ウルトラマンX  これくしょん   作:ベンジャー

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第18話 『宇宙からの監視者』

本日、とある山奥にて。

 

夜空達の所属する鎮守府では今日、これまでのサイバーゴモラのデータを元に、遂にゴモラ実体化の本格的な実験が行われようとしているところだった。

 

周りにはゴモラが実体化した時、ダークサンダーエナジーが降り注いでも大丈夫なようにバリア装置を置き、さらにはタカトが搭乗したスカイマスケッティが上空で待機。

 

そして時雨、睦月、満潮、朝潮、電、暁の6名が艤装を装着した状態でこの実験に立ち会っているところだった。

 

「しかし、遂に本格的なスパークドールズの実体化実験か」

『我々の鎮守府の1番の仕事はこういったものだったことはタカトもよく知っている筈だろう? 今更怖じ気づいたかい? 君も提督の夢を応援していたのに』

 

スカイマスケッティのコックピットの中でボヤくタカトに対し、通信機からリョーガのそんな言葉が聞こえ、それにタカトは「それでもやはり思うところはあるさ」と答える。

 

「怪獣と共存することは望ましいことだ。 だがそれでも不安はあるだろう? 実際、これは危険な実験だ」

『危険を伴わない進化はないぞ? 理想があるなら先ず始めの一歩を踏み出さないと、その理想は一生来ない。 違うかね?』

 

さらにそこへグルマンの言葉を聞き、口ごもるタカト。

 

グルマンの言う通り、何もしなければ始まらないのだ。

 

「タカトさんの気持ちも分かります。 俺は怪獣との共存を実現させたい、その理想の為にみんなを巻き込んだ。 本当にこんな危険なことに付き合わせて、申し訳ないと思います」

 

地上にいる夜空はタカトやグルマン達の話を聞いて申し訳無さそうな顔を浮かべ、目の前にいる時雨達に艦娘達にも「すまない」と頭を下げて謝罪した。

 

だが、そんな夜空に時雨達はキョトンっとした顔を浮かべて互いに顔を見合わせ、一同はそんな夜空に苦笑した。

 

「司令官さん、顔をあげて欲しいのです!」

 

そこで電が夜空に顔をあげるように言い、彼女に言われた通り夜空が顔をあげるとそこには呆れた表情を浮かべた時雨達の姿があり、時雨はポンっと彼の肩に手を置く。

 

「いつも言ってるじゃないか、僕達みんな、任務とか部下とか関係なく提督の理想に共感したから君の傍にいるんだって」

「私も争いは苦手なのです。 だから司令官さんの夢はとても素敵なものだと思うのです。 きっと、いえ絶対他のみんなも時雨さんと同じように、そんな気持ちなんだと思うのです」

 

微笑みを浮かべながら時雨と電が夜空にそう語りかけ、夜空が他のメンバーに顔を向けると「その通り」と言いたげな様子の睦月、暁、雷、満潮。

 

「むしろ今更そんな風に謝っても遅いのよ、うざったい!! ここまで来たんだから最後まで付き合わせなさい!!」

 

その直後に満潮はムスッとした表情になって一差し指を夜空の胸に突きつけ、それに夜空は少し困惑しながらも苦笑いで「あぁ、分かったよ」と頷くのだった。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・・・・みんな最後まで付き合わせてやる!!」

「うん、最後まで付き合うよ、提督」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして迎えた実験本番。

 

『我々のラボにできることは全てやった! 地上にできる最大の配慮もなされている』

「ダークサンダーエナジーを防ぐ為のエナジーシールドの準備も全て完了している。 空や地表もカバーするからゴモラも逃げたりすることはない」

 

グルマンとリョーガからの説明を受け、夜空は頷き、一同はゴモラ実体化実験を開始する。

 

ゴモラが実体化することのできる時間はグルマン曰く3分らしく、短い時間ではあるが、何が起こるかは分からない。

 

「・・・・・・」

 

その為、司令官である夜空はいざという時にはゴモラに対して非情な決断をしなければならない。

 

もし、ゴモラが暴れるようなことがあれば・・・・・・ゴモラは駆除対象として退治する指令を自分がみんなに伝えなければならない。

 

そんな夜空の不安そうな表情に気づいた時雨はそっと夜空の背中に手を添える。

 

「提督・・・・・・」

「時雨・・・・・・」

「大丈夫、ゴモラは暴れたりしない。 ゴモラは提督のこと、大好きだから」

 

笑みを浮かべてそう伝える時雨に夜空も笑みを浮かべ、夜空はゴモラのスパークドールズを取り出す。

 

「お前もいつまでもこのままは嫌だもんな、ゴモラ。 俺はお前を信じるぞ」

「僕も信じてる。 ねっ? ゴモラ?」

 

夜空と時雨はそうゴモラに語りかけ、夜空はX字に描かれた装置の中央にカプセルを設置。

 

夜空はそこから離れるとグルマンとリョーガはゴモラを実体化させる為の「リアライズビーム」の照射スイッチを押し、それぞれの場所に設置された機械からビームがゴモラに向かって放たれる。

