ジャンヌは疲れたのか助手席で寝息を立てている。
まぁ、仕方ないと思う。
入った店の店員が頑張りすぎたのだ。
「この子に似合いそうな服を見繕って」
カズマがそう言うとソレから数時間、ジャンヌは着せ替え人形状態だった。
結局買ったのはその幾通りから数着、それでも店員は良い仕事した!と表情で語っていた。
「しかし、こうしてるとサーヴァントなんて言っても誰も信じないよな。」
寝ているジャンヌを見て、苦笑しながらカズマは一人呟いた。
自宅付近まで来た時、目を覚ましたジャンヌは眠気眼を擦りながら言った。
「ごめんなさい、寝てしまったみたいで」
「気にするなって、慣れない事ばかりで疲れたんだろう」
車庫に車を止め、降りたところでジャンヌと二人ががりで買った衣類を運ぶ。
何と言うか無駄にかさばるよね。
そして、夕方。
「キャスターは退いたんだよな?」
「はい、人に目撃されるのはやはり避けているように思えます。」
今で作戦会議をしていた。
簡単な話、キャスターと久坂は恐らく警戒してくるだろう。
警戒ならまだマシだ。殺人鬼の思考なぞ想像もつかないが、こちらを消しに来る事もありうる。
「そりゃ、久坂は指名手配犯だ。今のご時世何処に監視カメラがあるかも分からない・・・迂闊には動かないだろう。それに腕と足を撃ち抜いてる。」
「確かに、キャスターのマスターは動けないかもしれません。ですけど、キャスターが治療する事・・・・或いは」
「できれば前者であって欲しいね、こっちも迂闊に姿を晒さないつもりだし。」
カズマはそう言うとお茶を啜る。
「ええ、こちらも迂闊には動けません。最低でもカズマの傷が癒えるまでは」
ジャンヌは真剣な表情で言う。
「最悪、後二日は何事も無く行きたい。」
頷きながらカズマは同意し、時計に目をやる。
時間は六時を回った所、夕飯の支度をするには丁度良い時間帯だ。
「取り合えず、飯を作ろう。すきっ腹じゃろくな事しか考えられないし」
「なら私が・・・」
立ち上がったカズマを追う様にジャンヌも立ち上がるが、カズマは手で制止する。
「いや、今度は俺が作る。まぁ単調な物になるけど」
「・・・・分かりました」
何処と無く落ち込むジャンヌ、カズマがこういう反応を取るのは何と無く理由に心当たりがあるからだ。
ジャンヌとしては食べてもらえた事は嬉しかった。が、自分でもどうしてこんな状態になったのか分からないのだ。
料理とは、ある種の魔術だろうか?と思ってしまうほどの変貌っぷりに驚くばかりだった。
「そだ。これでも読んでて。」
カズマが顔を出すなりジャンヌに手渡したのは料理の基礎本。
「これって・・・」
「次、期待しているかね。」
引き戸の先から聞こえたその言葉を聴いてジャンヌは本を開いた。
(見返してやりますとも!)
と思いながら。
『続いて、次のニュースです。在日米軍基地より多数の銃火器が盗み出される事件が発生、監視カメラに犯人と思われる人影が記録されており、警察は米軍と協力して映像の解析と捜査を・・・』
インスタントってこういった時には非常に助かる、と思っていたカズマは、テレビから流れるニュースを聞いて手を止めた。
久坂が装備の強化を図った?まさかね、と思いながら盛り付ける。
因みにインスタントラーメンに野菜炒めを盛り合わせ、本を読み続けるジャンヌの表情は真剣そのものだ。
(・・・・アレ?変な地雷踏んだ??)
