「うむ、それなんだがな・・・・・・どういう訳かこのクイーンズ号、いや、レジストコード『バラックシップ』はこの鎮守府の近くにある街に向かって来ているようなんだ。 24時間後には到着するだろう、ここは君たちの管轄だが・・・・・・バラックシップは艦娘にとって相性は最悪。 人手は多い方が良いだろう。 出来ればもう少し人手を用意できれば良かったんだが・・・・・・中々都合が悪い人達が多いようでね、すまないな」

 

阿久野は申し訳なさそうに夜空に謝罪した後、夜空は「いえ、ありがとうございます」と言った後、バラックシップをどう対処するかを考え始めていた。

 

確かに、艦娘にとってバラックシップほど相性の悪い相手はいないだろう、迂闊に近づけばバラックシップの餌食になるだけ・・・・・・かといってこのまま手を打たない訳にはいかない。

 

「相手側もそろそろこちらに到着予定だ。 私もまだ残った仕事もあるからここで退散させて貰うが・・・・・・よろしく頼むよ。 連絡してくれれば援軍も送ろう」

「はい、ありがとうございます」

 

阿久野はそれだけを言い残すと彼は執務室を後にし、夜空は「じゃあ前に所属していた艦娘達と会えるかもしれないのか・・・・・・」少しだけ、彼女たちと再会できる時を楽しみにするのだった。

 

それから数分後・・・・・・鎮守府の出入り口で夜空と時雨、奈々の3人は相手側の到着を待っていた。

 

無論、奈々に至っては「どんな可愛い娘が来るのか楽しみ」という理由だったりするのだが。

 

そして・・・・・・。

 

「・・・・・・はぁ、今日も不幸だわ・・・・・・と思っていた時期が私にもありました」

「まさか山城と扶桑が来るとは思わなかったよ・・・・・・ってどうしたの? あれ? なんで光さんも一緒!?」

 

到着したのはなぜか「扶桑型1番艦 扶桑」と「扶桑型2番艦 山城」となぜかボロボロの状態の光・・・・・・夜空と時雨は「一体なにがあったんだ」と光を心配していたが、奈々はなにが起きていたのか理解しているらしく「あー、またですか」と苦笑いしながらそう呟いていたた。

 

ちなみにこの山城は以前登場した人物と同一人物であり、夜空が前いた鎮守府に移動して来たらしい。

 

「いえ、実はウチの提督達と途中まで一緒だったんですけど・・・・・・ちょっと目を離したらみんなどこかに行っていて・・・・・・」

「つまりはぐれたと?」

 

携帯電話などでみんなと連絡すれば良かったのだが・・・・・・なぜかこんな時に限って扶桑のも山城の携帯も故障を起こし、道に迷ってしまい・・・・・・「今日も不幸だわ・・・・・・」なんて山城が呟いていた時、偶然通りかかった光が困ってる2人を見て声をかけてここまで連れて来てくれたのだという。

 

ただ・・・・・・ここまで来る道中、光は眠っていた犬の尻尾を思いっきり踏んづけてしまったらしく、犬に追い回されるわ、その先にあった木にぶつかって蜂の巣が落ちてきて蜂に追いかけ回されるわ、蜂と犬を上手く巻いて扶桑達の元に戻って来たと思ったらバイクに乗った男に財布をすられてその表紙に溝に片足を突っ込んでしまい足が泥だらけになるわ、扶桑と山城が財布を盗んだ相手を取り押さえてはくれたが今度はどこからか飛んで来た野球ボールが顔面に当たるわと・・・・・・扶桑と山城の話を聞くとここまで来るまでにこれら以外にも散々な目に合いながらも光は彼女たちをここまで案内してきたらしいのだ。

 

「いやぁ、なんか・・・・・・今日に限って凄く運が悪いみたいで・・・・・・」

「おかしい・・・・・・何時もだったらこういうのは私の役目の筈・・・・・・!」

「それを言うなら『私達』だと思うのだけど・・・・・・」

「いえ、不幸なのは私だけで十分です姉様・・・・・・!」

 

