ウルトラマンX  これくしょん   作:ベンジャー

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妖獣モズイ
青色発泡怪獣 アボラス
赤色火焔怪獣 バニラ
油獣ペスター
健啖宇宙人 ファントン星人 グルマン
登場。


第2話 『恐れを乗り越える者』

エックスの力を借りてどうにか倒した夜空たちは一度鎮守府へと戻り、夜空は大破、中破した艦娘たち以外の艦娘を今、他の怪獣たちの対処に当たっている場所に微力ながらも応援に行かせるかどうかを考えていたのだが……。

 

「提督、それが先ほど新たな情報が入ったのですが……」

「んっ? どうした?」

「他の場所に現れた怪獣たち、その怪獣たちと……新たに巨人、提督はウルトラマンと呼びましたね。 そのウルトラマンが2人も現れました。 エックスとの特徴など一致する部分も多いため、恐らくは彼の仲間かなにかかと」

 

奈々からそれを聞いて夜空は目を見開き、驚いた。

 

驚くのも当然だろう、なにせまさか、エックス以外にもウルトラマンがいるとは思わなかったからだ。

 

夜空はその新たに現れたという2人のウルトラマンについて詳しいことを話すように奈々に言い、奈々が言うにはそのウルトラマンはエックスと同じように怪獣と現在、戦闘を繰り広げており、自体は沈静化しつつあるとのことだった。

 

「見た目の特徴はエックスとウルトラマンと同じく赤と銀、身体所々には青いクリスタルのようなものがあるとか。 もう1人は黒と赤のウルトラマンで身体の所々に『V』というマークがあるそうです」

 

しかも既に報告にあったペギラ、マグラーはそのウルトラマンと艦娘たちによって倒されたらしく、現在は残りの怪獣たちと戦闘中とのことだった。

 

しかも状況はこちらが優勢とのことである。

 

「つまり、応援はいらないってことか……」

「そうなりますね」

 

それを聞いて夜空はこれ以上、まだその2人のウルトラマンが何者なのか分からないとはいえもう彼女達を出撃させる必要がないと思うと彼はホッと胸を撫で下ろすのだった。

 

夜空はそれを待機している艦娘たちに伝えると奈々に言い残して執務室を出て行くのだった。

 

執務室を出て行った夜空は艦娘たちの元に行く前に人気のない場所へと向かい金色になったジオデバイザー……「エクスデバイザー」を取り出すと彼はエクスデバイザー……の中にいる「ウルトラマンエックス」へと話しかけたのだ。

 

「なあ、2人のウルトラマンってお前の知り合いか?」

『いや、クリスタルがついてるウルトラマンやVのマークのウルトラマンなんて知らないぞ?』

 

夜空は目を細めて「本当に知らないのか?」と尋ねるがやはりエックスは「分からない」としか答えなかった。

 

どうやら本当に分からないらしい。

 

だが、それ以上に気になるのはなぜ、自分がエックスと一体化してしまったのかということである。

 

あの時は時雨を殺そうとしたデマーガに怒って頭に血が上ってしまったこと、時雨を運んだりなどをしてエックスとまともに話すことができなかったので夜空は改めて、エックスがなぜ自分と一体化したのかを尋ねた。

 

『昔は自力で実態化できたんだが、実は5年前、君たちが言うウルトラフレア……あれに巻き込まれてしまい私はデータ生命体となってしまい肉体を失ってしまった。 しかし、怪獣と戦う君たちを見つけてね。 なんとか助けられないかと必死になった結果……こうなってしまったという訳だ。 まあ、元から君の発する周波数に引き寄せられていたしね』

「ふむ……少し分かり辛いこともあるが、アンタのおかげで時雨を助けられたってことだな。 ありがとう」

『お礼を言う必要なんてないさ。 彼女を助けたのは君も同じなのだから』

 

エックスにそう言われて夜空は「そっか」と呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、別の場所では……「青色発泡怪獣 アボラス」と「赤色火焔怪獣 バニラ」を相手に、身体に青いクリスタルがある赤と銀の巨人「ウルトラマンギンガ」が2体の怪獣を相手に戦っていた。

 

バニラは口から強力な火炎をギンガに放つがギンガは手を前方に出して変身時の銀河状のエフェクトに似たバリアを展開し「ギンガハイパーバリアー」で攻撃を防ぎ、そのまま押し返して炎はバニラとアボラスに直撃する。

 

『ショウラ!!』

 

ギンガはアボラスに向かって駆け出し、対するアボラスは口から泡状の溶解液を吐いてギンガを溶かそうとするがギンガはジャンプしてそれを回避し、アボラスの顔面に跳び蹴りを叩き込む。

 

蹴りを喰らったアボラスは蹴り飛ばされ、バニラは背後からギンガに掴み掛かるがギンガはすぐにバニラを振り払って回し蹴りを喰らわせた後、顔面を掴んでから強烈なチョップを頭部に叩き込んだ。

 

そしてギンガはアボラスの方へと振り返り、アボラスはギンガに殴り掛かろうと向かって来るがギンガはジャンプしてアボラスの頭上を飛び越え、背後からアボラスに掴み掛かるとギンガはアボラスを持ち上げてバニラに向けて投げつける。

 

互いに激突しあったアボラスとバニラは地面へと倒れ込み、2体はそのまま仲間割れをして喧嘩をし始めてしまう。

 

『行くぜ、ギンガストリウムだ!!』

 

するとギンガの身体が赤い光を放ち、ギンガは強化形態……「ウルトラマンギンガストリウム」へと変わる。

 

『ギンガに力を! ギンガストリウム!!』

『デアッ!!』

 

ギンガは喧嘩をしているバニラとアボラスに向かって駆け出し、バニラを蹴り飛ばすとアボラスの方へと顔を向け、アボラスの腹部に拳を何発も叩き込む。

 

「グギャア!?」

 

さらにギンガはアボラスに膝蹴りを叩き込み、アボラスはフラついてそのまま地面に倒れ込んだ。

 

「グガア!?」

 

そこにバニラの火炎放射がギンガに放たれるがギンガはすぐにそこを離れて攻撃を回避し、一気にバニラに詰め寄り、バニラの顔面に拳を叩き込んだ後、バニラの腕を掴んでアボラスの元まで投げ飛ばす。

 

『これで決める!』

『ウルトラマンの力よ! スペシウム光線!』

 

そしてギンガは腕を十字へと組んで放つ必殺光線……「スペシウム光線」をアボラスとバニラへと放ち、スペシウム光線はバニラとアボラスを貫くと2体は火花を散らして爆発した。

 

『シュア!!』

「「ぐ、グギャアアアアア!!!!!?」」

 

さらにギンガとは別のもう1人のウルトラマンが戦っている場所では……。

 

ヒトデのような怪獣「油獣ペスター」と身体にVの字のマークがある、黒と赤のウルトラマン……「ウルトラマンビクトリー」が対峙していた。

 