 

すると徐々にゴモラのSDが巨大化していく。

 

「うむ、今のところ順調だ。 このまま行けば間違いなくゴモラは・・・・・・!」

「「ゴモラ・・・・・・!!」」

 

夜空と時雨はゴモラの名を呟き、あとゴモラの完全な実体化が完了するまであと5秒が迫る。

 

「カウントダウン、5、4、3、2、1・・・・・・0!!」

 

リョーガのカウントダウンが終わると同時にゴモラが完全な実体化を終え、「古代怪獣 ゴモラ」はそのことを喜ぶかのように雄叫びをあげるのだった。

 

「ギシャアアアア!!!!!」

『いよーし!! 完全な実体化に成功したぞ!!』

 

それに対し、夜空は嬉しそうに笑って彼はすぐさまゴモラの元へと駆け寄り、それに慌ててすぐさま護衛として時雨と暁、電が彼を追いかける。

 

「ちょっと司令官!! いきなり走り出さないでよ!!」

「まぁ、気持ちは分かるけどね。 誰よりもこの日を楽しみにしてたんだから」

 

ゴモラが実体化して、夜空はきっといても立ってもいられなかったんだろうと時雨は苦笑し、そして夜空がゴモラの元に駆け寄ると夜空はゴモラの名前を叫ぶ。

 

「ゴモラ!! 俺だよ、分かるか?」

「グルルル・・・・・・」

 

ゴモラは夜空を見下ろすと彼の言葉に反応して頷き、追いついて来た時雨達はゴモラが夜空の言葉を理解してるのを見て少し驚いた様子を見せる。

 

「ゴモラさん、司令官さんの言葉が分かるのです?」

「・・・・・・みたいだね」

「ゴモラ!! 取りあえず、座ってごらん?」

 

夜空の言葉を聞き、ゴモラは言われた通りその場に座り込む。

 

「クウゥゥン・・・・・・!」

 

座り込んだゴモラは犬のような甘えた声を出し、嬉しそうに尻尾を振る。

 

その光景を見て満潮は「子犬みたい・・・・・・」と呟き、またそんな仕草をするゴモラに女性陣からは「可愛い!!」と感想を述べられる。

 

「ゴモラってこんな可愛かったの・・・・・・?」

「カッコイイ怪獣だとは思ってましたけど可愛さもあるのですね!」

 

時雨や電もそんなゴモラにどことなく和み、暁も「これなら全然危険ないわね?」と警戒を解く。

 

『って提督!! 和んでいる場合ではないぞ!! 意思疎通の実験を続けるんだ!!』

 

グルマンにそう言われ、頷く夜空。

 

「ゴモラ!! 手をあげてごらん? こうやって!!」

 

夜空は両手を広げてゴモラに見本を見せ、ゴモラは夜空に言われた通り、自分も両手を広げる。

 

それを見て他のメンバーは完全にゴモラと夜空の気持ちが繋がっていることを理解し、それを最初こそこの実験に不安を感じていたタカトも小声で「やったな」と呟くのだった。

 

そしてゴモラは夜空に顔を近づけ、夜空はゴモラの鼻の先の角を優しく撫でる。

 

「グオオオ・・・・・・」

 

続けて時雨もまたゴモラの角を撫で、彼女はゴモラに微笑みながらサムズアップし、それにゴモラもまたサムズアップを返す。

 

その光景に夜空と時雨は互いに顔を見合わせ、微笑むのだった。

 

それと時を同じくして、その光景を宇宙から眺めている者がいた。

 

大型類人猿のような外見をした「人工生命M1号」がただ黙ってジッと・・・・・・その光景を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験場の山・・・・・・。

 

僅かな時間でゴモラと楽しげに接する夜空と時雨。

 

そんな2人と一匹の短い時間を、ブチ壊すかのように・・・・・・周りに設置された警報が鳴り響く。

 

「えっ!? なに!? どうしたの!? まさか・・・・・・!!」

 

その警報に一同は驚き、それに満潮が嫌な予感を感じ、グルマンに何事かと尋ねると・・・・・・。

 

『実験場上空に、ダークサンダーエナジーが出現するぞ!!?』

 

それはやはり、彼女の予想通り・・・・・・ダークサンダーエナジーだったのだ。

 

ダークサンダーエナジーはゴモラ目がけて降り注ごうとするのだが、エナジーシールドによってダークサンダーエナジーはゴモラに直撃せずに阻まれる。

 

それを見てほっと胸を撫で下ろす一同。

 

「凄いわね、このシールド・・・・・・」

 

暁がシールドの強度に驚いているとそれを聞いて開発者であるリョーガとグルマンはどこか誇らしげ。

 

特にリョーガは凄いドヤ顔してくるので少しウザいと思う暁だった。

 

だが、ダークサンダーエナジーは一度阻まれただけでは収まらず、次々と第2、第3、第4のダークサンダーエナジーが降り注ぎ、それを見て一同は再び不安にかられる。

 

