Fate/GO サーヴァントの居る日常   作:コードα

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ジゴクからの脱出

戦力増強とフォロー、それはカズマにとってもありがたい申し出だった。

 

ジャンヌだけでも恐らくは負けない、久坂との戦闘にもカズマは傷を負わずに無力化する自信はあった。

 

先日の一戦で互いの力量が知れたから。

 

可奈の下にセイバー・リリィが現界している点も含めて、恐らくキャスターを止めようと動いているサーヴァントは二組。

 

数ではこちらが有利だ。

 

そう、数と言う意味では・・・・。

 

次に戦力増強についてだ。

 

レフの言う戦力増強、ソレはシステム・フェイトを用いたサーヴァントの補充。

 

現状では断っておいた。

 

理由として“銃器強奪犯”が久坂である場合、こちらはハンドガンで対抗しなければならない。

 

弾数は圧倒的に優位でも射程距離を外されてはどうしようもないので、もしもの時にあわせて対策が必要だし、無闇にサーヴァントを増やして弾数を減らすわけには行かないと思ったからだ。

 

「私を当てにしないでね?」

 

「当たり前だ。安心して良い。」

 

可奈は戦力外として考えて良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

可奈は帰宅して直ぐに異変に気がついた。

 

先ず、昼時になってしまったにも拘らず人の気配が見られない。入り口のオートロックは開いたまま、極めつけは・・・・。

 

「何、アレ?」

 

可奈には気がついていないが頭部を羊、其処から下は人型の何かが我が物顔で歩いている。

 

その手には、棍棒が握られている。

 

「可奈、ルーラーのマスターの連絡先は分かりますよね?」

 

「リ、リリィ?」

 

「アレは悪魔の眷属です。こんな事をする事ができるのは一人しか思い当たらない。」

 

無垢な笑顔から、真剣な表情で剣を構えるリリィの言葉に先ほどの会話が脳内で再生された。

 

 

敵はキャスターと殺人犯の久坂、久坂は手負いで直ぐには動けない怪我だ。攻めるなら今・・・これが俺とジャンヌが遭遇して作り出した状況だ。

 

 

 

「・・・殺人犯とサーヴァントが攻めてきた?」

 

一つの解が可奈の中で生まれる。

 

「ヒヒッ!ジャンヌかと思えば違うサーヴァントとマスターですかぁ!?」

 

後ろに立つキャスターは断ち切り鋏を振り上げる。

 

「可奈!」

 

リリィの悲鳴に近い声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キャスターが、使い魔を放ったようだ』

 

帰宅して直ぐに、草子からカズマのスマフォに一報が入った。

 

何時もの黒い上着とベルトと一体型のホルスターにソーコムを差込、カズマは最低限の装備を整えながらさらに情報を求める。

 

「で?こんな六月の真昼間に行動を起すんだ。久坂もバカじゃない・・・陣地か結界が展開済みだろ」

 

ジャンヌと視線を交わし、車に向かう。

 

『良い読みだな、人避けと・・・・驚いた。対極を取り込む結界の二重だ。サーヴァントとマスターには殆ど無害だが、不味いな』

 

「何が?」

 

『十三年前の事件を覚えているか?』

 

キーを差し込みながらカズマはその問いに記憶を掘り返す。

 

当時、世間で一番関心を集めた事件。山村でたった一人を除いて集落に居た人間が“何者”かによってチェーンソーや鋭利な刃物で惨殺されたと言う事件だ。

 

逮捕された男は身に覚えが無いと犯行を否定。しかし、決定打となったのは郵便局の監視カメラの映像だったと記憶している。

 

「ああ、ソレが?」

 

『その山村で起きた事件はね、荒谷と言う対極を取り込む事を夢見た愚か者が起した大規模な魔術を試行した結果、役者は繰り返し演じていた』

 

「分かりやすく簡潔に頼む,後現地が何処かも」

 