山城が頭を抱えて「なにかおかしい」と考え込んでいると、奈々が手をあげて「それ多分吸収してるんだと思いますよ」と言ってきたのだ。

 

当然、「吸収してる」と言われてもなんのことがさっぱり分からず、山城が首を傾げていると奈々が説明を始める。

 

「こう言っちゃ失礼ですが山城さん達って不幸体質じゃないですか?」

「えぇ、まぁ・・・・・・自覚はしてるわね」

「光も不幸体質なんです」

 

「うん、だからなんだと?」という視線を送る山城に対し、奈々は「最後まで聞いてください」と返し、話の続きを行う。

 

「恐らくですけど・・・・・・お2人分の不幸も光の不幸体質を全部吸い取っちゃってるんじゃないですかねー?」

「ええぇー! なにそれ! 訳分かんないんだけど・・・・・・」

「要するに光の不幸体質はお2人を上回るってことですよ。 光っておみくじなんか引くと絶対『大凶』以上の『超大凶』『大大大大凶』とか出るくらいですし」

「なにそれ!? そんなおみくじが出るとこあるの!? 私でも大凶以上とか出たことないわ!!」

 

しかもこれ、どこの神社でやっても絶対大凶を遙かに上回る凶が光は出るというのだからその辺の運も全く無い、中にはテレビでやってた占いをたまたま見てたら「今日死にます」とか言われたらこともあるらしく、死にはしなかったが本当にその日は死ぬ想いをしたことがあるらしい。

 

「もう不幸ってレベルじゃないと思うのだけれども・・・・・・」

「なんていうか・・・・・・呪いとか受けてない? お祓いとかして貰ったら・・・・・・?」

「して貰ったことあるけど全く効果なかったんです、どこ行っても」

「巣でこの不幸体質なの!?」

 

そして当の本人は笑いながら「流石幼なじみはよく分かってるねー」なんて感心しており、あんまり気にしている様子がなく光曰く「もう慣れた」らしい。

 

「それ慣れたらダメなやつよ!?」

「でもまぁ、悪人でもない他の誰かが不幸になるよりマシだし・・・・・・」

 

なんて光は言いだし、正直山城は「なんなんだこの人は」と思わずにいられなかった。

 

「なんだか・・・・・・申し訳なくなってきますねー」

「でもそこが良いんだよ。 光は天使だからな!」

 

頬に手を当てて光に対して申し訳ないなどと言っている扶桑の後ろに突然ニュっと出てきた1人の男性・・・・・・突然出てきた男性に対し、奈々と光以外は驚きの声をあげ、山城に至っては思わずその人物に対し思いっきり腹パンしてしまった。

 

「姉様の後ろに立つなこの不審者ァ!!」

「ぐはぁ!!?」

「山城それ不審者じゃなくてウチの提督よ!!?」

「あっ・・・・・・」

 

そこにいた不審者・・・・・・ではなく山城と扶桑が所属している鎮守府・・・・・・つまりは夜空の前の鎮守府の現在の提督・・・・・・名を「風上かざかみ 龍夜りゅうや」が殴られたお腹を押さえて蹲っていた。

 

「久しぶり・・・・・・兄さん、大丈夫? あと天使とか言うのやめてくれる? 恥ずかしいから」

「はは、相変わらずですね、龍夜さん・・・・・・」

 

光と夜空がそう言った後、山城は交互に光と龍夜を見た後・・・・・・。

 

「えっ、兄さんって・・・・・・あなた龍夜提督の弟さんだったの!?」

「そうだよ山城さん。 っていうか、2人は兄さんの鎮守府のところの艦娘だったんだね。 えっと、それで兄さんの後ろにいるのは・・・・・・」

 

光が龍夜の後ろの方に視線を送ると恐らく今回のバラックシップ対策に参加してくれるであろう艦娘達・・・・・・「吹雪改二」と「夕張」、「春雨」「大鳳型空母 一番艦 大鳳」が立っており、吹雪は「またか・・・・・・」という表情を浮かべて頭を抱えていた。

 

「提督、ブラコンなのは良いですが程ほどにしてくださいね」

「分かってるよ、光とゆっくり過ごすのはまた後にすべきなのは。 俺、この戦いが終わったら光と遊びに行くんだ・・・・・・。 そして光を写真に収める。 あっ、奈々も来るか?」