「だ、大丈夫よね? リョーガさんとグルマン博士の共同設計なんだし!!」

「いや・・・・・・。 だが、こんなに早く連続で降り注ぐなんて予想外だ!! どこまで耐えられるか・・・・・・」

 

暁はリョーガとグルマンが設計したのならきっと大丈夫だろうと考えるが、流石に今のこの状況はリョーガやグルマンにとっても完全に予想外だったらしく、リョーガやグルマンも少し不安げな表情を浮かべていた。

 

それを見て暁は青ざめ、他のメンバーも次第に顔色が悪くなっていく。

 

「残り16秒!! 頼む、耐えてくれ!!」

 

リョーガは表示された残り時間を見てエナジーシールドが耐えてくれるのを願うが・・・・・・その願いも空しく、とうとうダークサンダーエナジーの威力に耐えきれず装置は破壊。

 

ダークサンダーエナジーはそのままシールドを突き破ってあと5秒というところでゴモラに降り注ぎ、一同はその際に発生した風圧に軽く吹き飛ばされてしまう。

 

「っ、ゴモラ!!」

 

そして、ダークサンダーエナジーを浴びたゴモラは黒いオーラを纏い、それが弾け飛ぶと・・・・・・ゴモラは禍々しい姿に皮膚が鎧のようになった「EXゴモラ」へと変わってしまった。

 

「・・・・・・っ、クソ!! ゴモラを実験場から出す訳にはいかない!! 艦娘各自、ゴモラの足止めをするんだ!!」

『了解!!』

「グルマン博士、リョーガさんはゴモラを出さないようエナジーシールドの復旧作業を!!」

『「分かった!!」』

 

夜空の指示を受け、時雨、睦月、満潮、朝潮、電、暁は主砲を構えて一斉に砲弾を実験場から出ようとするEXゴモラの足元に向かって発射。

 

待機していたスカイマスケッティも光弾をEXゴモラの周囲に撃ち込んで動きを封じようとする。

 

しかし、EXゴモラは物ともせず、尻尾を振るって時雨達に攻撃。

 

「散開!!」

 

時雨の指示で全員散開してEXゴモラの攻撃を避けるのだが、EXゴモラは即座に全身から放つ光線「EX超振動波」を時雨に向かって発射。

 

「時雨さん!!」

『サイバーベムスター、ロードします』

 

しかし、それをすぐさま電と暁が時雨の元に駆けつけ、電がサイバーベムスターカードをジオデバイザーに装填し、巨大なベムスターのシールドを発生させて攻撃を吸収させる。

 

だが、ダークサンダーエナジーの力によって強化された攻撃はベムスターのバリアも砕くほど高く、シールドは徐々にヒビ割れていく。

 

『サイバーキングジョー、ロードします』

 

そこで暁がバリアが砕かれる前にサイバーキングジョーのカードをジオデバイザーに装填し、キングジョーの力を宿した強力な光線「キングジョーデストロイ砲」を主砲からEXゴモラに向かって発射する。

 

「キングジョーデストロイ砲!!」

「グルアアアア!!!!?」

 

暁の攻撃の直撃を受け、EXゴモラの攻撃が止まると同時にEXゴモラは後退り、躓いて後ろから倒れ込む。

 

「うっ、ごめんなさい・・・・・・ゴモラさん・・・・・・」

 

そんなEXゴモラに電は申し訳なさそうに謝るが、そんな彼女の肩に時雨がそっと手を乗せる。

 

「きっとゴモラも許してくれるよ。 それに、電と暁のおかげで助かった」

「時雨さん・・・・・・」

「あっ、ゴモラが逃げる!!」

 

するとEXゴモラは地中を掘って逃走しようとし、それを見た夜空はいても立ってもいられず、EXゴモラに向かって駈け出す。

 

「提督!? どこに・・・・・・!!?」

 

リョーガが呼び止める声も聞かず、夜空は巻き起こった煙の中へと姿を消し、そこでエクスデバイザーを取り出し、奈々に連絡を取る。

 

「奈々、聞こえるか?」

『えぇ、こちらでも状況は把握しています」

「俺とエックスでどうにかゴモラを止める!! だが、もしもの時は・・・・・・」

 

夜空がそこまで言うと奈々は通信越しに「皆まで言わなくて良いです」と返す。

 

『ですが、本当に良いんですか・・・・・・?』

「・・・・・・頼む」

『・・・・・・分かりました』

 

唇を噛み締めつつ、夜空は奈々との通信を終えてエクスデバイザーを構える。

 

「エックス、ユナイトだ!!」

『よし、最悪の事態だけは防ぐぞ!! 行くぞ夜空!!』

 

エクスデバイザーの上部のボタンを押し側面のパーツをX字に展開したXモードに変形させるとエックスのスパークドールズが出現、それをリードさせた後、夜空はエックスデバイザーを掲げる。

 

『ウルトラマンエックスと、ユナイトします』

「エックスーーーーーーー!!!!!」

『エックス、ユナイテッド!』

『イィィッサァァァァ―――ッ!!』

 