カズマが切ろうとした時、信じられない言葉が聞こえた。

 

『端的に言うとね、殺される瞬間・殺す瞬間を繰り返していたんだ。外部からの干渉がある間ずっと。篠宮可奈は魔術影響一番低かった、その凄惨な現場を隠れていたとは言え見続けてしまった。君でいう戦場(ジゴク)を逃げ出す事も敵わずにね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

可奈の視界にフラッシュバックする光景、刃物を持っていきなり押し入ってきた男は無造作に扉ごと父を貫いた。

 

「・・・・・・いや」

 

「入って、早くっ!」

 

白いワンピースを赤く汚したリリィが可奈を隠れるように急かす。

 

自分の部屋まで逃げられたのは、可奈にとってはトラウマを掘り起こすだけだった。

唸りを上げて肉を裂く、鮮血が舞う。

 

「いや・・・いやぁ!」

 

可奈は頭を抱えてそう繰り返す。

 

扉を閉めたリリィは廊下で剣を下ろして荒い息を整える。

 

「サーヴァントの気配がもう一つ・・・・コレはルーラーの!可奈、落ち着いてください。救助がきたかもしれません!!}

 

リリィが言うと答辞にドアを叩く音が聞こえた途端、窓ガラスを破る人影をリリィは捉え、剣を構えた。が、直ぐに剣を下ろす。駆け込んできたのは救国の聖女と黒衣の青年。

 

「待たせたな・・・・・・ってジャンヌも大概無茶するね!?」

 

 

 

 

 

 

 

現場となるマンションに着いたカズマとジャンヌは先ず闊歩する悪魔が通路と階段を塞いでいる事に頭を悩ませた。

 

「どうしますか?戦闘は必死のようですけど・・・」

 

ジャンヌは旗では不利と悟ったのか腰の剣に手を伸ばす。

 

剣でも一回のロビーを過ぎればかなり動きを制限されてしまい、不利に変わりは無い。

 

何かを見上げているカズマは、ジャンヌの問い掛けに首を捻って口を開いた。

 

「ジャンヌ、セイバー・リリィの気配は?」

 

「あ、はい。屋上は恐らくキャスターでしょうから、三階の物でしょうね」

 

「でさ、三階までよじ登れそうな排水パイプを見つけたわけよ」

 

「まさか・・・駄目ですよ?よじ登るなんて危険です。第一、カズマの体重を支えられ

る保障なんて・・・・ああ、こうすれば早いじゃないですか!」

 

カズマが答えるとジャンヌは否定的な言葉を吐いた後自己完結。

 

「は?何をする気ですか!?」

 

「何って、カズマを支えながら跳ぶんですよ。」

 

嫌な予感しかしないカズマを他所に、ジャンヌはカズマの腰に手を回しすと思いっきり跳躍。

 

三階どころか五階まで一度は到達し、緩やかに落下しつつ三階のとある部屋に転がり込む形で窓ガラスを破る。

 

そこには、パニックになっている可奈とリリィがいたのだ。

 

つまり、ジャンヌは狙って跳んだ。

 

「待たせたな・・・・・・ってジャンヌも大概無茶するね!?」

 

「カズマほどじゃありませんよ、もう一人で無茶はさせませんから。そのつもりで」

 

「・・・ジャンヌが言ってたのってコレか。で、二人は無事・・・・じゃあないね」

 

カズマは手早くソーコムのセーフティを外し、可奈とリリィを一瞥して呟いた。

 

「カズマ!」

 

「まったく・・・・篠宮、お前何時の間にファンクラブなんて抱えたんだ?」

 

まるで、道端で偶然会ったよう友人に話しかけるようにカズマは泣きじゃくり、怯えている可奈へ尋ねながら引金(トリガー)を引いた。

 

「ひっ!・・・だっ!」

 

「あん時の、俺を罵った時の態度は何処行ったよ?」

 

「凄い、これが傭兵の力ですか!」

 