『ツェア!!』

 

ビクトリーはペスターの放った炎を避けてペスターに向かって駆け出し、ペスターの顔面に拳を叩き込む。

 

「キシャア!?」

 

ペスターが怯んだところにすかさずビクトリーは回し蹴りの要領で足のVクリスタルから放つV字型の光弾「ビクトリウムスラッシュ」を放ってペスターに喰らわせる。

 

『ビクトリウムスラッシュ!!』

 

ペスターは負けじと突進を仕掛けてくるが……。

 

『ウルトランス! EXレッドキング・ナックル!』

 

ビクトリーの右腕が「EXレッドキング」という怪獣と同じ右腕……「EXレッドキング・ナックル」へと変化し、ビクトリーは突進して来たペスターをナックルで殴りつけ、殴り飛ばされたペスターは地面に激突。

 

なんとか立ち上がったペスターは口から火炎を放つがビクトリーはナックルで地面を殴り、地面がマグマを吹かせる「フレイムロード」で攻撃を相殺する。

 

そしてビクトリーは右腕を元に戻すとビクトリーは1つのフルートのようなアイテム「ナイトティンバー」を出現させ、それを摑み取るとそれを口元にあて音色を奏でる。

 

そして変形させ剣……ソードモードにしてそれを掲げるとビクトリーの姿が青くなった「ウルトラマンビクトリーナイト」へと変わる。

 

『放て! 聖なる力!』

『ツェア!!』

 

姿が変わったビクトリーに少し驚いた様子を見せるペスターだったが、ペスターはすぐに炎を放ってビクトリーに攻撃を仕掛けるが……ビクトリーはナイトティンバーで炎を切り裂き、ペスターに向かって駆け出し、横一閃にナイトティンバーを振るってペスターを斬りつける。

 

「キシャアア!!?」

 

さらにビクトリーはペスターに蹴りを一発入れた後、ナイトティンバーを下から上へと振るいペスターを斬りつけ、ペスターは空中へと放り飛ばされる。

 

『ワン! ナイトビクトリウムフラッシュ!』

『デュア!!』

 

ビクトリーは空中へと飛び立ち、ナイトティンバーのポンプアクション1回で発動させ、ナイトティンバー ソードモードで回転切りを繰り出す「ナイトビクトリウムフラッシュ」をペスターに繰り出し……切り裂かれたペスターは火花を散らして爆発した。

 

『ナイトビクトリウムフラッシュ!!』

「キシャアアアアアアアアア!!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪獣騒動からそれからしばらくして……。

 

彼女は、眠った時によく見る夢があった。

 

どうして……自分はあの時、生き残ってしまったんだろう。

 

仲間を守ることができず、最後は自分も海の底へと沈んで行った……そんな悔しい気持ちが、ずっとずっと……彼女の心の中に残っていた……。

 

そして最後には、今の大切な仲間も、大切な人も守れずに……みんなみんな自分だけを残していなくなっていく。

 

自分だけが生き残ってしまうという恐怖……そんな悪夢を、彼女……「時雨」はここ毎晩見続けていた。

 

「っ! はぁ、はぁ……」

 

自分の部屋のベッドで寝ていた時雨は飛び起きて辺りを見渡し、同じ部屋に住んでいて隣のベッドでスヤスヤ眠る夕立の姿を見ると彼女は夕立に優しく微笑み、彼女の元へと近寄ってそっと彼女の頭を撫でるのだった。

 

「もう、あんなのは嫌だよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一連の怪獣騒動から数週間後、夜空とリョーガは「サイバー怪獣計画」の実験を行うため護衛の艦娘を何人か引き連れてとある山奥へと訪れていた。

 

ちなみに、サイバー怪獣計画の進行はウチが特に速いということで上層部から「健啖宇宙人 ファントン星人 グルマン」という地球人に有効な科学者宇宙人が配属になることが決定しており、今回はグルマンとリョーガが協力してサイバー怪獣計画の実験を行うことになった。

 

「やあやあ、久しぶりだね。 大食い博士、相変わらず元気そうだね?」

「フン、貴様も相変わらず好き勝手やっておるのだろう。 変人プロフェッサーめ」

 

また、どうやらリョーガとグルマンは昔からの知り合いらしく、2人はお互いに軽口を叩き合うが……特に仲が悪い訳ではなく、リョーガ曰くグルマンは「悪友」らしい。

 

「さて、それじゃ早速サイバーゴモラ実体化計画を始めるとするか。 まあ、成功する可能性は低いがな」

 

尚、実験は夜空がサイバー怪獣を実体化させるのに必要なヘルメットを装着し、それを使ってサイバー怪獣を実体化させるというものだった。

 

そして夜空はリョーガに渡されたヘルメットを被ってエクスデバイザーを取り出し、機械的な外見をしたゴモラ……「サイバーゴモラ」のカードをエクスデバイザーに装填する。

 

『サイバーゴモラ、ロードします』

「頼むぞ、ゴモラ」

 

すると用意された装置から青い光の粒子が放出され……その粒子がだんだんとサイバーゴモラの姿へと実体化していく。

 

これを見て夜空は「成功か!?」と期待をするが……結局、最終的には実体化までには至らずにサイバーゴモラは消滅してしまった。

 

尚、この実験でサイバーゴモラが実体化かできたのは65%ほどが限界であり、実体化にはまだまだ改良が必要とのことだった。

 

「ふーんむ、やはりダメかぁ」

「上手く脳波が同調すれば成功するんだがなぁ……」

「だが人間の単細胞の探求結界値は変わらないからな」

 

グルマンとリョーガはお互いに腕を組んで後一歩というところなのにそれをどうするべきかと悩んだが……そこでリョーガが「ポン」っと手を叩くと彼はグルマンの肩を叩く。

 

「そう言えばウルトラマンエックスはサイバー怪獣と同じように肉体をデータに置き換えているらしい」

「はっ!? なんでお前がそんなこと分かるんだ!?」

「まあ、私が調べた結果さ!」

 

リョーガは少し自慢げにグルマンに話すが……グルマンにとっては「それがどうした」という話だった。

 

なにせ、エックスにそれができたからといって人間にできないのでは意味がないからだ。

 

それを指摘されて口ごもるリョーガだが、だがやはりこれがサイバー怪獣実体化のヒントになる可能性が高いことに変わりはない。

 

一方で夜空はサイバーゴモラの実体化が失敗してしまったことに少しガッカリした様子だったが……護衛として来ていた「白露型3番艦 駆逐艦 村雨」が彼の元に駆けつけ励ましの言葉をかける。

 

「まあまあ、そんな落ち込まないの提督! まだ始まったばかりなんだから幾らでもチャンスはあるわ?」

「村雨……そうだな、まだこれからだよな」

 