「ウルトラマンエックス」へと変身した夜空は地中に消えたEXゴモラを追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがてEXゴモラは市街地に出現し、それと同時にエックスもEXゴモラの目の前に現れる。

 

「グルアアアアア!!!!!」

『っ・・・・・・』

 

EXゴモラは戸惑いを見せるエックスに容赦なく突進を繰り出し、エックスは両手でどうにか突進を受け止める。

 

『グウウ・・・・・・!!』

「ゴモラ落ち着け!! 落ち着くんだ!!」

 

EXゴモラは通常時よりも巨大化した右手を振るってエックスの脇腹を叩きつけて振り払い、EX超振動波をエックスに向かって放つ。

 

『エレキングアーマー、アクティブ!』

「エレキング電撃波!!」

 

しかし、即座にエックスはエレキングアーマーを纏い、右手に装着された銃から放つ電撃光線「エレキング電撃波」を放ってEX超振動波を相殺。

 

「エックス!! 電撃でゴモラを痺れさせて一度動きを封じさせよう!!」

『よし!!』

「ゴモラ、ちょっと痛いかもだけど、我慢してくれよ!!」

 

エックスはもう1度エレキングの電撃をEXゴモラに放とうと銃を構えるのだが、EXゴモラの伸ばした尻尾が右腕に絡みつき、EXゴモラは尻尾を大きく振るってエックスを吹き飛ばす。

 

「ギシャアアアアア!!!!」

『デュアアアア!!!!?』

 

さらに倒れ込んだエックスに向かってEX超振動波をEXゴモラは放ち、直撃を受けたエックスは苦痛の声をあげながら身体中から火花を散らして大ダメージを受け、エレキングアーマーも強制的に解除されてしまう。

 

『グウウウウウ・・・・・・!!?』

 

また一方、奈々は暁と電、睦月に市民の避難誘導の指示、スカイマスケッティと時雨、満潮、朝潮にエックスの援護を指示し、スカイマスケッティはEXゴモラに光弾を撃ち込んでエックスを援護する。

 

「グルアアアア!!!!」

「提督め、一体どこに行ったんだ・・・・・・。 ゴモラと戦うのが嫌で逃げた・・・・・・なんてことはあの提督に限ってないだろうが・・・・・・」

 

タカトはエックスを援護しつつ、どこかに行った夜空にボソっと愚痴を呟いていたが、今は兎に角EXゴモラの対処が先だとすぐに頭の中の考えを切り替え、戦闘に集中する。

 

『夜空、ゴモラを説得するのは無理だ!!』

「クソ!! 仕方がない、ザナディウム光線を使おう・・・・・・」

 

夜空はやむを得なくゴモラに対し、ザナディウム光線を使うしかないと判断し、それにエックスも頷くのだが・・・・・・その時・・・・・・。

 

『それがお前の望む共存か?』

「・・・・・・えっ?」

 

不意に誰かの声が聞こえ・・・・・・EXゴモラがエックスに殴りかかろうとしたその瞬間・・・・・・。

 

突如としてエックスがその場から消え去り、それに時雨達は驚きの表情を浮かべる。

 

(っ・・・・・・提督、エックス・・・・・・!?)

「エックスが消えた!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば、エックスはいつの間にか別の場所に転移させられており、彼と、彼とユナイトしている夜空は今、薄暗い空間に立つテーブルの上にある三角フラスコの中に閉じ込められていたのだ。

 

『なんだ? ここは・・・・・・?』

 

するとエックスは背後に気配を感じ、「誰だ!?」と言いながら後ろを振り返るとそこには宇宙からスパークドールズの実験を眺めていたM1号の姿があり、見たところ、どうやらエックスはM1号の力によって縮小されているようだった。

 

『私はM1号・・・・・・。 かつて科学の力によって作られ、宇宙に捨てられた人工生命・・・・・・』

「人工生命・・・・・・?」

『夜空、今はこいつを相手にしている暇はない!! 先ずはフラスコを破壊するぞ!!』

 

エックスの言葉に夜空は頷き、火力の高いサイバーゼットンカードをエクスデバイザーに装填するのだが・・・・・・デバイザーは何も反応せず、それに夜空とエックスは困惑する。

 

「反応しない!?」

『どういうことだ!!?』

『ここではそのようなものは通用しない』

 

どうやらこのM1号が作ったと思われる空間ではサイバーカードの力は使えないらしく、ならばと思いエックスはフラスコを破壊しようと攻撃するのだが・・・・・・壊れる気配はない。

 

『ゴモラはやっと自分の身体を取り戻したのだ。 なのに、なぜ自由を奪う?』

 

M1号はそう言いながら空中に浮かび上がると目の前に巨大なモニターを映し出し、そこではEXゴモラが暴れている光景が映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地上では・・・・・・。

 

「スカイマスケッティと艦娘の皆さんはゴモラを威嚇攻撃!! これ以上ゴモラが進行しないようにしてください!!」

『了解!!』

 

奈々の指示を受け、市民の避難も完了した時雨達と応援に駆けつけた艦娘達、スカイマスケッティはEXゴモラに威嚇攻撃を繰り出し、なんとかEXゴモラの足を止めようとする。