「ご無沙汰しています、龍夜さん。 是非ともご同行いたしますとも!!」

「ってなに死亡フラグみたいな台詞言ってんですか提督!? さっさと行きますよ!!」

 

吹雪に言われ、扶桑と山城は「心配おかけして申し訳ありません」と謝罪だけをすました後、一同は会議室へと行く。

 

「あっ、タイミングを逃しましたが・・・・・・お久しぶりです、夜空提督」

「おう、久しぶりだな吹雪。 他のみんなも」

 

夜空は歩きながら他のメンバーに済ませるのだった。

 

「どうせですから、光さんもどうぞ。 色々と感想なども聞きたいですし」

「感想? まぁ、そうだね。 お言葉に甘えようかな、久しぶりにみんなにも会いたいし」

 

夜空の誘いを受けて光も承諾し、一同は移動、バラックシップに対抗する艦娘として龍夜が連れてきた旗艦を吹雪とした、春雨、夕張、大鳳、山城、扶桑と夜空側の艦娘である時雨を旗艦とした、満潮、睦月、如月、ヴェールヌイ、夕立をメンバーに行うことが決まり、夜空と龍夜は一通り2人で話し合って立てた作戦を一同に説明する。

 

「取りあえず、全艦娘の艤装や全員のデバイザーをバラックシップの磁力に引き寄せられたり、電波妨害されないようにリョーガさんとグルマン博士に改造し、終わり次第全員出撃して貰う。 ただその艤装の改造なんだが・・・・・・磁力でバラックシップに引き寄せられるかられないようにするかは任意で決めることができる」

「えっと、磁力で引き寄せられないようにするなら別に任意で決める必要ってないんじゃ・・・・・・」

 

春雨が手を上げて説明を行っていた夜空に質問すると、夜空は「相手はかなりの巨体を誇り、さらに武装も豊富で真正面から行っては危険であるため、先ずはワザとバラックシップに引き寄せられ、内部に侵入する」のだと彼は話し、その後・・・・・・バラックシップの頭脳とも言えるコンピューターを見つけ出し、それを破壊して欲しいというのだ。

 

ただし、大鳳は念のために外で待機し艦載機を飛ばして脱出してきた艦娘達にバラックシップが攻撃してきた場合、彼女たちの援護を行うように説明を行う。

 

さらにこの度、リョーガとグルマンがなんと新たなジオマスケッティの開発に成功したため、夜空とタカトがスカイマスケッティに搭乗して同行することになったのだというのだ。

 

「ってアンタ、パイロットの免許持ってたの?」

 

満潮の疑問に対し夜空は「持ってるよ、たまにリョーガさんとこでシュミレーション訓練も行ってたから操縦もバッチリ」とサムズアップして答える。

 

「でもどうして提督がワザワザ同行してくるの?」

「俺とタカトさんしかスカイマスケッティ操縦できないからだよ。 それに念には念を入れておきたいし、その方が指示が出しやすいかもしれないからな」

 

睦月の質問に夜空がそう答えた後、一通りの説明を終え・・・・・・「これから一緒に作戦を行うのだから」という理由で交流会をしておくようにとだけ夜空は一同に伝えた後、取りあえずは解散となるのだった。

 

「えへへ、山城や扶桑と一緒に出撃できるのは嬉しいな。 それにウチには満潮もいるし」

「そうねぇ、ここに朝雲や山雲や最上も入れば良かったのだけど・・・・・・それが少し残念ね」

 

時雨は「西村艦隊」に所属していたメンバーで作戦ができることを嬉しそうに扶桑達に話しており、満潮はそんな時雨に「全く、遊びに行くんじゃ無いのよ?」と呆れた視線を向けるが、彼女は「それでも嬉しいものは嬉しい」と返した。

 

「さて・・・・・・それではお待ちかねのショータイム! 龍夜さんとこの艦娘達を早速愛でに行きますか!! 先ずは春雨ちゃんから!!」

「ふぇ!? なんで私からなんですか!?」

 