村雨に励まされて夜空は少し元気を取り戻し、取りあえず今回の実験はここまでにして材料を片付け鎮守府に戻る準備に入るのだった。

 

(でも、やっぱりあいつ等を守るためには早くサイバー怪獣の実体化を成功させたいな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、時雨、満潮、夕立……そして「睦月型2番艦 駆逐艦 如月」はというと……他の鎮守府の艦娘たちと演習……模擬戦を行うこととなり、相手はこちらが艦娘の中でも弱い部類に入る駆逐艦のみということで相手は戦艦1人、軽巡洋艦1人とのことである。

 

やがて今回、旗艦を勤める時雨が今回の対戦相手の姿を確認すると時雨は一同に一時停止の合図を行い、それと同時に相手側も時雨たちのすぐ近くにまでやって来ると時雨と満潮は相手の姿を見て「あっ」と声をあげる。

 

その時雨たちの演習する対戦相手は「扶桑型2番艦 戦艦 山城改二」と「天龍型1番艦 軽巡洋艦 天龍」であり、時雨は薄らと笑みを浮かべて「やあ、山城、久しぶりだね」と声をかけた。

 

「えぇ久しぶりね、時雨、満潮も。 あぁ、演習相手ってアンタたちだったのね」

「そうみたいだね」

「昔話もしたいところだけど先ずは演習よ。 手加減しないから覚悟しなさい」

 

とこんな感じで山城はやる気満々なのだが即座に天龍「いや、手加減しろよ」とツッコまれた。

 

まあ、それはそうだろう、幾ら相手の方が頭数が多いとはこっちは戦艦……しかも艦娘の強化形態である改二状態、普通は山城たちが手加減しないといけないのだが……山城はまるで天龍の言葉を聞いてなかった。

 

「夜戦なら駆逐艦にも部があるんだがなぁ」

「別に暴れられるなら昼だろうが夜だろうがなんでもいいっぽい!!」

 

天龍の言葉に夕立がそう返し、どうやら彼女は暴れたくて仕方がないと言った感じでさっきからウズウズしていた。

 

「夕立もそろそろ我慢できなくなってきてるみたいだから演習始めようか?」

「そうね、それじゃ……始めましょう!」

 

時雨のチームと山城のチーム、両チームが一度互いに距離を取った後、演習を開始し……山城と天龍は早速砲撃を開始し、時雨たちを攻撃し始める。

 

「おっと、それじゃ夕立と僕は切り込みをかけるから他のメンバーは援護をお願い!! いくよ、夕立!!」

「任せるっぽい!!」

 

時雨と夕立は山城と天龍の砲撃を避けながら相手へと接近し、時雨は両手に持っている主砲を構えるが……砲撃をすることはなく背中の装備と主砲が繋がってる部分を分離させてしまう。

 

「はぁ?」

 

それを見て山城は一体時雨はなにをしているのだと首を傾げた。

 

なにせ、時雨の主砲は背中の装備と繋がっていて始めて砲撃できるのだからなぜワザワザ武器を捨てるような真似をしたのか……山城はそれが全く理解できなかった。

 

すると、時雨はなんと主砲を逆さまに持って山城へと一気に接近し、彼女は跳び上がって逆さまに持った主砲をトンファーのようにして山城に殴り掛かってきたのだ。

 

「いや主砲の使い方おかしいわよ時雨!!?」

 

山城はツッコミを入れつつどうにか時雨の攻撃を回避し、主砲を時雨に向けるが……時雨はそれよりも早く山城に跳び蹴りを放って来た。

 

「わっ!?」

 

慌てて両腕を交差してガードして攻撃を防ぐ山城だが……時雨の予想外の行動にツッコまずにはいられなかった。

 

「ちょっと待ちなさいよ時雨!? なんで接近戦!? 砲撃しなさいよ!?」

「なに言ってるんだい山城? 遠距離戦なんてくそくらえだよ」

「それが艦娘の言う台詞!?」

 

一方で夕立はというと天龍に向かって殴り掛かっており、天龍も接近戦に持ち込んで来た夕立に驚きを隠せなかった。

 

なにより驚いたのは……夕立の右手に持つ主砲の1つが……両端に斧みたいな物が飛び出して変形し、主砲というか全く違う武器になっていることだった。

 

「いやそれもはや主砲じゃなくね!? つーかもはや艦娘の武器じゃねえよそれ!?」

「いや刀持ってる人に言われたくないっぽい。 そんなことより暴れまくるっぽい!!」

 

無論、夕立の武器をこんなものにしたのはリョー……。

 

「響に改造してもらったっぽい」

 

ではなく響だった。

 

夕立は天龍に急接近して跳び蹴りを繰り出し、天龍はそれを回避し、一度夕立から離れて距離をとる。

 

「まあいいさ、俺も遠距離よりも接近戦の方が好きだしなぁ!」

 

そう言って不適な笑みを天龍は浮かべ、自分の腰にある刀を手に取るとそれを構え、天龍は夕立に向かって行き刀を振るう。

 

夕立はそれを斧で受け止めるが……流石に力比べとなると天龍に少し非があったらしく夕立は押し返されてしまう。

 

だが夕立は腰にある魚雷を天龍に向けて発射……魚雷の数は8本……流石にこの数を回避できるのは不可能かと思われたが……天龍は波の動きなどを計算し、全て回避してしまう。

 

「あれを全部回避したっぽい!?」

「オラァ!!」

 

そのまま天龍は刀で夕立に斬り掛かるが夕立は主砲(という名の斧)で攻撃を受け止める。

 

「お前、おもしれぇじゃねえかよ!」

「夕立も久しぶりに素敵なパーティーできて嬉しいっぽい!!」

「あぁ、こんなに楽しいとつい思っちまうよなァ! 死ぬまで戦わせろってよぉ!」

 

ちなみに、満潮と如月はというと……。

 

「「どうしよう、入っていけない……」」

 

完全に蚊帳の外だった。

 

「っていうか天龍さんと夕立の対決する構図……なんかどっかで見たことあるわね」

「それにしても夕立ちゃんも時雨ちゃんも艦娘なのに接近戦好きねぇ。 白露型ってみんなそうなのかしら?」

「いや少なくとも村雨は普通だった筈……っていうか響はなに作ってんの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、鎮守府では……鎮守府へと戻って来たリョーガはグルマンと一緒に自分が使っているラボへと向かい、そこでグルマンは本部からリョーガに渡すように言われていた「青銅鏡」を彼へと渡していた。

 

青銅鏡を渡されたリョーガは眉を寄せてこの青銅鏡が一体なんなんだと首を傾げたが、なんでもグルマンが言うにはこの青銅鏡は本部の近くの工事現場から発掘された青銅鏡は4世紀頃のもので、謎の古代国家「ツクヨ」のものであるらしく、本部はこの「ツクヨ」について1番詳しいのはリョーガだということで彼にこの青銅鏡を研究して欲しいというものだった。