 

「グルアアアアア!!!!!」

 

しかし、EXゴモラは時雨達の攻撃など意に返さず、進行を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、夜空は暴れるEXゴモラに必死に落ち着くように呼びかけていた。

 

「ゴモラ!! 落ち着くんだ!! 頼む、落ち着いてくれ!! おい!! 俺達を早く地上に戻してくれ!!」

 

夜空はそう言ってM1号に懇願するが・・・・・・。

 

『戻ってどうする? ゴモラを退治するのか?』

「違う、守るんだ!!」

『フフ、守る?』

 

M1号は夜空の発言に呆れたような笑みを浮かべる。

 

『ゴモラは怪獣だぞ? こんな姿を見ても、まだ本気で共存できると思っているのか?』

「これは本当のゴモラじゃない!! ゴモラはダークサンダーエナジーで誰かに操られて・・・・・・!!」

 

そこで夜空はハッとなり、もしかして今こんなことをしているM1号こそが、ダークサンダーエナジーを使い怪獣達を操っている黒幕なのでは無いかと考えた。

 

「もしかして、お前がダークサンダーエナジーで・・・・・・!?」

『フン、人間らしい考え方だな。 自分達に都合が悪いことが起こると誰かが悪意を持ってやっていると考える。 自分達が何時も、そうしているから・・・・・・。 私はそのようなことはしない!』

 

M1号はそう言って夜空の考えを首を横に振って否定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、EXゴモラはEX超振動波を放って街を破壊し、火の海にして未だにEXゴモラは止まる気配を見せなかった。

 

「いい加減止まりなさいよ!!」

『サイバーバキシム、ロードします』

 

満潮はジオデバイザーにサイバーカードを装填させ、「一角超獣 バキシム」の力を宿し、主砲を構えて砲弾を放つとそれは巨大なミサイルへと形を変え、EXゴモラの足に直撃。

 

「グルアアアアア!!!!」

 

それを受けて膝を突くEXゴモラだが、EXゴモラはすぐに立ち上がって尻尾を満潮に向かって振るう。

 

「くっ!?」

 

なんとか後方に素早く下がって回避する満潮。

 

そのままEXゴモラは満潮に背を向けてどこかへと歩き出す。

 

「あの先は確か・・・・・・」

 

また鎮守府に設置されたモニターからこの様子を見ていた奈々はこのままEXゴモラが止まらず、進めば数分もしない内にまだ避難が完了していないエリアに到達することになり、放っておけば甚大な被害が出ることを予想。

 

その為、彼女は顔を俯かせて少しの迷いが生じるが・・・・・・。

 

奈々はすぐに決断し、顔をあげて唇を噛み締める。

 

「っ・・・・・・ごめんなさい。 ゴモラ、提督。 みんなに命じます!! これ以上のゴモラの進行は許してはいけません!! ゴモラの・・・・・・っ!! ゴモラの・・・・・・、駆除を命じます!!」

 

奈々は艦娘達にそう指示を伝え、それを受けて多数の者が動揺し迷いを見せる。

 

「っ・・・・・・」

 

その命令を受け、時雨は絶句したかのような顔を浮かべ、思わず思考が停止してしまい、その場に立ち尽くしてしまう。

 

また別の場所にいる睦月と朝潮は・・・・・・。

 

「そんな・・・・・・ゴモラは、サイバーゴモラになってエックスと同じように何回も睦月達のことを助けてくれたのに・・・・・・」

「っ・・・・・・。 でも、命令に従わない訳にはいきません・・・・・・!! 人命も、かかってます・・・・・・!」

 

動揺する睦月に対し、一緒にいた朝潮は苦い顔を浮かべながらもやむを得ず主砲を構えてEXゴモラに対して攻撃を仕掛ける。

 

「朝潮ちゃん・・・・・・」

 

それを見た睦月も悲しげな目を浮かべつつ、主砲を構えて朝潮と共に主砲から砲弾を発射し、EXゴモラを攻撃する。

 

 

 

 

 

 

 

『これが人間だ。 都合が悪くなれば平気で排除する!』

 

M1号は艦娘達から攻撃を受けるゴモラの姿をエックスと夜空に見せつけ、M1号はエックス達の方へと振り返るとハッキリと断言する。

 

『思い知れ!! 他者と共存できぬものは滅び行くだけだ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またスカイマスケッティに乗るタカトもEXゴモラを倒す為にジオデバイザーに「サイバーテレスドン」のサイバーカードを装填し、朝潮は「サイバーブラックキング」の力を使ったエネルギー光線を満潮の放つサイバーバキシムのエネルギー光線と共に発射する。

 

『サイバーテレスドン、ロードします』

『サイバーブラックキング、ロードします』

『サイバーバキシム、ロードします』

 

「許せ・・・・・・ゴモラ!!」

 

スカイマスケッティ、朝潮、満潮から放たれる光線の直撃をEXゴモラは受け、EXゴモラは身体から火花をあげて地面に倒れ込む。

 

