Fate/GO サーヴァントの居る日常   作:コードα

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序章
日常の終わり、非日常の始まり


システム・フェイトの暴走が齎したサーヴァントの現界、ソレはジャンヌ一人という訳ではなかった。

 

深夜の小学校にその不審者はいた。

 

ピエロのような、ソレで居てみるものに恐怖を与える風体のソレは、子供の大勢集まる

小学校に細工を施していく。

 

「・・・・ここなら穢れを知らない子供たちが大勢居ますからネェ!高純度の魔力を期待できます!」

 

邪悪な笑みを浮かべ、細工をするその顔はまさに悪魔そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『続いて次のニュースです』

 

テレビでニュースキャスターが原稿を読み上げている。

 

「カズマ、どうしたんですか?」

 

「いや、最近物騒になったと思っただけさ」

 

ジャンヌと契約し、一週間が経った。

 

ニュースでは、学校や駅、ショッピングモール・・・酷い時にはある一点を中心に半径200メートル間で大勢の人が意識不明の重態で見つかる事件が相次いでいる。

 

「そうだな。ここら辺じゃ何も起きては居ないが」

 

「二人共、気をつけてね?」

 

両親は両親でそういうだけ。

 

実際、一番危険が及ぶのは両親なのだが、サーヴァントの仕業である思っているカズマとサーヴァントの仕業であると確証を持っていてもサーヴァントを察知できずに居るジャンヌは歯がゆく思っていた。

 

「そう言えば、カズマは何時仕事が再開になる?」

 

「分からない。正直、皆まだ回復してないだろうし。工場が稼動できない以上仕方ないだろ」

 

今、世間の話題を攫っている事件は三件目である。

 

昨日の二件目の被害、そこにカズマの職場も含まれていた。

 

どういう訳か、どっと疲れる程度の軽症で済んだカズマは駆けつけたジャンヌと供に発生源を辿った。

 

ある駅の外壁に刻まれた奇妙な文様。

 

そして、重油を被ったような真っ黒な影が守っていたのだ。

 

サーヴァントとしてのジャンヌを見たのはこの時が初である。

 

腰の剣を抜き、黒い影を切伏せていく。

 

一瞬の出来事、瞬きする間で終わった戦闘。

 

「くっ、数が多い!」

 

苛立ち気にジャンヌが吐き捨て、影を切伏せる。

 

「確かに、どういう訳・・・・・成る程!!」

 

「ちょっ、カズマ!危険です!!」

 

影と戦うジャンヌの間を縫うようにカズマは駆け出した。

 

驚き、叫ぶジャンヌは前進しようにも真っ黒い影が邪魔で進む事ができなかった。

 

紫の光を放つ文様、そこまで行き着いたカズマは腰から拝借してきたナイフを取り出すと文様を傷つけた。

 

「カズマ!」

 

ジャンヌが叫ぶ。カズマの背後まで迫った黒い影、ソレは最後に敵を見るような双眸を覗かせると身体をくの字折った。

 

 

 

雷迅一閃。

 

 

 

黒い影をジャンヌの手にしていた旗の支柱が貫く。

 

「無茶をしないで!死にたいのですか!?」

 

「そうは言っても、ジャンヌも厳しいだろ?」

 

光を失った魔法陣、ソレを指差しながら怒鳴っているジャンヌに言うカズマ。

 

下級使い魔との戦闘になった先日、優しいジャンヌは破天荒なマスターの行動に怒りを覚えた。

 

行き成り現れた自分(サーヴァント)を受け入れてくれた(マスター)を危険にさらしたくなかったのだ。

 

それなのに、死ぬかも知れないのに恐れて逃げ出すどころか戦場を駆けた。

 

ジャンヌは後に、カズマと口論になって見かねた母親の一言に信じられないといったような表情になる。

 

それを見たカズマは口を開く。

 

「一度汚している手だ。そんな手で誰かの命を拾えるなら、安いもんだろ?」

 

カズマの過去は知らない。

 

ジャンヌが知っているのは、カズマの母から聞いた話だけ。

 