両手を広げてジリジリと春雨に詰め寄る奈々・・・・・・その姿は完全に変質者のそれである。

 

「春雨って名前だけに最初に味見しようかと・・・・・・という訳でレッツラゴー♪」

「・・・・・・(無言の腹パン」

「ぐはっ!?」

 

が、颯爽と奈々と春雨の間に菊月は割って入り、奈々に腹パンを喰らわせて吹っ飛ばしたのだった。

 

そのまま吹っ飛ばされて菊月はヴェールヌイに視線を送り、ヴェールヌイは「やれやれ」と言いながら腕に装着した機械から糸のようなものを出して奈々を拘束しておいた。

 

「えっ!? ちょ、響ちゃんなにそれ!?」

「ウェ〇シューター」

「作ったんですか!?」

 

それからわーわー喚く奈々は放置した後、菊月は春雨に「大丈夫か?」と声をかけると春雨は戸惑いつつも「は、はい」と頷き、夕張はヴェールヌイの作ったウェ〇シューターを見て感心していた。

 

その光景を見ていた睦月はボソッと「響ちゃんは色んな物ポンポン出してくるから凄いですねー」なんて苦笑しながら呟き、その言葉に吹雪は「色んな物?」と首を傾げながら尋ねると・・・・・・睦月が今までヴェールヌイが作成してきた武器について一通りの説明を行う。

 

「えっとね、先っちょに小型爆弾付けた弓矢使ったり、艤装が飛んで来たり、艤装からおでん出したり、アイア〇マンみたいなアーマー作ったり、特殊な金属でできた鍋の蓋投げてきたり」

「後、夕立の艤装も改造してくれたっぽい」

 

そう言いながら夕立は自分の主砲のみの艤装を取り出して変形させて両端から斧が出現・・・・・・見た目はさながらリュウ〇ンドーのザンリュ〇ジンっぽい見た目である。

 

「途中からなんかおかしなの混じってない・・・・・・?」

 

吹雪の言い分はごもっとも、小型爆弾をつけた弓矢や艤装が飛んでくるのはまだ良いとして・・・・・・それ以降が明らかにおかしなものばかりで吹雪は唖然とした表情でヴェールヌイの方を見ると・・・・・・彼女は頭に鍋を被ってなぜか「どうだ? 凄いだろう?」みたいな感じでドヤっとした顔を浮かべていた。

 

するとヴェールヌイは吹雪達を見てなにか気づいたことがあったらしく、彼女たちの元へと行くと吹雪と夕立と睦月をそれぞれ眺める。

 

「な、なにかなヴェールヌイちゃん?」

「いやなに、1つ気づいたことがあってね・・・・・・」

 

そしてヴェールヌイは彼女の肩に手を置き・・・・・・。

 

「フュージョンジャック、フュージョンジャック、フロート」

 

なぜこのような台詞を言ったのかというと・・・・・・吹雪と夕立は改二なのに、睦月は改二ではなく無印のまま・・・・・・それで「睦月」という名前・・・・・・つまり、そういうことである。

 

「んにゃあ!!」

 

そして睦月の猫パンチがヴェールヌイの鼻っ柱ににクリティカルヒット、「げふ!?」という悲鳴をあげて殴られた鼻を押さえつける。

 

「今のは響ちゃんが悪いわね~」

「いや、私も悪いとは思ったんだけど言わずにいられなかったんだよ・・・・・・!」

 

如月が「あらあら」と言った感じでその光景を眺め、そして彼女の言った台詞にヴェールヌイがそう返したのだった。

 

「それで・・・・・・どうですかね? 見た感じ、俺ってちゃんと出来てます? 鎮守府の先輩提督のお2人にその辺のことを聞いてもらいたくて・・・・・・」

 

一方光と夜空、龍夜は同じ椅子に座って夜空は光から任されたこの鎮守府で自分はちゃんとやれているかと、光と龍夜に少し不安そうな表情を浮かべながら尋ね、光はみんなの様子を見ながら彼は「うん」と笑顔で頷いたのだ。

 