「っ・・・・・・!! ゴモラ!!」

「時雨!! 副司令、時雨がゴモラの前に・・・・・・!?」

 

しかし、ゴモラが倒れるのを見た瞬間、時雨はそこでようやく我に返り、彼女はゴモラに向かって駈け出したのだ。

 

「時雨・・・・・・!!」

 

その光景は夜空達からも見えており、時雨はゴモラの目の前にまで飛び出し、落ち着くようにEXゴモラに言い聞かせる。

 

「ゴモラ落ち着いて!! 僕だ、時雨だ!! 分かるだろ!?」

「グルアアアアア!!!!」

 

しかし、EXゴモラはまるで時雨の言葉を聞かず、立ち上がるとそのまま腕を振り下ろして彼女に攻撃を仕掛けて来たのだ。

 

「わああ!!?」

 

軽く吹き飛ばされ倒れ込む時雨だが、彼女はすぐに立ち上がり・・・・・・EXゴモラの前に立ち塞がって両手を広げる。

 

「ゴモラ! 僕達は君の敵じゃない!! お願いだよ、僕の声を聞いて!!」

 

目尻に涙を浮かべ、悲痛な声をあげる時雨。

 

『なんだこの茶番は?』

 

M1号はその光景を見て鼻で笑うが、夜空も時雨と同じようにゴモラに必死に呼びかけていた。

 

「ゴモラ!! 時雨の声を聞いてくれ!! 分かるだろ!! 彼女は時雨だ!! 頼む・・・・・・!!」

 

だが、2人のその叫びは届かずEXゴモラは今度は足を振り上げて時雨を踏み潰そうとする。

 

なんとかギリギリ回避する時雨だが、風圧によって軽く吹き飛ばされ彼女は地面を転がる。

 

「うっ・・・・・・く。 ゴモラ、僕は・・・・・・君を殺したくない!! 覚えてるだろ? 一緒に、夜空とエックスを助けに行った時のこと!! それだけじゃない、君は他にも色々なことで僕達を助けてくれたよね? それなのに・・・・・・僕らはまだ何も君にお返し出来てない!!」

 

それから時雨は尚も叫び続ける。

 

「なのに・・・・・・なのに・・・・・・!! あんな訳分かんない黒い稲妻のせいで・・・・・・こんなことになるなんて絶対に嫌だ!! ゴモラだって、僕と同じ気持ちだろう!!?」

 

泣きながら、彼女は必死にEXゴモラへと心からの言葉を叫ぶが・・・・・・EXゴモラはEX超振動波を放つ体勢に入っており、それを見て彼女はギュッと目を瞑る。

 

だが、その時・・・・・・。

 

「グルアアアアア!!!!?」

「えっ!?」

 

突然、EXゴモラが攻撃を中断し・・・・・・頭を抑えて苦しみだし、時雨やそれをモニターから見ていた夜空は何が起こったのか訳が分からず困惑していた。

 

すると、時雨の目の前に、サイバーゴモラのカードがいきなり飛び出した。

 

「えっ・・・・・・!?」

 

思わずそれを手に取る時雨。

 

彼女はそのカードを手に取った瞬間、カードを通してゴモラの気持ちを時雨は感じ取った。

 

「そっか・・・・・・。 君も、自分を止めたいんだね」

 

時雨はジオデバイザーを取り出すとデバイザーにサイバーゴモラのカードを装填させる。

 

『サイバーゴモラ、ロードします』

 

するとジオデバイザーからサイバーゴモラのスパークドールズが出現し、彼女はそれを手に取ってデバイザーを使いリードさせる。

 

『リアライズ!!』

 

そして時雨によって「電脳怪獣 サイバーゴモラ」が実体化して出現し、サイバーゴモラは雄叫びをあげて自分自身を止める為・・・・・・EXゴモラへと駆け出していく。

 

「グアアアアアア!!!!」

『あれは・・・・・・まさか・・・・・・!! なんという無茶なことを!!』

 

その光景を研究に使われた場所からモニターを通して見ていたグルマンとリョーガは唖然とした表情を浮かべていた。

 

「サイバーゴモラはゴモラの分身・・・・・・。 つまり、理論上ゴモラが実体化している状態でもサイバーゴモラを呼び出すことは出来るが・・・・・・」

『しかし、そんな状態でサイバーゴモラを召喚すれば呼び出した者の肉体へのダメージも大きい筈・・・・・・!! ましてや本体がダークサンダーエナジーを浴びた状態となれば・・・・・・!!』

 

リョーガとグルマンの言う通り、サイバーゴモラを呼び出した時雨はその瞬間から急激な疲労感を感じており、著しく彼女は体力を消耗していた。

 

「はぁ、はぁ・・・・・・。 苦しい・・・・・・。 でも、ゴモラはもっと苦しいんだよね・・・・・・。 止めよう、君自身を!!」

 

挿入歌「Unite 〜君とつながるために〜」

 

「時雨の奴、なんていう無茶してくれてんだ・・・・・・!!」

 

それを見ていた夜空は拳を強く握りしめる。

 