「・・・・・私の力は完全なものではない。だから、お願いします。マスター(・・・・)

 

ジャンヌは自身の状態、クラスの能力をフルに活用できない現状から観念した。

 

これが通常の召喚で完全な状態ならジャンヌも譲らないところなのだが、

 

「なら、今起きている事件を解決して見せろ」

 

玄関から聞こえた聞きなれぬ声に、視線を投げると其処にはボストンバックを持った女性が一人。

 

「誰?」

 

「そうだな、そこのサーヴァントを回収しに来た者だ。」

 

「っ!?」

 

ぎょっと目を見開いて驚くジャンヌ。

 

冷静に考えれば当然の処置だと思う。が、最近聞きなれた声に思考の海から引き上げられる。

 

「断る」

 

「さっすが、戦場経験者だけある。即答とはね」

 

緋色の髪をポニーテールに纏めた女性は口角を持ち上げながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

魔術教会は派遣するよりも現地に近い所に在籍している魔術師にサーヴァントの回収を命じた、と言うのが荒谷草子と言う女性がカズマを尋ねた経緯である。

 

そして、魔術教会は偶発的にマスターとなったカズマの経緯を調べ上げ、先日の戦闘も見ていたかのように詳細を草子へ伝えている。

 

「魔眼も持ち合わせないんじゃ心もとないだろう?コレを使え」

 

橙子がボストンバックから拳銃を取り出して、投げて寄越す。

 

「ソーコム・・・・何でこんな物を?」

 

怪訝に思うカズマはジャンヌの前に出ながら尋ねる。

 

「既に契約が済んでいるサーヴァントならマスターもと言う話だったが、気が変わった。」

 

「貴方は魔術教会の使いではないんですか?」

 

そう言ってタバコを銜える草子へジャンヌが問うた。

 

「封印指定されているがな。私は頼まれただけだ、お前等が今回の事件を解決する気なら、非力なマスターに霊装の一つもくれてやるつもりだった。」

 

「取り合えず、アンタはジャンヌを連れて行く気がないって事で良いんだな?」

 

「ああ、どちらかと言うと見える程度の魔力(チカラ)でそんな高位の英霊に選ばれたお前に興味が沸いた。戦場経験者ならその手の物の扱いは慣れているだろう?」

 

「ああ、まぁ・・・」

 

「なら、後はお前の魔力量で最大弾数は決まる。」

 

「どう言う事ですか?さっきの話ではカズマも連れていくように指示を受けている様に聞こえましたが」

 

睨むように見ているジャンヌが草子へ尋ねる。

 

「言ったろう?気が変わったんだ。私はね、面倒が減ればそれで良いんだよ」

 

そう言うと草子は踵を返す、霊装を組み込んだソーコムピストルを残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、あいつ等は解決しようと動くよ」

 

荒谷草子はとある場所に電話を掛けていた。

 

相手は魔術教会の牧師、簡単に言えば地方の支部を纏めている人物だ。

 

『何故、そう言い切れる?』

 

受話器の先から聞こえたのは案の定疑念の声。

 

「私の感だ。サーヴァントは救国の聖女だしな。霊装もくれてやったからコレでマスターが足手まといって事はないだろう」

 

『・・・・・荒谷、お前仕事を押し付ける気か?』

 

「さぁ?どちらにしろ真価が見られるぞ。聖女の相方を務めるアイツのな」

 

荒谷草子は電話を切るとパタンとガラゲーを閉じた。

 

そして、暗黒の空に光を放つ月を仰ぐ。

 

「さぁ、忍者と呼ばれた異端児よ。英霊相手に何処まで戦えるか見せてくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチカチッ。

 

カチカチカチと人気のない林に音が響く。

 

同時にパスッ!と空気の抜ける音が平行して響き、ソーコムを構えて引き金を引き続けるカズマとカウントするジャンヌの姿があった。

 

この林は、墓地と鉄屑業者の置き場に挟まれている事もあって滅多に人は立ち入らない。

 

物好きなサバイバルゲームマニアなら時々立ち入ってサバゲーに興じているようだが、今は早朝ともあって二人だけだ。

 