「リリィ、感心している場合ではありません。先ず退路を確保しないと」

 

ドアを破り、雪崩れのように流れ込んできた眷属の足を撃ち抜き横転を誘発。後は将棋倒しの要領でちょっとしたバリケードの出来上がりだ。

 

「ほれ、行くぞ。先ずは退く」

 

「何処に!?安全な場所なんて「無いね」っ!!」

 

「だから、取り合えず逃げ出すんだよ!リリィ、下のワゴンまで篠宮を抱えて跳べっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上で久坂はタバコを吸っていた。

 

目標であるカズマは自動拳銃で武装していた。

 

今回、キャスター・メフィストに命令して奪わせた銃器で武装した自分のほうが圧倒的に優位。

 

もう一つの気配は金紗の髪をした剣の英霊、マスターは一見して分かった。

 

あれは戦力外だろう、使い魔を見ただけでパニックを起して座り込んでいた。

 

「おい、メフィスト。奴は逃がすなよ、小娘はどうでも良い」

 

奪ったM4カービンのセーフティを外すと体制を低くし、躍り出た白いセイバーと篠宮可奈を見送る。

 

「勿論さ、マスターァ・・・まぁジャンヌ・ダルクを殺せれば私はソレデェ良い!!」

 

背後でコンクリート製の床に溶けて行くメフィスト、メフィストの姿が消えた時、久坂はスコープを覗いて狙いを絞った。

 

「さぁ、何時ぞやの仕返しだ。存分に受け取っていけっ」

 

その台詞は響いた銃声にかき消される。

 

 

 

 

 

カズマは反射的にジャンヌを突き飛ばし、自分も窓際の壁に身を隠す。

 

刹那、銃声が響き渡って数秒前まで居た場所を蹂躙した。

 

「カズマ!?」

 

「ああ、まったく良いセンスしてるっ!!」

 

右腕に走る痛みを堪えながら、様子を伺う。どの道、ベランダ経由しか道は無い。

 

順路となる玄関は、使いまで溢れかえっている。

 

「カズマ、腕から血が!」

 

「ジャンヌ、ソレよりもかなり不味い状況だよね・・・・戦力増強受けとけば良かった。あ~痛ぇ」

 

僅かに顔を覗かせると丁度二の字を描いたマンションの向かいの棟の屋上から撃って来

ている。無駄に狙いが正確で助かった。スコープの反射が見て取れたが、さて、どうした物か。

 

(逃げるにしても狙い撃ち・・・正面突破はかなり厳しいときたか)

 

せめて、煙幕になる物があればとカズマは思う。

 

すると、スマフォに着信が入った。

 

相手は、篠宮可奈。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、逃がされた。

 

あの時と一緒、誰が着てくれるのを待って、泣いていただけ。

 

後輩に尊敬されるような、リリィに契約してもらえるような人間じゃないんだ。

 

「あの時の、俺を罵ってた時の態度は何処行ったよ?」

 

Drロマンから聞いた藤宮の過去、幾ら罵倒してもへらへら笑って斜め上を行ったアイツ

 

は私と違って強かった。

 

そうだ、昔から強かった。

 

「可奈、こちらに!」

 

我に返るとリリィが、アイツのワゴンの陰に私を移動させる。

 

「あい、つは?」

 

「なにやら音が聞こえた途端、ルーラーとそのマスターも隠れてしまいました。」

 

「そっか・・・・・リリィ、一つお願いがあるんだ。」

 

強かったアイツがうらやましかったと篠宮可奈は自覚した。

 

藤宮カズマは戦場と言うトラウマを克服して助けに来た。

 

なら、逃がされた私もあいつが逃げるチャンスくらいは作らないといけない。

 

可奈はスマフォを取り出すとコールすると同時にリリィに初めて指示を出した。

 

「リリィ、あの銃撃を妨げて!二人が降りてきたらカルデアに向かうよっ」

 

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