「作戦会議を見てて・・・・・・みんな、君のことを信頼してるっていうのはよく伝わって来てるもの。 それにちゃんと出来てなかったのは僕の方だよ、みんなの信頼を・・・・・・一度は裏切ってしまったんだから・・・・・・」

 

そんな暗い雰囲気で落ち込んだ様子を見せる光に、夜空は「昔、深海棲艦を助けてその深海棲艦に裏切られ、みんなを危険に晒してしまった」という話を思い出したが・・・・・・夜空は光の肩にそっと手を置き・・・・・・。

 

「ウチの連中は・・・・・・いえ、あなたの所の人達は、何時までも根に持ってそんなネチネチしてるような奴等じゃありませんよ?」

「そうよ、アンタも何時まで気にしてんのよ? 何時までもナヨナヨと後悔して・・・・・・。 それに・・・・・・よく考えたら、誰がその深海棲艦を見つけたとしてもきっと同じことしただろうし、結果は一緒よ。 だから気にすることなんかないわ」

 

夜空と、話を聞いていた満潮がそう光に言い放ち、光は頬をかきながら「ありがとう」と照れ臭そうに言うのだった。

 

「短い間だったかもしれないけど、ここにいるのはお前が育て上げた連中だ。 誰かが傷ついていたら、誰にだってきっと手を差し伸べる連中だと思うぞ、ここの話を聞く限りじゃな」

「兄さん・・・・・・、ありがと、みんな・・・・・・」

 

光は嬉しそうに笑みを浮かべた後、一度席を立ち上がろうとしたのだが・・・・・・そこでお茶を淹れた電がお客様用にと持ってきたのだが・・・・・・途中で足を滑らせてしまい、「はにゃあああ!!?」という声をあげながら熱いお茶を足を滑らせて全部光に吹っ掛けたのだった。

 

「うあっちゃあああああああああ!!!!?」

「はわ!? ご、ごめんなさいごめんなさい!!」

 

少し火傷してしまった程度で済んだが、電は何度も光に頭を下げて謝罪するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして出撃1時間前、夜空は会議室から出た先にある外に出て特になにも考えず、じっと海を見つめていると・・・・・・不意にエックスが夜空に声をかけてきたのだ。

 

『なにを考えているんだ?』

「んっ? 別になにも考えてないかな。 強いて言えば、作戦が成功して欲しいってことくらいか」

 

夜空の返答に対してエックスはなにも言わなかったが・・・・・・夜空はエックスはなにか言いたげであることに気づき、「逆にエックスはなに考えてるんだ?」と問いかけるとエックスは・・・・・・今朝、時雨が言っていた「夢」についてのことを夜空に話し出した。

 

『私が調べたところ、艦娘は希に予知夢を見る者が少しだが・・・・・・存在するらしい』

「時雨が見た夢もそうだと?」

『可能性は否定できないだろう? 艦娘の見る夢は普通の夢とは違う。 君が時雨にも言った『未来は変えられる』というのは私自身も同じ考えだ。 だが・・・・・・』

 

エックスはそこで言葉を詰まらせ、夜空は「だが・・・・・・なんだよ?」と尋ねるとエックスは「この際だ、ハッキリ言うぞ」とだけ答え、言葉の続きを彼へと話す。

 

『私達は、何時死ぬか分からない場所にいる。 だからこそ、君は早く時雨に自分の想いを伝えるべきだ。 何時も惚けているが、君が他の娘と一緒にいる時と時雨と一緒にいる時では心拍数がかなり違うぞ。 地球人の言葉では確か・・・・・・いわゆる『デレる』というやつだな』

「お前からデレるなんて言葉を聞くとは思わなかったよ」

『しかも夜空、君の場合時雨と一緒にいる時は常時デレてる状態で好感度MAXだな。 時雨に膝枕とかをよくしているが君の心臓音が凄いぞ。 このデバイスの中にいなくても聞こえてくるレベルで・・・・・・何時も平然としているのは実はポーカーフェイスなんだろ? 無自覚のフリをしているが本当は自分の気持ちに気づいてるんじゃ無いのか? まだあるぞ・・・・・・』

 