 

「確かに私は興味本位でツクヨについて色々と調べてる時があったが……まさか本部からこんなオカルトチックな物を渡されるとはね」

「だが私がこの青銅鏡を調べたところこの青銅鏡からはなにかしらのエネルギーが溢れていることが判明している。 つまり、これが危険なものかどうかを調べて欲しいというのが本部の命令だろう」

「成る程、もし危険物ならここにいると他の者に迷惑をかけてしまうかもしれない、少し遠いがこの鎮守府から少し離れたところにも私の研究ラボあるからそこでこれを調べよう」

 

リョーガの提案にグルマンは頷き、2人は夜空にその研究ラボに行くことを伝えた後、2人は車に乗ってその研究ラボへと向かうのだった。

 

一方……鎮守府の休憩所ではリョーガ達がその「ツクヨ」について研究するということを知った艦娘たちがそのツクヨについての話をしているところだった。

 

「それでツクヨってなんなの?」

「そうねぇ、昔図書室でなにかの本で読んだことがあったわねぇ」

 

暁の問いかけに村雨がそう答え、村雨が言うにはツクヨとは「ツクヨの兵士」と呼ばれる昔の兵士のことを指し、なんでもツクヨの兵士は敵の兵をことごとく打ち倒し留まることを知らないという……歴史上で最も強かったと言われる兵士たちのことだというのだ。

 

「それって滅茶苦茶強かったってことだよね!? なんでそんなに強かったのかなぁ? やっぱり筋トレ頑張ったから?」

 

「睦月型5番艦 駆逐艦 皐月」が村雨にずいっと詰め寄ってそう問いかけるが村雨はそんな皐月に戸惑いつつも話の続きをみんなへと聞かせる。

 

「うーん、まあ、身体は鍛えていたけど読んだ本にはこう書かれていたわね」

 

なんでも、ツクヨの兵士には「モズイ」と呼ばれる守り神がついていたらしく、モズイは「モズイの泉」と呼ばれる美しい湖の底に住んでいると言われており、戦士たちは戦いに行く前にその湖に1人1つずつ必ず石を投げ入れていたそうだ。

 

それを聞いて雷が「石ころ投げただけで戦いに勝ってきたの?」と首を傾げて疑問に思ったことを口にすると村雨は「本で書かれていた内容では確かそうだった筈よ」と答えるのだった。

 

「多分、その石には兵士達の勝利への願いが込められていたんじゃないかしらぁ? モズイはきっとその願いを聞き届けてくれたんじゃない?」

「そんな守り神が僕たちにもついていてくれたらもう少しは戦いも楽にはなるんだろうけどなぁ……」

 

皐月がそんなことを呟いていると背後から菊月のチョップが彼女の頭部に叩き込まれ、皐月は「いたっ!?」と叫びながら「なにするんだよぅ」と涙目を浮かべて菊月の方へと振り返る。

 

「そんな胡散臭い守り神など私たちにはいらん。 そもそも私たちは戦うために生まれてきたのだからな、楽だとか下らんことを考えるな」

「例えじゃんか菊月〜。 僕の妹なのになんて頭が固いんだよ」

 

皐月の言葉に対し菊月は「そんなの知らん」と答え、そんな無愛想な妹に頬を膨らませてぶーたれる皐月だった。

 

「それでそれで〜? お話はそれで終わりなの〜?」

 

そこで奈々に後ろから抱きつかれている「睦月型7番艦 駆逐艦 文月」が村雨にこれでもうツクヨの兵士の話は終わりなのかと尋ねると村雨は首を横に振る。

 

「えぇ、それがこれが意外な結末でねぇ、なぜかモズイをツクヨの兵士は『錦田小十郎景竜』って人物に頼んで凍った泉に閉じ込めて封印、その後ツクヨの兵士たちもどこかへと忽然と消え去ったんですって」

「えぇー? なんでなんで!? なんで自分達の守り神にそんな酷いことしちゃったのぉ?」

「あぁもう!! 文月ちゃんのあまったるい声がマジやべーです!! 文月ちゃんマジ天使!!」

「副司令はそのまま黙っててください。 そうねぇ、それがそのことについてがまた謎のままなのよねぇ。 それで今回のリョーガさん達なら研究でそのことについてなにか分かるんじゃないかって本部から渡されたらしいのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃……グルマンとリョーガは青銅鏡に記されていた古代文字の解析に成功しており、2人はその解析に成功したところだった。

 

「いやぁ、流石私だね。 古代文字解析一晩で終わってしまったよ」

「なにを言っておるか! 一晩で終わったのは私がいたからだろう。 自画自賛も大概にしろ」

「自信家と言って欲しいものだねグルマン博士」

 

グルマンとリョーガはお互いにそんな風に悪態をつきながら睨み合うが……今は喧嘩している場合ではないと思い、2人はすぐに作業へと取りかかった。

 

リョーガは青銅鏡の方はグルマンに任せ、彼は古代文字の方を読み上げることに。

 

その古代文字には「これに触れるな。 我等ここにモズイを封じる。 一度モズイを解き放てば……」とそこまで読み上げたところで突然グルマンの持っている青銅鏡から野獣の雄叫びのような声が聞こえ、グルマンはその声に驚いてうっかりと青銅鏡をその場に落としそうになってしまう。

 

「うわっ! おまっ!?」

 

なんとかリョーガが青銅鏡をキャッチすることができたのだが……その青銅鏡を見てみると……青銅鏡には満月が映っており、リョーガが慌てて古代文字の続きを読み始める。

 

「おいリョーガ、この鏡……」

「あぁ、ちょっと待ってくれ!! これは……そうか、氷の泉というのはこの青銅鏡のことだったのか!?」

「なに? あのモズイを封印したという……」

 

グルマンとリョーガは2人であの青銅鏡をじっと見つめ……この青銅鏡がもしも本当に伝承にあった氷の泉なら……この中にモズイがいるということになる。

 

「この古代文字の文章通りなら……まずい!! 鎮守府が危ない!!」

 

すると……突然ラボの電気が消えて辺りが暗くなり、青銅鏡がカタカタと音を鳴らしながら独りでに動き始める。

 

そして……青銅鏡が机の上から落ちて床に落下すると青銅鏡が割れ、そこから黒い煙のようなものと共に「妖獣 モズイ」が姿を現したのだ。

 

「グルマン!! すぐに逃げるぞ! このことを鎮守府のみんなに知らせなければ!」

「説明は逃げながらだな!」

 

モズイが完全に外に出て来る前にリョーがとグルマンはすぐさまその場から走って逃げ出し……2人は外の車に乗り込むとすぐに鎮守府に向かって出発した。

 