カチッ!と乾いた音が響いたところでジャンヌはカウンターに目を落とす。

 

「3600発です。凄いですよ!」

 

「その弾数を補填する魔力(チカラ)があったてことか。しかし・・・」

 

「どうしたんですか?やっぱり大量の魔力を消費する行動は辛いですよね!?」

 

「いや、そうじゃないんだ。ジャンヌ、コイツ(霊装)を持ったせいでより“はっきり見えるよう”にレベルアップしちまったみたいだ」

 

カズマがそう言うとジャンヌは少し顔を青くした。

 

「・・・・カズマ。それはまさか?」

 

「あ、相手には見えない部分がアドだと思う事にしよう。帰ろうぜ?流石に眠いわ」

 

「わっ、押さないでください!」

 

ジャンヌの背を押しながら、しこたま弾を撃ち込まれ、蜂の巣になった木の陰に立つ半透明の老婆に視線を向ける。

 

ずっと昔に死別した母方の祖母だ。

 

祖母の視線は心配の色を宿していた。が、後から現れた半透明の男性が並ぶ。

 

母方の祖父、死別してから一度だけ夢枕に立ってくれたことがあった。

 

祖父の視線からは、暖かさを感じた。

 

(ごめん、片付いたらちゃんと墓参りに来るよ。ジャンヌと一緒に)

 

カズマは内心見守ってくれ居た二人に謝罪し、林を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

魔力回路、それは魔術師が魔術を行使する時に使用する回路の事。

 

そして、そのスイッチのオン/オフは魔術師たちによって異なる物だ。

 

口に出さなければならない奴や念じるだけで切り替えられる者。

 

カズマは後者だ。

 

魔術霊装(マガジン)を装填したソーコムで“戦う”と思うだけで、回路のスイッチは入り、弾丸を生成する。

 

草子が残したのは、保有魔力と言う制限はあるがマガジン交換を必要としない無限弾丸(インフィニット・バレット)だった。

 

「カズマ、もう無茶はしないでくださいね?」

 

マガジン挿入部にはマガジンが当たり前ながら入っている。が、そのマガジンは白く、文字が刻まれている弾層型の別物だ。

 

「カズマ、聞いているんですか!?」

 

弾が尽きることは先ず無いと思っていいだろう、尽きる=戦闘不能に近い状態になる。

 

魔力が切れるってのは酷く疲れるんだ。

 

例えるならそう、高山病みたいな・・・・。

 

「カズマ!!」

 

「うぉう!?」

 

ジャンヌが耳元で大声を出した事に驚くカズマ。

 

「その調子だと聞いてませんでしたね?」

 

「ああ、何?怖いとか?」

 

ジト目のジャンヌにおどけてみせるカズマ。

 

夜の小学校、ソレも古い校舎ってのはそれだけで不気味だ。

 

そんな古めかしい校舎の屋上に二人はいる。

 

「違います!無茶をしないでと・・・・」

 

「ああ、しないよ・・・・早く済ませて帰ろう。敵が本当に細工しているとは限らないんだからさ」

 

カズマはおどけた様子を崩さずにドアノブに手をかける。

 

「空返事ですよね、今の。」

 

「分かってきたじゃないか、俺の対応も」

 

「ええ、伊達に貴方のサーヴァントはしていないので」

 

「どした?」

 

カズマの後ろにで立ち止まるジャンヌ、甲冑姿なだけに違和感がハンパない。

 

と言うか、小学校の屋上に黒い竹長コートを羽織って拳銃で武装した青年と甲冑姿の美女・・・違和感しかない。

 




時系列はアルカデアにマスター候補を選出している最中、カルディア爆発前になります。

キャラ紹介

・荒谷草子

封印指定を受けている魔術師、外見は蒼崎姉妹の姉のほうに近い(空の境界ルックス)。

システム・フェイトの暴発で召喚されてしまったサーヴァントの回収及び封印が魔術教会の出した指令である。

しかし、サーヴァントの起す事件をジャンヌとカズマに解決させようと装備・霊装を与える等魔術教会の意に反する事もしていて本人の真意は謎。

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