サイバーゴモラはEXゴモラにタックルを喰らわせ、フラつくが即座に反撃するように尻尾をサイバーゴモラに繰り出すが・・・・・・サイバーゴモラは尻尾を右腕にワザと絡ませて腕を引っ張ってフルスイングし、EXゴモラを投げ飛ばす。

 

「グルアアアア!!!!」

「ガアアア!!!?」

 

倒れ込むEXゴモラ、サイバーゴモラはすぐさまEXゴモラの動きを封じようと駆け出すのだが・・・・・・。

 

「うがあああ!!!!?」

 

時雨の身体に火花が走り、それと連動するようにサイバーゴモラも身体から火花を散らして膝を突く。

 

「グルアアアア!!!!」

 

その隙を突いてEXゴモラは身体を丸めて高速回転でサイバーゴモラに体当たりを繰り出し、サイバーゴモラを突き飛ばす。

 

「くあああ!!?」

 

それを受けて時雨も吹き飛ばされ、EXゴモラはEX超振動波を放とうとするが・・・・・・。

 

「グアアアアア!!!!」

 

サイバーゴモラが吠えるとEXゴモラは突然頭を抑えて苦しみだし、その間に立ち上がったサイバーゴモラと時雨。

 

そのままサイバーゴモラはドロップキックをEXゴモラに喰らわせる。

 

「今、サイバーゴモラが吠えたらあっちのゴモラ苦しまなかった?」

「サイバーゴモラはゴモラの残っている理性・・・・・・。 それが呼びかけた為に、一瞬動きが鈍ったのかもしれない」

 

満潮が呟いた疑問に、ヴェールヌイがそう答える。

 

「うっぐ・・・・・・!! なんとかダークサンダーエナジーをゴモラから切り離さないと・・・・・・!!」

 

頭を抑えながら、時雨はなんとかダークサンダーエナジーを切り離せないかと彼女は考える。

 

「グオオオオ!!!」

「えっ・・・・・・!? このままサイバー超振動波で自分をスパークドールズに戻す? ダメだ!! それじゃ君がずっと苦しんだまま・・・・・・!!」

 

サイバーゴモラをリアライズしたことによってゴモラと繋がった時雨はゴモラの考えていることが分かり、サイバーゴモラはEXゴモラの状態のままゴモラをスパークドールズに戻そうと考えるのだが・・・・・・当然、それではダメだと時雨は訴える。

 

「グルルル・・・・・・!!」

「僕は諦めない!! 絶対に君を助け・・・・・・あがっ!!?」

 

その時、時雨は頭痛と肉体への痛みが同時に襲いかかり、彼女は両膝を突く。

 

それを見てEXゴモラの攻撃を受けながらも時雨の身を案じたサイバーゴモラは先ほどの自分の提案を実行すべきだと訴えるが・・・・・・彼女は絶対にそれを許しはしなかった。

 

「うぅ・・・・・・諦めない、絶対にぃ・・・・・・諦めて・・・・・・たまるかあああああああ!!!!!」

 

身体への痛みを必死に堪え、立ち上がって叫ぶ時雨。

 

それを受け、サイバーゴモラはEXゴモラを押し返し尻尾を振るって攻撃し、EXゴモラを引き離す。

 

そして・・・・・・そんな互いに互いを思いやる2人の心が・・・・・・新たな力を呼び起こした。

 

『駆逐艦 時雨、サイバーゴモラ、ロードします』

 

ジオデバイザーからそんな音声が鳴り響くとなんとサイバーゴモラの身体に主砲が肩についていること以外エックスと全く同じ時雨アーマーが装着されたのだ。

 

『サイバーゴモラ・時雨アーマー、ユナイテッド!!』

 

「電脳怪獣 サイバーゴモラ・時雨アーマー」・・・・・・それが、サイバーゴモラの新たな形態。

 

そしてそれを見たM1号やエックス、夜空は驚きを隠せないでいた。

 

『なにぃ!!?』

『彼女と、ゴモラの心が繋がったんだ!!』

「ユナイトしたって・・・・・・ことか」

 

しかも、サイバーゴモラが新たな姿になった影響か時雨が先ほどまで受けていた痛みは殆ど無くなり、時雨とサイバーゴモラは互いに顔を見合わせて頷き合う。

 

「これなら、行けるかもしれない!!」

 

EXゴモラは超振動波をサイバーゴモラに向かって放つが・・・・・・サイバーゴモラは足部に装着された装備から魚雷を地面の中に潜らせ、EX超振動波は両肩の主砲から放つ光線「バーストデストロイヤー」で相殺させる。

 

「バーストデストロイヤー!!」

 

そしてあらかじめ地面に潜らせていた魚雷が地面から飛び出し、EXゴモラに直撃。

 

「グアアアアア!!!!?」

 

それによって後退するEXゴモラだが、すぐに尻尾を伸ばして敵に突き刺す「テールスピアー」で反撃しようとするのだが・・・・・・尻尾を伸ばす途中でEXゴモラは力が抜けたように膝を突く。

 