しかし、グルマンは古代文を読めていないためなにが起こっているのか半場理解できておらず、分かることと言えばあのモズイが守り神なんていう生易しいものじゃないということだけだった。

 

そのため、グルマンは鎮守府のみんなが危ないとは一体どういうことなのかと彼はリョーガへと尋ねた。

 

「あぁ、奴は守り神なんかじゃない」

 

リョーガとグルマンが解析した古代文字、その続きはこう書かれていた。

 

「モズイは戦士の恐れを喰らう、ツクヨの兵士は心の奥の恐れを石にして捨てた。 無敵の兵士になるために。 モズイは兵士の恐れを喰らう魔物」……つまり、艦娘たちは現代における兵士であり、モズイはその恐れを喰らおうとあのラボの1番近くにある鎮守府を狙う筈だとリョーガは考えたのだ。

 

そのため彼は鎮守府が危ないとこのことを早く鎮守府に伝えようとしているのだ。

 

「携帯はどうした!?」

「使い物にならない、恐らくさっき電気が落ちた時……モズイの影響かクソ!!」

 

さらにその古代文字の続きとして「モズイは一度蘇ったが最後、巨大な魔物となってツクヨの泉から現れる。 そこに月が映る時」と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして鎮守府ではというと……既に深夜の1時、艦娘たちも既に寝静まったところである。

 

しかし……。

 

「うぅ、なんでトイレが廊下の外にあるのよぉ」

 

トイレに行く為に起き上がった暁が少し怯えた様子で廊下を歩いており、薄暗い廊下はまさに夜の学校の廊下と同じくらいに不気味。

 

そのため暁は怖がった様子でトイレのある方向へと進んで行く。

 

「べ、別にお化けなんて怖くないわよ。 なんたって私は一人前のレディなんだから……」

 

とこんな感じで自分に言い聞かせながらとぼとぼと歩いて行く暁。

 

そんな時、暁の肩を誰かがポンっと手を置き、それに暁は「きゃあああああああああああ!!!!?」と大きな悲鳴をあげてしまった。

 

「うわわ!? お、落ち着いて暁! 僕だよ!」

「び、びっくりした〜」

「あ、あれ? 皐月と文月……?」

 

暁の肩に手を置いたのは皐月であり、暁は自分の肩に手を置いた犯人が皐月であることが分かると彼女は腕を組んで「ま、まあ分かってたけどね!」と誤摩化す。

 

最も皐月には「トイレに行くのが怖くて僕が肩に手を置いたらお化けだと思って悲鳴をあげたんだろうな」と思っていたがこれを口にすると後々面倒になりそうなので黙っておくことにした。

 

「暁もトイレに行くの?」

「えぇ、文月も?」

「うん、夜の廊下は怖いから皐月お姉ちゃんについて行ってもらったの」

 

それを聞いて暁は内心ほっと胸を撫で下ろし、皐月はそんな暁が面白おかしいのか必死に笑を堪えていた。

 

(さて、それじゃさっさとトイレいこうか。 そう言えば確かトイレ行くには食堂を通過しないといけなかったっけ? ついでにこっそりウォッカ取ってこよう)

 

そんなことを考えながら皐月は暁と文月を連れてトイレへと向かい、2人が帰ってきた後、3人はそれぞれの部屋に戻ろうと歩き始めようとしたその時……。

 

皐月たちの前をなにか……黒い影のようなものが横切った。

 

「ひっ!? い、今のなに……!?」

 

ビクッと震えて暁と文月は皐月の後ろに隠れ、皐月は「なんで僕の後ろに隠れるの!?」と驚く。

 

「さ、皐月おねえちゃん、今の……なに?」

「さあ、僕も分からないけど……これじゃ進めないなぁ……」

 

そんな時、皐月たちの後ろから「どうしたの?」という声が聞こえ、その声を聞いた瞬間、暁、文月、皐月は「ひぎゃああああああああああ!!!!!?」と大きな悲鳴をあげてしまった。

 

「うわわ!? お、驚かないで! 僕だよ! 時雨と夕立!」

 

そう、彼女達に声をかけたのは時雨と夕立であり、2人の姿を見た暁たちはほっと胸を撫で下ろした。

 

「ふ、ふえ……? 時雨と、夕立……?」

 

時雨は涙目の暁を安心させるように彼女の頭を撫で、「こんな時間になにしてるっぽい?」と夕立が尋ねると暁達は先ほど自分達が目にしたもののことを話し始める。

 

「へぇ、そんなことが。 でも、寝惚けてたとかそんなことはない?」

「う、うーん? でも寝惚けてたとしたら3人同じ物を見るなんて変じゃないかしら?」

 

暁の言うとおり、寝惚けていたとしても3人も同じ物を同じように見るなんて普通では有り得ないだろう。

 

ということはつまり、何かがいたということになる。

 

「んっ? 夕立!!」

「時雨ちゃん!?」

 

その時、時雨は背後からなにかが夕立に向かって迫って来ていることに気付き、時雨は夕立を突き飛ばして彼女を庇った。

 

そしてその正体は鏡から出て来たあの怪物……モズイであり、モズイは時雨の腕を掴み上げて彼女の動きを封じる。

 

『腹ガ、減ッタ。 オマエノ……恐レヲ、食ワセロ』

「な、なに……!?」

『オマエノ、恐レハ、ナンダァ……?』

「ッ……」

 

それを聞いた瞬間、時雨にはかつての……まだ「艦」だった頃のある記憶が脳裏に過ったのだが……その直後……。

 

「時雨ちゃんを離すっぽい!!」

 

夕立がすぐさま時雨を助け出す為にモズイに攻撃を仕掛けるが、モズイは時雨を放り投げてどこかへと走って逃げて行き、投げられた時雨は壁にぶつかってしまう。

 

「うあっ……!?」

「時雨ちゃん!!」

 

すぐに夕立たちは時雨の元へと駆け寄る。

 

「僕は……いいから、あいつを、追いかけて」

「分かったっぽい、暁、皐月、文月! 時雨ちゃんをよろしくね!」

 

夕立は時雨のことを暁たちに任せて自分は瞬時に艤装を呼び出して装着してモズイを追いかけて走り出し、やがては外へと出てしまうのだが……結局モズイは見失ってしまうのだった。

 

「くっ、逃がしちゃったっぽい?」

 

夕立は悔しそうにそう呟いた直後である。

 

ゆっくりと……モズイが彼女の背後から忍び寄り、そして一気に夕立へとモズイは飛び掛かってきたのだ。

 

『オマエノ、恐レヲ喰ワセロォ!!』

 

だが……。

 

「っぽい!!」

『グガアア!!?』

 

夕立は回し蹴りで飛び掛かって来たモズイを撃退し、そのまま地面へと倒れ込んだモズイに追い打ちをかけようとモズイに向かって駆け出すが……。

 

「っ! な、なに……?」

 