何時までもクドクドとエックスに図星を突かれて夜空は顔を赤くして流石にこれ以上放っておけばエックスがなにを言い出すか分からないため、「もう分かった!! 分かりました!!」と観念し、夜空は時雨のことを異性として好意を持っていることを告白した。

 

エックスは「なぜ5年も一緒にいて未だに告白すらしてないんだ?」と問いかけると、夜空は少し困ったような表情を浮かべる。

 

「だってさ、時雨だけに限った話じゃないけど、あいつ等にはもっと・・・・・・広い世界を見せてやりたいからさ。 その中にはきっと、俺よりもずっと時雨に相応しい奴がいるかもしれないだろ? だから・・・・・・告白するのは、ちょっと怖くてな・・・・・・。 それに俺自身、あいつに釣り合えるかどうか・・・・・・」

『ふむ、要するに自分に自信が無い訳か・・・・・・。 だが、普段の君たちを見ているとどう考えても釣り合ってるようにしか思えないがな・・・・・・』

 

だがそれでも、自分が想いを伝えるならばやはり彼女がもっと外の世界を見てらだと言い張り、例えその結果彼女が自分以外に好意を寄せる人物が出来たとしてもそれでも構わないと・・・・・・好きな人が幸せになることが1番大切だと夜空はエックスに言い放ったのだ。

 

『私はそうだとは思わないがな、恋愛というのは早い者勝ちだと思うぞ?』

「お前なんなんだ、恋愛のスペシャリストかなんかか?」

『いや、ネットにあった恋愛小説を参考にしてみただけだが? 恋愛以外の場合も多いが・・・・・・暇な時によくネット小説読んでるんだ』

 

エクスデバイザーを通してなにやってんだよと言いたくなる夜空だったが、それよりもエックスが「それで時雨のことだが・・・・・・」と話を戻そうとする。

 

だが、その時鎮守府内で館内放送が流れ・・・・・・作戦開始まで20分となり、作戦に参加するメンバーは直ちに会議室に再び集まり、もう1度作戦内容を確認した後、一同は出撃する準備をするようにという報告が流れ夜空は「話はまた後でな」とだけ言ってすぐさま会議室へと駆け出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして作戦内容を改めて確認した後、夜空達は出撃準備をすることとなり、夜空は留守中の鎮守府のことを龍夜と奈々に任せ、自分はもう1機のスカイマスケッティへと向かおうとするのだが・・・・・・途中、時雨に呼び止められる。

 

「時雨? どうした・・・・・・?」

「・・・・・・その、やっぱり・・・・・・提督も、一緒に来るんだよね?」

 

やはり、今朝見た夢が原因で夜空のことが心配なのだろう、そんな彼女の気持ちを察してか夜空の彼女の頭をそっと撫でると「心配ない」と優しく、声をかけたのだ。

 

「お前の頭を撫でるのは、気分が良い」

「んっ・・・・・・僕も、提督に撫でられるのは好き」

「だから・・・・・・大丈夫」

「・・・・・・うん!」

 

夜空が力強くそう言うと同じように時雨も力強く頷き、夜空はタカトと共にスカイマスケッティで時雨達と共に出撃した。

 

やがてバラックシップが出現するであろう海域に到着し、時雨達は後はバラックシップが現れるのを待つだけだと思い、バラックシップが現れるまでその場で待機することになったのだが・・・・・・予想よりも早くバラックシップが海中から艦娘達の艤装に反応し、出現・・・・・・目論み通り時雨達はバラックシップに磁力によって引き寄せられる。

 

当然、スカイマスケッティは既にバラックシップによる磁力を受けないよう改造を施されているのでなんともないが・・・・・・。

 

ただ・・・・・・磁力に引っ張られるその際、時雨は夜空の乗っているスカイマスケッティを見上げ、コックピットからこちらへと顔を除かせている夜空に笑みを浮かべて小さく手を振り、夜空も少し照れ臭そうにしつつ、手は振らなかったが右手をあげて返事を返した。

 

『任務中にイチャつくとは余裕があるな提督』

 

タカトからそんな悪態をつかれて夜空は「すいません、でもイチャついてません」と反論したが、タカトは「嘘つけ」とだけ吐き出して一度通信を切り、後は時雨達が上手くやってくれるよう願うのだった・・・・・・。