呼ぼうとしたカズマはジャンヌの様子を見てそう思った。
「サーヴァントの発見記録を魔術教会と共有・・・ですか?」
素っ頓狂な声を出したのは可奈、電話の相手は上司に当たるレフ教授である。
人類史の保管と存続を第一に、人生をささげる魔術師・・・・そう記憶している。
『ああ、封印指定されてはいるがキャスターの動向を捉えている荒谷草子女子がその役目を拝命している。彼女が雇った傭兵と言う青年も偶発的にルーラーのサーヴァントと契約を果たしていると聞いているから尋ねてみると良い。住所はメールするよ』
「いや、私・・・・やっぱり殺し合いとか怖いですよ?」
『大丈夫だ、ルーラーのマスターはその手のプロだろう。戦いはセイバーとルーラー、傭兵に任せてキミは隠れていると良い。兎に角協力的な人物らしいからね。こちらのマスター候補にも上げておいた。今度連れて来てくれたまえ』
可奈はこの数ヶ月で知ったことがある。
レフ教授と言う人物は変わり者で頑固だと。
「・・・はぁい」
可奈は気乗りないが、送られて来た住所を調べてみる。
住所さえ分かればインターネットで電話番号を知るのは容易い。
まったく、便利になったものである。
「・・・・・・リリィ、ちょっと小学校の卒業アルバムとって」
「はい、コレですね」
リリィが取ってきた卒業アルバム、そこの卒業生のクラス名簿に傭兵の電話番号はあった。
「うわぁ、アイツ何やってんの?工場の正社員になるんじゃなかったのかよ」
「どうしたのですか?何をそんなに項垂れているのです?」
思わず吐き捨て項垂れる可奈にリリィは尋ねる。が、答えは返ってこなかった。
「朝から懐かしい奴が電話呼び出ししてきたと思ったら・・・・何でサーヴァントなんて連れてんだ?篠宮」
「そう言うお前は何でルーラーのマスターやってんのよ?」
早朝、カズマは級友だった(いじめっ子だった女子)篠宮可奈から前触れも無い呼び出し電話に警戒しつつ、指定された場所に行くと可奈はリリィと供に待っていた。
カズマが警戒している以上、ジャンヌも言わずと臨戦態勢で並んでいる。
「知るか。ジャンヌが俺の上に落ちてきたんだ。」
「そっ、それじゃあ嬉しかったんじゃない?そんな美少女が落ちてきたんだから」
「ちょっ!?」
「可奈、何を言っているのですか?」
カズマがそう言うと見透かしたような表情で可奈が言った。すると何を想像したのか頬を赤くして言葉をつまらせるジャンヌ。
可愛らしく首を傾げるリリィは、その冗談についていけていないらしい。
「で、用件は?嫌味だけなら的になってもらうが」
「やっぱりアンタ、小学校の一件と絡んでるだ?」
引っ掛けられたと思った時にはもう遅く、コイツは苦手だと思いながらカズマは観念した。
「初めまして、ようこそカルデアへ」
可奈に連行(誤字にあらず)された先はセイント・カルデア。
広大な土地を有する教育機関で、ちょっとした街に見えるのがカルデアの航空写真だ。
その東端にある研究棟へ通されたカズマを迎えたのはレフであった。
「・・・・どうも。」
「聞いていた通り、戦闘と潜入に精通しているみたいだ。やはり、ルーラーのマスター
をしているだけはある。魔力量の一般人のソレと比較しては失礼だな」
「レフ教授、勝手に分析しないでください。部外者を呼ぶ理由なんて」
「端的に言うと私たちの不手際で巻き込んだ事だからね、戦力増強やフォローをしようと思う」
この時、カズマは思った。
(フォローはありがたいが、試運転にでもつき合わせるのか・・・・・?どちらにしろ、裏があるな。)
と。
更新に間が開いた。
決してダンボールを被っていたわけでは無い。
・・・・・・・・メタギアやってました。
さてはて、サーヴァントが増えるわけですが、レフのシステムも試運転無には完璧にならないと思ったわけです。
なので、試運転でカズマの契約サーヴァントは増えていきます。
基準は作者のパーティ事情となります。