突然身体が動かなくなったことに夕立、実はモズイは相手の恐怖心を強制的に引き出す力があり、その能力を使って夕立の動きを封じたのだ。

 

夕立の動きを封じたモズイは勝ち誇ったように不気味な笑い声をあげ……夕立へと近づいて来るが……。

 

「っぽい!!」

『グガア!?』

 

あっさりと動かれて顔面に一発強烈なパンチを叩き込まれて吹っ飛ばされた。

 

吹っ飛ばされたモズイは一体なにが起きたのか理解できず、もう1度夕立の恐怖心を強制的に引き出そうとするが……。

 

動きを封じることが一切出来ず、夕立の跳び蹴りがモズイへと叩き込まれるのだった。

 

確かに、夕立は一瞬ではあるがモズイの力によって動きは封じられた。

 

しかし、今の夕立の感情で勝っているのは恐怖心などではなく……自分を庇い、そして自分の姉である時雨を傷つけたモズイに対する「怒り」が恐怖心を上回っていたのだ。

 

「よくも時雨ちゃんをおおおおおおお!!!!」

 

夕立はモズイの頭を鷲掴みにして地面へと叩き伏せ、モズイの後頭部を掴むとそのまま彼女はモズイを引きずって駆け出し始める。

 

『グアア!? ガアア!!?』

「こんなもので済むと思うなっぽい!!」

 

夕立は一度立ち止まるとモズイを無理矢理立ち上がらせ、モズイに何度も何度も拳を何発も叩き込んだ後、主砲の両端から斧を出現させ、それでモズイの身体を斬りつける。

 

『ぐ……グォ……』

「これでトドメよ!」

 

夕立がトドメをさそうと主砲を構えるが……その時、突然モズイの身体が黒い煙のようなものへと変化し、近くにあった窓の中へと逃げ込んでしまったのだ。

 

「なっ!? 窓の中に……!?」

 

その後、モズイが特に現れることはなく、夕立はすぐにこのことを夜空へと連絡し、その後帰ってきたリョーガとグルマンからも詳しい話を聞くことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、夜空、奈々、リョーガ、グルマンは4人で集まってモズイに対する対策を考えるため、会議室に全員で集まることとなった。

 

そして4人が会議室の扉の前にまでやってきて夜空がドアノブに手をかけようとした時である。

 

『トラン○フォーム!!』

「「「「はっ?」」」」

 

いきなり会議室の扉が外れて変形し始め、見た目がなぜか「ガ○ダムエ○シア」そっくりの等身大ロボットに変形したのだ。

 

「「「「……」」」」

『さあ、どうぞお通りくだせぇ!!』

 

しかも喋った……見た目がエ○シアなのに杉○智○ボイスで。

 

これを見て夜空はジッとリョーガの方へと振り返るが……リョーガは首を横にブンブンと振って「これ作ったの自分じゃないよ」と伝えるが……珍しくリョーガも驚いている様子なので本当にこれを作ったのはリョーがではないのだろうと一応は納得した。

 

「やあ、司令官たち。 遅かったね」

 

会議室の中には時雨の調子が悪いということで今日は秘書官代理をしている響が既におり、夜空たちは戸惑いつつもそれぞれの席へと座る。

 

「えっと、響……あのドアはいったい……?」

「あぁ、あれかい? 以前から密かに作っていた警備ロボットだよ。 昨日の事件を聞いて急いで作ったんだ。 完成間近だったこともあってすぐに完成したよ」

 

それを聞いて夜空はそう言えば以前響が資材を使いたいと言ってなにかを作っている様子だったのを思い出したが……聞きたいのはそれだけではない。

 

なぜ響がそんな技術を持っているのかということである。

 

「そんなのリョーガさんから習ったに決まってるじゃないか」

「オイ」

 

夜空はリョーガの方へと視線を向けるが当の本人は知らんふりである。

 

「ちなみになんで見た目がエ○シア? 後声もなんであの人なんだ?」

「私が好きなロボットと声優だからに決まってるじゃないか!!」

「お、おう……」

 

それから会議が始まることとなったのだが……正直、さっきのエ○シアモドキのロボットがお茶を運んで来たりするせいでそっちの方が気になってしまったりとかしたが。

 

兎に角、夜空たちはロボットの方をどうにか気にしないで会議を進め、先ずリョーガとグルマンがモズイについての説明を行った。

 

「先ず、昨日鎮守府内に出現したモズイだが……話を聞いた限りではどうやらまだ完全に復活していないようだ」

「奴が完全に復活するにはモズイの泉に月が映らなければならない」

 

リョーガとグルマンの話を聞き、奈々は「そのモズイの泉というのは?」と尋ねると……なんと、そのモズイの泉と呼ばれる場所……。

 

それはこの鎮守府の目の前にある海の中だというのだ。

 

「ツクヨの泉は既に深海の底だ」

「しかし、ツクヨの兵士はあの鏡のことを氷の泉と呼んでいた。 つまり、物を映すものなら……なんでもいいのだよ」

 

つまり、今夜の満月が出た時……モズイは自分達の目の前に出現するということ。

 

夜空はこれをどう迎え撃てばいいのか……恐れを喰らうモズイに艦娘をぶつけるのは相当危険なのではないかと不安になるが……。

 

「司令官、見くびって貰っては困るね」

「響……?」

「司令官は私たち艦娘を恐れを食べるモズイにぶつけるべきではないと考えているようだが……私は、いや……私たち艦娘は生憎、奴に食べさせるものなんてなに1つ持ち合わせていないよ」

 

やけに自信満々な様子で語る響に夜空は「どうして言い切れるんだ?」と問いかけると……。

 

「そんなの決まってるじゃないか。 私たちが持っている恐れ……恐怖っていうのは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、時雨はというと……彼女は床に座り込んで顔を俯かせており、表情もあんまり元気とは言い辛いものだった。

 

そんな時だ、コンコンっという扉の音が聞こえ、時雨は「どうぞ」と言うと扉を開いて入って来たのは夜空だった。

 

「提督……」

「時雨、なにがあった? モズイになにをされたんだ?」

 

それを聞かれて口ごもる時雨、そんな彼女の様子を見て夜空は「話したくないなら、無理に話さなくていい」と言うが……時雨は首を横に振り「話すよ」と言ってくれた。

 

「モズイに睨まれた時、思い、出したんだ……『西村艦隊』のこと」

「西村艦隊、確か……お前がまだ艦だった頃に編成された……」

 

時雨は無言で頷き、彼女はその西村艦隊に所属していた時の記憶……スリガオ海峡海戦での戦い。

 

この戦いでは西村艦隊では時雨と最上型重巡洋艦の最上のみを残して全滅してしまった時の記憶。

 

最終的に自分だけが無傷で無事で済んだこと……そして、なによりも仲間達の分まで生きることができなかったという記憶が昨夜モズイに睨まれた際に時雨の脳裏にフラッシュバックしてしまい、今に至るのだという。