 

一方で時雨が夜空に向かって手を振ったことに気づいた山城はニヤニヤとした笑みを浮かべて・・・・・・扶桑はあらあらといった感じで微笑ましそうに時雨へと視線を向け、2人の視線に気づいた時雨は「ど、どうしたの?」と尋ねると・・・・・・。

 

「しらばっくれても無駄よ。 随分とそちらの提督と仲が良いみたいね? なに? もしかして提督と・・・・・・」

「えっ・・・・・・別にそんな・・・・・・!」

「少なくともウチの司令官と1番仲が良いのは時雨で間違いないわよ」

 

まさかの満潮からの援護射撃に時雨は驚き、そして少しずつだが・・・・・・顔をだんだんと赤くなっていく。

 

「私達の鎮守府にいた頃からそうよね?」

「そう言えば、時雨は前の鎮守府にいた頃から司令官に膝枕して貰ってるのかい?」

「あら、ということは未だに提督にして貰ってるのね? ホントに仲が良いわねぇ・・・・・・」

 

ヴェールヌイと扶桑の言葉に時雨は茹で蛸のように顔を真っ赤っかにし、「ふしゅ~」という音を立てながら頭から湯気を出し「なんで2人ともそんなこと知ってるのさ!」と怒り出すが・・・・・・両手で顔を隠してみんなに見られないようにしているので怖くもなんともない。

 

尚、その様子を見ていた時雨の妹である春雨は「時雨姉さんはもう彼氏持ちで羨ましいですねぇ・・・・・・」なんて微笑んでいたが・・・・・・時雨は「まだ彼氏じゃないよ!」と強く返すが・・・・・・「『まだ』ってことはその内・・・・・・?」と扶桑が悪戯っ子のような笑顔で尋ねると時雨はまた顔を真っ赤にして「うぅ~」と唸りながら両手で顔を覆い隠した。

 

取りあえず、一同はどうにかバラックシップの内部に侵入し、バラックシップの磁力の影響を受けないようにした後、確実にバラックシップの機能を停止させるため、この船を動かしてるメインコンピューターを探し出して破壊しようと内部を一同は歩き回る。

 

「随分と前に沈んでた割に、中は意外と綺麗ですね」

「もしかしてまだ誰かが使ってたりして~?」

 

吹雪の言葉に、睦月がそう言うと彼女の言葉に反応した春雨が肩を一瞬ビクリと振るわせた後、「怖いこと言わないでください~」と涙目ながら訴える。

 

するとその時、こちらに向かって真っ直ぐ電線のコードが幾つも現れて彼女たちを拘束しようとしてくるが・・・・・・すぐさまそれに反応した時雨達はそれらを回避し、時雨と夕立、吹雪、夕張が砲撃してコードを焼き尽くし・・・・・・またバラックシップがコードを使って攻撃してこないことを確認すると、一同は再び先へと進む。

 

「リョーガさんやグルマン博士の話だと、そろそろ目的の場所に着く筈なんだけど・・・・・・」

 

時雨はリョーガやグルマンに渡された地図を見ながら曲がり角を曲がると・・・・・・そこで彼女たちは・・・・・・とんでもない物を目撃した。

 

それは・・・・・・幾つもの生体カプセルのようなものに入れられた・・・・・・深海棲艦達だったのだ・・・・・・。

 

「深海・・・・・・棲艦? なんでこんなところに・・・・・・しかも、カプセルに入れられて・・・・・・」

 

如月がもっともな疑問を口にすると彼女の言葉を聞いていた夜空がデバイザーを通して「深海棲艦がいるのか?」と問いかけてきたのだ。

 

勿論、グルマンとリョーガ(ヴェールヌイと夕張も手伝った)がデバイザーを改造してくれたおかげでバラックシップの発する電波に妨害される心配はない。

 

そして如月は今、自分たちが見ている光景を夜空に話し・・・・・・先ほど睦月が冗談のつもりで言っていた「誰かいるかもしれない」というのは案外、本当なのかもしれない・・・・・・。

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