いならぐれオーバードライブ!   作:たんぺい

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第二十話:電達の休日なのです!

キサラギと駆逐棲姫がクラスに馴染んでから数日。

その日は、休日だった。 

 

 

そんな休日の過ごし方は皆それぞれだった。

 

外出許可を取り街へ向かう者、勉学に励む者、自己鍛錬に励む者…

あるいは、そう…

 

「まったりごろごろするのです」

「そうねぇ…」

 

電と如月のように、まったり過ごす者も、当然居た。

 

 

 

…暇なのです…

…予定、立てて無いしねえ…

 

2人は、大きな欠伸をしながら、休憩室のソファーに腰掛けて、窓の外を眺めつつたわいない会話を繰り広げている。

だが、本当に何もない為に、話題がすぐ尽きてしまった。

そこで電は、何か面白い事あったっけ?と促してみる。

 

しかし、如月が答えた回答は、最近の睦月の挙動が面白いっちゃ面白いぐらいとしか返さない。

…そりゃあ、私もよく知っているのです、と電は返した。

 

如月はそんな電に向けて逆に質問した、お前こそ何か面白い事知っているか、と。

 

電は、まあ如月も知っている通り、山城への時雨の態度が面白いってレベルじゃない、と返す。

…何で、こう、時雨は山城さん相手だとああなのかしらぁ、と如月は頭を抱える。

 

そして、2人は一様に顔を見合わせて、ため息をつく。

…下手したら悪口合戦になるだけだから、もう止めよう、と。

 

 

それから…如月の方が、暇に耐えられなかったのだろう。

こてんと、いきなり如月が目を閉じて顔を俯かせる。

電が回り込んでその様子を見て…呟いた。

 

…改めて見たら、如月ちゃんの寝顔がかわいいです、と。

 

そして、何だかいけない欲望がムラムラと電の内心から湧いてくる。

幼い体躯に見合わぬ妖艶さ、幼い姿に見合った可愛らしさ。

思春期特有のソレを…如月は先天的に持っている少女である。

それが、無防備に晒されて…まるで、一輪挿しの花のように佇んでいる。

 

…何だか、手折りたいのです

 

キスから先も知らない癖に、電はいけない感情に流されそうになる。

そう…今なら、如月に何だってできるだろう。

 

それに、電自身に深い知識が無いのでまとまった答えが頭に出てこないが…なんとなくわかる。

以前言った、『痛いのは嫌』と言うのは、嘘なのだ、と

 

そう、如月やその師の羽黒は…わりと、本質的にはMっ気の強い気性ではあった。

と言うか、本当に自分が限界になるまで痛みから目を背けて、ちょっと自分に優しくされるところっと許してしまう…

下手したらDV男にひっかかりやすいタイプだったのかも知れない。

 

付き合いが長いだけに、電は如月のそう言う駄目な部分も知ってはいたのだ。

それだけに…ふつふつと、如月へのいたずら心が湧いてきてしまった。

 

 

そして、ついに電は…意を決したような表情をしながら周囲を見渡す。

 

キョロキョロと、万引き犯か何かの様な挙動を取り…そして、ついに動く。

そして、電は如月にくっつく様に座り、如月を…

 

「…良く、眠れますか?如月ちゃん…」

「…すぅ……」

 

膝枕、させていた。

 

そして、電は如月の体を優しく撫でながら、彼女の安眠を邪魔しない程度の小さな声で言った。

…やっぱり、手折ったらいけない花もあるのです、と。

 

それから…電も眠気に勝てなくなった。

ふわぁ、と欠伸を小さくし、如月を膝枕しながら、自分も眠りだす。

 

そして、如月は起きてるのだか寝言だかわからない、小さな声をあげた。

…ありがとう、電ぁ、と。

 

 

それから、半刻程が経ち…如月がふと目を覚ます。

何か横になってる…と言うか、柔らかい……

なんて、寝ぼけた思考で自分の現状を確認すると、不意に思考が覚醒した。

 

何で電に膝枕されるのか?と。

 

慌てて飛び起きようとするが…何だか電の膝が心地好すぎる。

柔らかいしあったかい、頭を乗っけるのに最高だ。

それから…何より、電を肌で感じれる距離だった。

 

…今回だけなんだから馬鹿ぁ…

 

如月は内心言い訳しながら、黙って膝枕されつづける事に決めた。

その如月の顔は、なかなか嬉しそうだったと言う。

 

 

そんな2人だけの時間、2人だけの世界。

平和な海を掴んだ2人の艦娘の、何気ない宝物だったと言う。

 

 

 

 

…一方、同時刻、東京湾某所…

 

 

「…ついに、追いつめたよ!」

 

時雨が、ある艦娘を睨みつける。

時雨だけではない…夕立やヴェールヌイ、磯風と言った武闘派の艦娘達が、その艦娘を睨みつけていた。

その視線の先には…

 

「な、何故私の居場所が…!?」

 

何故か扶桑が、立っていた。

 

怯えるような表情で時雨達を睨む扶桑に対し、実に時雨は呆れた表情で言った。

…連絡先を妹の方の携帯番号で担当さんに教えて、逃げるのはずっこいよ、と。

 

「…な、なんでなの?完璧な作戦が…山城、さては話を合わられなかったわね!?」

 

扶桑はこんな具合で、まだ直に会った事すらない妹へとキレつつオロオロするか…

時雨達は、実に呆れた顔で扶桑をみていた。

そして、一斉に突っ込んだ。

 

「いや、妹のせいにしちゃだめだよね!?」

「全部、扶桑さんのせいっぽい!!」

「締め切りは…きちんと守るものだ」

「海に逃げたのが運の付きだ、我々なら海の探索は実に容易いからな…観念して、原稿を書け!!」

 

…そう、扶桑は…作家の卵をやっていた。

 

そして、一本、新連載をさる新聞小説と言う形で勝ち取ったのだ。

だが、締め切りまでに話が纏まらず…逃避行に走っていた。

ご丁寧に、艦娘学校に通っていると聞く、妹の連絡先を渡して周到に高飛びの準備までして。

 

しかし…妹はおろか電や如月や阿賀野の元同僚の3人が通っていた学校を利用したと言った事もあり、学園長が直々にキレたと言う。

…草の根かき分けてでも探し出して、その扶桑とやらを探し出して突き出したまえ、と。

賞金もかかったそれを一部艦娘達は全力で行って…

 

「か、カンヅメは嫌ぁぁぁあ!!」

「だったら最初から締め切りは守れ!この西村艦隊の恥め!!」

 

…発見した時雨達が、4人で扶桑を曳航しに行った、とか。

 

 

「…って、扶桑さん何してるんです!?時雨ちゃん達も何してるんですか!?」

「…本当に、綺麗に締まらないわねぇ、この話」

 

電と如月が、その様を亜空間から突っ込んだ、とか。

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