 

「……僕は、怖いんだよ。 自分が死ぬのがじゃない。 もしもまた仲間が目の前で死んだら……また自分だけが生き残ってしまったら。 僕は、それが怖くてたまらない」

「成る程、お前が恐れるのは……自分だけが生き残ってしまうっていう恐怖」

 

肩を震わせる時雨、そんな彼女を落ち着かせるように、夜空はそっと時雨の頭を優しく撫でる。

 

「俺もそうだ。 俺が1番恐れてるのはお前達を誰か1人でも失うこと。 なによりも俺はそれが怖いんだ。 だから気持ちは少しは分かる。 けどな、お前の持ってるその恐れは……決して怯えなくていいものなんだ」

 

夜空からそう言葉をかけられて時雨は「えっ?」と首を傾げる。

 

「その恐ろしいって気持ちは、決してモズイなんかが食っていいもんじゃない。 その恐ろしさは……二度と悲劇を繰り返させないための……仲間を守ろうとする意思。 その恐ろしいという気持ちはお前の強さなんだ」

「恐ろしさは……強さ……」

「あぁ! って言っても……これは響の受け売りのようなもんなんだけどな」

 

そう言いながら苦笑する夜空に時雨は「えっ? どういうこと?」と尋ねるが……夜空はそれについてはなにも答えなかった。

 

それは夜空曰く「お前はその答えは知ってるから」というらしい。

 

「それよりも、今回の作戦だが……時雨、出れそうか?」

 

夜空にそう聞かれて時雨は一度顔を俯かせるが……彼女は先ほどの夜空の言葉を思い出し、不適な笑みを浮かべて顔をあげて立ち上がった。

 

「了解、駆逐艦……時雨! 出るよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕方頃、鎮守府の中央広場……そこは丁度モズイが出現すると予想されている場所で、海を直接見渡すことができるその広場に艦娘たちが集められていた。

 

そしてこれから夜空から今回のモズイ殲滅作戦についての説明が行われることになった。

 

「モズイが出現した直後に、全員モズイに向けて集中攻撃を開始! 月が隠れるまでなんとか粘って足止めしろ!! モズイは月が隠れると弱体化して海の中に逃げ込むだろうがその前になんとしても仕留めるんだ!」

『了解!!』

 

夜空の指示に従って艦娘たちはそれぞれの場所に配置、そして……空に満月が浮かび、水面へと月が映ると……海の中から飛び出して来るように巨大化したモズイが出現した。

 

『グアアアアアアオ!!!!』

「総員、攻撃開始ィ!!」

 

菊月の合図で全員が攻撃を開始、モズイに集中砲火を浴びせる。

 

しかし、モズイは集中砲火を浴びているにも関わらず鎮守府の広場へと足を踏み入れ、鎮守府の侵入を許してしまった。

 

「くっ、これ以上進ませる訳には……! 全員、モズイの足を狙ってください!!」

 

朝潮の指示によって艦娘達はモズイの足に向かって集中砲火を行い、僅かながらにフラつくモズイだが……モズイは口から大量の「石」を電、皐月、睦月、雷のいる方向へと吐き出し、電達は慌ててその場から離れてモズイの攻撃をなんとか回避する。

 

「はわわわ!?」

「うっわぁ!? なんだよアレ!? 石ころ!?」

「もしかしてあれが……ツクヨの兵士が捨てたっていう、恐れ……」

 

時雨はモズイが吐き出した石を見つめながらそう呟き、彼女は自分の胸に手を当てて拳をギュッと握りしめると主砲を構えて砲弾をモズイの目に向けて発射する。

 

「本当は遠距離戦ってあんまり好きじゃないんだけど……相手が相手だからね!」

 

時雨はモズイの目を集中的に狙って攻撃を行い、やがて砲弾はモズイの右目に直撃。

 

右目の直撃を受けたモズイは右目を抑えてもがき苦しむ。

 

『グギャアアアアアアア!!!!?』

 

右目を潰されたモズイは怒り狂い、相手の恐怖心を強制的に引き出して殆どの艦娘たちの動きを封じ込めてしまう。

 

「な、なに!?」

「動けない……」

 

そして動きを封じた艦娘たちの恐れを喰らおうと手を伸ばすモズイ。

 

『夜空!! ユナイトだ!!』

「あぁ、行くぞエックス!!」

 

夜空はエクスデバイザーを取り出し、部のボタンを押し側面のパーツをX字に展開したXモードに変形させるとエックスのスパークドールズが出現し、リードさせた後、夜空はエクスデバイザーを掲げる。

 

『ウルトラマンエックスとユナイトします』

「エックスーーーーーーー!!!!!」

 

そして夜空の身体がX字の光へと包まれ、そこから夜空が変身した「ウルトラマンエックス」が飛び出した。

 

『デイ!! ヤァー!!』

『エックス、ユナイテッド』

 

エックスは現れると同時に艦娘たちに手が届く前にモズイに掴み掛かって持ち上げ、エックスは鎮守府の外側にある森の方へと大きくモズイを投げ飛ばした。

 

『シュア!!』

 

エックスも大ジャンプして鎮守府の外側にある森の方へと降り立ち、ファイティングポーズを取って構える。

 

『グルラアアアアアアア!!!!』

『シェア!』

 

エックスはモズイへと向かって駆け出し、モズイの横腹に蹴りを叩き込もうとするがモズイはそれを左腕で受け流し、右拳でエックスを殴りつける。

 

よろめくエックスに対してモズイは口から大量の石を吐き出して攻撃を行うが……エックスは壁状に展開するバリア「Xバリアウォール」でモズイの攻撃を防ぎ切る。

 

『デアッ!』

 

そのままエックスは空中へと跳び上がって跳び蹴りをモズイへと喰らわせ、蹴り飛ばされたモズイは大地を転がって倒れこむ。

 

倒れ込んだモズイをエックスは掴み掛かろうとするが……モズイは身体を黒い煙へと変化させ、エックスはモズイを見失ってしまう。

 

『あいつ、どこにいったんだ?』

「気をつけろ、エックス!」

 

すると黒い影となったモズイはエックスに体当たりを繰り出し、エックスは身体から火花を散らしてその場に膝を突いてしまう。

 

『ガアッ!?』

 

膝を突いたエックスの前に再び姿を現すモズイ、モズイはエックスの首を両手で締め上げて持ち上げる。

 

『グウウ!!?』

「なんて怪力だよ、振りほどけない!」

「エックス!!」

 

そんな時、駆けつけた艦娘たちが一斉にエックスを援護するため、モズイに攻撃を開始。

 

大したダメージを与えることができないとはいえモズイにとってはその攻撃はかなり鬱陶しいものでついエックスから手を離してしまい、エックスはモズイの腹部に拳を一発叩き込んだ後、すぐさまモズイから離れて距離を取るのだった。