「グルルル・・・・・・!?」

 

それはゴモラと時雨の心が深く繋がったことにより、ダークサンダーエナジーの力が弱まったからであり、その隙を見逃さずサイバーゴモラは両手にエネルギーを溜めてEXゴモラに接近し、ゼロ距離で放つ光線「バーストサイバー超振動波」を炸裂させる。

 

「バーストサイバー超振動波!!」

「グルアアアアアアア!!!!!?」

 

すると、サイバーゴモラの攻撃を受けたEXゴモラは・・・・・・自身の身体からダークサンダーエナジーが切り離され、元のゴモラの姿へと戻る。

 

「よか・・・・・・った・・・・・・」

 

サイバーゴモラのこの形態は、通常時では出来なかったダークサンダーエナジーを切り離す力がある。

 

その為、EXゴモラは元の姿に戻ることができたのだ。

 

そしてゴモラが、元に戻ったのを見届けると・・・・・・時雨はそこで遂に力尽き、彼女は倒れ込むと同時にサイバーゴモラも姿を消すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「時雨・・・・・・!!」

『・・・・・・』

 

M1号はその光景をジッと眺め、信じられない物でも見たような視線をモニターに向けていた。

 

また、夜空は爪が食い込むほど拳を力強く握りしめ・・・・・・目に浮かぶ涙を腕で拭き取ってM1号の方へと顔を向ける。

 

「M1号、お前の言うことも確かに正しいのかもしれない。 でもお前は1つ見落としてることがある!! 怪獣が暴れれば人に被害が及ぶ・・・・・・。 そうなれば人は怪獣を攻撃し排除しようとする。 お前は一生人間と怪獣は争い続ける・・・・・・そう言いたいのか?」

『・・・・・・それは・・・・・・』

「互いが傷つかない為にも、俺達は怪獣と仲良くなれる世界を目指したいんだ。 時雨とゴモラのあの姿を見ても、本当にその可能性が1%もないとお前は言い切れるのか!!?」

 

夜空の言葉に、M1号は特に何も言葉を返さず・・・・・・ただ黙ってM1号は指を「パチン」っと鳴らすとエックスを元いた場所へと転送し、戻したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グッ・・・・・・!? 戻って・・・・・・来たのか?』

「グルルル・・・・・・」

 

M1号によってエックスは元いた場所へと戻され、目の前には倒れ込んでいる時雨を心配そうに見つめている元に戻ったゴモラの姿があり、ゴモラはエックスの存在に気づいて視線をエックスに向ける。

 

「クオオオオン」

「ゴモラ・・・・・・」

 

ゴモラはまるで、「自分を撃ってくれ」とでも言うように両手を広げ、無防備な状態を晒し、それを受けてエックスは頷き、夜空は苦悶に満ちた顔を浮かべながらも、ザナディウム光線を発射する態勢に入る。

 

『「ザナディウム・・・・・・!!」』

 

しかし、次の瞬間・・・・・・ゴモラは赤い光に包まれ、エックスは光線を撃つのを中断し動きを止める。

 

『「っ!?」』

 

するとゴモラはスパークドールズへと戻り、地面へとゆっくり落ちていく。

 

「ゴモラ・・・・・・?」

 

同じ頃、モニターでその光景を見ていたグルマンとリョーガは壊れたタイマーに視線を映すと・・・・・・タイマーは未だに5秒で止まったままだった。

 

『共存か、破滅か・・・・・・。 お前達の未来を、私は監視する。 私はカモメ・・・・・・空高く飛翔し、思考し続ける。 私はカモメ・・・・・・』

 

そして、M1号は最後にテレパシーのようなものを使ってエックスと夜空にそう言葉を残すと、M1号は宇宙空間を再び漂い続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・・・・んっ? 提督・・・・・・?」

「おはようさん、時雨? 随分お前に無茶させてしまったな・・・・・・」

 

目を覚ますと、夜空が自分を抱きかかえて歩いていることに時雨は気づき、彼女はすぐにあのあとゴモラがどうなったのか慌てて夜空に尋ねる。

 

「そうだ!! 提督!! ゴモラは!!? ゴモラはどうなったの!!?」

「スパークドールズに、戻ったよ。 どうしてスパークドールズに戻ったのか、その理由は分からないけど」

 

暗い顔を浮かべながら、そう語る夜空に時雨は「そっか」と呟いてそっと彼の頬に手を添える。

 

「夜空」

「んっ?」

「大丈夫だよ」

 

時雨がそう言いながら微笑むと、夜空は「ありがとう」とだけ言葉を返し、2人はみんなの元へと・・・・・・ゴモラと一緒に、帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、鎮守府に戻った夜空と時雨は研究室で2人はカプセルに入ったゴモラのSDを見つめていた。

 

「いつか、また会おう」

「今度は、もっと一緒に・・・・・・」

 

夜空と時雨の2人はゴモラにそう話しかけるのだった。





原作のこの話を観た時に最初に思ったのは「M1号、宇宙に放り出されたのはお前の自業自得じゃねーか!!」ってことです。

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