 

「エックスは助け出せたけど……ダメだ、僕たちの攻撃じゃ大したダメージが与えられない」

 

時雨は自分達の攻撃がモズイに対して効果がないことを嘆くが……そんな時、空に浮かぶ月が……雲に隠れ、月から力を得ているモズイはたちまち弱体化。

 

苦しみだして膝を突き、時雨達は今がチャンスだと感じたのだが……。

 

『グルラアアアアアアア!!!!!』

 

両腕から赤い光線のようなものを空に向かってモズイは放ち、なんとその光線は雲をかき消してしまったのだ。

 

「なっ、そんな……!?」

「どうやらあいつは弱点を克服してるみたいだね」

 

響の言うとおり、このモズイは既に自身の弱点を克服しており、モズイはすぐさま立ち上がって再び黒い煙となって姿を消してしまった。

 

「時雨!」

「えっ?」

『今度コソ、オ前ノ恐レヲ食ウ!!』

 

時雨の背後から小さくなった黒い煙のモズイが彼女に襲いかかって来るが時雨はなんとかそれを避ける。

 

しかし、モズイの相手の動きを封じる技で時雨は動きを封じられてしまい、今度こそ時雨の恐れを喰らおうと彼女へと素早く近づいて来るが……。

 

「悪いけど……」

 

今度は時雨がそれをあっさりと打ち破り、彼女は主砲をトンファーのように持って構え、近づいてきたモズイを殴り飛ばした。

 

「君に食べさせるものなんてなにもないよ」

『ガア!?』

 

黒い煙のような姿から等身大の姿へと実体化したモズイに向けて時雨は遠慮なく主砲でモズイを殴りつけ、さらには回し蹴りでモズイを蹴り飛ばした。

 

「僕の、この恐れは……二度と悲劇を繰り返さないため。 僕たちにとって恐れは……必死に大切なものを守ろうとする意思。 この恐れは強さ、そしてなによりも……恐れは……僕たちが戦う理由だ!! だから、この感情を、気持ちをお前に食わせる訳にはいかない!!」

 

時雨は響の方へと振り返り、「だよね? 響?」と声をかけると響は笑みを浮かべて「あぁ」と強く頷いた。

 

『グルア……』

 

モズイは予想外の出来事に驚きを隠せなかったがモズイは再び巨大化し、また黒い煙となってエックスに何度も体当たりを繰り出し始める。

 

『ウオッ!?』

「エックス!」

 

するとその時、時雨の持っていたジオデバイザーにグルマンからの通信が入り、彼女は慌ててジオデバイザーを取り出す。

 

『時雨、エックスとサイバー怪獣を合体させるんだ!』

「えっ……? そんなことができるの?」

『試してみる価値はある!』

 

念のために全員に持たされていたサイバー怪獣のカード、時雨はサイバーゴモラのカードを夜空から渡されており、彼女はジオデバイザーにカードをセットしてそのデータをエックスへと転送する。

 

「お願い、受け取ってエックス!!」

 

すると……エックスの中にいる夜空が持つエックスデバイザーにサイバーゴモラのカードが転送され、夜空はそのカードを手に取る。

 

「エックス、お前サイバー怪獣のカードも受信できるのか!?」

『はぁ!? ちょっと待て! なんだそのカード!?』

「確かに、エックスと一緒なら使えるのかも! 行くぞ、エックス!」

『だからなにを……』

 

夜空はエックスに聞くよりも前にエックスデバイザーにカードを装填を完了させる。

 

『サイバーゴモラ、ロードします』

 

するとサイバーゴモラの腕を模した両盾にはGの文字があしらわれ、両肩のアーマーがサイバーゴモラの角を模した形状になっている鎧……「ゴモラアーマー」をエックスは身に纏った。

 

『サイバー ゴモラアーマー、アクティブ!』

 

ゴモラアーマーを纏ったエックスにモズイは少し驚いた様子を見せるが……構わずモズイは黒い煙となってエックスに攻撃を繰り出すが……。

 

全ての攻撃をゴモラアーマーが弾き返し、さらにモズイは弾き飛ばされてそのまま実体に戻りながら吹き飛ばされる。

 

『グアアアア!!!!』

 

負けじとモズイはエックスに駆け出して襲いかかって来るが両腕の爪を構えてエックスはすれ違いざまにモズイを斬りつけ、さらに大きく振りかぶって右手の爪でモズイを斬りつける。

 

『シュア!!』

 

身体中から火花を散らしてフラつくモズイ、モズイは口から石を吐き出して攻撃するがエックスは両腕の爪からバリアを発生させて攻撃を防ぐ。

 

『いいな、これ! 気に入った! ちょっと重いけどな』

「あぁ、一気に行くぞエックス!」

『おう!』

 

エックスはモズイに向かって駆け出し、勢いをつけて爪でモズイを殴りつけ……勝ち目がもうないと悟ったモズイはあの海の中へと逃げ込もうとするが……エックスはそれを逃がさない。

 

『ウオオオオオオ……ハアアアアア!!!!!』

「ゴモラ振動波!!」

 

エックスは両腕から放つ青い光線「ゴモラ振動波」をモズイに向かって放ち、ゴモラ振動波を受けたモズイは粉々に砕けて爆発した。

 

エックスはゴモラアーマーを解除すると時雨たちの方へと顔を向け、彼女達にサムズアップするのだった。

 

それに対して時雨たちもエックスに向かってサムズアップし、エックスは空へと飛び去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いを終えた後、夜空はエックスの姿から元の姿に戻り、鎮守府の人気のない場所へと降り立った。

 

『しかし、あのモズイっていうのはなんだったんだろうな? スパークドールズにならなかったぞ』

「少なくとも……邪悪な存在、なのは変わりないだろう。 奴は恐れを喰らう……ってことは恐れを喰らわれた戦士は人間らしいという感情を失って行った。 ツクヨの兵士はそのことに気づいてモズイを鏡の中に封じ込めたんだろうな」

『成る程……』

 

夜空は「さて、後始末が大変だ」と少し落ち込んだ様子でトボトボと歩き始めようとした時。

 

「そういうことですか……」

「えっ?」

 

夜空の後ろから声が聞こえて振り返るとそこには……奈々が立っていたのだ。

 

「あなたがウルトラマンエックスだったんですね、提督……」

 




モズイをボコる駆逐艦の図w

今回登場したモズイはダイナ本編で登場した個体とは違い、弱点は同じであるものの雲を払いのけたり、相手のトラウマを強制的に思い出させたりする能力が追加されてます。
ちなみにサイバーカードとジオデバイザーは鎮守府メンバー全員が念のためということで所持。

ギンガとビクトリーが登場したのは前作とのバトンタッチ的演出兼ギンガの方のGX編の前触れ的なやつです。
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